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入試に出る時事トピック

プライバシー・監視社会・個人データ — 入試に出る時事英語と背景知識

顔認証でスマホを開き、おすすめ動画を見て、位置情報つきで写真を投稿する。便利さの裏で、私たちは何を差し出しているのでしょうか。プライバシーの歴史、世界のルール、監視カメラの賛否、英作文の表現、オリジナル長文までまとめて攻略します。

更新 2026/09/15

無料のアプリ、無料の地図、無料の動画。どれもお金を払っていないのに、なぜ会社はもうかるのでしょう。答えの1つは あなたのデータ です。「無料には理由がある」という話は、入試の長文でもくり返し出てくる定番の切り口です。

このページでは、privacy という考え方がいつ生まれたのかという歴史から、世界の個人データのルール、監視カメラや顔認証の賛否、自由英作文の表現まで、スマホ世代の受験生がいちばん身近に感じられる形でまとめました。

3行でわかるこのテーマ

1. 便利なサービスの多くは、利用者の個人データを集めることで成り立っている。 2. EU の GDPR など、データを守る法律が世界で強化されてきた。 3. 「安全・便利」と「プライバシー」のバランスをどう取るかが、長文と英作文の中心の問い。

なぜ入試にプライバシーが出るのか

1つめの理由は、受験生の生活そのものがテーマ になるからです。SNS、位置情報、顔認証、おすすめ表示。具体例に困らないので、筆者の主張を身近な例で支える文章が作りやすいのです。

2つめは、「どちらも大事」な価値がぶつかる こと。犯罪を防ぐ安全と、見張られない自由。便利さと、自分の情報を自分で決める権利。単純な正解がないので、筆者の立場を読み取る設問や、賛否を書かせる英作文にぴったりです。

3つめは、AI の発達でデータの価値がますます高まり、テクノロジーと社会の文章に必ずといっていいほど顔を出すこと。難関国公立・私大の長文で定番のテーマの1つです。

3分でわかる背景知識:「放っておいてもらう権利」から GDPR まで

プライバシー権は「カメラ」への不安から生まれた

プライバシー権の出発点としてよく挙げられるのが、1890年にアメリカの法律家ウォーレンとブランダイスが Harvard Law Review に発表した論文「The Right to Privacy」です。この論文は、プライバシーを the right to be let alone(放っておいてもらう権利) という言葉で説明しました。

背景にあったのは、持ち運べるカメラの広まりや、私生活を書き立てる新聞への不安でした。新しい技術がプライバシーの問題を生む、という構図は130年以上たった今もまったく同じです。

EU が世界のルールを引っぱる

2014年、EU 司法裁判所は、条件によっては検索エンジンに自分に関する検索結果の削除を求められるという判決を出しました。これが 忘れられる権利(right to be forgotten として世界に知られるようになります。

2018年5月25日には、EU の 一般データ保護規則(GDPR) の適用が始まりました。重い違反には、とても大きな制裁金が科されることがあります。上限は2,000万ユーロか、世界全体の年間売上高の4%の、どちらか高いほうです。

さらに EU の AI 法(AI Act)は2024年8月に発効し、2025年2月から一部の AI の使い方が禁止されました。たとえば、警察などが公共の場で顔認証などを使ってその場で(リアルタイムに)人を特定することは、ごく限られた例外を除いて禁止されています。

できごと
1890ウォーレンとブランダイスが論文「The Right to Privacy」を発表
2003日本で個人情報保護法が成立(2005年に全面施行)
2014EU 司法裁判所が検索結果の削除を認める判決(忘れられる権利)
2018EU の GDPR の適用開始(5月25日)
2024EU の AI 法が発効(8月)
2025AI 法で禁止される AI の使い方の規定が適用開始(2月)

たとえば検索エンジンが広く使われるようになったのは1990年代後半ですが、忘れられる権利の判決が出たのは2014年でした。ルールづくりは、技術が広まった後から何年も遅れて追いかけることが多いのです。「法律が技術に追いつかない」は、このテーマの長文で本当によく出る主張です。

このテーマの必修時事英語

プライバシー・個人データの必修語30語

surveillance と monitoring の温度差

surveillance は「監視」で、国や組織が人々を見張る、やや 否定的な響き のある語です。monitoring は「見守り・観測」で中立的。同じカメラの話でも、筆者が surveillance を使っていたら批判的、monitoring なら肯定的かも、と態度を読むヒントになります。

長文でよく出る論点:街に顔認証カメラを増やすべき?

監視カメラ・顔認証の導入

賛成の理由

  • 犯罪の抑止になり、事件が起きても犯人を見つけやすくなる。
  • 行方不明の子どもや高齢者を早く見つけられる可能性がある。
  • 駅や空港などで、本人確認が速く便利になる。
  • やましいことがなければ困らない、という考え方もある。
  • 人の目に頼るより、限られた人員で広い範囲を見守れる。

反対・慎重の理由

  • いつも見られていると感じると、人は自由に発言・行動しにくくなる。
  • 集めたデータが流出したり、目的外に使われたりするおそれがある。
  • algorithmic bias により、特定の人々が誤認されやすいと指摘されている。
  • 一度導入されると、使い道が少しずつ広がり、止めにくい。
  • 「隠すことがない人」にもプライバシーは必要で、プライバシーは秘密を守ることだけではない。

自由英作文で使える表現

プライバシーのテーマで使える英文

  • Many free online services are paid for with users' personal data rather than money.

    多くの無料のオンラインサービスは、お金ではなく利用者の個人データによって支払われている。

    導入の一文。A rather than B で対比をはっきり

  • Most people agree to privacy policies without reading them carefully.

