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AI特集 × 全教科

全教科のAI活用

「AIを使う」ことは英語だけの話ではありません。審議まとめに書かれている各教科等のAI・デジタル活用の方向性を、教科ごとに整理しました。

もくじ(17項目)
  1. 国語
  2. 社会・地理歴史・公民
  3. 算数・数学
  4. 理科(理数を含む)
  5. 生活
  6. 芸術(音楽・図画工作・美術・書道等)
  7. 家庭
  8. 情報・技術、情報(小学校「情報の領域」を含む)
  9. 体育・保健体育
  10. 外国語活動・外国語
  11. 産業教育(専門教科)
  12. 道徳
  13. 総合的な探究の時間(総合)
  14. 特別活動
  15. 総則(日本語指導・個別の特別の教育課程などを含む)
  16. 特別支援教育
  17. 出典

国語

生成AI時代に「人間ならではの言葉の力」を

AIが言葉を大量につくり、SNSで簡単に発信できる時代だからこそ、言葉の意味を理解し、自分の考えを形にして表現し、他の人の経験や気持ちを理解する「人間ならではの言語能力」を育てるとされています。 P128P130P140資料P46資料P139

AI要約をコピペする実態への対応

検索結果の一番上に出るAIの要約を、よく考えずにそのままコピーする実態が見られます。集めた情報が信頼できるか、妥当かを確かめたうえで、自分で考え・判断し・表現できるように指導することが重要とされています。 P129

生成AIを使う原則:ねらいに合うときに、出力も比べて吟味する

生成AIを含むICTは、発達段階をふまえ、授業のねらいに合うときに使うのが原則です。AIの出力も比べて吟味する対象であること、自分で考えた内容を自分の言葉で説明し責任を持つことを基本にします。 P140

AIの使用に特に慎重であるべき場面

文章の全体をつかむための要約、最初の考えを文章にする活動、書くための構成を考えたり情報を選んだりする活動など、その単元で育てたい力に直結する場面では、AIを不用意に使うことに慎重であるべきだとされています。子供自身が行うべき考える・判断する・表現する過程がAIに置きかわらないよう特に注意します。 P140

評価は「情報を確かめて自分で考えたか」を重視

評価では、集めた情報の信頼性や妥当性を確かめたうえで、それを使って自分で考え・判断し・表現できているかという観点を、当面の基本的な考え方としてより重視するとされています。技術の進展による変化にも対応が必要とされています。 P140

語彙:AIの時代こそ実感のある言葉を

生成AIが発展する中、人間ならではの実感を伴った理解・思考・表現を支える語感を磨き、語彙を豊かにする学習を充実させるとされています。 P136

ICTは特性に応じた学習と多様性の包摂に有効/書写は手書きを重視

ICTは話す・聞く・書く・読む活動で、子供の特性に合った学習をするのに役立ち、多様性の包摂の点でも重要です。一方、タイピングが増えても書写の指導は引き続き重視し、特に小学校では手書きを丁寧に指導するとされています。書字に困難のある子供には、デジタル学習基盤の活用や代わりの方法を積極的に用意します。 P140P141

授業でのヒント
  • AIの出力を「正解」ではなく比べて吟味する教材として扱い、自分の言葉で説明させる(根拠P140)
  • 要約・初発の考えを書く・構成を考える場面は、原則として子供自身に取り組ませ、AIを使う場合も単元のねらいを損なわない方法に限る(根拠P140)
  • 検索のAI要約をそのまま使わず、情報の信頼性・妥当性を確かめてから自分の考えに生かす指導をする(根拠P129、P140)

社会・地理歴史・公民

生成AIやSNSの時代に、情報の真偽を見極める力

生成AIやSNSで大量の情報が簡単に手に入る一方、その真偽や信頼性を判断する力が求められています。資料や情報の真偽・意図・背景をつかみ、信ぴょう性を確かめ、根拠に基づいて自分の考えをつくる力を育てます。 P147

