もくじ(16項目)
ひとことで言うと
AIは便利な道具。でも、考えて決めるのは自分。その力を学校で育てる方向です。
AIは「物知りだけど、ときどき自信満々にまちがえる先輩」のようなもの。相談してよいけれど、うのみにせず自分で確かめ、最後は自分で決める。その付き合い方を学校で練習するイメージです。
- AIが情報を整理・要約してくれる時代だからこそ、意味の分かった「確かな知識」と、書く・話すで考えを表す「外化」を重視する。
- 1人1台端末やクラウドなどのデジタル学習基盤は「活用が前提」。AIは発達段階やねらい、利用規約などをふまえて適切に使うもので、一律に義務付けるものではない。考える過程をAIに丸投げせず、出力をうのみにしないことが全教科の共通ルール。
- 審議まとめでは、小学校の総合に「情報の領域」、中学校に「情報・技術科」、高校情報科の強化でAIを学ぶ方向が示され、国は生成AIガイドラインを令和8年度中に改定するとしている(いずれも告示前の案で、今後変わりうる)。
まずは基本:AIと学校のギモン
たくさんのデータをもとに、文章や画像などの新しい情報を予測して作り出す技術です。便利ですが、今あるデータをもとに予測しているので、答えに誤りやかたよりがまじることがあります。子供は検索などを通して、すでに毎日のようにAIにふれています。 P248資料(情技㉔)P153資料(情技㉕)P154
AIが急速に広がり、知識を取り出したり情報を整理したりする仕事をAIが代わりにするようになってきたからです。いまの学習指導要領ではAIなどの新しい技術の内容がはっきり位置付けられておらず、学校ごとの差も大きいことが課題とされました。 P7P72
授業のねらいに合うときに使うのが原則で、使うこと自体が目的ではありません。AIの答えも比べて確かめる対象とし、自分で考えて決めたことを自分の言葉で説明し、責任を持つことが基本とされています。発達の段階に合わせることも大切です。 P140P282
1人1台の端末、通信ネットワーク、デジタル教科書・教材、クラウドなどでできた「学びの土台」のことです。次期学習指導要領は、これがいつでも使えることを前提に書く方向です。ただし「デジタルかリアルか」の二者択一にはしないとされています。 P26
書く・話す・作るなどで、頭の中の理解や考えを外に出すことです。外に出すことで、自分なりの理解が形になります。自分で考えずにAIの答えをそのまま使うと、この大事な過程が抜けてしまうため、外化を重視するとされています。 P28P25
AIにうまく質問するにも、AIの答えが正しいかを見分けるにも、その分野の知識が要るからです。最後に責任を持って決めるのも人間です。価値が下がったのは知識そのものではなく、意味の分からない丸暗記の方だと整理されています。 P9
使っていい?気をつける?任せない?
AIとのつきあい方を、信号の3色で整理しました。「原田英語からの提案」とあるものは、審議まとめの方向性をもとにした目安です。
- 学校や教育委員会が認めたサービスを、利用規約(年齢制限・保護者の同意など)にしたがって使う
- 授業では、先生が目的と使い方を決め、見守りながら使う
- 名前・写真・成績など、個人がわかる情報は入力しない
- 家庭で使うときは、保護者がサービスの利用規約と対象年齢を確かめる
文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」の、利用規約・年齢制限・保護者の同意、個人情報を入力しないことについての記述をもとにまとめました。
使ってよい場面
- 興味に合わせた英語の例文を作ってもらう外国語で有効な例とされています。出てきた文をうのみにせず、確かめながら使えるよう先生が支えます。 P282
- 英語の会話練習の相手にする会話練習はあくまで手段で、目標は人と人とのコミュニケーション。そこにつなげる使い方が原則とされています。 P282
- 自分で考えた後に、ちがう立場の意見を出してもらう道徳で考えを多面的にする実践例があります。AIの答えを正解とせず、自分で考えた後に補助的に使うのが前提です。 P316P317
- 生徒会の記録まとめやポスターづくりの手伝い特別活動の事例として挙がっています。ただし、話し合って決めるのは子供たち自身です。 P362
- 先生が指導案や教材を練るときの相棒次の学習指導要領は生成AIが読みやすい形のデータでも提供する方向で、指導案や評価計画を練りやすくなるとされています。 P21資料(1-3-5)P10
気をつけて使う場面
- 検索結果の一番上に出るAIの要約そのまま写す子供への指導が足りていない実態があるとされています。情報が確かかを確かめてから使います。 P26P129
- 探究でAIから情報を集めるとき見た目は立派でも力が育っていない「偽の熟達」のおそれがあります。もとの情報の発信者・時期・正しさを確かめます。 P330
