2026年10月17日(土)
「日本の車、なんで左を走るの?」
「刀の説」より確かな、決まりができた年の話
レンタカーを借りた旅行者や、来日したばかりの留学生から、まず聞かれる質問があります。「日本はなんで左側通行なの? イギリスのまね?」。よく知られた答えはいくつかありますが、実ははっきりしているのは「いつ決まったか」のほうです。
決まったのは明治
「車も人も左側」という決まりが初めて文字になったのは、1900年(明治33年)の東京です。この年、警視庁が道路取締規則を定め、左側通行を初めて取り入れたとされています。その後、同じ決まりが全国に広がりました。人力車や馬車が増え、ぶつからないための決まりが必要になったころです。
つまり質問への答えは「明治時代に左と決めて、それを今まで変えていないから」です。いちど決めた通行の向きを変えるには、信号も標識も車も作り直すことになるため、どの国でも簡単には変わりません。
「刀の説」は決め手がない
よく聞く理由に「武士は刀を左の腰に差していたので、すれ違うときに刀がぶつからないよう左を歩いた」という説があります。話としては面白いのですが、これが明治の決まりの理由になったと示す資料は見当たらず、諸説の一つにすぎません。
「イギリスにならった」という説も広く言われますが、こちらも裏づけははっきりしていません。外国の人に話すときは「理由には諸説あって、決め手はない」と言うのが正直です。
人は右、沖縄は一夜で
実は、日本の歩行者は右側通行です。終戦直後に交通事故が相次いだことから、1949年(昭和24年)11月1日に「車は左、人は右」の対面交通に変わりました。歩道のない道では、人は右側を歩いて、向かってくる車を見ながら歩くことになっています。
沖縄は、戦後アメリカの統治下で右側通行でした。1972年に日本に復帰したあともしばらく右側のままで、1978年7月30日の朝6時に、県内いっせいに左側通行へ切り替えられました。日付から「ナナサンマル(730)」と呼ばれています。
英語では、どう言う?
「日本は左側通行です」は、In Japan, we drive on the left. で十分伝わります。left-hand traffic という言い方もありますが、会話では drive on the left のほうが自然です。
左ハンドルの国から来た人には、交差点を曲がるときにうっかり右車線に入りやすい、と一言添えると親切です。なお、駅の通路やエスカレーターでどちらに寄るかは、車の決まりとは別で、場所によって違います。
英語で言うと
In Japan, we drive on the left, a rule the Tokyo police first wrote down in 1900 and that later spread to the whole country. You'll hear that it's because samurai wore their swords on the left, but there's no solid proof of that. And here's a surprise: on roads without sidewalks, people walk on the right, so they can see the cars coming toward them.
日本では車は左側を走ります。1900年に東京の警察が初めて文字にした決まりで、のちに全国に広がりました。武士が刀を左に差していたから、という話を聞くと思いますが、確かな証拠はありません。そして意外なことに、歩道のない道では、人は向かってくる車が見えるように右側を歩きます。
このコラムから、使えるフレーズ
- In Japan, we drive on the left, like in the UK.日本は、イギリスと同じで車は左側通行です。
- Be careful when you turn right. It's easy to end up in the wrong lane.右折のときは気をつけてね。うっかり反対の車線に入りやすいから。
- There are a few theories, but nobody really knows why.いくつか説はあるけど、本当の理由はよく分かっていないんだ。
- Cars keep left, but people walk on the right.車は左だけど、人は右側を歩くんだよ。
- Okinawa switched from the right to the left overnight in 1978.沖縄は1978年に、一晩で右側通行から左側通行に切り替えたんだ。