新しい技能「情報の妥当性の確認」

「社会的事象等について調べまとめる技能」の中に、集めた・読み取った・まとめた情報の信ぴょう性を確かめる新しい技能として「情報の妥当性の確認」を位置付ける方向です。総合の「情報の領域」などでの学習と関連させます。図書や新聞の活用も大切とされています。 P159

社会科のAI活用の基本的な考え方

最終的には子供が自分で考え、判断し、成果物の内容を自分の言葉で説明し、責任を持つという考え方のもとで、課題を追究・解決する学習とその評価方法を改善することが当面の基本とされています。 P159

AIに頼った成果物が通用しない評価

AI要約をそのままコピーする子供への指導が足りていない実態があり、最後の評価で自分で考えていない成果物が通用しない工夫が急ぎの課題とされています。例として、口頭試問の要素を入れる、端末のアンケートソフトのテストモードでブラウザを使えない状態にして、根拠を示して自分の考えを書かせる、が挙がっています。 P146P159

ICTを課題追究の学習の基盤に

社会科の教師の端末活用は「資料を大きく映す」「ネットで自由に調べる」が中心で、道具的な使い方にとどまっています。課題把握(統計資料の検索など)、課題追究(根拠資料・原典資料の収集・分析や共有)、課題解決(レポート作成・発表)の各場面で、学習の質を高める基盤としてICTを位置付け直すとされています。 P146P159

内容:生成AIが社会にもたらす意義や影響

内容を見直す視点の一つとして「生成AIをはじめとするデジタル技術の進展が社会にもたらす意義や影響」が挙げられています。高校の科目の内容例にも「生成AIなどデジタル技術の発展が進む社会」が示されています。 P156資料P173

主権者教育:SNSや生成AIが判断に影響

社会参加にあたっては、SNSの影響や生成AIの普及が選択・判断に影響することをふまえる必要があり、情報モラルやメディアリテラシーの重要性がますます高まっているとされています。 P145

AI時代だからこそ地域を題材にした実感ある学習

AIなどの技術がさらに進む中で、身近な題材を扱い実感を持って学ぶことが重要とされ、中学校の新しい接続単元で地域調査を含む学習を進めます。訪問が難しい場合は、1人1台端末で博物館などのデジタルコンテンツを活用する例も示されています。 P160

授業でのヒント
  • 調べ学習では「情報の妥当性の確認」を手順に入れ、出典・意図・背景を確かめさせる(根拠P159)
  • 最終評価に口頭試問を入れたり、テストモードでブラウザを使えない状態で根拠を示して記述させたりする(根拠P159)
  • 生成AIなどデジタル技術が社会にもたらす意義や影響を、学習内容の視点として扱う(根拠P156)

算数・数学

生成AIの時代にこそ数学を学ぶ意味がある

数学の問題解決に生成AIが使われる場面が増え、数学を学ぶ意義を問い直す声もあります。しかし、生成AIで処理した結果が妥当かを確かめるにも、生成AIの仕組みを理解するにも、数学の素養は欠かせません。生成AIに振り回されない批判的思考力のためにも数学的な思考力が必要とされています。 P166

高校:AIを支える数学(行列・微積・確率・統計)を重視

AI技術やデータサイエンスの仕組みを理解し適切に使えるよう、その土台である線型代数学・解析学・確率論・統計学の基礎(行列、微分・積分、確率、統計)を重視するとされています。数学Ⅰに、行列・統計の基礎など、AIやデータサイエンスが進む社会で求められる素養を学ぶ「社会を読み解く数学」を新設する方向です。 P80P167P171資料P221

クリティカル・シンキングの強化

AI技術やデータサイエンスが急速に進む変化の激しい社会では、論理的・批判的に考え判断する力(クリティカル・シンキング)が一層重要なので、数学的推論や証明などの学習を中・高で充実させます。 P167P171