- AIにプログラムを書いてもらうときAIが作ったコードにも誤りが含まれることがあります。目的に合っているかを自分で確かめ、直す力が要ります。 P249
- 個人の情報や、AIが作った文章・画像個人情報や著作権は「適切な取扱い」で学ぶ内容です。AIが作った文章や画像には著作権などの課題が生じる場合もあります。 P250P298
- 小学生の利用や、長い時間の利用AIなどが認知や行動に与えるリスクや長時間利用の影響に十分気を付けるとされています。頼りすぎず距離をとる力を育てます。 P74資料(情技㉔)P153
AIに任せてはいけないこと
- その単元で育てたい力そのもの(要約・最初の感想・文章の組み立てなど)国語では、単元で育てたい力に直結する場面でAIを不用意に使うことに慎重であるべきだとされています。 P140
- 自分で考えていない成果物を出すことAIに頼って自分の考えを経ていない成果物は通用しないよう、口頭で説明させるなど評価の工夫が急ぎの課題とされています。 P26P159
- 単純な英作文をAI翻訳ですませること家庭学習の課題を、AI翻訳を提出すれば済むような出し方にしないよう留意が必要とされています。 P282
- 最後の判断と決定AIの提案を参考にしても、責任を持って決めるのは人間です。学級や生徒会で合意して決める主体も子供たちとされています。 P9P362
- 体験や、人との協働の代わり生活科ではICTは直接体験の代わりではないことが前提です。特別活動でもリアルな体験や協働を大切にし、効率化を目的にしません。 P209P362
小・中・高で、AIとのつきあい方はどう違う?
小学校 総合に「情報の領域」ができ、体験しながらAIとの付き合い方の基本を学ぶ方向です。
総合に「情報の領域」
いまの小学校には情報を学ぶ決まった時間がなく、学校ごとの差が大きいとされました。次期は総合的な探究の時間に「情報の領域」を加え、体験しながら情報技術を使う力を中心に育てる方向です。 P72P74
4年生で「うのみにしない」姿勢
情報の受け取り方は3年から6年へ段階的に学ぶ案です。たとえば4年では、発信する体験を通して、AIの出力も含めて情報をうのみにしない姿勢を育てる例が示されています。 P251
AIの特徴とリスクを知る
AIは今あるデータをもとに予測して作るので誤りやかたよりがあること、頼りすぎず自分で距離をとること、最後は人間が判断することなどを学ぶイメージが示されています。 資料(情技㉔)P153
小さな探究で使ってみる
「生成AIの特性やリスクをふまえた作品づくり」「デジタルの良い面と悪い面をふまえたマイルールづくり」などを小さな探究の単元で体験する例が示されています。一律に行うものではありません。 P251
- 先生が画面でAIに質問して見せ、その答えを図鑑や教科書と比べて「合っているところ・ちがうところ」をみんなで探す。
- 学級で使う端末の「マイルール」を、便利な面と困る面を出し合ってつくり、学期ごとに見直す。
- 感想や作文は、まず自分の言葉でノートに書く。AIは使わず、友達と読み合って考えを広げる。
- AIや動画で見た情報について「本当かな?どこで確かめられる?」と、子供と一緒に調べてみる。
- 端末やAIを使う時間・場所の約束を、子供と話し合って決める。
中学校 技術分野が「情報・技術科」へ。AIの仕組みとリスクをしっかり学ぶ方向です。
新しい教科「情報・技術科」
技術・家庭科の技術分野を、時間を確保して「情報・技術科」とし、家庭科は独立した教科にする方向です。コンピュータやネットワークの仕組み、データの活用などを大きく充実させます。 P74
仕組みを知り、情報を吟味する
AI・ネットワーク・データなどの基本的な仕組みを知り、偽・誤情報やフィルターバブルなどもふまえて、情報の信頼性を批判的に確かめる学びが例示されています。 P253
AIのリスクと人の判断
AIの出力には誤りやかたよりがありうるので人の判断を大切にすること、権利の侵害や悪用、誤情報のリスクをふまえて使うことなどを学ぶイメージが示されています。 資料(情技㉔)P153
各教科でも「考えた後に」使う
道徳では、自分で考えた後に補助的にAIを使い、AIの答えを正解とせず吟味することが留意点とされています。生徒会の記録まとめなど、特別活動での活用例も挙がっています。 P317P362
- 同じ質問を言い方を変えてAIに聞き、答えがどう変わるか、なぜ変わるのかを班で話し合う。
- 道徳で、まず自分の考えをノートに書き、その後で先生が示すAIの「別の立場の意見」と読み比べる。
- 英語で、自分の好きなことについての例文をAIに作ってもらい、辞書や先生と確かめてから友達に話す。
- 宿題でAIを使ったときは「どこをAIに手伝ってもらい、どこを自分で考えたか」を聞いてみる。
