もくじ(12項目)
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ひとことで言うと
領域を5つに再編し、中学校では独立した教科に
- 中学校の技術・家庭科は「情報・技術科」と「家庭科」に分ける方向で、家庭科は独立した教科として新しい目標が検討されます。
- 小・中・高を通して、領域が「家族・家庭と生涯発達」「生活の経営と消費生活」「食生活」「衣生活」「住生活」(いずれも仮称)の5つに再編する案で、一部の内容は学校段階をまたいで移す方向です。
- 高校では、ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動が各領域の中の「生活の課題と実践」(仮称)とし、「家庭総合」には領域を貫く「総合生活実践」(仮称)を加える案です。
校種ごとに、やさしく解説
小学校 家庭はどう変わる?
やさしく言うと家庭科の領域は、小・中・高を通して5つに再編する方向です。「家族・家庭と生涯発達」「生活の経営と消費生活」「食生活」「衣生活」「住生活」(いずれも仮称)です。小学校の「住まいの主な働き」は高校へ移す方向です。小・中学校では、問題解決的な学習の課題を教師が決めてしまう現状が課題とされています。子供が自分で生活の課題を見つける学習を充実させる方向です。
領域を5つに再編
領域を「生活の基盤」と「生活を構成する要素」の2つの観点から整理し、5つにする方向です。基盤は「家族・家庭と生涯発達」「生活の経営と消費生活」、要素は「食生活」「衣生活」「住生活」です(いずれも仮称)。並びは、食育の重要性などから「食・衣・住」の順とされています。 P225P230
教室では、たとえば:今の年間計画を新しい5つの領域で色分けし、どの題材がどこに当たるかを確かめておく、といった準備が考えられます。
布を用いた製作は「基礎」として整理
小学校の「生活を豊かにするための布を用いた製作」は、新しいD領域で整理する例が示されています。名前は「布を用いた製作の基礎」です。布を用いた製作は、小・中・高のつながりをふまえ、知識と技能を段階的に身に付けて使う内容とする方向です。 P226P232
教室では、たとえば:袋づくりでミシン縫いの基礎を学んだあと、自分の生活で使う場面を考えて大きさや形を決める、といった題材が考えられます。
「住まいの主な働き」は高校へ
小学校の「住まいの主な働き」は、全体のつながりを見直す中で、最も効果的に理解できる高校に移す方向です。中学校の「家庭内事故の防ぎ方」も高校へ移す方向です。社会の変化に合わせて内容を充実させつつ、全体の量は増やさず、精選を図る考え方が示されています。 P225P227
教室では、たとえば:住生活の題材計画を点検し、高校へ移る見込みの内容の時間を、ほかの実践にどう充てるか考えておく準備が考えられます。
課題を子供が見つける学習と、新しい評価
小・中学校の問題解決的な学習では、教師主体の課題設定になっている現状が指摘されています。課題を見つけて解決する力を一層育てる方向です。評価では「学びに向かう力」を個人内評価で見取り、「見取る姿」が続けて見られたら「思・判・表」に「○」を付ける方向です。 P223P233
教室では、たとえば:家での1週間の食事をふり返り、子供自身が「朝食に野菜を足したい」などの課題を立てて調理計画を作る授業が考えられます。
中学校 家庭はどう変わる?