    ほとんどの人は、プライバシーポリシーをよく読まずに同意している。

    without doing で「〜せずに」。問題点の指摘に

  • Security cameras may help prevent crime, but they also raise serious privacy concerns.

    防犯カメラは犯罪の防止に役立つかもしれないが、深刻なプライバシーの懸念も生む。

    raise concerns で「懸念を生む」。譲歩+反論の型

  • Once personal information is posted online, it is almost impossible to delete completely.

    個人情報は一度ネットに載ると、完全に消すことはほとんど不可能だ。

    Once S V で「いったん〜すると」。デジタルタトゥーの話に

  • Companies should be required to explain clearly how they use customers' data.

    企業は、顧客のデータをどう使うのかをわかりやすく説明することを義務づけられるべきだ。

    be required to do で「〜することを義務づけられる」

  • There needs to be a balance between public safety and individual freedom.

    公共の安全と個人の自由のあいだで、バランスが取られる必要がある。

    a balance between A and B は結論に使いやすい

  • Even people with nothing to hide have a right to privacy.

    隠すことが何もない人にも、プライバシーの権利はある。

    「やましくなければいい」論への反論

  • Young people should learn to think carefully before sharing their location or photos online.

    若者は、位置情報や写真をネットで共有する前によく考えることを学ぶべきだ。

    身近な提案で締めたいときに

  • Laws protecting personal data often fail to keep up with new technology.

    個人データを守る法律は、しばしば新しい技術に追いつけずにいる。

    fail to do で「〜できない」。keep up with で「〜に遅れずについていく」

  • In my view, convenience should not come at the cost of our right to control our own information.

    私の考えでは、便利さが、自分の情報を自分で管理する権利を犠牲にして得られるものであってはならない。

    at the cost of で「〜を犠牲にして」。主張の一文に

オリジナル長文で力試し

The Price of a Free App共通テスト〜国公立二次レベル(約250語)

Every morning, millions of people unlock their phones with their faces, check the weather for their exact location, and scroll through news chosen especially for them. These services feel free, but they are not. In many cases, users pay with something less visible than money: information about where they go, what they buy and what they watch.

Companies argue that collecting such data allows them to improve their products and show advertisements that people actually find useful. There is some truth in this. A map app that knows about traffic jams can save drivers time, and health data shared by thousands of patients may help doctors spot diseases earlier.

The trouble is that few people have any clear idea of how much they are giving away. Privacy policies are long and full of legal language, so most users simply tap 'agree' without reading them. Once data has been collected, it can be combined, sold or exposed in a data breach, and it is almost impossible to take back. A photo posted at sixteen may still be searchable at thirty.

For this reason, some experts believe that protecting privacy should not depend only on individual choices. Just as we do not expect every driver to test the brakes of a new car but instead require carmakers to build safe cars, they argue, laws should require companies to handle personal data safely from the start. Privacy, in this sense, is less about hiding secrets than about keeping control over our own lives.

語句

  • something less visible than moneyお金よりも目に見えにくいもの。コロンの後で具体的に説明している
  • There is some truth in this.これにも一理ある。譲歩のサイン。第3段落の The trouble is で反論に転じる
  • spot動詞で「見つける、気づく」
  • The trouble is that ...問題は〜ということだ。筆者が本当に言いたい問題点の合図
  • give away(ただで)差し出す、手放す
  • be exposed in a data breach情報漏えいでさらされる。data breach(情報漏えい)は必修語
  • take back取り戻す、取り消す
  • Just as A, BAと同じように、B。たとえを使って主張を説明する形。ここでは車の安全をメーカーに求めることを、データの安全を企業に求めることにたとえている
  • from the start最初から。制度の設計段階から、というニュアンス
  • less about A than about BAというよりむしろBについてのものだ。筆者の結論

The Price of a Free App の確認問題

Q1【内容一致】第1段落によると、無料のサービスの利用者は何で「支払って」いますか。

Q2【語彙の言い換え】第2段落の spot に最も近い意味はどれですか。

Q3【内容一致】第3段落で述べられている問題として、最も適切なものはどれですか。

Q4【主旨】筆者の主張として最も適切なものはどれですか。

ここで差がつく:プライバシーの長文の読み方

よく出る言い換えと誤読ポイント

1. personal data / personal information / private information はほぼ同じ「個人情報」。 2. collect / gather / harvest data はどれも「データを集める」ですが、harvest(収穫する)は大量にごっそり集める、やや批判的な響きがあります。 3. opt in は「自分から参加・同意する」、opt out は「参加しない・拒否する」。逆に読むと選択肢を丸ごと落とします。 4. anonymous(匿名の)データでも、組み合わせると個人が特定されうる、という論点は頻出です。

ツッコミどころ・意外な雑学

よくある質問

「防犯カメラを増やすべきか」という英作文は、賛成と反対どちらが書きやすいですか?

どちらでも書けます。賛成なら「犯罪の抑止」「行方不明者の捜索」、反対なら「自由に行動しにくくなる」「データの流出や悪用」が理由として具体的です。どちらの立場でも、There needs to be a balance between public safety and individual freedom. のように、反対側の価値も認める一文を入れると答案が大人っぽくなります。

GDPR は日本の受験生も覚えておくべきですか?

細かい条文は不要ですが、「EU の個人データ保護のルールで、違反すると巨額の制裁金がある」「世界のルールづくりに影響を与えた」の2点は背景知識として役立ちます。長文で GDPR や the EU's data protection rules と出てきたときに、落ち着いて読めるようになります。

privacy の発音は「プライバシー」でいいですか?

アメリカ英語では「プライバシー」に近い発音、イギリス英語では「プリバシー」に近い発音もよく聞かれます。リスニングで両方出ても慌てないようにしましょう。

ほかの頻出トピック