AIはらだくんの時事英語ナビ

入試に出る時事トピック

自然災害と防災 — 入試に出る時事英語と背景知識

地震、津波、豪雨、土砂災害。日本は世界でも有数の災害の多い国で、その経験は世界の防災ルールにも生かされています。仙台防災枠組、南海トラフ地震の想定、防災庁、避難所の課題まで、入試長文の定番テーマを背景知識から攻略します。

更新 2026/09/15

避難訓練の日、机の下にもぐりながら「これ本当に意味あるのかな」と思ったことはありませんか。入試の長文は、まさにその問いに答えてくれます。防災の文章が伝えるのは、技術だけでは人は守れない、ふだんの習慣と人のつながりが命を救う というメッセージだからです。

このページでは、日本と世界の防災の枠組み、南海トラフ地震の最新の想定、避難所で起きる問題、そして英作文で使える表現まで、先輩が後輩に渡すノートの形でまとめました。日本に住む受験生だからこそ、具体例で差がつくテーマです。

3行でわかる防災のいま

1. 災害を「ゼロにする」より、被害を減らし立ち直る力(resilience)を高める考え方が主流。 2. 堤防などのハード対策と、避難訓練や情報などのソフト対策を組み合わせるのが基本。 3. 高齢者・障害のある人・外国人など、取り残されやすい人を守る視点が重視されている。

なぜ入試に防災が出るのか

1つめの理由は、日本の受験生にとって最もリアルな時事テーマ だからです。多くの受験生が、地震や豪雨のニュースを身近に見聞きしています。自分の経験や地域の例を使って書ける英作文のお題として、とても出しやすいのです。

2つめは、「技術 vs 人間」の対比 が作りやすいこと。「立派な堤防があっても、安心して逃げ遅れる人がいる」のような逆説は、筆者の主張を問う設問の定番の材料です。

3つめは、気候変動・高齢化・都市づくり・多文化共生など、他のテーマとの接点が多いこと。難関国公立・私大の長文で、社会の仕組みを考える題材としてくり返し選ばれるテーマの1つです。

3分でわかる背景知識:災害大国ニッポンと世界の防災ルール

日本は「地震の多い国」の代表

内閣府の防災白書によると、世界で起きるマグニチュード6以上の地震のうち、約2割が日本やその周辺で起きています。日本は、1923年の関東大震災、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災(マグニチュード9.0)、2024年1月1日の能登半島地震(マグニチュード7.6)など、大きな被害をくり返し経験してきました。

世界の防災ルールは「仙台」で決まった

2015年3月18日、宮城県仙台市で開かれた第3回国連防災世界会議で、仙台防災枠組 2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction) が採択されました。7つのグローバルターゲットと4つの優先行動を定め、その1つに、災害からの復興で以前より良い状態をめざす Build Back Better(より良い復興) が掲げられています。

同じ2015年の12月、国連総会は11月5日を 世界津波の日 に定めました。1854年の地震で、稲むらに火をつけて村人を高台に導いたという「稲むらの火」の逸話にちなんだ日付です。

南海トラフ地震の想定と防災庁

政府は2025年3月、南海トラフ巨大地震の新しい被害想定を公表し、最悪の場合の死者を約29万8千人としました。2012年の前回の想定(約32万3千人)から1割も減っておらず、対策の強化が求められています。

2025年9月には政府の地震調査委員会が、今後30年以内の発生確率の示し方を見直しました。2つの計算方法による「60〜90%程度以上」と「20〜50%」を並べて示し、どちらも高い確率だとしています。さらに2026年7月には、災害対応の司令塔となる 防災庁 を設置する法律が成立し、11月にも発足する予定です。

できごと
1923関東大震災(9月1日。のちに「防災の日」に)
1995阪神・淡路大震災。多くのボランティアが活動し「ボランティア元年」と呼ばれる
2011東日本大震災(マグニチュード9.0)
2015仙台防災枠組を採択(3月)、国連が世界津波の日を制定(12月)
2024能登半島地震(1月1日、マグニチュード7.6)
2025南海トラフ巨大地震の被害想定を見直し(3月)、発生確率の示し方を見直し(9月)
2026防災庁設置法が成立(7月)