やさしく言うと中学校では、技術・家庭科が「情報・技術科」(仮称)と「家庭科」に分かれ、家庭科が独立した教科になる方向です。領域は小・高と同じ5つに再編する方向です。新しいB領域では、金銭の管理と消費者の権利をまとめて学ぶ方向です。住生活では、家全体の中で危険を見付けて対策を考える学習を丁寧に行う方向です。高齢者との関わり方なども充実させる方向です。
家庭科が独立した教科に
今の技術・家庭科は、免許や担当教員は別なのに、評定は一つの教科として付けています。このデメリットが大きいとして、家庭科を独立の教科とする方向が示されました。そのため、家庭科として新しい目標を検討する必要があるとされています。 P74P223
教室では、たとえば:技術分野の先生と、評定や年間計画の分け方を話し合い、家庭科だけの指導計画の案を作っておく準備が考えられます。
お金と消費を新しいB領域でまとめて学ぶ
今の「金銭の管理と購入」と「消費者の権利と責任」を、新しいB領域にまとめる方向です。消費と環境を一体的に学ぶねらいです。高校で扱っていた「生活の営みに必要な金銭」や「生活時間」も中学校に移す方向です。キャッシュレス化への対応なども、発達段階をふまえて扱います。 P227P231
教室では、たとえば:スマートフォン決済の便利さとリスクを比べ、1か月のこづかい計画を立てて見直す、といった授業が考えられます。
住生活は家全体で危険を見付けて対策
中学校の住生活では、間取り図なども使って住まいの空間構成をとらえる方向です。そのうえで、家全体の中で危険を見付けて対策を考え、家庭で実践する一連の学習を丁寧に行います。「家庭内の事故の防ぎ方」は、高校で重点的に学ぶ方向です。 P232
教室では、たとえば:教材用の間取り図を使って、つまずきや転倒の危険がある場所に印をつけて対策を考え、その考えを家庭で家族と話し合う、といった授業が考えられます。自分の家を扱うときは、間取りを提出・共有させない配慮が必要です。
社会の変化に合わせた内容の充実
地域の高齢者が増えていることをふまえ、認知機能などの低下や、状況に応じた関わり方を中学校・高校で扱う方向です。食文化など生活文化の継承を重視する学習も、中学校・高校で扱います。衣服の再利用は、衣服のライフサイクルを考えた選択・活用の一つとして扱う方向です。 P231P232
教室では、たとえば:地域の高齢者の方の話を聞き、聞こえにくさなどに配慮した話し方を考えて交流する、といった授業が考えられます。
高校 家庭はどう変わる?
やさしく言うと高校家庭科も、領域を5つ(家庭総合は6つ)に再編する方向です。ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は、各領域の中の「生活の課題と実践」(仮称)に位置付け直す方向です。家庭総合には、新しいF領域「総合生活実践」(仮称)を設ける案です。家庭基礎と家庭総合の役割の違いもはっきりさせる方向です。家庭総合の履修年次も柔軟にする方向です。
ホームプロジェクトは「生活の課題と実践」に
ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は、形だけになっているとの声もあるとされました。そこで、独立した領域ではなく、各領域の中に「生活の課題と実践」(仮称)として置く方向です。名前は「個人探究」「協働探究」(いずれも仮称)とし、家庭基礎・家庭総合の両方で行います。 P224P228
教室では、たとえば:食生活の学習のあとに、各自が家庭の朝食の課題を選んで改善を試す「個人探究」を組み込む、といった計画が考えられます。
家庭総合に新しいF領域「総合生活実践」
家庭総合には、新しいF領域「総合生活実践」(仮称)を設ける案です。「福祉」「子育て」「防災」「生活文化」「環境」など、5つの領域を貫くテーマの方向性を設定します。ホームルームでテーマを決め、生徒が自ら課題を考えて問題解決的な学習を行う方向です。 P227P232
教室では、たとえば:「防災」をテーマに、非常食の調理や家具の固定などを領域をまたいで調べ、地域に提案する学習が考えられます。
家庭基礎と家庭総合の役割を分ける
家庭基礎は、自分の生活を営み、家庭や地域の生活を支える力を育てる科目と整理されています。家庭総合は、それに加えて生活を多面的にとらえ、地域の生活を向上させる力を育てる科目です。食生活では、家庭基礎は調理実習、家庭総合は調理実験を通した科学的な理解で整理する方向です。 P227P231
教室では、たとえば:家庭総合で、加熱時間を変えて野菜の色や食感を比べる調理実験を行い、理由を科学的に説明する授業が考えられます。
履修の柔軟化とデジタルの活用
家庭総合を複数の年次に分けて履修させる場合に「連続する2か年」とする今の規定は、柔軟な教育課程の妨げになるとして見直す方向です。住生活では、家庭総合で3Dを使って住まいを計画する内容とします。調理や製作の様子を動画で撮って分析するなど、端末の活用例も示されています。 P224P228P232P233