- SNSやネットで話題の情報を、家族で別の情報源と比べてみる。
高校 情報科を強化。卒業までに、データとAIを使いこなす基礎を全員に育てる方向です。
全員に「使いこなす」基礎
大学などの数理・データサイエンス・AI教育とつなげ、進学しない人も含めた高校卒業生全員が、日常や仕事で使いこなせる力(リテラシーレベル)を身に付けられるよう内容を充実させる方向です。 P74
情報Ⅱに「AI」の項目
情報Ⅱに、データサイエンスを大きく充実させる項目と、AIを単独で扱う項目を新しく立てる方向です。情報Ⅰは主に使う人の視点、情報Ⅱは作る人・提供する人の視点も含めて学ぶイメージです。 P255資料(情技㉔)P153
AIを使っても「自分の考え」を確かめる評価
AIに頼った成果物が通用しないよう、口頭試問を取り入れる、ブラウザを使えないテストモードで根拠を書かせる、作る過程も評価に加えるといった工夫が考えられるとされています。 P26P159P299
探究では「過程」と「口頭」を重視
総合的な探究の時間でAIを使う場合、もとの情報を確かめることに加え、試行錯誤の記録、その場で説明して質問に答えること、現場での体験などを重視する対応が考えられるとされています。 P330
- レポートは下書きやメモ、AIとのやりとりも添えて出してもらい、最後に2分間の口頭説明と質疑を行う。
- 情報科で、AIが出した分析結果を別のデータや条件で確かめ直し、結果がちがう理由を考える。
- 探究で、AIから得た情報について、もとの発信者・日付・根拠を表にまとめてから使う。
- レポートや進路調べでAIをどう使ったか、どこを自分で判断したかを、ふだんの会話で話題にしてみる。
- AIの意見は「参考の一つ」として聞き、最後は自分で決めることを大事にする声かけをする。
AI時代に、学校で育てる力
確かな知識
意味が分かり、ほかの知識とつながった知識です。AIの答えが正しいかを見分ける土台になります。丸暗記ではなく、自分で考える努力を通して身に付けることが大切とされています。 P9
自分の言葉で表す力(外化)
書く・話す・作るで考えを表し、人と共有して対話する力です。自分で考え、判断し、表現したことを自分の言葉で説明し、責任を持つことが基本とされています。 P25P28P140
情報を見極める力
真偽の分からない情報を自分で確かめ、必要なら判断を保留する力(メディアリテラシー)です。筋道立てて考え、自分の考えを振り返る「クリティカル・シンキング」が支えになります。 P248
AIを使いこなす力
ただの操作の技能ではなく、AIを適切かつ効果的に使って、問題を見つけて解決したり、自分の考えをつくったりする力です。発達の段階に応じて学ぶ方向です。 P248
プログラミング的思考
目的を考え、AIへの指示やプログラミングで解決策を形にし、できたものを批判的に確かめて直し、責任を持って使うまでの考え方として捉え直されています。 P249
図解アニメで見る
次期学習指導要領とAI:基本の考え方
AIに指示や問いを出すにも、AIの答えが正しいかを見分けるにも、その分野の知識が必要です。AIの提案を参考にしても、最後に責任を持って決めるのは人間です。価値が下がったのは、意味の分からない丸暗記や、知識の量だけを競うような学び方の方だと整理されています。 P9
知識と知識をつなげ、意味が分かった状態で身に付けた知識を「確かな知識」と呼びます。自分で頭を使って努力する過程を通して、体にしみこんだ知識です。AIの時代には、こうした知識を考える力や探究に生かすことがこれまで以上に必要だとされています。 P9P76
知識を取り出したり大量の情報を整理したりする仕事は、AIに置きかわりつつあります。そのため、概念を深く理解し、自分で課題を見つけて現実の問題に取り組む力がますます大切になり、「深い学び」を進めることが急ぎの課題とされています。 P7
書く・話す・作るなどで自分の理解や考えを表に出すことを「外化」といいます。自分で考えずにAIの出力をそのまま使うと、学習の大事な過程が抜け落ちてしまいます。外化を大切にし、読む・聞く(内化)と行き来させることが、こうした弊害を防ぐ鍵とされています。 P28P25
言葉の力の上に情報技術を使うと、考えやコミュニケーションを大きく広げられます。逆に、言葉で表す活動を欠いたまま情報技術を使うと、中身のない情報の寄せ集めになるおそれがあります。例として「言語による外化なしにAIが生成したものをそのまま使う」ことが挙げられています。 P25
AIが処理した情報には誤りや偽の情報も混ざります。確かな知識を使い、他の人と体験を積み、自分が何をしたいかを持って、AIが出す情報の中から的確に選び、責任を持って意思決定する力が大切だとされています。 P25