AIドリルの使い方の条件

AIドリルは、①教材として一定の質がある、②教師の適切な指導助言がある、③子供が自分で学びを調整しながら使える、の3つが前提です。そのうえで計画的に使えば、知識を効率よく身に付けられるとされています。家庭学習が難しい子供にAIドリルを配る自治体の例もあります。 P176P177

ICT活用の例と、AIの扱いの機動的な見直し

効果的なICT活用例として、AIによる自動採点やデジタル教材・AIドリルの活用などが挙がり、国が改訂を待たず広く知らせることが重要とされています。学習科学をふまえたAI学習アプリなど新しい動きにも注目し、算数・数学でのAIの扱いは技術の発展に合わせて機動的に見直すとされています。 P177

授業でのヒント
  • AIドリルは「質の確かな教材」「教師の助言」「子供の自己調整」の3条件をそろえて計画的に使う(根拠P177)
  • 生成AIで出した計算や処理の結果を、数学の知識で妥当か確かめる場面をつくる(根拠P166)
  • 高校では行列やベクトルなどを、AI・データサイエンスで使われている基礎として扱う(根拠P80、P167、資料編m2 P221)

理科(理数を含む)

生成AIとデマ・フェイクニュースの時代の科学的な素養

生成AIの発展もあって、非科学的なデマやフェイクニュースがSNSなどで急速に広がっています。だからこそ全ての人に科学的な素養を身に付けさせる理科教育の重要性が高まっており、科学的に探究する従来の「見方・考え方」は引き続き適切だとされています。 P183P185

ICT活用例に「生成AIを適切かつ効果的に利用する」

理科のICT活用は学校や地域で差が大きいので、デジタルとアナログの適切な組み合わせを含む効果的な事例を、国が改訂を待たず広く知らせます。例として、データの記録・蓄積、シミュレーション、センサー、AR/VR、生成AIの適切かつ効果的な利用、ポートフォリオなどが挙がっています。 P191

理数:AIを含むICTの良い使い方と、学びに繋がらない使い方

高校の共通教科「理数」では、探究の学習過程や指導・評価でのICT(AIを含む)の効果的な使い方と、逆に豊かな学びにつながらない使い方を、国が解説などで示す必要があるとされています。特にAIについては、科学的な探究での活用例を示すことも重要とされています。 P196P198

授業でのヒント
  • デマやフェイク情報を題材に、科学的に確かめる方法で真偽を考えさせる(根拠P183、P185)
  • 実験・観察のデータ整理や考察で、生成AIを「適切かつ効果的に」補助として使い、アナログの体験と組み合わせる(根拠P191)

生活

AIで代替できない「実感を伴う知」を育む教科

生活科は、AIで置きかえられない「実感を伴う知」を育てる教科として本質的な意義を整理し直します。第一の柱は「身体性」で、AIを含む仮想空間で情報を受け取るのではなく、体で身近な生活をとらえる体験を出発点にします。 P200P202資料P38

ICTは直接体験の代わりではなく、体験を豊かにする手段

ICTは体験の代わりではないことを前提に、体験・認識・表現の質を高める補助として位置付けるとされています。例えば、AI要約を含む検索で事前に調べてから対象に関わったり、体験して不思議に思ったことをICTで調べたり振り返ったりすることが考えられるとされています。 P209

AI時代だからこそ動物飼育

AI時代には、動物と直接関わり実感を伴って理解する体験として、動物飼育は引き続き重要とされています。 P208

授業でのヒント
  • AI要約を含む検索で事前に調べてから、実際に対象に関わる流れをつくる(根拠P209。低学年では教師が調べて提示する形も。子供が直接使う場合は学校・教育委員会が認めたサービスに限り、年齢制限・保護者の理解を確認し、教師の監督下で、氏名・写真などを入力させない:ガイドラインVer.2.0 P19)
  • 体験後に感じたこと・不思議に思ったことを端末で調べたり振り返ったりして、体験の質を高める(根拠P209)
  • 撮影・拡大・記録など端末の機能を、繰り返しの直接体験を深める補助として使う(根拠P209)