教室では、たとえば:3Dで間取りを作り、高齢の家族も暮らしやすい住まいを計画して、段差や動線について意見を交わす、といった授業が考えられます。
小・中・高で10秒
| 小学校 | 領域を「家族・家庭と生涯発達」「食生活」など5つに再編。「住まいの主な働き」は高校へ |
|---|---|
| 中学校 | 技術・家庭科から「家庭科」が独立した教科に。金銭管理と消費者の権利を新B領域で統合 |
| 高校 | ホームプロジェクト等を各領域の「生活の課題と実践」に。家庭総合に新F領域を追加 |
| 高校の科目 | 科目名・単位数は現行どおり(家庭総合にF領域) |
家庭の授業アイデア(次期を先取り)
主な変更点(審議まとめより)
今の技術・家庭科は、免許や担当教員は別なのに評定は1つの教科として記載しているなどのデメリットが大きいとされました。そこで家庭科を独立の教科とし、技術分野は「情報・技術科」とする方向が示されました。家庭科として新たな目標を検討する必要があるとされています。 P74P223
「生活の基盤」に関する領域として「A 家族・家庭と生涯発達(仮称)」(人に関すること)と「B 生活の経営と消費生活(仮称)」(暮らしの営み方=マネジメント)を置く案です。「生活を構成する要素」に関する領域として「C 食生活(仮称)」「D 衣生活(仮称)」「E 住生活(仮称)」を置き、食育の重要性も踏まえて「食・衣・住」の順に並べる案です。生涯の生活設計と消費生活はB領域で関連付けて扱い、消費者教育や金融経済教育もBに明示する方向です。 P225P230P231
小学校の「住まいの主な働き」と中学校の「家庭内事故の防ぎ方など」は、最も効果的に理解できる高校へ移す方向です。中学校の「金銭の管理と購入」と「消費者の権利と責任」は新しいB領域でまとめ、消費と環境を一体的に学ぶ方向です。高校「家庭総合」にあった「生活の営みに必要な金銭」と「生活時間などの生活資源」は、中学校のB領域「家庭生活と生活資源のマネジメント」に移す方向です。中学校の住生活では、間取り図などで家全体の危険を見付けて対策を考え、家庭で実践する流れを丁寧に行う方向です。 P226P227P232
小学校の「生活を豊かにするための布を用いた製作」は新しいD(2)「布を用いた製作の基礎」に、中学校の同じ項目はD(2)「生活を豊かにする布を用いた製作」に整理する案です。布を用いた製作は、小・中・高のつながりを踏まえ、知識・技能を段階的に身に付けて活用する内容とする方向です。中学校の「衣服等の再利用の方法」は、衣服のライフサイクルを意識した選択・活用の一つとして、必要に応じて製作の学習で取り入れる方向です。 P226P232
独立した領域だった「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」は、学習が形骸化しているという声もあり、中学校と同じように各領域の中に置く形に改め、名称を「生活の課題と実践」(仮称)とする案です。中身は「個人探究(ホームプロジェクト)」(仮称)と「協働探究(学校家庭クラブ活動)」(仮称)とし、「家庭基礎」「家庭総合」のどちらでも実施する方向です。どの領域で取り組むかは年間指導計画に位置付け、生徒の興味・関心に応じて他の領域と関連させる方向です。 P223P228
「家庭総合」だけに、地域の実情を踏まえた生活上の課題に取り組む新領域を設ける案です。教師が「福祉」「子育て」「防災」「生活文化」「環境」などのテーマの方向性を示し、ホームルームでテーマを決めたうえで、生徒が自分で課題を考える流れです。A〜Eの各領域と関連付けて問題解決的な学習を行い、ほかの生徒の実践も踏まえてテーマを5領域を貫いて考え直し、自分の考えをまとめる場面を重視する方向です。 P227P232
今は2科目の目標や内容、教科書の記述に大きな差が見られないという課題がありました。次期では、「家庭基礎」は自分の生活を営み家庭や地域の生活を支える力を育てる科目、「家庭総合」はそれに加えて多面的に生活を捉え、家庭や地域の生活を向上させる力を育てる科目と整理する方向です。例えば食生活では、家庭基礎は調理実習を通した理解、家庭総合は調理実験を通した科学的な理解を深める例が示されています。家庭総合では、地域で他者と協働する実践、被服製作、3Dで住まいを計画する内容なども示されています。 P224P227P231P232
「家庭総合」を複数の年次に分けて学ぶ場合の「連続する2か年において履修させること」という規定は、柔軟な教育課程づくりを難しくしているとして見直す方向です。学習が隔年になっても困らないよう、国が指導計画づくりの留意事項を示すとされています。成年年齢の引き下げに伴う「原則として入学年次とその次の年次の2か年のうちに」という規定は、新しいB領域(生活の経営と消費生活)について明記し、「家庭基礎」の履修年次の規定も引き続き明記する方向です。 P224P228