「紙かデジタルか」「デジタルかリアルか」と二者択一で考えず、デジタルの力も最大限使って一人一人の豊かな学びを充実させる、というバランス感覚が基本です。負の側面に気を付けながら、さらに効果的に使うことを目指します。 P8P26
デジタル学習基盤とは、1人1台端末やクラウドなどでできた学びの土台のことです。総則で、多様な子供を包み込む学習環境をつくるもの、先生の道具であると同時に子供自身の学習道具であるもの、と意義を示す方向です。各教科でも、デジタル学習基盤がいつでも使えることを前提に書き方を考えます。 P25P26P27
検索結果の一番上に出るAI要約をそのままコピーする子供への指導が足りていない実態があります。情報が確かかを確かめる技能を高め、最後の評価の段階で、自分で考えていない成果物が通用しない工夫が急ぎの課題です。例として、口頭試問を取り入れる、テストのときはブラウザを使えない設定にして自分の考えを根拠付きで書かせる、が挙がっています。 P26P159
AIを含む情報技術の使い方が深い学びにつながるよう、国は良い事例だけでなく、深い学びにつながりにくいと考えられる事例も示し、授業者が参照しやすい取組を進めるとされています。技術の変化への対応は、指導要領や解説に「別にガイドラインや指導資料で示す」と書いておくべきだとされています。 P26P248資料P77
情報活用能力は、①情報技術の「活用」(課題を解決し新しい価値をつくる力)、②「適切な取扱い」(リスクを判断しルールを守り責任を考えて行動する力)、③「特性の理解」(仕組みを科学的に理解する力)の3つで整理されます。①が中心で、②③がそれを支えます。どの学校段階でもバランスよく育てます。 P73
審議まとめでは、小学校は総合的な探究の時間に「情報の領域」を加え、中学校は技術分野を「情報・技術科」とし、高校は情報科(情報Ⅰ・Ⅱ)をさらに充実させる方向が示されています。小学校では体験を重視し「活用」を中心に、中学校以降は適切な取扱いや特性の理解を体系的に高めるとされています。小学校でも、AIなどの負の側面や、認知や行動へのリスクに十分留意するとされています。 P74
大学などで進む数理・データサイエンス・AI教育とつながるよう、高校ではデータサイエンスやAIの内容を強化します。進学しない人も含めた高校卒業生全員が、数理・データサイエンス・AIを日常生活や仕事で使いこなせる力(リテラシーレベル)を身に付けられるようにするとされています。 P74P242
AIは学習で考えを広げたり深めたりできる一方、特性やリスクを知らずに使うと、頼りすぎや学習過程の省略で学習効果が下がるおそれがあります。そこで「AIを使いこなす力」を、AIを適切かつ効果的に使って問題を見つけて解決したり、自分の考えをつくったりする力と捉え、新しい教科・領域で発達段階に応じて学ぶ方向が示されています。 P248
言葉でAIに指示してプログラムを作れる時代になっても、AIが作ったコードには誤りがあることもあるので、プログラミングの学びは不要になりません。目的を考え、AIへの指示やプログラミングで解決策を形にし、できたものを論理的・批判的に評価・改善し、責任を持って使うまでを「プログラミング的思考」として捉え直し、小・中・高で育てます。 P249
情報技術は変化がとても速いので、学習指導要領には大きな枠だけを書き、技術の進み具合に合わせてAIの利活用ガイドラインを機動的に改定し、解説もタイミングよく一部改訂していくとされています。国は少なくとも年1回くらい、指導の手引きや授業動画などの教材を更新するとされています。 P75P243
学校現場で生成AIを適切に使うための参考資料「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を、学習指導要領の改訂を待たずに令和8年度中に改定し、研修や環境整備も行うとされています。教科ごとの効果的なAIの使い方などの具体的なポイントも、改訂を待たずにガイドライン等で示すことになっています。 P248P262P89資料P72資料P77資料P80
次の学習指導要領はウェブサイトで提供される「デジタル学習指導要領」とし、生成AIが読みやすい形式のデータも提供する方向です(具体的な機能は今後検討)。先生はAIを使って指導案・評価計画案・教材などを練りやすくなるとされています。今の紙やPDFの形式は、AIに読み込ませて使うのに向いていないことが課題として挙げられています。 P21資料P10
AIなどで決まった仕事が置きかわる中、独自の発想や視点が価値を生むようになっています。また、AIやSNSから「最適解」が次々に与えられ受け身になりやすい時代なので、自分の問いを原動力に新しい意味や価値をつくる力を学校で意図的に育てることが大切だとされています。 P9P76
