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入試の時事英語

英字新聞・ニュース記事の読み方

ニュース記事は、実は「最初の1〜2文で骨組みがわかる」ように設計されています。見出し・リード・本文の役割、said や according to の読み方、数字の罠、論説文の型まで。構造を知れば、英字新聞も入試長文も、頭から順に全部訳すより速く、正確に読めます。

更新 2026/09/15

英字新聞の記事を1行目から辞書を引きながら全部訳していく。まじめな人ほどやりがちですが、これは例えるなら、コンビニで棚の端から全商品のラベルを読んでからおにぎりを探すようなものです。ニュース記事には、ほしい情報がどこにあるかの「売り場案内」がちゃんとあります。

このページでは、その売り場案内、つまりニュース記事の構造を知って、速く正確に読む方法を紹介します。後半では、ニュース記事風のオリジナル英文で実際に練習し、入試長文への応用までつなげます。

先に結論

ニュース記事は「見出し → リード(最初の1〜2文)」で骨組みが決まります。論説文は「主張 → 根拠 → 譲歩 → 再主張」。この2つの型を知っているだけで、どこを丁寧に読み、どこを流すかの判断ができるようになります。

ニュース記事は「逆ピラミッド」でできている

一般的なニュース記事(ストレートニュース)は、いちばん大事な情報を最初に書き、後ろに行くほど細かい情報になるという形で書かれます。これを「逆ピラミッド」と呼びます。上が広く、下にいくほど細くなる逆三角形のイメージです。

この形の良いところは、読者が途中で読むのをやめても要点は伝わっていること。そして、紙面の都合で記事を短くするときに、下の段落から削っても記事として成り立つことです。つまり、書き手は「最初だけ読まれても困らない」ように書いているのです。

部分役割読むときの意識
見出し(headline)記事の内容を最短の言葉で特殊な文法で圧縮されている。何が起きたかの予告
リード(lead / lede)最初の1〜2文。いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやってここで骨組みをつかむ。いちばん丁寧に読む
本文の前半リードの補足、なぜ重要か、関係者のコメントリードの内容を具体化している部分
本文の後半背景、過去の経緯、反対意見、今後の見通し設問に関係する部分だけ丁寧に

入試では「後半を捨てる」はNG

新聞を読むだけなら後半は流し読みでかまいませんが、入試の長文では後半の反対意見や今後の見通しから設問が出ることもよくあります。「前半で骨組み、後半は設問に合わせて精読」と使い分けましょう。

見出しは「暗号」。最低限この5ルール

見出しは限られたスペースに押し込むため、普通の英語とは文法が少し違います。詳しくは英字新聞の見出しの読み方にまとめていますが、まずは次の5つを押さえておけば大丈夫です。例はすべて練習用に作った架空の見出しです。

ルール見出しの例普通の英語に直すと
a / the や be動詞を省くTown Bans Plastic BagsThe town has banned plastic bags.
現在形で「すでに起きたこと」Rail Workers Strike Over PayRail workers went on strike over pay.
to+動詞で「これからのこと」City to Open Night LibraryThe city will open a night library.
過去分詞だけで受け身Three Hurt in Bus CrashThree people were hurt in a bus crash.
コンマは and の代わりFloods Hit North, Thousands EvacuateFloods have hit the north, and thousands have evacuated.

リード文だけで5W1Hを取る練習

リードは、記事の中でいちばん情報が詰まった文です。1文に「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ」がぎゅっと入っているので、長くて一瞬ひるみますが、分解すると意外とシンプルです。練習用の架空の記事のリードで試してみましょう。

A mountain town in central Japan will start using drones to deliver medicine to elderly residents next spring, local officials said on Tuesday, as the area struggles with a shortage of delivery drivers.

要素リードのどこ?内容
Who(誰が)A mountain town in central Japan中部地方の山あいの町が
What(何を)will start using drones to deliver medicineドローンで薬を届け始める
Whom(誰に)to elderly residents高齢の住民に
When(いつ)next spring来年の春に
Why(なぜ)as the area struggles with a shortage of delivery drivers配達ドライバー不足に悩んでいるため
情報源local officials said on Tuesday町の担当者が火曜日に明らかにした
  1. 1
    主語と動詞だけ抜き出す

    A mountain town ... will start using drones。まずこれだけで「町がドローンを使い始める」という骨組みができます。

  2. 2
    修飾語のカタマリに( )をつける

    to elderly residents(前置詞のカタマリ)や next spring(時を表す語句)を( )でくくると、それぞれが「誰に」「いつ」の情報だとわかります。