地域の高齢者が増えていることを踏まえ、認知機能・身体機能・言語機能の低下や状況に応じた関わり方を中学校・高校で学ぶ方向です。高校のA領域を中心に、青年期から自分の健康状態や生活習慣を整える学習を行い、社会保障や奨学金などの社会制度の活用も高校で扱います。キャッシュレス化への対応やリスク管理を踏まえた家計管理など、自立した消費者を育てる学習も発達の段階に応じて扱う方向です。生活文化の継承の観点をより重視する学習は、食生活では中学校・高校で、衣生活・住生活では高校で扱う方向です。 P225P231P232
「学びに向かう力」については、「初発の思考や行動・好奇心」「学びの主体的な調整」「対話や協働」の3要素からなる「見取る姿」を示す予定です。教師は思考・判断・表現の学習過程の中で、これらの姿が続けて発揮されているかを見取り、見取れた場合は「思・判・表」に「○」を付けて一体的に評価します。この部分は個人内評価(他者と比べない評価)として扱う方向です。 P233
今からできる準備
家庭とAI
集めた情報から考え、根拠を持って自分の考えを他の人に伝えるためには、生成AIなどの特性をふまえた適切で有効な情報収集・活用が求められるとされています。デジタル技術の操作そのものを目的にせず、実践的・体験的な活動を通して力を育てる観点で活用を考えます。 P225
子供が自分で考え、判断し、成果物を自分の言葉で説明し、最終的に自分で責任を持つという考えのもと、教師は問題解決的な学習を展開し、評価方法を改善することが当面の基本的な考え方とされています。 P233
- 調べ学習でAIを使うときは、AIの特性をふまえて情報を確かめ、根拠を持って自分の考えを説明させる(根拠P225、P233)
- 調理・製作の様子を動画撮影して分析したり、AIを活用して情報を整理したりして、実践を振り返る(根拠P233、資料編m3 P122)
現行⇔次期 新旧比較
領域(内容)の構成
A 家族・家庭生活/B 衣食住の生活/C 消費生活・環境(高校はさらにD ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動)
A 家族・家庭と生涯発達/B 生活の経営と消費生活/C 食生活/D 衣生活/E 住生活(いずれも仮称)。「家庭総合」のみF 総合生活実践(仮称)を加えた6領域。
中学校の教科の形
技術・家庭科(家庭分野)。免許・担当教員は別だが、評定は1つの教科として記載。
家庭科を独立の教科とし、技術分野は「情報・技術科」とすることが適当とされた。
ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動(高校)
独立した領域として位置付けられている。
各領域の中に位置付ける「生活の課題と実践」(仮称)とし、「個人探究(ホームプロジェクト)」(仮称)と「協働探究(学校家庭クラブ活動)」(仮称)を家庭基礎・家庭総合のどちらでも実施。
「家庭総合」の履修年次
複数年次に分けて履修する場合は原則として連続する2か年。内容のCは原則として入学年次とその次の年次の2か年のうちに取り上げる。
連続2か年の規定を見直し、隔年での実施なども可能に。2か年のうちに取り上げる規定はB領域(生活の経営と消費生活)として明記。
「家庭基礎」と「家庭総合」の違い
科目の目標や学習内容に明確な差異が見いだしにくく、教科書の記述にも大きな差がない。
家庭基礎=生活を営み家庭や地域の生活を「支える」力、家庭総合=多面的に生活を捉え家庭や地域の生活を「向上させる」力を育てる科目として趣旨を明確化。
見方・考え方
「協力・協働」「健康・快適・安全」「生活文化の継承・創造」「持続可能な社会の構築」等の事項を示していた。
家庭科の本質に焦点化して短く示し、小・中・高で統一。上記の要素は「統合的な理解・総合的な発揮」の中で内容に即して示す。
中学校の消費生活の項目
C(1)「金銭の管理と購入」とC(2)「消費者の権利と責任」に分かれている。
新しいB領域で整理・統合し、消費と環境を一体的に学ぶ。思考・判断・表現の指導事項も統合。
現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。
高校の科目構成
科目は「家庭基礎」「家庭総合」のまま(名称変更なし)とする案。標準単位数は家庭基礎2単位→4新単位、家庭総合4単位→8新単位とする案(単位の数え方の変更による。P80・P82)。「家庭総合」のみ新たにF領域「総合生活実践」(仮称)を設け6領域とする案(P227・P230)。
授業時数・単位
中学校で独立させる方向の家庭科の時数は本文に示されていない(総論では、小3以上の教科等から一律3〜4%程度を減じるが現在35コマ以下の教科等からは減じず、具体の数値は今後示すとしている。P79)。高校の家庭基礎は、必履修教科ごとの合計が3新単位以下となる減単が不可のため減単不可とすべきとされた(P47)。家庭総合は「連続する2か年」の履修規定を見直す方向(P228)。
校種ごとのページ・図解アニメ
ほかの教科も見る
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。