SNSを通じた偽・誤情報の広がりや、AIが人の認知や判断に与える影響が、民主主義社会の分断を招きかねない課題になっています。デジタルの負の側面を乗り越え、自分の意見を持ち、異なる考えの人と対話し合意できる「民主的で持続可能な社会の創り手」を育てることが重視されています。 P4P10
情報の吟味(クリティカル・シンキング)を働かせてメディアリテラシーや情報モラルを育てる方向で、情報教育を大きく改善します。算数・数学科や理科でもクリティカル・シンキングの観点から内容を検討し、道徳科ではAIが引き起こす道徳的課題と向き合うことを重視しており、相乗効果が期待されています。 P11
先生がいまからできること
チェックはこの端末のブラウザだけに保存されます。
英語の授業でのAI活用(いちばん詳しく)
英語は、審議まとめの中でAIの使い方がもっとも具体的に書かれている教科です。活用パターン12種・授業プラン12本・先生のプロンプト例10本・クラスのAIルールをまとめました。
例文ジェネレーター
習った文法や表現を、自分の好きなこと(部活動、趣味、好きな音楽など)に合わせた例文にして確かめます。
会話の練習相手
AIの会話アプリを相手に、決めた話題について英語でやり取りし、話す量を増やします。
発音・スピーキングの見直し
音声入力(文字起こし)や読み上げ機能で、自分の発音がどう聞き取られるかを確かめたり、モデルの音声をまねたりします。
ライティングのフィードバックと書き直し
自分で書いた英文に対して、誤りの指摘や改善の提案を受け、書き直しに生かします。
読み物のレベル調整
先生が書いた英文を、語数や使う語をしぼって、いくつかの難しさに書き換えます。多読用の読み物や、領域統合の活動の素材に使います。(審議まとめに具体例の記載はなく、外国語でのAIの適切な活用の方向性をふまえた編集部の提案例です)
AI翻訳との比べ読み
自分で書いた英文や考えた言い方と、AI翻訳の出力を比べ、違いの理由を考えます。
AIで手軽に高精度の翻訳ができる中、AIが当たり前の社会を前提に、外国語を学ぶ本質的な意義を考え直す必要があるとされています。英語が「好き」な子供の割合が減るなど、学ぶ動機が弱まっているという指摘もあります。 P277
外国語学習向けのAIや汎用型AIの発展が見込まれる一方、AIの活用が学習指導要領に位置付けられていないことで、学校ごとの活用の格差が学習の「量」と「質」の差につながることが心配されています。 P277
全教科のAI活用の記述
審議まとめで、AIやデジタル学習基盤についての記述がある教科等をまとめました。
国語
生成AI時代に「人間ならではの言葉の力」を
7項目社会・地理歴史・公民
生成AIやSNSの時代に、情報の真偽を見極める力
8項目算数・数学
生成AIの時代にこそ数学を学ぶ意味がある
5項目理科(理数を含む)
生成AIとデマ・フェイクニュースの時代の科学的な素養
3項目生活
AIで代替できない「実感を伴う知」を育む教科
3項目芸術(音楽・図画工作・美術・書道等)
AIの進化の中での芸術の意義
3項目家庭
生成AIなどの特性をふまえた情報収集・活用
3項目情報・技術、情報(小学校「情報の領域」を含む)
AIの可能性とリスクの両方を学ぶ
10項目体育・保健体育
AI時代だからこそ体を通して学ぶ意味
3項目外国語活動・外国語
AI時代に外国語を学ぶ意味を再定義
2項目産業教育(専門教科)
職業に関する全ての教科でAI・データサイエンスを
4項目道徳
AIが新しい道徳的課題を生んでいる
4項目総合的な探究の時間(総合)
AIが答えを出す時代の「探究」の意義
6項目特別活動
「生成AI時代の主権者」を育てる
3項目総則(日本語指導・個別の特別の教育課程などを含む)
総則にデジタル学習基盤の意義と「個に応じた学習過程」
4項目特別支援教育
デジタル学習基盤は合理的配慮の土台
3項目注意点・リスク
AIの出力には誤りやかたよりが含まれることがあります。小学4年生でAIの出力を含め情報をうのみにしない姿勢を育て、外国語や道徳でもAIの答えを正解として扱わず吟味することが求められています。 P251P282P317資料P153
自分で考えずにAIの出力を使うと、学ぶのに必要な過程が抜け、頭を使う努力がされなくなります(過度な認知的オフロード)。AIへの過度な依存とともに、学習効果を下げるリスクとされています。 P9P28P72P248
AIを使った探究が一見高度に見えても、実際には力が育っていない「偽の熟達」のおそれがあります。認知的負荷の低下、記憶・理解の弱化、批判的思考の低下、メタ認知の不正確さといった負の影響の可能性も議論されています。 P330
外国語の家庭学習で、単純な英作文など、AI翻訳を提出すれば済む出し方をしないよう留意が必要とされています。 P282