このテーマの必修時事英語

自然災害と防災の必修語30語

magnitude と「震度」はまったく別物

magnitude は地震そのもののエネルギーの大きさで、1つの地震に1つの値。震度(seismic intensity) は、ある場所でどれくらい揺れたかで、場所ごとに違います。英字ニュースでは a magnitude 7.6 earthquake のように書き、日本の震度は seismic intensity of upper 6 のように説明つきで出てきます。長文で混同すると内容一致を落とすので要注意です。

長文でよく出る論点:巨大な堤防やダムに頼るべき?

ハード対策(堤防・ダム・耐震化)への大規模投資

ハード対策の強み

  • 堤防や耐震化は、住民が逃げ遅れても被害そのものを小さくできる。
  • 建物の耐震化は、地震で亡くなる人を減らす効果が大きいとされる。
  • 一度造れば、何十年にもわたって地域を守り続ける。
  • 高齢者など、すばやく避難するのが難しい人も守りやすい。
  • 工事や維持管理が、地域の雇用や経済を支える。

限界と課題

  • 想定を超える災害には対応できず、「造ったから安心」という油断を生むことがある。
  • 建設や維持に巨額の費用がかかり、人口が減る地域では負担が重い。
  • 高い堤防は海の景色や漁業、観光など地域の暮らしを変えてしまう。
  • 避難訓練、ハザードマップ、地域のつながりなどソフト対策がなければ、命を守りきれない。
  • 災害関連死のように、揺れや水が収まった後の被害は堤防では防げない。

自由英作文で使える表現

防災のテーマで使える英文

  • Japan is one of the most disaster-prone countries in the world.

    日本は世界で最も災害の起きやすい国の1つだ。

    disaster-prone で「災害が起きやすい」。導入の一文に

  • No amount of technology can completely protect us from natural disasters.

    どれほど技術があっても、自然災害から完全に身を守ることはできない。

    No amount of A can ... で「どれだけのAも〜できない」

  • Hard measures such as seawalls should be combined with soft measures such as evacuation drills.

    防潮堤などのハード対策は、避難訓練などのソフト対策と組み合わせるべきだ。

    be combined with で「〜と組み合わされる」。結論の型

  • Knowing your neighbors can be a matter of life and death in an emergency.

    近所の人を知っていることは、緊急時には生死を分けることがある。

    a matter of life and death で「死活問題」

  • Every family should decide in advance where to meet if a disaster strikes.

    どの家庭も、災害が起きたときにどこで落ち合うかを前もって決めておくべきだ。

    in advance で「前もって」。strike は災害が「襲う」

  • Elderly people and people with disabilities often need extra support during evacuations.

    高齢者や障害のある人は、避難の際に特別な支援を必要とすることが多い。

    取り残されやすい人の視点を入れると答案に深みが出る

  • Disaster information should be available in multiple languages for foreign residents.

    災害情報は、外国人住民のために複数の言語で提供されるべきだ。

    多文化共生とつなげる提案

  • Disasters remind us how much we depend on electricity, water and communication networks.

    災害は、私たちが電気や水や通信網にどれほど頼っているかを思い出させる。

    remind 人 how ... の形

  • Recovery is not only about rebuilding houses but also about restoring communities.

    復興とは、家を建て直すことだけでなく、地域のつながりを取り戻すことでもある。

    not only about A but also about B で復興の意味を広げる

  • The lessons learned from past disasters must be passed on to future generations.

    過去の災害から得た教訓は、将来の世代に受け継がれなければならない。

    pass on to で「〜に伝える」。結論の一文に

オリジナル長文で力試し

Preparing for the Day We Hope Never Comes共通テスト〜国公立二次レベル(約250語)

Japan experiences a large share of the world's strong earthquakes, as well as frequent typhoons, floods and landslides, and its people have learned many hard lessons. Modern building codes, early warning systems and regular evacuation drills have saved countless lives. Yet experts warn that no amount of technology can make a country completely safe from nature.

