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入試に出る時事トピック

格差・貧困の英語 — 「生まれた場所で人生が決まる?」を長文で読む

世界の極度の貧困、日本の子どもの貧困、上がり続ける最低賃金、ベーシックインカムの実験。格差と貧困は、入試長文で何度も形を変えて出てくる超定番テーマです。相対的貧困の意味から最新データ、必修の時事英語、論点、英作文の表現、オリジナル長文まで、まとめて攻略しましょう。

更新 2026/09/15

同じクラスにいても、塾に通える人と通えない人がいる。スマホやパソコンを自由に使える人と、そうでない人がいる。こうした差は、努力だけでは埋めにくいことがあります。英語でいえば income inequality(所得格差)poverty(貧困) の問題です。

格差の長文は「かわいそうな話」を読むものではありません。「公平とは何か」「税金は誰がどれだけ払うべきか」「努力と運の境目はどこか」という、社会の設計図そのものを考えるテーマです。ボードゲームのルールを決めるときに揉めるのと、実は同じ種類の問いなのです(この話は雑学コーナーで回収します)。

3行でわかる格差と貧困

1. 貧困には、生きるのに必要なものが足りない「絶対的貧困」と、その社会の普通の暮らしから大きく取り残される「相対的貧困」がある。 2. 豊かな国で問題になるのは主に相対的貧困で、外からは見えにくい。 3. 格差は親から子へ受け継がれやすく、「機会の平等」をどう守るかが論点の中心。

なぜ入試に出るのか:「公平」の意味を問えるから

難関国公立・私大の長文では、社会の公平さを扱う評論が定番です。格差のテーマは、経済学・社会学・教育学・政治哲学がまじわり、同じデータから正反対の主張を導くこともできるので、筆者の立場を読み取らせる問題にぴったりなのです。

3分でわかる背景知識:数字で見る「世界の貧困」と「日本の貧困」

格差の長文を読むときに一番大切なのは、「どの物差しで測った貧困なのか」を意識することです。世界の貧困と日本の貧困では、使われる物差しがまったく違います。まずは代表的なデータを押さえましょう。

項目データここがポイント
世界の極度の貧困ライン世界銀行が2025年6月、1人1日3.00ドル(2021年の購買力平価)に改定それまでは1日2.15ドル(2017年の購買力平価)。物価の変化などを反映した
極度の貧困の人数2026年3月の更新で、2024年に約8億4,700万人(世界人口の約10%)と推計ラインが上がったことで、推計人数も増えた。「世界が急に貧しくなった」わけではない
日本の相対的貧困率15.0%(2025年の国民生活基礎調査。2024年の所得)所得が、その国の真ん中の人の半分に届かない人の割合
日本の子どもの貧困率11.0%(同)およそ9人に1人の計算
大人が1人の子育て世帯の貧困率44.7%(同)single-parent household の厳しさは長文でもよく扱われる
日本の最低賃金2025年度の全国加重平均は1,121円で、初めて全都道府県で1,000円を超えた2026年度は全国加重平均1,177円に決まり、10月から順次引き上げ

「相対的貧困」は、なぜ見えにくいのか

相対的貧困の家庭の子どもは、ごはんが食べられないとは限りません。でも、修学旅行に行けない、部活の道具が買えない、静かに勉強できる場所がない、友達を家に呼べない、といった形で「普通の経験」から少しずつ取り残されていきます。外から見えにくいぶん、社会が気づきにくいのです。

「平均」にだまされない

所得の話で「平均所得が上がった」と書かれていても、一部のとても裕福な人の所得が大きく伸びただけかもしれません。格差の長文では average(平均)median(中央値、真ん中の値) の違いがよく出ます。相対的貧困率が中央値を基準にしているのも、この理由からです。

このテーマの必修時事英語:格差の記事を正確に読むための語

貧困、賃金、福祉、住まい、教育に関する語を集めました。似た意味の語が多い分野なので、カードの意味を見て「どう違うのか」を意識しながら覚えると、長文での言い換えにも強くなります。

貧困・経済格差の必修時事英語30語

長文でよく出る論点:格差を縮めるために、お金持ちからもっと税を取るべきか

格差の評論でよく出る対立軸は、「所得の再分配(redistribution)をどこまで強めるか」です。多く稼ぐ人から多く税を取り、福祉や教育に回すべきだという立場と、それでは頑張る意欲や経済の成長が損なわれるという立場があります。

富裕層への課税を強め、福祉や教育に回すべきか

賛成の論点

  • 生まれた家庭の差で子どもの将来が決まるのは不公平で、教育や子育て支援で機会の平等を守るべき。
  • 格差が大きすぎると、社会の分断や治安の悪化、政治への不信につながるおそれがある。
  • 所得の低い人はお金を生活に使うことが多く、支援することで消費が増え、経済を支える面もある。
  • 成功には運や環境の影響も大きく、稼いだ人が社会に還元するのは自然だという考え方がある。
  • 病気や失業など、誰にでも起こりうるリスクから守る safety net は社会全体の保険になる。

