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入試に出る時事トピック

持続可能な都市の英語 — 「道路は誰のもの?」を長文で読む

世界で膨らみ続けるメガシティ、渋滞課金、15分都市、そして日本の空き家と過疎。都市のあり方は、環境・経済・格差がまとめて出てくる入試長文の定番テーマです。国連の最新データなどの背景知識、必修の時事英語、論点、英作文の表現、オリジナル長文まで、まとめて攻略しましょう。

更新 2026/09/15

朝の満員電車、駅前の渋滞、夏のアスファルトの照り返し。いっぽうで、地方では商店街のシャッターが閉まり、空き家が増えている。どちらも同じ一つのテーマ、urbanization(都市化) と「持続可能な都市」の話です。

都市の長文は、環境問題(排出や暑さ)、経済(住宅の値段や地域の活性化)、格差(誰が住めて誰が追い出されるか)が一度に出てくる「幕の内弁当」のようなテーマです。一つ読みこなせば、ほかの社会問題の長文にも応用がききます。

3行でわかる持続可能な都市

1. 世界では都市に住む人が増え続け、都市はエネルギーと温室効果ガスの大きな発生源になっている。 2. そこで、車に頼りすぎず、歩いて暮らせる・公共交通で動けるまちづくりが注目されている。 3. 日本では逆に、人口減少による空き家や過疎、東京への一極集中も大きな課題。

なぜ入試に出るのか:「みんなの空間」をどう分けるかの問題だから

難関国公立・私大の長文では、環境や社会の変化を具体的な場所を通して論じる評論がよく出ます。都市はまさにその舞台。道路、公園、住宅といった限られた空間を、車・歩行者・住民・観光客などでどう分け合うかという問いは、立場によって答えが変わるので、論点の整理を問う設問にぴったりです。

3分でわかる背景知識:数字で見る「都市の時代」

都市の長文では、国連の統計がよく引用されます。細かい数字より、「世界はますます都市に集まっている」「都市は環境への影響が大きい」「日本は別の悩みを抱えている」という3つの流れをつかんでおきましょう。

できごと・データここがポイント
1868ロンドンの国会議事堂前に、世界初の信号機が設置される(12月)昼は腕木、夜はガス灯の赤と緑で合図した
2003ロンドンが都心に入る車に1日5ポンドを課す渋滞課金を始める(2月17日)英語では congestion charge
2006富山市で、JR の路線を引き継いだ富山ライトレールが開業(4月29日)国内初の本格的な LRT(次世代型路面電車)とされ、コンパクトシティの代表例に
2015国連で SDGs が採択。目標11は「住み続けられるまちづくりを」都市と人間の居住地を、包摂的・安全・強靱で持続可能にすることを目指す
2018国連の報告で、世界人口の55%が都市部に住み、2050年には68%になると予測各国の定義に基づく「都市部」の割合
2020パリ市長の再選キャンペーンで「15分都市」の構想が注目される考え方の提唱者は研究者カルロス・モレノ
2023日本の空き家が900万戸、空き家率13.8%でともに過去最高に(住宅・土地統計調査)英語では vacant houses や akiya として海外でも報道される
2025ニューヨークがマンハッタン南部に入る車への渋滞課金を始める(1月5日)アメリカの都市で初の本格導入として話題に
2025国連の新しい報告で、世界で最も人口の多い都市はジャカルタ(約4,200万人)、2位ダッカ(約3,700万人)、3位東京(約3,300万人)と推計都市を共通の物差しで数え直した結果。人口1,000万人以上のメガシティは1975年の8から33に

都市は「地球の面積のわずか」なのに、影響は巨大

国連人間居住計画(UN-Habitat)によると、都市の面積は地球の陸地の2%にも満たません。それなのに、世界のエネルギーの78%を消費し、温室効果ガスの60%以上を排出しています。つまり、都市の暮らし方を変えることは、気候変動対策の近道でもあるのです。

「東京が世界一」じゃなくなった?

長年「世界最大の都市は東京」とよく紹介されてきましたが、国連が2025年に都市を共通の基準で数え直した報告では、ジャカルタが1位、東京は3位になりました。東京が急に縮んだわけではなく、数え方(定義)が変わると順位も変わるという好例です。長文の統計を読むときは、いつも「何をどう数えたのか」を気にしましょう。

このテーマの必修時事英語:まちづくりのニュースが読める語

都市化、住まい、交通、都市の環境、地域の活性化に関する語を集めました。日本の地方の課題を表す語も多いので、「日本の地域社会について英語で説明せよ」というタイプの英作文にも使えます。

都市化・持続可能な都市の必修時事英語30語

長文でよく出る論点:都心から車を減らすべきか

持続可能な都市の評論で特によく出るのが、「都心の道路を車から人(歩行者・自転車・公共交通)の手に取り戻すべきか」という論点です。渋滞課金や車の乗り入れ規制は、環境には良さそうに見えますが、困る人もいます。両方の言い分をセットで押さえましょう。

