もくじ(12項目)
ひとことで言うと
専門高校の学びを、AI・データと産業界との協働で強める
- 「指導項目」を並べる今の書き方を抜本的に見直し、「何ができるようになるか」の資質・能力ベースに改めるべきとされた。
- 「課題研究」は履修学年を示さず、探究の配慮事項中心の内容とする方向。産業界との持続的な連携や、外部人材からの評価材料も取り入れることが示された。
- 職業に関する全ての教科でAI・データサイエンス等の学びと経営・ビジネスの学びを充実させ、「情報Ⅰ」の安易な代替が行われないよう解説の例示を見直す方向。
校種ごとに、やさしく解説
高校 産業教育(専門教科)はどう変わる?
やさしく言うと農業・工業・商業など、専門高校で学ぶ専門教科の話です。学習指導要領の書き方を「何ができるようになるか」が分かる形に改める方向です。職業に関する全ての教科で、AIやデータサイエンスを使った学びと、経営やビジネスの学びを充実させる案です。産業界との連携は、出前授業などの単発で終わらせず、続く協働にすることが求められています。課題研究も、学校が柔軟に組めるよう見直す方向です。
「何ができるようになるか」で書き直す
今の専門教科は「〔指導項目〕を指導する」という書き方です。これを、「何ができるようになるか」が分かる資質・能力ベースの書き方に、抜本的に改めるべきとされています。観点の「知識及び技術」も、ほかの教科と同じ「知識及び技能」にそろえる方向です。 P288
教室では、たとえば:たとえば科目のシラバスを、扱う項目の一覧からではなく、「この科目を終えたら何ができるか」から書き直すことが考えられます。
全ての専門教科でAI・データの学びを
職業に関する全ての教科で、AIやデータサイエンスを使った学びを充実させる方向です。専門教科の情報に関する科目は、「情報Ⅰ」の学びを土台に、専門分野での活用を深めます。専門教科の「情報」には、「データサイエンス、AI」の分野を新しく設ける方向です。 P289P294P296
教室では、たとえば:たとえば農業科で、センサーで集めた温度や水分のデータを整理し、栽培の工夫を考える実習が考えられます。
産業界との連携を「単発」から「続く協働」へ
産業界との連携は約90%の専門高校で行われています。一方で、数回の出前授業や講演にとどまるなど、深さに課題があるとされました。今後は目的を共有し、計画から評価まで一緒に進める続いた関係の中で、理論と実践を行き来することが大切とされています。 P287P298
教室では、たとえば:たとえば地元企業と年度初めに目標を話し合い、課題研究の途中と最後に助言や評価をもらう形にすることが考えられます。
課題研究の見直しと、評価の工夫
「課題研究」は、解説で履修学年を示さず、学校が柔軟に組めるようにする方向です。導入の段階で、実社会の課題を探究する活動を入れるべきとされています。評価では、レポートや作品などのパフォーマンス課題を取り入れ、外部の人からの評価材料も生かす方向です。 P289P299
教室では、たとえば:たとえば作品の評価で、完成品だけでなく途中の記録や口頭での説明も組み合わせます。生徒自身が考えたかを確かめる工夫です。
小・中・高で10秒
| 小学校 | — |
|---|---|
| 中学校 | — |
| 高校 | 全専門教科でAI・データ活用と経営の学びを充実。課題研究は履修学年を示さない |
| 高校の科目 | 必要に応じ科目を統廃合。情報科にAI等の分野 |
産業教育(専門教科)の授業アイデア(次期を先取り)
主な変更点(審議まとめより)
今は多くの職業系の専門学科で、各教科の情報に関する科目を履修して「情報Ⅰ」の代わりにしています。代替のしくみそのものは妥当としつつ、情報活用能力を大きく伸ばす今回の改訂の中で安易な代替が行われないよう、解説の「代替することが考えられる」という例示を見直し、代替する場合の配慮事項をさらに示す方向です。教育課程全体と、情報科の先生の配置や時間割にも関わる変更です。 P289P100
現行の「〔指導項目〕を指導する」という書き方を抜本的に見直し、「何ができるようになるか」が分かる資質・能力ベースの書き方に改めるべきとされました。これに合わせて、専門教科で使ってきた観点「知識及び技術」を、ほかの教科と同じ「知識及び技能」にそろえる方向です。内容は「知識・技能」と「思考・判断・表現」を並べて示す表の形(並列パターン)で整理する案です。年間指導計画やシラバスの組み立て方に影響します。 P288P293
