もくじ(12項目)
ひとことで言うと
体で感じて、表して、気付きを深める教科へ
- 生活科の大切な意味を「身体性」「対象と自分との関わり」「他者と自分との関わり」「自己認識」の4つで整理し直し、目標の柱書を「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に改める案が示された。
- 架け橋期のカリキュラムとスタートカリキュラムの関係を整理し、他教科とのつながりを入学直後だけでなく1年間の計画の中で「見える化」する方向。
- 動物飼育は借用や近くの施設での継続的な触れ合いも学校での飼育と同等の扱いであると明確にし、評価は他教科と同じく観点別評価を行う方向。
校種ごとに、やさしく解説
小学校 生活はどう変わる?
やさしく言うと生活科は、AIでは代わりができない「実感を伴う知」を育てる教科として、意味を整理し直す方向です。目標の言葉は「具体的な活動や体験」から「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に改める案です。体で感じる体験と、言葉や絵で表す活動を行き来させます。他教科とのつながりを1年間の計画で示すことや、動物飼育の柔軟な扱いも示されています。
体験と表現を行き来する学びに
目標の柱書(目標の最初の文)を「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に改める案です。体験で感じ取ること(内化)と、言葉などで表すこと(外化)を行き来させるねらいです。水やりの体験を言葉や絵で表すと、「成長には水が必要」と自覚できる、という例が示されています。 P202P203
教室では、たとえば:アサガオの世話のあとに、絵や動作で様子を表して友達と伝え合う。そんな時間をセットにした単元が考えられます。
他教科とのつながりを1年間で計画する
合科的・関連的な指導(教科を合わせたりつなげたりする指導)が、入学直後だけで終わりがちだと指摘されています。そこで、生活科を結び目にして、各教科とのつながりを年間指導計画などに書き込む方向です。スタートカリキュラムの期間は、学校の実態に合わせて柔軟に決めてよいと明確にする方向です。 P201P206
教室では、たとえば:町探検で見つけたことを、国語の「話す・聞く」や算数の「数で捉える」と結び付けます。その関係を年間計画に印で示す工夫が考えられます。
9つの内容は組み合わせて、2年間で見通す
内容(1)〜(9)を決まった形で同じだけ扱うのではなく、学校の実態に合わせて工夫することが重要とされています。複数の内容を組み合わせた単元や、2年間を見通した活動にする工夫が示されています。社会科や理科の先取りではなく、中学年以降につながる気付きを大切にする方向です。 P207
教室では、たとえば:秋の公園で木の実を集める活動と、その木の実を使ったおもちゃづくりを1つの流れにつなげる、といった単元が考えられます。
動物飼育は「借りて飼う」なども同じ扱いに
動物飼育は、AI時代にこそ大切な体験として引き続き重視されます。学校で飼うことを基本としつつ、ほかの持ち主から借りて飼うこと(ホスティング)も同等の扱いと明確にする方向です。世話の体制が難しい場合は、近くの動物施設の動物と続けて触れ合う方法も同等とされています。 P208
教室では、たとえば:休日の世話が難しい学校では、近くの動物施設に何度か通い、同じ動物の変化を観察カードに記録する、といった活動が考えられます。
小・中・高で10秒
| 小学校 | 目標を「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に。動物は借りて飼うのも学校飼育と同等 |
|---|---|
| 中学校 | — |
| 高校 | — |
| 高校の科目 | — |
生活の指導案(試案)
生活の授業アイデア(次期を先取り)
主な変更点(審議まとめより)
今の「具体的な活動や体験」という言い方を「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に改める案である。体で体験して感じ取ること(内化)と、言葉・絵・動作などで表すこと(外化)を行き来させる学び方をはっきりさせるためである。単元を考えるときは、体験の時間だけでなく、表現して気付きを深める場面をセットで組むことが求められる。 P202P203
今はスタートカリキュラムは各学校で作るよう求められている一方、架け橋期のカリキュラムは全校には求められておらず、関係が分かりにくい。そこで架け橋期のカリキュラムを「5歳児のカリキュラム」と「小学校1年生のカリキュラム(スタートカリキュラム)」をまとめた呼び名と位置付けるなど、概念を整理する方向である。スタートカリキュラムの期間は学校や子供の実態に合わせて柔軟に決めてよいことを明確にし、国が多様なモデルや動画などを示す方向も示された。 P206
合科的・関連的な指導が入学直後だけで終わりがちな課題を受け、生活科を結び目として各教科との関連をスタートカリキュラムや年間指導計画にはっきり書き込み、1年間を見通して計画的に行うよう促す方向である。活動ごとに国語・算数・図画工作などのどの力が使われるかを整理し、指導のねらいを明確にした単元づくりも例として示されている。つながりは活動や題材だけでなく資質・能力の関連で考えることが大切とされる。 P201P206
9つの内容を決まった形で同じだけ扱うのではなく、子供・地域・学校の実態に合わせて各校が工夫して教育課程を組むことが重要とされた。調整授業時数制度の活用も踏まえ、複数の内容を組み合わせた単元、単元どうしのつながり(ストーリー性)、2年間を見通した活動にすることで、内容の重なりを減らし時間を効率よく使う工夫が考えられている。 P207
内容は3つの資質・能力をまとめた一文で示すが、評価は他教科と同じく観点別評価を行うことが適当とされた。単元ごとは形成的評価(途中で見取って指導に生かす評価)を中心にし、学期末・年度末にまとめの評価をする。「学びに向かう力」は一人一人のよさや成長を見取る個人内評価とし、総合所見欄などに書く。「見取る姿」の行動が続けて見られた場合は「思・判・表」に「○」を付ける。 P210