One reason is that disasters rarely follow the script. A seawall designed for waves of a certain height may give residents a false sense of security, encouraging them to stay at home when they should run. For this reason, many researchers now stress that hardware such as walls and dams must be combined with software: knowledge, habits and trust within communities.

Some of the most dangerous moments come after the shaking stops. In crowded evacuation centers, elderly people may struggle with cold, stress and poor sanitation, and some die weeks later from causes linked to the disaster. People with disabilities, foreign residents who cannot understand warnings, and parents with small children also face particular difficulties. Recovery, in other words, is not only about rebuilding roads and houses.

The idea of resilience reflects this wider view. A resilient community is not one that never suffers damage, but one that can absorb a shock, support its weakest members and recover. Knowing your neighbors, checking a hazard map and deciding in advance where your family will meet may seem small. In a real emergency, however, these ordinary habits can make an extraordinary difference.

語句

  • a large share of〜のかなりの割合。share は「分け前、割合」
  • no amount of A can ...どれだけのAがあっても〜できない。強い否定
  • follow the script筋書きどおりに進む。災害が想定どおりに起きないことのたとえ
  • a false sense of security誤った安心感。防災の長文で超頻出のフレーズ
  • encouraging them to stay分詞構文で結果を表す。「その結果、とどまるよう仕向けてしまう」
  • hardware ... softwareハード(施設)とソフト(知識・習慣・信頼)。コロンの後で software の中身を説明
  • causes linked to the disaster災害に関連した原因。disaster-related deaths(災害関連死)の話
  • not one that A, but one that BAする地域ではなくBする地域。one は community の代わり
  • absorb a shock衝撃を吸収する。resilience の定義に使われる表現
  • ordinary habits ... extraordinary differenceordinary と extraordinary を対にした、印象に残る締めくくり

Preparing for the Day We Hope Never Comes の確認問題

Q1【内容一致】第2段落によると、防潮堤が問題を生む可能性があるのはなぜですか。

Q2【語彙の言い換え】第2段落の disasters rarely follow the script に最も近い意味はどれですか。

Q3【内容一致】第3段落の内容に合うものはどれですか。

Q4【主旨】本文の主旨として最も適切なものはどれですか。

ここで差がつく:防災の長文の読み方

よく出る言い換えと誤読ポイント

1. resilience / the ability to recover / bounce back は「立ち直る力」の言い換えセット。 2. prevent(防ぐ)と mitigate / reduce(被害を軽くする)は違います。防災の文章は「災害を防ぐ」より「被害を減らす」と言うことが多いので、選択肢の prevent に要注意。 3. strike は災害が「襲う」。A strong earthquake struck the region. の struck は strike の過去形です。 4. 日本では2021年から「避難勧告」が廃止され「避難指示」に一本化されました。英字ニュースでは evacuation order と書かれることが多いです。

ツッコミどころ・意外な雑学

よくある質問

resilience はどう訳せばいいですか?

「回復力」「立ち直る力」「しなやかな強さ」などと訳されます。防災の文章では「被害をゼロにする強さ」ではなく、「被害を受けても立ち直れる力」という意味で使われることがほとんどです。心理学の文章では「困難から立ち直る心の力」の意味でも出てきます。

防災の自由英作文では、どんな具体例を使うと書きやすいですか?

「家族で集合場所を決める」「ハザードマップを確認する」「近所の人と顔見知りになる」「外国人住民のために多言語で情報を出す」など、高校生にもできることや身近な例が書きやすいです。Hard measures ... should be combined with soft measures ... のように、ハードとソフトの両方に触れると論理がしっかりします。

南海トラフ地震の確率は「80%」と習ったのですが、変わったのですか?

2025年9月、政府の地震調査委員会は計算方法を見直し、「60〜90%程度以上」と「20〜50%」の2つを併記する形に変えました。委員会は、どちらも高い確率だとしています。数字の細かさより「近い将来に起きる可能性が高く、備えが必要」という点を押さえておきましょう。

ほかの頻出トピック