国語の要約・初発の考え・構成づくり、芸術の表現の過程など、その授業で育てたい力に直結する場面では、AIを不用意に使うことに慎重になる・安易に委ねないことが求められています。 P140P221
生活科ではICTは直接体験の代わりではないことが前提です。体育では実際に体を動かし仲間と関わる活動、特別活動ではリアルな体験や協働を重視し、効率化を目的にしないことが求められています。 P209P273P362
SNSを通じた偽・誤情報の拡散、フィルターバブルやエコーチェンバーによる価値観のかたより、AIが人の認知や判断に与える影響が、民主主義社会の分断を招きかねないとされています。生成AIの発展でデマやフェイクニュースも広がりやすくなっています。 P4P72P183P236
生成AIを含むICTは発達段階をふまえて使うことが原則とされ、外国語などでも「発達の段階に応じたAIの適切な活用」とされています。小学校の情報教育でも、AIなどの負の側面や、認知・行動へのリスク(長時間利用の影響を含む)に十分留意するとされています。 P74P140P278P282P330
情報の「適切な取扱い」には、個人情報・著作権やAIの適切な利用が含まれます。AIが作った文章や画像には著作権などの課題が生じる場合があり、体育・保健では体や健康の情報の扱いに注意が必要です。ガイドラインでも、子供にプロンプトへ氏名や写真などの個人情報を入力させないよう留意するとされています。また子供が生成AIを使う場合は、教育委員会の方針に基づき、年齢制限など利用規約の条件を校長・担当教師が確認し、必要に応じて保護者の理解を得たうえで、教師の適切な指導監督の下で使わせることが必要とされています。 P250P273P298ガイドラインVer.2.0 P19
デジタル技術の進展を格差(デジタルデバイド)につなげない視点が重要とされています。デジタル学習基盤の活用には地域間・学校間の差が大きく、外国語ではAI活用が位置付けられていないことによる活用格差も心配されています。 P4P25P72P277
AIが生成したコードやシステムには誤りが含まれる場合があり、AIに任せても検証・改善と責任ある活用のためには仕組みの理解が必要とされています。 P249
文部科学省の生成AIガイドライン
公表:2024-12-26(令和6年12月26日、文部科学省初等中等教育局) 公式ページ
- 位置付け:一律に禁止も義務付けもしない参考資料:教職員や教育委員会を主な読み手とする、学校での適切な生成AIの使い方の参考資料です。学校での生成AIの利用を一律に禁止したり義務付けたりするものではありません。令和5年7月の暫定的なガイドラインを改訂したもので、今後も必要に応じて改訂する想定とされています。(本体P4)
- 人間中心の利活用:生成AIは使い方によって人間の能力を補い広げる道具になりえます。出力は「参考の一つ」「最適解とは限らない」と認識し、最後は人間が判断し、成果物に自分で責任を持つのが基本姿勢です。(本体P7)
- 使うこと自体を目的にしない:子供の学びでは、学習指導要領の資質・能力の育成につながるか、教育活動の目的に効果的かを吟味して使い、生成AIを使うこと自体を目的にしてはならないとされています。体験活動とICT活用のバランスにも留意します。(本体P7)
- 教師の役割とAIリテラシー:教師と子供の人格的な触れ合い、指導計画、丁寧な見取りといった教師の役割は、生成AIが社会インフラになる時代にもっと重要になるとされています。教師も生成AIの仕組みや特徴を理解する一定のAIリテラシーが求められます。(本体P7)
- 生成AIをふまえた情報活用能力の育成強化:生成AIの仕組みの理解や学びへの生かし方を各教科等で意識的に育て、情報モラルを含む情報活用能力の育成を一層充実させます。偽情報の増加などもふまえ、情報の真偽を確かめる方法(ファクトチェック)も学ぶことが望ましいとされています。(本体P8〜9)
- 共通して押さえる5つのポイント:①安全性を考慮した適正利用(年齢制限など利用規約の確認)、②情報セキュリティの確保、③個人情報やプライバシー、著作権の保護、④公平性の確保(バイアスへの留意)、⑤透明性の確保と関係者への説明責任、の5つです。(本体P10〜11)
- 教職員の校務での利活用:出力の適切さを判断できる範囲で使うことを前提に、授業準備や文書のたたき台作成など校務で積極的に使うことは有用とされ、働き方改革につながることが期待されています。私用アカウントや許可のない私用端末は使わず、成績情報など重要性の高い情報は原則としてプロンプトに入力してはならないとされています。(本体P13〜15)
- 子供が学習で使う場面:「生成AI自体を学ぶ場面」「使い方を学ぶ場面」「各教科等の学びで積極的に使う場面」などが考えられるとされています。小学生が直接使うことには、発達の段階をふまえたより慎重な見極めが必要で、教師が生成AIとの対話を見せるなどして学ぶことが例示されています。(本体P17)