※「見取る姿」は改訂後に具体化。検討事項として「思いや願いをもった働きかけ」「他者との伝え合いや協働」「試行錯誤や自己調整」
動物飼育はAI時代にこそ大切な体験として引き続き重視し、学校での飼育を基本とする。そのうえで、休日の世話などが難しい場合も考え、他の持ち主から借りて飼う(ホスティング)ことや、近くの動物関連施設・民間団体の動物と継続的に触れ合う機会を設けることも、学校での飼育と同等の扱いだと明確にする方向である。飼う動物は今と同じく魚や昆虫など哺乳類・鳥類に限らないことも明確にし、教師用手引きも見直すとされた。 P208
地域の人や施設との関わりを単発の体験で終わらせず、年間指導計画の中で同じ人・施設と何度も関わる関係にする(再訪・再交流)。事前打合せは簡単な共有シート(ねらい/活動内容/子供の実態/留意点)や短いオンライン・電話の打合せで標準化し、校内で連携担当を決めることなどが例示された。教職員に過度な負担がかからないよう配慮し、設置者も地域人材・施設のリスト化などで支える。 P209
社会科や理科の内容を先取りするのではなく、生活科の学びの中で中学年以降へのつながりを意識した指導を充実させる。体を通した体験で得た気付きを後の学びの土台とし、多様な表現から言葉による認識へと移っていくことを意識した指導計画の工夫などが例に挙げられている。解説の記載を充実し、実践事例でも示す方向である。 P207
生活科のICT活用は、直接体験に代わるものではないことを前提に、体験・認識・表現の質を高める手段と位置付けた。例えば、撮影・記録を繰り返して対象をよく見る、画像や動画で比べて言葉にする、音声や画像で表現して交流する、などである。AI要約を含む検索で事前に調べてから対象に関わる使い方も例に挙がっている。 P209
AIでは代わりができない「実感を伴う知」を育てる教科として、生活科の大切な意味を①身体性、②対象と自分との関わり、③他者と自分との関わり、④自己認識の4つで整理した。これをもとに目標や「見方・考え方」、教育課程を改める方向である。 P202
今からできる準備
生活とAI
生活科は、AIで置きかえられない「実感を伴う知」を育てる教科として本質的な意義を整理し直します。第一の柱は「身体性」で、AIを含む仮想空間で情報を受け取るのではなく、体で身近な生活をとらえる体験を出発点にします。 P200P202資料P38
ICTは体験の代わりではないことを前提に、体験・認識・表現の質を高める補助として位置付けるとされています。例えば、AI要約を含む検索で事前に調べてから対象に関わったり、体験して不思議に思ったことをICTで調べたり振り返ったりすることが考えられるとされています。 P209
AI時代には、動物と直接関わり実感を伴って理解する体験として、動物飼育は引き続き重要とされています。 P208
- AI要約を含む検索で事前に調べてから、実際に対象に関わる流れをつくる(根拠P209。低学年では教師が調べて提示する形も。子供が直接使う場合は学校・教育委員会が認めたサービスに限り、年齢制限・保護者の理解を確認し、教師の監督下で、氏名・写真などを入力させない:ガイドラインVer.2.0 P19)
- 体験後に感じたこと・不思議に思ったことを端末で調べたり振り返ったりして、体験の質を高める(根拠P209)
- 撮影・拡大・記録など端末の機能を、繰り返しの直接体験を深める補助として使う(根拠P209)
現行⇔次期 新旧比較
目標の柱書の学び方の言葉
「具体的な活動や体験」を通して学ぶ。
「身体性を伴う体験と多様な表現活動」を通して学ぶ。体験(内化)と表現(外化)の行き来をはっきりさせる。
内容の示し方
資質・能力の3つの柱に分けずに内容を示している(「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」と「の基礎」を付ける)。
この方針を続け、3つの柱を一体として一文で示す。「統合的な理解・総合的な発揮」も3つの階層ごとに一文で示す。
架け橋期のカリキュラムとスタートカリキュラム
スタートカリキュラムは各学校で作るよう求めているが、架け橋期のカリキュラムは全ての学校には求めておらず、関係が分かりにくい。
架け橋期のカリキュラムを「5歳児のカリキュラム」と「1年生のカリキュラム(スタートカリキュラム)」の総称と位置付ける。スタートカリキュラムの期間は柔軟に設定できると明確化。
合科的・関連的な指導の時期
入学当初の時期に限られ、年間を通じた取組になっていない場合が多い(現状の課題として指摘)。
各教科との関連をスタートカリキュラムや年間指導計画に位置付け、1年間を見通して計画的に行う(接続の「見える化」)。
動物飼育
学校で動物を飼育する。飼う動物は魚や昆虫など、哺乳類や鳥類に限らない。
学校での飼育を基本としつつ、他の持ち主からの借用(ホスティング)や、近くの施設・団体の動物と継続的に触れ合うことも学校での飼育と同等の扱いと明確化。
学習評価
生活科の節には現行の評価方法の記述がないため current は空欄
他教科と同様に観点別評価を行う案。「学びに向かう力」は個人内評価で総合所見欄などに反映し、「見取る姿」の継続的な発揮が見られたら「思・判・表」に「○」を付ける。
現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。
授業時数・単位
生活の節には授業時数の変更は書かれていない。調整授業時数制度を生かして、複数の内容を組み合わせた単元や2年間を見通した活動にする工夫が示されている(P207)。なお総論の一律3-4%程度の時数削減は「小学校3年以上」の教科等(35コマ以下を除く)が対象と書かれている(P79)。
校種ごとのページ・図解アニメ
ほかの教科も見る
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。