都心への車の乗り入れを減らす政策(渋滞課金・車線の削減など)を進めるべきか

メリット

  • 排気ガスや騒音が減り、air pollution や温室効果ガスの削減につながる。
  • 交通事故が減り、子どもや高齢者が安全に歩ける道になる。
  • 課金で得たお金を、バスや鉄道などの public transportation の改善に使える。
  • 空いた道路を公園やベンチ、自転車レーンに変えれば、まちがにぎわい、人が集まりやすくなる。
  • 渋滞が減れば、救急車やバスなど本当に道路が必要な車がスムーズに動ける。

課題

  • 車がないと生活できない人(障がいのある人、郊外に住む人、配送業者など)に負担が集中する。
  • 課金は、お金に余裕のある人は払えるが、所得の低い人ほど重く感じる不公平がある。
  • 公共交通が不便な地域で先に車を規制すると、住民の移動の自由が奪われる。
  • 都心の店への客足が遠のくのではないか、と商店が心配することがある。
  • 規制の範囲の外側に渋滞が移るだけで、全体としては問題が解決しないおそれがある。

キーワードは「代わりの選択肢」

英作文でこのテーマが出たら、「車を減らすべき」だけで終わらせず、「その代わりに、安くて便利な公共交通を整えることが条件だ」と書くと、課題への目配りが伝わります。英語では provide real alternatives(本当の代わりの手段を用意する)が便利です。

自由英作文で使える表現:まちづくりを論じる12文

都市のテーマで使いやすい英文を集めました。交通、住宅、地方の過疎、緑地など、お題が変わっても応用がききます。

持続可能な都市の自由英作文で使える表現

  • More and more people are moving from rural areas to cities.

    ますます多くの人が、農村部から都市へ移り住んでいる。

    More and more 〜 で増加傾向を示す。書き出しの定番

  • Cities should be designed for people, not just for cars.

    都市は車のためだけでなく、人のために設計されるべきだ。

    A, not just B でリズムよく主張する

  • Reliable public transportation reduces traffic congestion and air pollution.

    信頼できる公共交通は、交通渋滞と大気汚染を減らす。

    traffic congestion(交通渋滞)はセットで覚える

  • Green spaces help cool down cities during the summer.

    緑地は、夏の間に都市を涼しくするのに役立つ。

    cool down 〜(〜を冷やす)。ヒートアイランドの話で使える

  • Rising rents are making it difficult for young people to live in city centers.

    家賃の上昇により、若者が都心に住むことが難しくなっている。

    make it difficult for A to do の形

  • Many rural towns are struggling with population decline and empty houses.

    多くの地方の町が、人口減少と空き家に苦しんでいる。

    struggle with 〜(〜に苦しむ、〜に取り組む)

  • Encouraging people to walk and cycle can improve both health and the environment.

    人々に歩いたり自転車に乗ったりするよう促すことは、健康と環境の両方を改善しうる。

    動名詞の主語。both A and B で効果を2つ示す

  • Any new policy should take into account the needs of elderly and disabled people.

    どんな新しい政策も、高齢者や障がいのある人のニーズを考慮に入れるべきだ。

    take into account 〜(〜を考慮に入れる)は最重要熟語

  • A compact city allows residents to reach shops and hospitals without a car.

    コンパクトシティでは、住民が車なしで店や病院に行ける。

    allow A to do(A が〜できるようにする)

  • Concentrating too many people in one city makes the country vulnerable to disasters.

    一つの都市に人を集中させすぎると、国が災害に弱くなる。

    東京一極集中の論点。vulnerable to 〜(〜に弱い)

  • Local governments need to balance economic growth with environmental protection.

    地方自治体は、経済成長と環境保護のバランスをとる必要がある。

    balance A with B(A と B のバランスをとる)

  • A truly sustainable city is one where everyone can afford to live.

    本当に持続可能な都市とは、誰もが住む余裕のある都市だ。

    one where 〜 で名詞をくり返さずに定義する。締めに最適

traffic は数えない

「交通量が多い」は There is heavy traffic. / The traffic is heavy. で、many traffics は×。traffic は不可算名詞で、「多い・少ない」は heavy / light で表すのが自然です。「渋滞」は traffic jam(こちらは数えられる)です。

オリジナル長文:その道路は、誰のものか

このページのために書き下ろした評論文です。国公立二次・難関私大レベルを想定しています。筆者は車を「敵」だと考えているのか、それとも別のことを言いたいのか。最後の段落まで注意して読みましょう。

Whose Street Is It?国公立二次・難関私大レベル(約270語)

Walk down the main street of almost any large city and notice how much space is given to cars. Lanes for driving, spaces for parking and wide junctions often take up most of the ground between the buildings, while people on foot are squeezed onto narrow sidewalks. For decades, this seemed natural. A modern city, planners assumed, was a city where cars could move quickly.

Today, a growing number of cities are questioning that assumption. Some charge drivers a fee to enter crowded central areas, hoping to reduce traffic and raise money for public transportation. Others are turning parking spaces into bicycle lanes, small parks or outdoor seating. The idea of the ‘15-minute city’, in which people can reach shops, schools and doctors within a short walk or bike ride, has become especially popular.

