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入試に出る時事トピック

生物多様性・絶滅危惧種の英語

ハチがいなくなると、コンビニの棚から何が消えるか知っていますか。生物多様性は、理科の知識と社会の問題が交わる入試長文の定番です。絶滅危惧種、生息地の破壊、外来種、30by30の国際目標まで、必修の時事英語と背景知識、オリジナル長文でまとめて攻略しましょう。

更新 2026/09/15

「多様性」と聞くと人の話だと思うかもしれませんが、生物の多様性は、私たちの食べ物、薬、空気、水を支えている土台です。そしていま、その土台が人類史上まれに見る速さで崩れている、と多くの科学者が警告しています。

このテーマは、理科が得意な人には「知っている話を英語で読む」チャンスであり、苦手な人には「英語で理科の基本を押さえ直す」チャンスです。どちらにしても、押さえておけば長文の理解が段違いに速くなります。

なぜ生物多様性のテーマは入試に出まくるのか

1つ目の理由は、理科と社会をつなぐ橋になること。生態系や食物連鎖といった科学の説明から、森林伐採の経済的な背景、国際条約まで、1本の長文で分野を横断できます。理系学部でも文系学部でも出せる、出題者にとって便利な素材です。

2つ目は、意外な因果関係が話の中心になること。「ハチが減ると果物が実りにくくなる」「ラッコが減るとウニが増えて海藻の森が消える」のような、一見つながらない事柄の連鎖は、内容一致問題や要約問題を作りやすいのです。

3つ目は、「人間と自然のどちらを優先するか」という古くて新しい対立があること。開発か保護か、地元の暮らしか世界の環境か。自由英作文のお題として、どちらの立場でも書ける素材です。

先輩からのひと言

生物多様性の長文は「ある生き物が減った→予想外のところに影響が出た→だから守るべきだ」という因果の連鎖で組み立てられます。設問は「なぜAが起きたのか」を問う形が多いので、because や as a result、lead to を見つけたら矢印を書き込みながら読みましょう。

3分でわかる背景知識

「100万種が絶滅の危機」の出どころ

生物多様性のニュースでよく引かれるのが、生物多様性に関する政府間の科学組織 IPBES が2019年に公表した報告書です。約100万種の動植物が絶滅の危機にあるとされ、多くはこの数十年のうちに絶滅するおそれがあると警告しました。両生類の4割以上、サンゴの約3分の1が脅かされているという数字もこの報告書によります。

もう一つの定番が、WWF(世界自然保護基金)とロンドン動物学会の Living Planet Report です。2024年版では、監視対象となった野生動物の個体群の規模が1970年から2020年の間に平均で73%減少したと報告されました。淡水にすむ生き物の減少がとくに大きく、85%とされています。

生き物が減る5つの理由

世界の約束:30by30

2022年12月、カナダのモントリオールで開かれた生物多様性条約の会議(COP15)で、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されました。その柱が30 by 30 target、つまり2030年までに陸と海のそれぞれ30%を保護区などとして守るという目標です。「2030年までに生物多様性の損失を止め、回復に向かわせる」という大きな方向も、この枠組で決まりました。

国際自然保護連合(IUCN)が作る「レッドリスト」は、絶滅のおそれのある生き物の一覧です。2025年10月の更新では、評価された172,620種のうち48,646種が絶滅の危機にあるとされました。長文で the Red List や threatened species という語が出たら、この一覧のことです。

このテーマの必修時事英語

語カードをタップすると、意味・例文・音声が見られます。「生態系のしくみ」「減る原因」「守る対策」の3グループに分けて覚えると、長文の流れに沿って思い出せます。

生物多様性・絶滅危惧種の必修語30語

長文でよく出る論点:開発か、保護か

生物多様性の英作文は「生き物を守るべきか」ではほぼ全員が賛成してしまうので、実際のお題は「開発と保護のどちらを優先するか」「誰が費用を負担するか」の形になります。下の論点を持ち札にしておきましょう。

自然保護を優先することへの賛否

保護を優先すべき

  • 食料・薬・きれいな水や空気など、人間の暮らしは生態系の働きに支えられている
  • 一度絶滅した種は元に戻せず、その影響は予想できない形で広がる
  • 森林や湿地は二酸化炭素を吸収し、気候変動の対策にもなる
  • 自然は観光や漁業などを通じて、長い目で見れば経済的な価値も生む
  • 未来の世代にも、今と同じ豊かな自然を残す責任がある