反対・慎重な論点

  • 税が重すぎると、働く意欲や起業、投資の意欲が下がり、経済全体が小さくなるおそれがある。
  • 裕福な人や企業が、税の安い国へ移ってしまうかもしれない。
  • 支援の仕組みによっては、働いて収入が増えると支援が減るため、働く意欲をそぐことがある。
  • 税をどう使うかが不透明だと、再分配の効果が限られる。
  • 結果の平等より、教育などの「スタートラインの平等」を整えることを優先すべきだという意見もある。

「機会の平等」と「結果の平等」を区別する

英作文で差がつくのがこの区別です。equality of opportunity(機会の平等)は「誰もが同じスタートラインに立てること」、equality of outcome(結果の平等)は「最終的な暮らしの差を小さくすること」。自分がどちらを重視するのかを最初に明示すると、主張がブレません。

自由英作文で使える表現:格差を冷静に論じる12文

格差のテーマは、感情に訴えるだけの文章になりがちです。原因・影響・解決策を落ち着いて書き分けられると、答案の説得力が一気に上がります。

格差・貧困の自由英作文で使える表現

  • The gap between the rich and the poor has been widening in many countries.

    多くの国で、富める者と貧しい者の差が広がり続けている。

    the rich / the poor は「the+形容詞=人々」。現在完了進行形で継続を表す

  • Children should not be held back by the circumstances they were born into.

    子どもは、生まれた環境によって足を引っ張られるべきではない。

    be held back(妨げられる)、be born into 〜(〜の境遇に生まれる)

  • Poverty in rich countries is often hidden from view.

    豊かな国の貧困は、目に見えにくいことが多い。

    hidden from view で「見えないところに隠れている」

  • Education is one of the most effective ways to break the cycle of poverty.

    教育は、貧困の連鎖を断ち切る最も効果的な方法の一つだ。

    break the cycle of 〜(〜の連鎖を断つ)は超頻出

  • Everyone should have an equal chance to succeed, regardless of family background.

    家庭の背景に関係なく、誰もが成功する平等な機会をもつべきだ。

    regardless of 〜(〜に関係なく)で機会の平等を表す

  • A higher minimum wage can help low-income workers, but it may also increase costs for small businesses.

    最低賃金を上げると低所得の働き手を助けられるが、小さな企業の費用を増やすかもしれない。

    can と may で、メリットと懸念を1文でバランスよく示す

  • Governments have a duty to provide a safety net for those in need.

    政府には、困っている人々にセーフティネットを提供する義務がある。

    those in need(困っている人々)は丁寧で便利

  • Heavy taxes on the wealthy might discourage investment.

    富裕層への重い課税は、投資をためらわせるかもしれない。

    discourage は「やる気をそぐ、思いとどまらせる」

  • Inequality is not only an economic issue but also a question of fairness.

    格差は経済の問題であるだけでなく、公平さの問題でもある。

    a question of 〜(〜の問題)で視点を広げる

  • Rising housing costs are pushing low-income families out of city centers.

    住宅費の上昇が、低所得の家庭を都心から押し出している。

    push A out of B で「A を B から追い出す」

  • Hard work alone does not always guarantee a decent standard of living.

    懸命に働くことだけで、人並みの生活水準が常に保証されるわけではない。

    not always は部分否定。decent は「まともな、人並みの」

  • Reducing inequality benefits not only the poor but society as a whole.

    格差を減らすことは、貧しい人々だけでなく社会全体に利益をもたらす。

    as a whole(全体として)で結論をまとめる

poor people より people on low incomes

英語の新聞や論文では、the poorpoor people と同じくらい、people on low incomes / low-income families / people living in poverty という言い方がよく使われます。人をひとくくりにしない、ていねいな表現です。英作文で使うと語彙の幅も見せられます。

オリジナル長文:「生まれの宝くじ」は誰が引くのか

このページのために書き下ろした評論文です。国公立二次・難関私大レベルを想定しています。筆者が「貧困」という言葉をどういう意味で使っているかに注意しながら読んでみてください。

The Lottery of Birth国公立二次・難関私大レベル(約270語)

Imagine two babies born on the same day. One grows up in a home with shelves full of books and parents who can pay for extra lessons. The other lives with a single parent who works two jobs and still struggles to cover the rent. Neither child chose these circumstances, yet by the time they take a university entrance exam, the gap between them may already be wide.

When people hear the word poverty, they often picture hunger in distant countries. That kind of extreme poverty remains a serious global problem. In wealthy societies, however, poverty usually looks different. Researchers often speak of relative poverty, meaning that a household's income falls far below the typical level in its own society. A child in relative poverty may have enough to eat but still miss school trips, lack a quiet place to study, or feel ashamed to invite friends home.