芸術(音楽・図画工作・美術・書道等)

AIの進化の中での芸術の意義

AIの進化などで正解のない問いに向き合う力が求められる中、人間の本来的な能力として芸術の学びの意義が改めて示されています。 P212

生成AIも使うが、表現する過程を安易に委ねない

デジタル学習基盤の活用には生成AIも含みますが、表現する過程などを安易に生成AIに任せることは適切ではないとされています。発達の段階を考え、人間ならではの感性や身体性をもとにした創造的な表現を大切にし、ツールとして適切に使うことが重要です。 P221

デジタルの効果的な活用

鑑賞での作品比較・意見共有・遠隔交流、表現での試行錯誤や記録・保存などに、デジタル学習基盤を生かします。漫画・アニメーション・映像などのメディアによる表現や鑑賞も充実させ、特別なソフトがなくても撮影・描画・加工などの基本機能で端末を活用することが望まれています。 P216P218P221

授業でのヒント
  • 表現の中心部分(発想・表現の過程)は子供自身が行い、生成AIは使わせないか補助にとどめる(根拠P221)
  • 鑑賞で作品を端末で比較・共有し、表現の試行錯誤を記録・保存して振り返る(根拠P221)

家庭

生成AIなどの特性をふまえた情報収集・活用

集めた情報から考え、根拠を持って自分の考えを他の人に伝えるためには、生成AIなどの特性をふまえた適切で有効な情報収集・活用が求められるとされています。デジタル技術の操作そのものを目的にせず、実践的・体験的な活動を通して力を育てる観点で活用を考えます。 P225

家庭科のAI活用の基本的な考え方

子供が自分で考え、判断し、成果物を自分の言葉で説明し、最終的に自分で責任を持つという考えのもと、教師は問題解決的な学習を展開し、評価方法を改善することが当面の基本的な考え方とされています。 P233

1人1台端末を問題解決的な学習の基盤に

端末を問題解決的な学習に必要な学習基盤として位置付けるとされています。例として、調理や製作の様子を動画で撮って分析する、実践の前後を画像で比べる、3Dで住まいの間取りを計画する、が挙がっています。資料編には、AIを活用した情報の収集・整理や、AIを活用した客観的な評価の例も示されています。 P233資料P122

授業でのヒント
  • 調べ学習でAIを使うときは、AIの特性をふまえて情報を確かめ、根拠を持って自分の考えを説明させる(根拠P225、P233)
  • 調理・製作の様子を動画撮影して分析したり、AIを活用して情報を整理したりして、実践を振り返る(根拠P233、資料編m3 P122)

情報・技術、情報(小学校「情報の領域」を含む)

AIの可能性とリスクの両方を学ぶ

AIなどの情報技術は社会のあらゆる活動の基盤になる一方、偽・誤情報の拡散、フィルターバブル、AIが人の認知や判断に与える影響などのリスクもあります。かたより・依存・学習過程の省略(認知的オフロード)などの負の側面を理解し、情報を批判的にとらえて使うメディアリテラシーが不可欠とされています。 P235P236

今の課題:生成AIなど先端技術の内容が明確でない

現行の学習指導要領では、生成AIなどの先端技術に関わる内容がはっきり位置付けられておらず、情報モラルやメディアリテラシーも学校による差が大きいことが課題とされています。 P72P239

中核となる学習内容:メディアリテラシー・AIを使いこなす力・プログラミング的思考

情報の真偽やかたよりを見極めるメディアリテラシー、AIを使いこなす力、プログラミング的思考を、情報活用能力の中核として小・中・高で体系的に整理します。AIの学習は内容項目を横断し、発達段階に応じて扱うとされています。 P248P249