- 適切と考えられる例・不適切と考えられる例:誤りを含む出力を教材に限界に気付く、議論を深めるために途中段階で使う、英会話の相手にするなどが例示されています。一方、情報モラルが育つ前に自由に使わせる、コンクールやレポートに生成物をほぼそのまま出す、詩や俳句・美術など感性を発揮させたい場面で安易に使わせる、定期考査や小テストで使わせる、評価を生成AIの出力だけで行う、などは不適切と考えられる例とされています。(本体P18)
- 課題・評価での留意事項:レポートなどでは評価の視点をあらかじめ決める、発表など自分のものになっているか確かめる機会を設ける、生成AIとのやりとりを資料として添付させる、使ったツール名・プロンプト・日付などを明記させる、などが考えられるとされています。保護者への情報提供も重要です。(本体P20)
- 子供の個人情報の保護:子供が使う場合は、プロンプトに氏名や写真などの個人情報を入力させないよう留意するとされています。入力を学習させない設定(オプトアウト)が可能なサービスではその設定を使うことなども考えられています。(本体P19)
- 教育委員会の役割:教育委員会が制度設計や方向性を示すことが重要で、学校ごとの実態に応じた柔軟な対応が必要とされ、一律に禁止・義務付ける硬直的な運用は望ましくないとされています。研修の実施や、フィルタリング・ログの確認など実態に即した対策も求められています。(本体P21〜22)
改定の予定:審議まとめ本体P262・資料編m2 P72/P77(「情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プラン」令和7年9月25日作成・令和8年7月30日時点):本ガイドラインを、学習指導要領の改訂を待たずに令和8年度中に改定し、周知・研修・環境整備を行う。資料編m2 P80のロードマップでも「AIガイドラインの改定 R8年度中」、その後「必要に応じて随時改定」。審議まとめ本体P75は、技術の進展に応じAIの利活用ガイドラインを機動的に改定するとし、P248は、各教科等での効果的なAIの活用例や深い学びに繋がらない例を含む具体的な利活用のポイントを、改訂を待たずにガイドライン等で示すとする(P89にも記載)。なお、文部科学省の公式ページ(2026年11月1日確認)で公開されている現行版はVer.2.0で、改定版はまだ掲載されていない。
先生の仕事(校務・授業準備)でのAI
次の学習指導要領は生成AIが読みやすい形式のデータでも提供する方向で、AIを使って指導案・評価計画案・教材などを練りやすくなります。資料編には「学習指導要領を読ませた生成AIも使って単元計画や評価基準等を練ろう」という授業づくりの流れの例があります。 P21資料P10
調整授業時数制度の運用で、教務担当の先生に時間割や授業時数の計算の負担が生じうるため、校務支援システムやクラウドツール、AIの活用で負担を軽くする取組が重要とされています。 P57
カリキュラム・マネジメントでは過度な負担を避ける視点も重視し、学習指導要領の表形式化・デジタル化の効果や、AIを含むデジタルツールの活用の可能性も含めて考えるとされています。 P83
高校入学者選抜の採点などで、AIを含むデジタル技術の活用や負担軽減の取組を促進すべきとされています。 P86
算数・数学の効果的なICT活用例として、AIによる自動採点や、デジタル教材・AIドリルの効果的な活用などが挙げられています。 P177
不登校児童生徒に係る特別の教育課程の指導計画について、作成の負担を減らし質を高める観点から、生成AIの活用も含めて検討するとされています。 P375
指導計画づくりの負担を減らし質を高めるため、相談支援で生成AIを補助的に有効活用することも検討すべきとされています。オンライン指導の録画を生成AIなどで要約し、担任が簡単に確認できるようにする方法も考えられるとされています。 P396P397
教師が適切なタイミングでAIに異なる立場の意見を示させることで、考えを多面的・多角的にする工夫が例示されています。 P316
授業デザイン、子供の学ぶ意欲を高めること、自律的な学習者を育てる学び方の指導がより重要になるとされています。国は大規模なオンライン研修や、授業でそのまま使える動画・資料の提供を行うとされています。 P285
AIについての、よくある誤解
AIがあれば、もう知識を覚えなくていい?
次期学習指導要領では、どの授業でもAIを使わなければならない?
学校ではAIは禁止になる?
AIがプログラムを書けるから、プログラミングの学習はいらない?
AIが文章を作れるから、作文や手書きの練習は減る?
AIの細かい使い方は、学習指導要領に全部書かれる?
