2026年10月20日(火)
「お金、手渡ししないの?」
レジの小さなトレー「カルトン」の話
日本のコンビニやスーパーで、旅行者が一瞬かたまる場面があります。お札を店員さんに差し出したのに、受け取ってもらえず、レジ横の小さなトレーを指さされるのです。日本では、お金は手から手へではなく、いったんトレーに置くのがふつうです。
置いて、数えて、返す
レジの横にある小さな皿のようなトレーは「カルトン」と呼ばれます。客がそこにお金を置き、店員さんがトレーの上でお札と硬貨を数えます。お釣りも、トレーにのせて返されたり、レシートと一緒に手渡されたりします。
トレーを使うと、いくら払ったのかが客と店員さんの両方の目に見えます。「1万円札を出したはずだ」「いいえ、5千円札でした」という食い違いが起きにくくなります。硬貨が台の上を転がって落ちることも減ります。手と手が触れずに済むので、そのほうが気が楽だという人もいます。
銀行でもおなじみ
「カルトン」は、店や銀行で働く人のあいだでよく使われる呼び方で、ふだんは「お釣りのトレー」「キャッシュトレー」と呼ぶ人も多くいます。銀行の窓口でも、書類やお金をトレーにのせてやり取りすることが多く、日本人にとっては見慣れた道具です。
お釣りを置く皿は海外の店にもあり、日本だけの道具ではありません。ただ、手渡しに慣れた国から来た人にとっては、差し出したお金をすぐに受け取ってもらえないのは意外な体験です。「何か失礼なことをしたかな」と戸惑う人もいます。
トレーの出番は減っている
とはいえ、手渡しが失礼になるわけではありません。トレーを置いていない店もありますし、急いでいるときに直接渡しても、たいていはそのまま受け取ってもらえます。
最近は、客が自分で機械にお金を入れる「セルフレジ」や、お釣りが自動で出てくるレジも増えました。経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済の比率は58.0%でした(この年から使われている新しい指標による値です)。金額で見ると、支払いの半分以上が現金以外ということになります。カルトンが活躍する場面は、少しずつ減っています。
英語では、どう言う?
トレーそのものは、英語では change tray や cash tray と言えば通じます。店で戸惑っている旅行者には、You can put the money on the tray. と声をかけるだけで十分です。
理由を聞かれたら、So you can both see how much you paid. と答えると、いちばん伝わりやすいでしょう。「マナーだから」とだけ言うと、相手は「守らないと失礼になる」と受け取ってしまうかもしれません。
英語で言うと
In Japan, you usually put your money on the little tray by the register instead of handing it to the cashier. That way, you and the cashier can both see the bills and coins being counted, so there's no argument later about how much you paid. Handing it over directly isn't rude, though, and more and more people now pay by card or phone anyway.
日本では、ふつうお金を店員さんに手渡しせず、レジの横の小さなトレーに置きます。そうすれば、お札や硬貨を数えるところを客も店員さんも見られるので、あとで「いくら払ったか」でもめることがありません。ただ、直接渡しても失礼にはなりませんし、いまはカードやスマートフォンで払う人もどんどん増えています。
このコラムから、使えるフレーズ
- You can put the money on the tray.お金はトレーに置いていいですよ。
- They count it on the tray so you can both see it.お互いに見えるように、トレーの上で数えるんです。
- It's not rude to hand it over, but the tray is the usual way.手渡しが失礼なわけではありませんが、トレーに置くのがふつうです。
- Your change will come back on the tray or with the receipt.お釣りは、トレーにのせるか、レシートと一緒に返ってきます。
- A lot of stores here have machines that give you your change.日本では、お釣りが機械から出てくる店も多いです。