原則履修科目の「課題研究」は、解説で履修学年を示さないことにし、学校が教育課程を柔軟に組めるようにする方向です。探究課題や指導内容は各学校の特色に任せ、内容は「指導事項」中心から、探究を通して身に付ける資質・能力や配慮事項中心に改める方向です。また導入段階で、実社会・実生活に関わる課題を探究する活動を取り入れるべきとされました。産業界との連携が確実に行われるよう、扱い方を明示する必要があるとしています。 P289P298
各教科の領域・分野の学びのつながりを整理して解説などで示し、必要に応じて科目の統廃合と内容の精選を行うとしています。学校の実態に合わせて柔軟な教育課程が組めるよう、科目の特性に応じて指導内容を選べる構造にする方向です。原則履修科目(基礎的な科目)で基礎を学び、専門的な学習を経て「課題研究」等で深めるという今の考え方は続けることが必要とされました。 P288P294
職業に関する全ての教科で、AIやデータサイエンスなど情報技術を活用した学びの充実を図るとしています。各専門教科の情報に関する科目は、「情報Ⅰ」の学びを土台に、専門分野への応用や課題解決・価値創造の視点から内容を充実させる方向です。目標の案でも「科学的な根拠に基づいて探究」することを新たに示しています。一方で、AIが考えることを止めてしまう、著作権の課題があるなどのリスクにも十分配慮するよう求めています。 P289P291P294P298
農業経営の法人化や六次産業化、看護・介護分野のグローバル化などを背景に、職業に関する全ての教科で、関連の深い科目を中心に経営管理やビジネスに関する内容の充実を図るとしています。また、産業教育で育てるべき資質・能力をふまえて各教科で共通に指導すべき内容を整理し、各教科の原則履修科目(基礎的な科目)で扱うこととすべきとされました。 P289P294
産業界との連携は約90%の専門高校で行われていますが、数回の出前授業や講演にとどまるなど深さに課題があるとされました。今後は、目的やビジョンを共有し、計画から評価まで一貫した持続的な関係の中で理論と実践を行き来することが重要とされ、「課題研究」などで扱い方を明示する必要があるとしています。コミュニティ・スクールやコーディネーターの配置、オンラインで遠くの専門家の助言を受けることなども挙げられています。 P287P289P298
ペーパーテストだけでなく、レポート、発表、話し合い、作品の製作などのパフォーマンス課題を使った評価を取り入れることが重要とされます。AIを使った成果物でも生徒自身が考えたかを確かめるため、作成過程の評価や口頭試問・プレゼンテーションを組み合わせることが考えられています。産業界などの外部人材からの評価材料も積極的に加味しますが、最終的な責任は教科の担当教員が持ち、評価規準を事前に共有することが前提です。 P298P299
現行の総則では、ホームプロジェクトについて各教科・科目の授業時数の10分の2以内を充てることができるとしていますが、この規定を削除する方向が示されました。必要な場合は、関連する科目や学校外の学修の単位認定などで単位として認めるとしています。ホームプロジェクトを行う教科・科目の時数の組み方に関わります。 P100
今からできる準備
産業教育(専門教科)とAI
地元産業でもDXの余地が大きいことなどから、職業に関する全ての教科で、AIやデータサイエンスなど情報技術を活用した学びを充実させるとされています。AIやデータサイエンスを各教科の学びを深める手法として、配慮事項を示すことが重要とされています。 P288P294
専門教科情報科では、新しい分野として「データサイエンス、AI」に関する分野を設ける方向で科目構成を整理します。 P296
AIなどは考えを広げたり深めたりできる一方、生徒の思考を止めてしまい、かえって深い学びの妨げになる可能性もあります。集めた情報の信頼性・妥当性を吟味すること、AIが作った文章や画像に著作権などの課題が生じる場合があることにも十分配慮が必要とされています。 P298