AIを使いこなす力の中身

「AIエージェント」や「フィジカルAI」などAIの進展が速く、子供は検索エンジンなどを通じてすでにAIに日常的に触れています。AIを使いこなす力を、単なる操作ではなく、AIを適切かつ効果的に使って問題を解決したり考えをつくったりする力と捉えます。 P248

小学校「情報の領域」でのAI

適切な取扱いに「AIの適切な利用」を、特性の理解に「AI」を内容のまとまりとして位置付ける方向です。例えば4年生で、情報を発信・再構成する体験を通して、AIの出力も含め情報をうのみにしない姿勢を育てる例が示されています。「生成AIの特性やリスクを踏まえた作品制作を行う」などの「ミニ探究ユニット」も例示されています。 P250P251資料P153資料P162

中学校「情報・技術科」:AIと生産技術

AIやセンシングの発展で情報技術と生産技術を組み合わせた技術が社会に広がっていることから、新しい内容項目「技術の統合」を設ける方向です。データの構造やネットワーク、AI、メディアの特性など基本的な仕組みも学ぶとされています。資料編では、AIを補助として使いながら設計・製作・評価改善する活動例が示されています。 P252P253資料P154資料P172資料P174

高校「情報科」:情報Ⅱに単独の「AI」項目

情報Ⅰは、ネットワークやAIなどの共通的な技術を学ぶ項目を立て、すべての内容項目でAIに関わる特性や適切な取扱いを扱う方向です。情報Ⅱには「社会課題とデータサイエンス」「AI」などの項目を新しく立て、AIの仕組みやガバナンス、AIモデルの構築などを深く学ぶ方向です。 P242P255資料P153資料P180資料P181

資料編:校種別の「AI自体を学ぶ」内容の例

小学校では「AIの出力には誤りやかたよりがある」「AIに頼りすぎない」「最後は人間が判断する」など、中学校では「AIの出力には誤りやかたよりがあり人の判断を尊重する」「権利侵害や悪用のリスク」など、高校ではAIの分析結果がデータやモデルの選び方で変わることなどが例として整理されています。 資料P153

資料編:「AIを活用して学ぶ」考え方

小学校はミニ探究ユニットの中で体験的に使い、中学校はAIを補助的な役割として問題発見や設計・評価改善で使い、高校ではAIの出力を一つの情報として妥当性やかたよりを検討しながら使う、と段階的に整理されています。資質・能力の育成に効果的かどうかを吟味して使うことが前提です。 資料P154

授業での活用例

情報科の活用例として、生成AIとの対話でヒントを得て解決策を考えてプログラムにしたり、作ったプログラムをクラウドで共有して統合・テストしたりして、試行錯誤の回数を増やすことが挙がっています。 P260

授業でのヒント
  • AIの出力をあえて比較させ、誤りやかたよりに気付かせ、うのみにしない姿勢を育てる(根拠P251、資料編m3 P153)
  • 生成AIの特性やリスクをふまえて作品をつくる「ミニ探究ユニット」を実施し、著作権や出典の扱いも考えさせる(根拠P251、資料編m3 P162)
  • プログラミングでAIに指示してコードを作らせても、動作を検証・改善し、責任を持って使うところまでを学習にする(根拠P249)
  • 生成AIとの対話でヒントを得て解決策を考え、クラウドで共有・テストして試行錯誤の回数を増やす(根拠P260)

体育・保健体育

AI時代だからこそ体を通して学ぶ意味

社会の様々な場面でAIの活用が進む今、運動やスポーツで自分の体を通して学び、仲間と楽しさを味わうことは、自分を深く知ることや、体を使いこなして人生を切りひらく「人間ならではの力」を育てるうえで大きな意味があるとされています。 P266資料P201

ICT(生成AIを含む)で学習を見える化

体育・保健でICT(生成AIを含む)を使うと、学習の状況・考えの過程・感覚などを見える化でき、学ぶ機会や学習活動の充実を支えられる強みがあります。資料編では、生成AIとのやり取りによる対話型の振り返りなどが例に挙がっています。 P273資料P212

