2026年10月23日(金)
「日本の家、なんで冬は寒いの?」
家は夏に合わせて建てる、という古い考え
冬の日本に来た人が、外ではなく家の中で震えることがあります。「家の中なのに、廊下が外みたいに寒い」。霜が降りはじめる霜降のころから、この質問が増えてきます。
夏を基準に建ててきた
先に答えを言うと、日本の家の多くは、冬の寒さより夏の蒸し暑さに合わせて建てられてきたからです。高温多湿の夏をしのぐには、風が通り、湿気がこもらない家がいい。障子や襖で部屋を仕切り、戸を開ければ家全体に風が抜ける。そういう作りは、冬になると暖かい空気も逃がしてしまいます。
この考え方は、鎌倉時代の終わりごろに書かれたとされる『徒然草』にすでに出てきます。吉田兼好は「家の作りやうは、夏をむねとすべし」、つまり家は夏を基準に作るのがよい、冬はどんな所でも住める、と書きました。700年ほど前の言葉ですが、日本の家づくりの考え方をよく表しています。
家ではなく、人を温める
もう一つの理由は、暖め方の違いです。家全体を一日中暖めるセントラルヒーティングは、日本の一般の家庭ではあまり広まりませんでした。かわりに、人のいる部屋だけをエアコンやストーブで暖めたり、こたつに足を入れて体を温めたりします。だから、居間は暖かいのに、廊下やトイレ、脱衣所は寒い、ということが起きます。
ただし、地域による差は大きく、北海道の家は断熱がしっかりしていて、冬でも室内が暖かいことが多いと言われます。北海道から来た人が「東京の家のほうが寒い」と言うのは、よく聞く話です。
新しい家は変わってきた
寒い家は、がまんすれば済む話ではありません。冬は、暖かい部屋と寒い脱衣所や浴室の温度差に気をつけるよう、毎年呼びかけられています。
家の作りも変わってきています。2025年4月からは、原則としてすべての新築の住宅に、国の省エネ基準を満たすことが義務づけられています。窓や壁の断熱をよくした家が、これからは当たり前になっていきます。一方で、古い家に住んでいる人は多く、こたつや厚着で冬を越す暮らしも、まだしばらく続きそうです。
英語で言うと
Many Japanese houses were built for hot, humid summers, not for cold winters, so they let air through easily. Instead of heating the whole house, people usually heat only the room they're in, with an air conditioner or a kotatsu, a low table with a heater underneath. Newer homes are much better insulated, but in an older house, expect the hallway and bathroom to be cold.
日本の家の多くは、寒い冬ではなく蒸し暑い夏に合わせて建てられてきたので、風がよく通ります。家全体を暖めるのではなく、エアコンや、下にヒーターの付いた低い机であるこたつで、いる部屋だけを暖めるのがふつうです。新しい家は断熱がずっとよくなっていますが、古い家なら、廊下や浴室は寒いと思っておいてください。
このコラムから、使えるフレーズ
- Japanese houses can get pretty cold inside in winter.日本の家は、冬は家の中がけっこう寒くなります。
- We usually heat just the room we're using.ふつうは、使っている部屋だけを暖めます。
- Most homes don't have central heating.ほとんどの家には、セントラルヒーティングがありません。
- Come sit at the kotatsu. It's the warmest spot in the house.こたつに入って。家でいちばん暖かい場所だから。
- Newer houses are much better insulated.新しい家は、断熱がずっとよくなっています。