- 問いの設定・計画・振り返りの場面でAIやデータサイエンスを使い、深い学びにつなげる(根拠P298)
- 成果物の評価では作成過程を見たり、口頭試問・プレゼンを組み合わせたりする(根拠P299)
- 商業の市場調査などで、生成AIを使ってデータの傾向や要因を考察する(根拠資料編m4 P56)
現行⇔次期 新旧比較
学習指導要領の内容の示し方
各科目の内容が「〔指導項目〕を指導する」という指導項目ベースで示されている(例:建築構造「(1)建築構造の概要」)。
「何ができるようになるか」の視点から資質・能力ベースの書き方に改めるべきとされた。「知識・技能」と「思考・判断・表現」を並べた表の形で示す案。
資質・能力の観点の名前
専門教科では「知識及び技術」という観点を使ってきた。
「知識及び技能」とし、三つの柱を「知・技」「思・判・表」「学びに向かう力」の表現に整理するべきとされた。
「課題研究」の位置づけ
実践的・探究的な学びは主に卒業年次の「課題研究」で行われ、内容は「指導事項」ベースで示されている。
解説で履修学年を示さず、探究課題・指導内容は各学校に委ねる方向。内容は身に付けるべき資質・能力や配慮事項中心とし、導入段階で実社会・実生活の課題を探究する活動を入れるべきとされた。
専門教科による「情報Ⅰ」の代替
「同様の成果が期待される場合」に代替が認められ、解説では各専門教科の情報に関する科目で「情報Ⅰ」と代替することが例示されている。多くの専門学科で代替が行われている。
代替の規定自体は妥当としつつ、安易な代替が行われないよう解説の例示の記述を見直し、代替する場合の配慮事項をさらに示す方向。
ホームプロジェクトの授業時数への充当
総則で、ホームプロジェクトについて各教科・科目の授業時数の10分の2以内を充てることができるとされている。
この規定を削除し、必要な場合は関連する科目や学校外の学修の単位認定などで単位として認める方向。
産業界等との連携
約90%の専門高校で取り組まれているが、数回の出前授業や講演にとどまるなど、単発的で学校全体として持続的になっていない例がある。
共通の目的を共有し、計画から評価まで一貫した持続的な協働関係をめざす。「課題研究」などで取扱いを明示する必要があるとされ、外部人材からの評価材料も積極的に加味する方向。
産業教育の目標(思考・判断・表現)
これまで産業教育では「倫理観」や「合理的」という要素を重視してきた。
「倫理観」「合理的」は引き続き示しつつ、データを集めて分析し考察することを前提に「科学的な根拠に基づいて探究」することを新たに明示し、「合理的かつ創造的に解決する力」を養うとする目標の案が示された。
専門教科「情報」の科目構成
本文に現行の情報科の科目構成の記述がないため current は空欄
「データサイエンス、AI」分野を新設する方向で科目構成を整理し直す。「情報システム・構築分野」「情報デザイン・社会表現分野」「データ・AI分野」それぞれに「基礎的な科目群」と「統合・発展科目」を新設して構造化する案。
現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。
高校の科目構成
原則履修科目(基礎的な科目)で基礎を学び、専門的な学習を経て「課題研究」等で深める現行の科目構成の考え方を継続することが必要とされた(P288)。そのうえで必要に応じて科目の統廃合と内容の精選を行い、科目の特性に応じて指導内容を選べる構造にする方向(P288、P294)。教科別には、専門教科「情報」で「データサイエンス、AI」分野の新設と、3分野ごとの「基礎的な科目群」「統合・発展科目」の新設(P296)、看護で科目の内容を看護の主要概念で再構成(P296)などが示されている。具体的な新科目名は本文に示されていない。
授業時数・単位
産業教育の節に標準単位数の変更の記述はない。「課題研究」は解説で履修学年を示さないこととする方向(P289)。総則では、ホームプロジェクトに各教科・科目の授業時数の10分の2以内を充てられる規定を削除する方向(P100)。
校種ごとのページ・図解アニメ
ほかの教科も見る
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。