使うときの注意

自分や他人の体・健康・安全に関する情報を適切に取り扱うこと、実際に体を動かしたり仲間と関わったりする活動を支えるという視点を損なわないことに十分注意する必要があるとされています。 P273

授業でのヒント
  • 運動の後に生成AIとのやり取りで振り返りを深めるが、実際に体を動かす時間を削らない(根拠P273、資料編m3 P212)
  • 動きの記録などの体や健康に関わるデータは、扱い方のルールを決めてから使う(根拠P273)

外国語活動・外国語

AI時代に外国語を学ぶ意味を再定義

AIで手軽に高精度の翻訳ができる中、AIの活用が当たり前の社会を前提に、外国語を学ぶ本質的な意義を整理し直し、目標や内容に反映させます。(詳細は eigo を参照) P277P278

発達段階に応じたAIの適切な活用を学習指導要領に明記

デジタル学習基盤の活用を学習指導要領に明記し、その一つとして発達の段階に応じたAIの適切な活用も位置付けるとされています。AIは人間同士のコミュニケーションを充実させるための手段であるという原則を明確にするとされています。 P278P282P285

授業でのヒント
  • 興味・関心に合わせた例文をAIで作らせ、出力を吟味しながら自分の表現に生かす(根拠P282)
  • AIとの会話練習は、人間同士のコミュニケーションにつなげるための手段として位置付ける(根拠P282)
  • 家庭学習で単純な英作文を出すなど、AI翻訳を提出すれば済む課題にしない(根拠P282)

産業教育(専門教科)

職業に関する全ての教科でAI・データサイエンスを

地元産業でもDXの余地が大きいことなどから、職業に関する全ての教科で、AIやデータサイエンスなど情報技術を活用した学びを充実させるとされています。AIやデータサイエンスを各教科の学びを深める手法として、配慮事項を示すことが重要とされています。 P288P294

専門教科「情報」に「データ・AI分野」

専門教科情報科では、新しい分野として「データサイエンス、AI」に関する分野を設ける方向で科目構成を整理します。 P296

AI活用のリスクへの配慮

AIなどは考えを広げたり深めたりできる一方、生徒の思考を止めてしまい、かえって深い学びの妨げになる可能性もあります。集めた情報の信頼性・妥当性を吟味すること、AIが作った文章や画像に著作権などの課題が生じる場合があることにも十分配慮が必要とされています。 P298

評価:作成過程や口頭試問も

論述やレポート、作品などでAIを使った場合でも、生徒自身が十分考えたかを確かめるため、作成過程の評価を加えたり、口頭試問やプレゼンテーションを組み合わせたりすることが考えられるとされています。 P298P299

授業でのヒント
  • 問いの設定・計画・振り返りの場面でAIやデータサイエンスを使い、深い学びにつなげる(根拠P298)
  • 成果物の評価では作成過程を見たり、口頭試問・プレゼンを組み合わせたりする(根拠P299)
  • 商業の市場調査などで、生成AIを使ってデータの傾向や要因を考察する(根拠資料編m4 P56)

道徳

AIが新しい道徳的課題を生んでいる

AIなどの発展は、偽・誤情報やフィルターバブルによる価値観への影響だけでなく、AIへの過度の依存やELSI(倫理的・法的・社会的課題)など新しい道徳的課題も生んでいます。「AI時代の自らの人生の舵取り」の点からも、道徳教育の重要性が増しているとされています。 P301

道徳科でのAIとの向き合い方

AIをめぐる問いの例として、「何のために、どこまでAIを使うべきか、そもそも何のために学ぶのか」「AIの出力や、AIで個人向けに選ばれた情報をどう受け止め判断するか」が挙がっています。発達段階をふまえ、AIの道徳的課題を教材で扱えることを解説で示し、技術の変化に合わせて見直すとされています。 P314