  3. 3
    コンマの後ろの said を見つける

    ..., officials said は「〜と担当者が述べた」。記事では情報源が文の後ろに回ることが多いです。

  4. 4
    as ~ で理由・背景をつかむ

    リードの最後の as ~ は「〜という状況の中で」。ニュースの背景(なぜ今これが起きているか)が入る定位置です。

said・according to・引用の読み方

ニュース記事を読むときにいちばん大事なのは、その情報が誰の言葉なのかを常に意識することです。記者が事実として書いているのか、関係者の主張を紹介しているのかで、意味の重さがまったく違います。入試の内容一致問題でも「筆者の考え」と「登場人物の主張」を混同させる選択肢は定番です。

表現意味読み方のコツ
said〜と述べたもっとも中立。ニュースでは says より said が基本
according to〜によると情報源をはっきり示す。調査や報告書とセットで出やすい
claimed〜と主張した本当かどうかはまだわからない、というニュアンスが出やすい
argued〜と論じた理由をつけて意見を述べている。論点の紹介
warned〜と警告した悪いことが起きる可能性の指摘
admitted〜と認めた言いたくないことを認めた、という含み
denied〜を否定した疑いや報道を否定
reportedly伝えられるところでは記者自身が確認しきれていない情報の目印
declined to commentコメントを控えた答えなかった。否定でも肯定でもない
it remains unclear〜はまだはっきりしないわかっていないことを正直に書いている部分

引用符の中は「その人の意見」

引用符でくくられた部分は、その人が言ったことです。記事全体の結論や記者の立場とは限りません。設問で「本文によれば」と聞かれたら、誰の発言として書かれているかまで確認しましょう。

said の語順のクセ

ニュースでは、発言の後ろに said が来て、しかも主語と said がひっくり返ることがあります。たとえば The plan will take time, said the report. は「その計画には時間がかかると報告書は述べた」。said の後ろに主語が来ても慌てないように。発言内容 → 誰が、の順に読めばOKです。

数字と単位に強くなる

ニュース記事には数字がたくさん出てきます。入試の長文やグラフ問題でも、数字の読み違いは一発で失点につながります。よく出る表現をまとめて押さえておきましょう。

表現意味例
up from ~ / down from ~〜から増えて/減って3.2%, up from 2.8% (2.8%から上がって3.2%)
a record high / a record low過去最高/過去最低Sales hit a record high.
nearly / almost〜近く(その数に届かない)nearly 500 people は500人弱
more than / over〜より多いmore than 1,000 は1,000人を超える
1.5 billion15億million=100万、billion=10億
a third / a quarter3分の1/4分の1about a quarter of students
double / triple2倍になる/3倍になるThe number has doubled since 2020.
one in five5人に1人One in five homes stands empty.
year-on-year前年同期比でPrices rose 3% year-on-year.

percent と percentage point の罠

失業率が2%から3%になったとき、増えたのは「1 percentage point(1ポイント)」ですが、割合で言うと「50 percent(50%)増えた」になります。どちらの表現かで印象がまったく違うので、記事でもグラフ問題でも要注意です。

段落の役割を見抜く

ニュース記事の段落は、たいてい1〜3文と短めです。そのかわり、1つの段落が1つの役割を担っています。段落を読むたびに「これは何の役割?」とラベルを貼るつもりで読むと、全体の見取り図が頭に残ります。

役割目印になる表現中身
リード文の最後に said / according to何が起きたかの要約
詳細Under the plan, / The move ...リードの具体的な中身
なぜ重要かThe decision comes as ...今この話が大事な理由、背景
コメント引用符、said, told reporters関係者の声
反対意見However, critics say ...別の立場からの懸念
今後is expected to, plans to, next yearこれからどうなるか

ニュース記事と論説(opinion)はまったく別物

英字新聞には、出来事を伝えるニュース記事と、書き手の意見を述べる論説・コラムが同居しています。この2つは、読み方がまるで違います。入試の長文は、実はニュース記事よりも論説に近い文章が多いので、両方の型を知っておくことが大切です。

ニュース記事論説(opinion)
目的何が起きたかを伝える書き手の主張を伝え、読者を納得させる
書き手の意見基本的に入れない中心そのもの
よく出る語said, according to, officialsI believe, we should, must, clearly
構成逆ピラミッド(大事なことから)主張 → 根拠 → 譲歩 → 再主張
読み方リードで骨組み、後半は必要な分だけ筆者の主張を探し、根拠との対応を追う

見分け方は簡単です。ネットの記事ならページの上に Opinion、Comment、Editorial などのラベルがあることが多いです。本文に should、need to、I think が多ければ、論説モードで読みましょう。

論説は「主張 → 根拠 → 譲歩 → 再主張」

論説文は、読者を説得するための文章です。説得には型があり、多くの論説は次の4ステップで組み立てられています。自由英作文で書く型ともまったく同じなので、読む力と書く力が一度に鍛えられます。