Supporters argue that such changes cut air pollution and carbon emissions while making streets safer and more pleasant. Local shops may even benefit, since people walking past can easily stop and look inside. Critics, however, point out that not everyone can simply give up a car. Delivery workers, people with disabilities and those living in suburbs with poor bus services may find that a fee or a closed road makes daily life harder, not easier.

The debate over streets is therefore really a debate about fairness. A sustainable city cannot be built only by removing cars; it must also offer real alternatives that are cheap, reliable and available to everyone. The goal is not to punish drivers, but to design places where driving becomes one choice among many rather than the only option.

語句

  • Walk down ... and notice ...命令文+and で「〜してみれば、〜に気づくだろう」という読者への呼びかけ
  • take up(場所や時間を)占める
  • be squeezed onto〜に押し込められる
  • planners assumed挿入された「計画者たちは考えていた」。文の主語は A modern city
  • question an assumption前提を疑う。question は動詞で「疑問視する」
  • charge A a feeA に料金を課す。congestion pricing(渋滞課金)の説明になっている
  • in which前置詞+関係代名詞。the 15-minute city の中身を説明している
  • point out that〜だと指摘する。Critics point out で反対意見の紹介
  • harder, not easier楽になるのではなく、かえって大変になる。A, not B の強調
  • one choice among many rather than the only option唯一の選択肢ではなく、多くの中の一つの選択肢。筆者の主張の核

「道路は誰のもの?」の長文で力試し

Q1【内容一致】本文の内容に合うものはどれですか。

Q2【語彙の言い換え】第2段落の questioning that assumption に最も近い意味はどれですか。

Q3【段落の役割】第3段落の役割として最も適切なものはどれですか。

Q4【主旨】筆者の主張として最も適切なものはどれですか。

ここで差がつく:都市の長文で狙われる言い換えとワナ

都市や交通の長文には、アメリカ英語とイギリス英語で言い方が違う語がたくさん出てきます。言い換えのパターンと一緒に押さえておくと、どちらの英文が出ても慌てません。

本文の表現選択肢での言い換え意味
urban areascities / metropolitan areas都市部(反対は rural areas)
public transportation(米)public transport(英)/ buses and trains公共交通
sidewalk(米)pavement(英)/ footpath歩道
traffic congestiontraffic jams / crowded roads交通渋滞
residentspeople who live there / locals住民
the suburbsareas on the edge of a city / outskirts郊外
pedestrianspeople on foot歩行者
depopulationa shrinking population / people moving away過疎化、人口の減少

pavement はアメリカでは「舗装道路」

イギリス英語の pavement は「歩道」ですが、アメリカ英語では「舗装された路面(車道を含む)」を指すことがあります。Children were playing on the pavement. が「車道で遊んでいた」なのか「歩道で遊んでいた」なのかは、英米どちらの英文かで変わりうるのです。文脈と綴り(colour / color など)から、どちらの英語かをチェックしましょう。

「都市人口の割合」は定義で数字が変わる

「世界の都市人口は55%」という数字と「都市に住む人は45%」という数字が、別の資料に出てくることがあります。どちらかが間違いというより、「都市」の定義(各国の基準か、共通の基準か)が違うためです。図表問題で数字が合わないときは、注や定義の説明を探しましょう。

ツッコミどころ満載:都市の意外な雑学

世界初の信号機は、爆発した。 1868年12月、ロンドンの国会議事堂の前に世界初の信号機が設置されました。昼は腕木(鉄道の信号のような腕)で、夜は赤と緑のガス灯で合図し、警察官が手で操作していました。ところが翌1869年1月、ガス漏れが原因で爆発し、操作していた警察官が負傷したと伝えられています。安全のための道具が一番危なかった、という皮肉なスタートです。

「空き家」が英語のニュースで akiya に。 日本の空き家は2023年に900万戸に達し、7軒に1軒ほどが空き家という計算になります。海外のメディアでは、日本の空き家事情が akiya という日本語のまま紹介されることもあります。karaoke や tsunami ほど有名ではありませんが、都市と地方の問題を象徴する言葉として知っておくと話のタネになります。

よくある質問

「持続可能な都市」と「環境問題」のテーマは何が違いますか?

環境問題のテーマは地球全体の気候や生態系が中心ですが、持続可能な都市のテーマは、交通・住宅・地域の人口など「人が暮らす場所の設計」が中心です。温暖化の知識を都市の具体例に当てはめると、長文も英作文もぐっと書きやすくなります。

英作文で日本の地方の問題を書くとき、使いやすい語は?

depopulation(過疎化)、vacant houses(空き家)、overconcentration in Tokyo(東京一極集中)、regional revitalization(地方創生)などが便利です。具体例として、公共交通の廃止や商店街の衰退を添えると説得力が増します。

urbanization と urban sprawl の違いは?

urbanization は「都市化」全般、つまり人口や産業が都市に集まっていく流れです。urban sprawl は、計画のないまま郊外へ住宅地などが無秩序に広がっていく現象を指し、車への依存や自然の減少といった否定的な文脈で使われることが多い語です。

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