道徳科でのAIの活用と留意点

AIに異なる立場の意見を出させる実践があり、考えを多面的・多角的にするうえで一定の効果が期待できるとされています。ただし、AIの回答を正解として扱わず道徳的価値との関わりで批判的に吟味すること、自分で考えた後に補助的にAIを使うなど、迷いや葛藤を含めて子供自身が考える機会を確保することが留意点です。 P316P317資料P90

情報モラルの変化

10年前と比べ、AIによる大量の情報生成を含めて、正しい情報と誤情報の見分けが難しくなっていることなどが指摘されています。 P314

授業でのヒント
  • 自分の考えを持った後に、教師がAIに異なる立場の意見を示させ、批判的に吟味させる(根拠P316、P317)
  • 「何のために、どこまでAIを使うべきか」を道徳的な問いとして話し合う(根拠P314)

総合的な探究の時間(総合)

AIが答えを出す時代の「探究」の意義

AIは人間の知的活動のあり方を含め、社会を構造的に変えつつあります。AIが簡単に情報を示す時代に、判断や人生の主導権を持ち続けるためにも、批判的に情報と向き合い、真偽や意味を問い直す力が一層重要とされています。 P319

AIやネットの切り貼りで終わる「調べ学習」の課題

ネット上の情報やAI要約を切り貼りするだけの「調べ学習」に終わる例が見られることが課題とされています。 P76

小学校の総合に「情報の領域」

小学校の総合を「探究の領域」と「情報の領域」の2つで構成し、情報活用能力を探究の基盤として育てます。「生成AIの特性やリスクを踏まえた作品制作を行う」などのミニ探究ユニットも例示されています。 P74P77P329資料P116

「創作系」の探究:AIに操られずクリエイターに

AIなどデジタル技術で、だれでもアイデアを作品にできるようになりました(デジタル技術の民主化)。一方、おすすめされ続けるコンテンツを消費し続ける誘因も増えています。AIに操られず人生を舵取りするため、作品を作り上げる「創作者」としての経験を重ねる「創作系」の探究を進めます。 P324資料P103

総合におけるAIの取扱い

AIは効果的に使える一方、高度に見えても実際は力が育っていない「偽の熟達」のおそれや、認知的負荷の低下・記憶や理解の弱化・批判的思考の低下などの負の影響も議論されています。AIは「仮説を立てる」「論じる」など高度な認知も代わりにできる点が特徴だという指摘もあります。 P330資料P117

AIを使うときに重視すること

AIで得た情報の元になった一次情報(発信者・時期・妥当性)を確かめることに加え、試行錯誤の過程、口頭での説明(その場で説明し質問に答える)、AIに代わりにくい現場体験・協働・実験・観察、AIを使う中で自分の成長を自覚すること、を重視する対応が考えられています。発達段階に応じたAI活用のあり方は、ガイドライン等で示す必要があるとされています。 P330

授業でのヒント
  • AIで得た情報は、元の一次情報の発信者・時期・妥当性を確かめさせる(根拠P330)
  • 探究の成果は、その場で要点を説明し質問に答える口頭発表で確かめる(根拠P330)
  • AIに代わりにくい現地調査・実験・観察・協働を探究の中心に置く(根拠P330)
  • 6年生で「生成AIの特性やリスクを理解して創作しよう」のような単元を行う(根拠P251、資料編m4 P116)

特別活動

「生成AI時代の主権者」を育てる

多様な他者との対話や協働で、ルールづくりや学校生活の改善、行事などに子供が主体となって参画することで、「生成AI時代の主権者」として確かな民主主義の担い手を育てる領域として位置付けを明確にするとされています。 P351P352