  1. 1
    主張(Claim)

    Schools should start later in the morning.(学校の始業はもっと遅くすべきだ)のように、最初に立場を示します。

  2. 2
    根拠(Reasons)

    Teenagers who get enough sleep tend to concentrate better in class. のように、理由や具体例、データで支えます。

  3. 3
    譲歩(Concession)

    Of course, later start times may cause problems for working parents.(もちろん、始業を遅らせると共働きの親には困る点もあるだろう)と、反対側の意見を一度認めます。

  4. 4
    再主張(Rebuttal / Conclusion)

    However, these problems can be solved, and students' health should come first. と、反論に答えて主張をもう一度強く言います。

譲歩のあとに本音が来る

It is true that ~, but ... / Of course ~. However, ... / Admittedly ~, yet ... の形は、前半が「一応認めておく意見」、後半が「筆者の本音」です。内容一致問題で前半の内容を筆者の意見として選ばせるひっかけはよくあるので、but や however の後ろを必ず確認しましょう。

ディスコースマーカー早見表

ディスコースマーカーは、文と文の関係を示す「道路標識」です。標識を見れば、次の文が同じ方向に進むのか、急カーブするのかがわかります。特に「逆接」と「結論」の標識は、設問の答えが近くにあるサインです。

働きマーカー読み方のコツ
逆接however / but / yet / nevertheless後ろが筆者の言いたいことになりやすい。最重要
対比while / whereas / on the other hand / in contrast2つのものを比べている。違いを整理
譲歩although / even though / admittedly / it is true that前半は認めるだけ。主張は後半
追加moreover / furthermore / in addition / also同じ方向の情報が続く。流し読みしやすい
例示for example / for instance / such as具体例。主張がわかっていれば軽く読める
原因・理由because / since / due to / as a result ofなぜ?の答え。設問になりやすい
結果therefore / as a result / consequently / thus結論や結果が来る。要約に入れる部分
言い換えin other words / that is / namely前の難しい内容をやさしく言い直してくれる
強調in fact / indeed / above all筆者が特に強調したい情報
結論in short / in conclusion / overallまとめ。主張の再確認
時間の流れat first / later / eventually / since then変化の順番を追う

入試長文への応用:パラグラフリーディング

パラグラフリーディングとは、段落ごとに「この段落の言いたいことは何か」をつかみながら読む方法です。英語の論説的な文章は、1段落に1つの話題を置き、その段落の最初のほうに要点(トピックセンテンス)を書くことが多いので、この読み方と相性が良いのです。

  1. 1
    タイトルと第1段落で「テーマ」をつかむ

    何についての文章か、筆者はどちら側に立ちそうかを予想します。ここで背景知識が効きます。

  2. 2
    各段落の最初の1〜2文を丁寧に読む

    トピックセンテンスを見つけ、段落の余白に日本語で10字程度のメモを書きます(例:「反対派の懸念」)。

  3. 3
    マーカーで段落の中の流れを追う

    however の後ろに線を引く、for example 以降は具体例と割り切る、など標識を頼りに強弱をつけます。

  4. 4
    段落メモをつなげて要約する

    メモを上から読むと、それが文章全体の要約になります。要約問題や主旨を問う問題はこれで答えられます。

  5. 5
    設問ごとに該当段落へ戻って精読

    内容一致や内容説明は、メモを手がかりに該当段落を探し、そこだけ一語一語丁寧に読んで答えの根拠を確かめます。

トピックセンテンスが最初にないこともある

段落の最初が具体例や問いかけで始まり、最後にまとめが来る段落もあります。「最初の1文だけ読めばOK」と決めつけず、最初と最後の文をセットで確認するのが安全です。

実践:ニュース記事風の英文を読んでみよう

ここからは、ニュース記事の形で書いたオリジナル英文で練習します。町も出来事も練習用の架空のものです。テーマは入試でも定番の「地方の人口減少」。まずは訳を見ずに、段落ごとに役割を考えながら読んでみてください。

Seaside Town Offers Empty Houses to Young Farmers高2〜高3(共通テスト〜中堅私大レベル)

[1]A small seaside town in western Japan has begun offering empty houses to young people who agree to take up farming, in a bid to slow its shrinking population, local officials said on Monday.

[2]Under the program, newcomers under 40 can rent a renovated house for 1,000 yen a month for up to five years. In return, they must work on local farms, many of which have been left without successors as aging farmers retire.

[3]The town's population has fallen by nearly a third over the past 20 years, according to town records, and about one in five homes now stands empty. "If nobody lives in these houses, the whole community slowly disappears," a town official said.