保護者の方へ
家庭でのタブレットやAIとのつきあい方、学年ごとにできることは保護者向けのページにまとめています。
AIの用語
- デジタル学習基盤
- 1人1台端末やクラウド環境などの情報機器・ネットワーク・ソフトウェアなどでできた一連の学習の土台。端末、通信ネットワーク、周辺機器、デジタル教科書・教材、CBTシステム(MEXCBT)、教育データ利活用、情報セキュリティの7つの要素で構成される。 P26
- 外化
- 書く・話すなどの活動を通じ、知識の理解や頭の中で考えたことを表に出すこと。読む・聞くなどの「内化」と行き来させて、自分なりの意味理解をつくる。 P28P281
- 認知的オフロード(過度な)
- 考えることを道具に任せすぎて、学ぶために必要な頭の努力がされなくなること。AIの出力をそのまま使うことによる「学習過程の省略」として注意されている。 P28P72P248
- 確かな知識
- 意味が分かり、他の知識とつながって構造化された知識。自分で考える努力を通して身体化された知識で、思考や探究に生かせる。 P9
- 記号接地
- 言葉や記号が、体験や実感と結びついて意味をもつこと。「確かな知識」は記号接地した知識でもあるとされる。 P9
- 情報活用能力の3要素
- ①情報技術の「活用」、②情報技術の「適切な取扱い」、③情報技術の「特性の理解」。①が中核で、②③がそれを支える。 P73
- 情報の領域
- 小学校の総合的な探究の時間に新しく加わる領域。総合を「探究の領域」と「情報の領域」の2つで構成し、情報活用能力を探究の土台として育てる。 P74P77
- 情報・技術科
- 中学校の技術・家庭科の技術分野を独立させてつくる新しい教科。情報の技術を大幅に充実させる(家庭科は独立した教科になる)。 P74
- ミニ探究ユニット
- 「情報の領域」で、情報スキルと探究の手法を小さな単元で集中的に学ぶ仕組み。例:「生成AIの特性やリスクを踏まえた作品制作を行う」。 P77P251
- 情報ブロック
- 「情報の領域」で、探究のプロセスに入れにくい「適切な取扱い」「特性の理解」の内容を独立して学ぶまとまり。3年から6年へ系統的に発展する。 P251
- メディアリテラシー
- 真偽がはっきりしない情報を主体的に吟味・判断し、必要なら判断を保留する力。情報を社会的・文化的な背景の中で批判的に評価し、発信して社会参画する考え方や態度として整理されている。 P248
- クリティカル・シンキング
- 論理的・合理的に考え、自分の考えを振り返りながら、よりよい判断を目指す考え方。情報の吟味に欠かせない。 P248
- AIを使いこなす力
- 単なる操作技能ではなく、AIを適切かつ効果的に活用し、問題を発見・解決したり自分の考えをつくったりしていく力。 P248
- プログラミング的思考(再定義)
- 目的や課題を考え、AIへの指示やプログラミングで解決策を形にし、できたものを論理的・批判的に評価・改善し、責任を持って活用するまでの一連の考え方。 P249
- AIエージェント/フィジカルAI
- AIエージェントは自律的に目的を達成するAI、フィジカルAIはロボットなどをAIで制御する技術。AIの進展の例として挙げられている。 P248
- 偽の熟達(false mastery)
- AIを使った探究などが一見高度に見えても、実際には資質・能力が育っていない状態。 P330
- フィルターバブル/エコーチェンバー
- アルゴリズムなどによって自分に合う情報や似た意見ばかりに囲まれ、価値観がかたよる現象。社会の分断を招きかねない課題とされる。 P4P72
- ELSI
- Ethical, Legal and Social Issues の略。倫理的・法的・社会的課題。AIが引き起こす新しい道徳的課題の例として挙げられている。 P301
- デジタル学習指導要領
- ウェブサイトで提供される次期学習指導要領。キーワード検索や系統の確認ができ、生成AIが読みやすい形式のデータも提供する方向(審議まとめ段階)。 P21
- 数理・データサイエンス・AIのリテラシーレベル
- 数理・データサイエンス・AIを日常の生活や仕事などの場で使いこなせる力。高校卒業生全員に育成することを目指す。 P74
- 情報の妥当性の確認
- 社会科で新しく位置付ける技能。集めた・読み取った・まとめた情報の信ぴょう性を確かめる。 P159
- AIドリル
- AIを使ったデジタルドリル。質のある教材であること、教師の指導助言、子供が自ら学びを調整しながら使うことが前提とされる。 P177
- デジタルデバイド
- デジタル技術を使える人と使えない人の間に生まれる格差。デジタル技術の進展を格差拡大につなげない視点が重要とされる。 P4
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。