Such disadvantages matter because they tend to be passed from one generation to the next. If children from low-income families have fewer chances to develop their abilities, they may end up in low-paid jobs themselves, and the cycle continues. A society that allows this to happen not only treats individuals unfairly but also wastes talent it can hardly afford to lose.

Of course, people disagree about the remedy. Some argue for higher taxes on the rich to fund generous welfare, while others fear that this would discourage hard work and investment. Still, most would agree on one point: where a child starts in life should not decide where that child ends up. The debate, in the end, is less about whether to act than about how.

語句

  • struggle to do〜するのに苦労する
  • cover the rent家賃をまかなう。cover は「(費用を)まかなう」
  • picture動詞で「思い浮かべる、想像する」
  • relative poverty相対的貧困。extreme poverty(極度の貧困)と対比されている
  • fall far below〜を大きく下回る
  • be passed from one generation to the next世代から世代へ受け継がれる
  • end up in結局〜に行き着く、最後は〜になる
  • can hardly afford to doとても〜する余裕はない。hardly は「ほとんど〜ない」
  • argue for〜に賛成の主張をする。argue against は「〜に反対する」
  • less about A than about BA についてというより、むしろ B について

「生まれの宝くじ」の長文で力試し

Q1【内容一致】本文の内容に合うものはどれですか。

Q2【語彙の言い換え】第3段落の disadvantages に最も近い意味はどれですか。

Q3【指示内容】第3段落の this が指す内容として最も適切なものはどれですか。

Q4【主旨】筆者の主張として最も適切なものはどれですか。

ここで差がつく:格差の長文で狙われる言い換えとワナ

格差の長文では、「差が大きい」「広がる」「縮まる」をさまざまな英語で言い換えてきます。グラフ問題でもよく使われるので、まとめて押さえておきましょう。

本文の表現選択肢での言い換え意味
the gap is wideninginequality is growing / the divide is deepening格差が広がっている
narrow the gapreduce inequality / close the divide格差を縮める
low-income familieshouseholds with limited means / poorer families低所得の家庭
the wealthythe rich / high earners裕福な人々
redistributionsharing wealth more evenly再分配
be passed downbe inherited / be transmitted across generations受け継がれる
disadvantagedunderprivileged / less fortunate恵まれない
social mobilitythe chance to move up the social ladder社会的な移動、階層を上がるチャンス

「貧困率が下がった」=「みんな豊かになった」ではない

相対的貧困率は「その社会の真ん中の人の所得」との比較です。もし社会全体の所得が下がると、貧困ラインも下がるので、暮らしが楽にならなくても貧困率が下がることがあります。率(rate)の基準が何かを考えるクセをつけると、図表問題のワナを見抜けます。

poverty と property、見間違えていませんか

poverty(貧困)property(財産) はつづりが似ていて、急いで読むと取り違えやすい語です。どちらも格差の長文に一緒に出てくるので、意味が真逆になって大事故になります。p-o-v と p-r-o、最初の3文字を確認しましょう。

ツッコミどころ満載:格差の意外な雑学

モノポリーの元祖は「格差の怖さを教えるゲーム」だった。 土地を買い占めてライバルを破産させるボードゲーム「モノポリー」。その原型の一つとされるのが、アメリカのエリザベス(リジー)・マギーが1904年に特許を取った The Landlord's Game です。土地の独占が地主を豊かにし、借りる人を貧しくする仕組みを、遊びながら体験させる狙いがありました。友達を破産させて大喜びしているとき、実は100年以上前の「格差の授業」を受けているのです。

世界銀行の貧困ラインが上がったら、貧困の人数が増えた。 2025年6月、世界銀行は極度の貧困ラインを1日2.15ドルから3.00ドルに改定しました。すると、極度の貧困にある人の推計も増えました。これは世界が急に貧しくなったのではなく、物差しが変わったからです。「数字が変わった理由」を考えるのは、ニュースを読むうえでも入試の図表問題でも大切な力です。

よくある質問

相対的貧困と絶対的貧困は、英作文でどう書き分ければいいですか?

絶対的貧困は extreme poverty や absolute poverty(生きるのに必要な最低限のものが足りない状態)、相対的貧困は relative poverty(その社会の標準的な暮らしから大きく取り残された状態)と書き、最初に一言で定義を添えると、読み手に誤解されません。

格差のテーマで、自分の意見は「賛成」「反対」どちらで書くべきですか?

どちらでも構いません。採点で見られるのは立場ではなく、理由と具体例の説得力です。自分が書きやすく、具体例を思いつきやすい立場を選びましょう。

日本の格差について英語で説明するとき、使いやすい語は?

child poverty(子どもの貧困)、nonregular workers(非正規労働者)、single-parent household(ひとり親世帯)、children's cafeteria(子ども食堂)などが便利です。日本特有の取り組みは、英語で短く説明を加えましょう。

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