[4]Supporters say the plan could bring new energy to the area and help protect farmland. So far, 15 people have applied, including a former office worker from Osaka and a couple who have been working remotely.

[5]However, critics warn that cheap housing alone will not solve the problem. Without enough jobs, schools and hospitals, they argue, many newcomers may leave once the five-year period ends.

[6]The town plans to review the program next year. Similar projects have been tried in other rural areas, with mixed results.

注

  • take up farming農業を始める(take up=趣味や仕事を新しく始める)
  • in a bid to ~〜しようとして、〜をねらって。ニュースで目的を表す定番
  • in returnその代わりに、見返りに
  • successor後継者、後継ぎ
  • stand empty(建物が)空いたままになっている
  • with mixed results結果はまちまちで、うまくいった例もいかなかった例もあって

段落ごとの読み方解説

  1. 1
    第1段落:リード

    骨組みは A small seaside town has begun offering empty houses。in a bid to ~ が「なぜ(目的)」、local officials said が情報源です。この1文で5W1Hのほとんどがそろっています。

  2. 2
    第2段落:詳細

    Under the program で制度の中身に入ります。In return で「移住者側の条件」に切り替わるのがポイント。many of which は直前の local farms を指し、aging farmers の問題が背景にあるとわかります。

  3. 3
    第3段落:なぜ重要か+コメント

    according to town records で数字の出どころを示し、nearly a third(3分の1近く)、one in five(5軒に1軒)と、数字表現が2つ続きます。引用符の中は町の担当者の気持ちで、記者の意見ではありません。

  4. 4
    第4段落:賛成側

    Supporters say で賛成派の見方を紹介。could bring は「〜しうる」で、まだ確定ではない可能性の話です。応募者の具体例は、主張を支える材料として軽めに読んでOK。

  5. 5
    第5段落:反対側

    However, critics warn で流れが反転します。入試ならここは設問が出やすい段落。they argue が文の途中に挟まっていても、主語は many newcomers、動詞は may leave です。

  6. 6
    第6段落:今後

    plans to review で今後の予定、with mixed results で「ほかの地域ではうまくいったりいかなかったり」と締めくくり。記者は賛否どちらにも肩入れしていません。これがニュース記事らしさです。

記事の読解チェック

Q1この記事の第1段落(リード)が伝えている、町の取り組みの目的は?

Q2第2段落の In return が示す内容は?

Q3about one in five homes now stands empty が表すのは?

Q4批判的な人たちの懸念として本文に合うものは?

Q5この記事の書き手の立場として最も適切なものは?

ワンランク上の読み方:記者の「言い換えグセ」を見抜く

英語の記事は、同じ語をくり返すのをきらい、別の言葉で言い換えるのが大好きです。これを知らないと、同じものを指しているのに「新しい登場人物が出てきた」と勘違いしてしまいます。

言い換えは設問の宝庫

内容一致問題の正解の選択肢は、本文の表現をそのまま使わず言い換えていることがほとんどです。記事を読むときに「the move って何を指してる?」と確認する習慣は、そのまま入試の得点力になります。

よくある質問

英字新聞を読むとき、知らない単語は全部調べるべきですか?

全部調べると時間がかかりすぎて続きません。まずは見出しとリードに出てくる語、そして同じ記事で2回以上出てくる語だけ調べるのがおすすめです。残りは文脈から推測して読み進めましょう。

受験生はどのくらいの頻度で英語の記事を読めばいいですか?

週1本、短めの記事を丁寧に読むくらいで十分です。毎日の学習は見出しや語ページで知識を積み上げ、記事はその知識を試す場として使うと、無理なく続きます。

ニュース記事の読み方は、入試の長文に本当に役立ちますか?

役立ちます。情報源の区別(誰の言葉か)、数字表現、言い換えの見抜き方、段落ごとの役割の把握は、入試長文の内容一致や内容説明の問題でそのまま使える技術です。

論説文とニュース記事の区別がつきません。

書き手の意見が中心かどうかで見分けます。should、must、I believe などが多く、賛成・反対の立場がはっきりしていれば論説です。said や according to で他人の発言を紹介しているのが中心なら、ニュース記事です。

パラグラフリーディングをすると、細かい内容を読み落としませんか?

全体をつかむ段階と、設問に答える段階を分ければ大丈夫です。まず段落の要点で全体像をつかみ、設問ごとに該当箇所へ戻って一語一語丁寧に読みます。むしろ、戻る場所がすぐわかるので、読み落としが減ります。

ニュース記事の構造がわかると、英文は「上から順に解読する暗号」から「どこに何があるかわかる地図」に変わります。今日の見出しを1つ選んで、リードの5W1Hを取るところから始めてみましょう。

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