開発や暮らしとの両立が先

  • 途上国では、森林を切り開くことが人々の食料や収入に直結している
  • 保護区を広げると、そこで暮らしてきた地元の人々の生活や権利が制限されることがある
  • 野生動物が畑を荒らしたり人を襲ったりする地域では、保護だけを唱えても納得は得られない
  • 保護には費用がかかり、その負担を誰が持つかで先進国と途上国の意見が合わない
  • すべての種を守ることは現実的でなく、優先順位をつけざるをえない

自由英作文で使える表現

生物多様性のお題では、「depend on(依存する)」「rely on」で人間と自然のつながりを示し、「protect」「preserve」「conserve」で守る側の動詞を使い分けると語彙の幅が見せられます。音声で3回まねして読みましょう。

生物多様性・絶滅危惧種の英作文フレーズ

  • Human life depends on healthy ecosystems for food, clean water and fresh air.

    人間の暮らしは、食料やきれいな水、新鮮な空気を健全な生態系に頼っている。

    depend on A for B(BをAに頼る)。導入の1文に最適。

  • The loss of a single species can affect an entire ecosystem in ways we cannot predict.

    たった1つの種が失われるだけで、私たちには予測できない形で生態系全体に影響が及びうる。

    in ways (that) we cannot predict は「意外な連鎖」を表す万能表現。

  • Habitat loss caused by farming and urban development is the biggest threat to wildlife.

    農業や都市開発による生息地の喪失が、野生生物にとって最大の脅威だ。

    過去分詞 caused by で原因を後ろから説明。

  • Once a species becomes extinct, it is gone forever.

    ひとたび種が絶滅すれば、それは永遠に失われる。

    短くて強い。Once S V(いったん~すると)の型。

  • Protecting nature is not a luxury but a necessity for our own survival.

    自然を守ることはぜいたくではなく、私たち自身が生き残るための必要条件だ。

    not A but B に luxury / necessity の対比を乗せる。

  • Local communities should be involved in conservation efforts rather than excluded from them.

    地元の人々は、保護の取り組みから排除されるのではなく、そこに参加すべきだ。

    involved / excluded の対比で「地元の権利」の論点が書ける。

  • Developing countries cannot be expected to protect their forests without financial support.

    途上国が資金の支援なしに森林を守ることは期待できない。

    cannot be expected to(~することは期待できない)で費用負担の論点に。

  • Consumers can help by choosing products that do not contribute to deforestation.

    消費者は、森林伐採につながらない製品を選ぶことで貢献できる。

    個人にできることを書く型。contribute to は悪いことにも使える。

  • Setting aside 30 percent of land and sea as protected areas is an ambitious but necessary goal.

    陸と海の30%を保護区として確保することは、野心的だが必要な目標だ。

    set aside(取っておく)。ambitious but necessary で肯定的な譲歩。

  • In my view, we should treat the natural world as a partner to live with, not a resource to use up.

    私の考えでは、自然界を使い尽くす資源ではなく、共に生きる相手として扱うべきだ。

    締めの1文。use up(使い尽くす)が効く。

オリジナル長文にチャレンジ

共通テスト〜国公立二次レベルの書き下ろし長文です。まず訳を隠して1回読み、「ハチが減ると何が起きるのか」の連鎖を矢印でメモしてからクイズに進んでください。

What the Bees Are Trying to Tell Us共通テスト〜国公立二次

Imagine a supermarket where apples, strawberries, almonds and coffee have quietly disappeared from the shelves. This is not a scene from a science fiction film. It is a rough picture of what would happen if the insects that carry pollen from flower to flower vanished. Many of the crops we eat every day depend on bees, butterflies and other pollinators, and in many regions their numbers are falling.

Scientists point to several causes, and they usually work together. Fields have grown larger and more uniform, leaving fewer wild flowers for insects to feed on. Pesticides designed to kill harmful insects often harm useful ones too. And a warming climate is shifting the seasons, so that flowers sometimes bloom before the insects that need them have appeared. Each factor alone might be manageable; combined, they can push a population past the point of recovery.

