2026年10月26日(月)
「店の前に、作り物の料理?」
食品サンプルは、言葉のいらないメニュー
日本の飲食店の入り口で、ガラスケースに並んだラーメンやパフェにスマートフォンを向ける外国人は少なくありません。どれも本物そっくりですが、食べられません。食品サンプルと呼ばれる作り物で、料理を見て選べるようにするための、日本ではおなじみの見本です。
見て、指さして、注文する
食品サンプルの役目は、料理の中身と量を、店に入る前に見せることです。ケースの中には、多くの場合、料理の名前と値段も添えてあります。「親子丼」という名前を知らなくても、上に何がのっていて、どれくらいの大きさなのかが一目で分かります。
これは観光客のためだけのものではありません。日本人も、初めての店では外のケースを見て入るかどうかを決めます。日本語が読めない人にとっては、外のサンプルを店員と一緒に指さしたり、写真に撮って見せたりすれば注文できるので、とても助かる仕組みです。
大正の終わりに生まれた
食品サンプルが生まれたのは大正時代の終わりごろとされます。食品サンプルを作る老舗の会社の説明によると、ほぼ同じころに、別々の場所で何人かの職人が作り始めたと言われていて、誰が最初かを示す記録は見つかっていません。
これを商売として広げた一人が、岩崎瀧三という人です。1932年に大阪でサンプルを作る会社を始めました。最初のころは蝋で作られていましたが、いまは樹脂で作るものが多くなっています。岩崎の生まれ故郷である岐阜県の郡上八幡には、サンプル作りを体験できる店があり、旅行者にも人気です。
ケースを置かない店も
ただ、どの店にもあるわけではありません。食品サンプルの多くは職人の手作業で作られるので、そろえるにはお金がかかります。最近は写真付きのメニューや、画面で注文する店も増えていて、ケースを置かない店も少なくありません。
一方で、本物そっくりの技術は、それ自体が見どころにもなっています。ラーメンやすしの形をしたキーホルダーやマグネットは、日本らしいお土産として買われています。料理の見本だったものが、いまは「見て楽しむもの」にもなっているのです。
英語で言うと
Those dishes in the window are fake. They're plastic food samples, and they show you what each dish looks like and how big it is before you walk in. They're said to date back to the 1920s, and not every restaurant uses them now, but if you can't read the menu, you can just point at the one you want.
窓の中の料理は作り物です。樹脂でできた食品サンプルで、店に入る前に、それぞれの料理の見た目と大きさが分かるようになっています。1920年代から使われているとされ、いまはどの店にもあるわけではありませんが、メニューが読めなくても、欲しい料理を指させば伝わります。
このコラムから、使えるフレーズ
- Those aren't real. They're plastic food samples.あれは本物じゃなくて、樹脂でできた食品サンプルです。
- You can see the size of the dish before you go in.入る前に、料理の大きさが分かるんです。
- Just point at the one you want.欲しいものを指さすだけで大丈夫ですよ。
- They look so real that people take pictures of them.本物そっくりなので、写真を撮る人もいます。
- You can even buy key chains shaped like food.料理の形をしたキーホルダーも買えますよ。