AIを含むデジタル学習基盤の活用のあり方を示す

合意形成や意思決定の考え方の整理、学習評価の改善とともに、AIを含むデジタル学習基盤の活用についても具体的なあり方を示すとされています。 P346

特別活動でのAIの活用例と留意点

中学校の生徒会で、総会の議事録をAIでまとめて運営を効率化した例や、いじめ防止月間の企画の練り上げ、ポスターや動画づくりに使った例があります。一方、合意形成や意思決定の主体はあくまで子供であること、誤情報などの負の側面をふまえること、効率化を目的にせずリアルな体験や協働を重視することが留意点とされています。 P362資料P186

授業でのヒント
  • 生徒会の議事録整理や企画の練り上げにAIを使い、話し合いや決定は子供自身が行う(根拠P362)
  • AIを使っても、実際に活動する体験や仲間との協働の時間を減らさない(根拠P362)

総則(日本語指導・個別の特別の教育課程などを含む)

総則にデジタル学習基盤の意義と「個に応じた学習過程」

総則でデジタル学習基盤の意義を示し、これまでの「個に応じた指導の充実」を発展させた「個に応じた学習過程の充実」の中にデジタル学習基盤の役割を位置付けるとされています。 P26P27

日本語指導:生成AIやオンラインの活用

外国人児童生徒などへの日本語指導では、生成AIやオンラインを含むICTの効果的な使い方が明確でないことが課題とされています。AIやオンラインの効果的な活用方法を含む指導内容・方法のガイドラインを令和8年度中に策定する予定とされています。 P53P97

不登校の子供の特別の教育課程:指導計画づくりに生成AI

計画作成の負担を減らし質を高める観点から、生成AIを活用することも含めて検討するとされています。指導計画には子供の心身の状態や家庭の事情など機微な情報が含まれるため、一般向けの生成AIに子供を特定できる情報や支援情報を入力しないことが前提です。使う場合は教育委員会が認め、個人情報の取扱い・セキュリティの条件を満たす環境に限り、AIは様式案や匿名化した一般例の補助にとどめ、最終判断は学校が行います(ガイドラインVer.2.0 P15〜16)。 P375

特異な才能のある子供:AIを使った個に応じた課題

通常の教育課程でも、AIなどデジタル技術を使って異なる課題を与えるなどの工夫で大きな効果を上げることも多いと指摘されています。相談支援で生成AIを補助的に活用することも検討すべきとされています。相談内容には機微な個人情報が含まれうるため、一般向けの生成AIに子供を特定できる情報を入力せず、教育委員会が認めた安全な環境に限ることが前提です(ガイドラインVer.2.0 P15〜16)。 P387P396資料P197

授業でのヒント
  • 外国人児童生徒の日本語学習で、AIやオンラインを効果的に使う(根拠P97。具体的な方法は令和8年度中に策定予定のガイドラインで示される)
  • 特異な才能のある子供に、AIなども使って一人一人に合った高度な課題を用意する(根拠P387)

特別支援教育

デジタル学習基盤は合理的配慮の土台

1人1台端末などのデジタル学習基盤は、障害のある子供の学びの機会を保障し、学びを自分で調整するためにも欠かせないものです。合理的配慮の土台となる基礎的環境整備として、その意義を総則などで明記するとされています。 P117

アクセシビリティ機能や入出力支援装置の活用

アクセシビリティ機能などを十分に使いきれていない学校もあります。障害の状態に応じて、アクセシビリティ機能や入出力支援装置、個別の学習ツールを柔軟に取り入れることを示し、国は分かりやすい活用例を示すとされています。 P117P119

特別支援学校:デジタル学習基盤を前提に

デジタル学習基盤は、障害による困難を改善・克服する道具であると同時に、学習者が主体となって学ぶための道具でもあり、授業内容の理解全般を助けます。改訂ではデジタル学習基盤を前提とし、国は改訂を待たずに効果的な事例を広く知らせるとされています。 P123

授業でのヒント
  • 端末のアクセシビリティ機能や入出力支援装置を、障害の状態に合わせて授業に取り入れる(根拠P117、P119)

出典

出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。