Bees are only one example of a much larger pattern. In 2019, a major United Nations report estimated that around one million animal and plant species were threatened with extinction, many within decades. Such losses are rarely noticed until something we value is affected. A forest that loses its birds may also lose the trees whose seeds those birds used to spread.

The encouraging news is that nature can recover when it is given the chance. In 2022, nearly 200 countries agreed to protect 30 percent of the world's land and sea by 2030. Whether that promise is kept will depend less on scientists than on ordinary people: farmers who leave space for wild flowers, shoppers who ask where their food comes from, and students who decide that a world with fewer species is not the world they want to inherit.

語句

  • rough picture大まかな姿、おおざっぱな見取り図
  • vanish消える、姿を消す
  • pollinator花粉を運ぶ生き物(ハチ、チョウなど)
  • uniform(形容詞)画一的な、均一な
  • feed on~を餌にする
  • bloom(花が)咲く
  • past the point of recovery回復できない地点を越えて
  • within decades数十年のうちに
  • depend less on A than on BAよりもむしろBにかかっている
  • inherit受け継ぐ、相続する

長文の理解度チェック

Q1第1段落で、筆者がスーパーの棚の話から始めた目的は何ですか。

Q2第2段落で、筆者が原因について強調している点は何ですか。

Q3第3段落の「鳥を失った森」の例は、何を説明するために出されていますか。

Q4最終段落で、筆者は30%の目標の達成が何にかかっていると述べていますか。

ここで差がつく:言い換えと誤読ポイント

本文の表現設問・選択肢での言い換え注意点
endangeredat risk of extinction / threatened「危険な」は dangerous。endangered は「危機にさらされた」
habitatthe natural home of an animal or plant「習慣」は habit。1文字違い
speciesa kind of living thing単数も複数も species。specie ではない
conservationprotecting nature / keeping something from being lost「保守的」は conservative
ecosystemall the living things in an area and their environment「生態系」。eco- は「環境」ではなく「家(住まい)」が原義
declinedecrease / fall in number「断る」の意味もある。文脈で判断

endangered と extinct の距離

endangered(絶滅のおそれがある)はまだ生きている、extinct(絶滅した)はもういない。長文では「endangered species を守れば extinct にならずに済む」という関係で出ます。選択肢で extinct と書かれていたら、本文が「絶滅した」と言っているかを必ず確認しましょう。

「キーストーン種」の連鎖を追う

keystone species(キーストーン種)は、数は少なくても生態系全体を支えている種のこと。アーチの頂点の石(keystone)を抜くとアーチ全体が崩れることから来ています。この種をめぐる長文は「1つ減る→別のものが増える→さらに別のものが減る」という3段以上の連鎖になるので、矢印を書いて整理しましょう。

ツッコミどころ・意外な雑学

ちなみにこのページの数字は、すべて確認できたものだけを載せています。生き物の数を適当に書いたら、それこそ「事実の絶滅」ですからね。

よくある質問

自由英作文で「絶滅危惧種を守るために何をすべきか」と聞かれたら、何を書けばいいですか?

「生息地を守る(保護区を広げる)」と「消費者として選ぶ(森林伐採につながらない製品を買う)」の2本立てが書きやすいです。政府の対策と個人の行動を1つずつ入れると、構成のバランスがよくなります。

protect、preserve、conserve はどう違いますか?

protect は「危険から守る」の一般語、preserve は「今の状態のまま保つ」、conserve は「むだにせず大切に使う」というニュアンスです。自然保護の文脈では conservation という名詞がよく使われます。英作文では protect を軸にして、1回だけ conserve を混ぜると語彙の幅が出ます。

このテーマとセットで出やすい分野はありますか?

気候変動(サンゴの白化)、プラスチックごみ(海の生き物)、食料問題(受粉と農業)、そしてSDGsの目標14・15です。関連トピックのページもあわせて読んでおくと、1本の長文の中で話題が移っても因果関係を追えます。

今日このページを読んだあと、リンゴやイチゴを食べたら、一度だけ英語で考えてみてください。Thank you, bees. と頭に浮かんだら、もう立派な時事英語の使い手です。

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