原田英語の日本文化ナビ EN
外国人がビックリする日本冠婚葬祭・人生

2026年11月1日(日)

「服の上から、カイロを貼るの?」

鉄が錆びる熱で、冬を越す国

寒い朝、出かける前に背中や腰に小さな袋を貼る。日本ではごく当たり前のこの習慣が、外国の人にはふしぎに見えるようです。使い捨てカイロの中身は鉄の粉で、鉄が錆びるときに出る熱で温まります。

「服の上から、カイロを貼るの?」 — 鉄が錆びる熱で、冬を越す国

中身は鉄の粉

袋を開けて空気に触れると、カイロは温かくなりはじめます。日本カイロ工業会の説明によると、中の鉄粉が空気中の酸素と結びついて錆びるときの熱を使っています。いっしょに入っている水と塩類は錆びる速さを上げ、活性炭は酸素を集める役目をしています。

火も電池も使わないので、ポケットや服の中に入れたまま持ち歩けます。冬の通勤・通学、屋外のスポーツ観戦、初詣の行列など、外で長く過ごす日に使う人が多いです。

貼るほうが多い

日本カイロ工業会によると、2025年度(2025年6月〜2026年5月)に会員13社が売ったカイロは、海外向けや足もと用も含めて約17億5,300万でした(足もと用は1足を1と数えます)。そのうち、肌着の上に貼るタイプはレギュラーとミニを合わせて約10億7,800万枚で、貼らないタイプ(約4億8,100万枚)の2倍以上です。

外国の人が驚くのは、まさにこの「貼る」ところです。手を温めるハンドウォーマーは多くの国にありますが、服の内側に貼って一日過ごす使い方は、日本に来て初めて見た、という人もいます。

昔は石を温めていた

体を温める道具を懐に入れる習慣は、使い捨てカイロよりずっと古くからあります。温めた石を布で包んで懐に入れる「温石(おんじゃく)」がその一つです。大正時代の1923年には、ベンジンを使って温めるカイロも売り出されました。

袋から出すだけで温まる使い捨てカイロが全国で売り出されたのは1978年です。手軽さから一気に広まり、いまでは冬になると、ドラッグストアやコンビニにずらりと並ぶ品になりました。

低温やけどに注意

便利な反面、気をつけることもあります。日本カイロ工業会は、肌に直接当てない、同じ場所に長く当て続けない、寝るときは特に注意する、と呼びかけています。心地よいと感じる温度でも、長く当て続けるとやけどになることがあるためです。

使い終わったカイロの捨て方は、自治体によって分け方が違います。外国の人に渡すときは、「肌着の上に貼ってね」「寝るときは外してね」とひとこと添えると親切です。

英語で言うと

These are disposable heat packs, and in winter a lot of people here stick one on their undershirt before going out. They contain iron powder, which gives off heat as it rusts, so they stay warm for hours without a battery. Just don't put one directly on your skin or sleep with it on, because you can get a burn even when it only feels pleasantly warm.

これは使い捨てのカイロで、冬になると、出かける前に肌着の上に1枚貼る人が日本にはたくさんいます。中には鉄の粉が入っていて、それが錆びるときに熱を出すので、電池なしで何時間も温かいままです。ただ、肌に直接当てたり、貼ったまま寝たりはしないでください。心地よい温かさでも、やけどをすることがあるからです。

このコラムから、使えるフレーズ

  • Want a heat pack? It warms up a few minutes after you open it.
    カイロいる? 開けて数分で温かくなるよ。
  • This one sticks on, so put it on your undershirt, not your skin.
    これは貼るタイプだから、肌じゃなくて肌着の上に貼ってね。
  • It stays warm for hours.
    何時間も温かいままだよ。
  • Take it off before you go to bed.
    寝る前には外してね。
  • Check the local rules for how to throw it away.
    捨て方は、住んでいる地域のルールを見てね。

この話に出てきた日本文化

ほかのコラム

すべて見る