Energy(第5章 勢篇)の挿絵

📕 孫子の兵法 全13章の 5番目 目次 ↓

Energy

第5章 勢篇

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  • 英検1級・ネイティブ目安
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あらすじ大軍を動かすのも少人数を動かすのも、原理は同じです。孫子は「正(まともなやり方)」と「奇(意表をつくやり方)」の組み合わせが無限の変化を生むことを、音・色・味のたとえで語ります。

孫子『孫子の兵法(The Art of War)』第5章(勢篇)、ライオネル・ジャイルズ英訳(1910年)の本文(注釈なし)。底本: Project Gutenberg eBook #17405

キーワード(12語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • instituting設けること
  • brunt(攻撃の)矢面、主力
  • grindstone砥石
  • inexhaustible尽きることのない
  • melodies旋律
  • hues色合い
  • cardinal主要な、基本の
  • torrent急流
  • crossbow弩(いしゆみ)
  • trigger引き金
  • simulated見せかけの
  • momentum勢い
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1. Sun Tzŭ said: The control of a large force is the same principle as the control of a few men: it is merely a question of dividing up their numbers.

1. 孫子は言う。大軍を治めるのも、小勢を治めるのも、原理は同じである。ただ兵をいくつかの部隊に分けるだけのことである。

2. Fighting with a large army under your command is nowise different from fighting with a small one: it is merely a question of instituting signs and signals.

2. 大軍を率いて戦うのも、小勢を率いて戦うのも、少しも変わらない。ただ合図や信号を決めておくだけのことである。

3. To ensure that your whole host may withstand the brunt of the enemy's attack and remain unshaken—this is effected by manœuvers direct and indirect.

3. 全軍が敵の攻撃を正面から受けとめて、少しもゆるがないようにする。それは、「正(正攻法)」と「奇(奇策)」をうまく使い分けることで実現する。

4. That the impact of your army may be like a grindstone dashed against an egg—this is effected by the science of weak points and strong.

4. 自軍が敵にぶつかるとき、砥石を卵に投げつけるように打ち砕く。それは、敵の弱いところと強いところを見抜く「虚実」の術で実現する。

5. In all fighting, the direct method may be used for joining battle, but indirect methods will be needed in order to secure victory.

5. どんな戦いでも、正攻法で敵とぶつかり、奇策で勝つのである。

6. Indirect tactics, efficiently applied, are inexhaustible as Heaven and Earth, unending as the flow of rivers and streams; like the sun and moon, they end but to begin anew; like the four seasons, they pass away but to return once more.

6. 奇策をうまく使う者の手は、天地のように尽きることがなく、大河の流れのように終わることがない。太陽や月のように、沈んではまた昇り、四季のように、過ぎ去ってはまためぐってくる。

7. There are not more than five musical notes, yet the combinations of these five give rise to more melodies than can ever be heard.

7. 音階の音は五つしかない。だが、その組み合わせからは、聞ききれないほど多くの調べが生まれる。

8. There are not more than five primary colours (blue, yellow, red, white, and black), yet in combination they produce more hues than can ever be seen.

8. もとになる色は五つ(青、黄、赤、白、黒)しかない。だが、それを混ぜ合わせると、見きれないほど多くの色合いが生まれる。

9. There are not more than five cardinal tastes (sour, acrid, salt, sweet, bitter), yet combinations of them yield more flavours than can ever be tasted.

9. もとになる味は五つ(酸っぱい、辛い、塩からい、甘い、苦い)しかない。だが、その組み合わせからは、味わいきれないほど多くの味が生まれる。

10. In battle, there are not more than two methods of attack—the direct and the indirect; yet these two in combination give rise to an endless series of manœuvers.

10. 戦での攻め方は、正攻法と奇策の二つしかない。だが、この二つを組み合わせると、限りなく多くの戦法が生まれる。

11. The direct and the indirect lead on to each other in turn. It is like moving in a circle—you never come to an end. Who can exhaust the possibilities of their combination?

11. 正攻法と奇策は、互いに入れ替わり、次々と相手を生み出していく。輪の上を回るように、どこまで行っても終わりがない。その組み合わせの可能性を、誰が汲み尽くせるだろうか。

12. The onset of troops is like the rush of a torrent which will even roll stones along in its course.

12. 兵がどっと攻め寄せる勢いは、激しい急流のようなものである。急流は石さえも押し流していく。

13. The quality of decision is like the well-timed swoop of a falcon which enables it to strike and destroy its victim.

13. 決断の鋭さは、鷹が狙いすまして一気に舞い降りるようなものである。だから獲物を打ち砕くことができる。

14. Therefore the good fighter will be terrible in his onset, and prompt in his decision.

14. だから戦の上手な者は、攻めかかる勢いがすさまじく、決断がすばやい。

15. Energy may be likened to the bending of a crossbow; decision, to the releasing of the trigger.

15. 勢いは、弩(いしゆみ)を引きしぼるようなものであり、決断は、その引き金を引くようなものである。

16. Amid the turmoil and tumult of battle, there may be seeming disorder and yet no real disorder at all; amid confusion and chaos, your array may be without head or tail, yet it will be proof against defeat.

16. 戦いの騒ぎと混乱のさなかで、乱れているように見えても、実は少しも乱れていない。入り乱れた混沌の中で、陣形の頭も尾も分からなくなっているように見えても、決して負けることはない。

17. Simulated disorder postulates perfect discipline; simulated fear postulates courage; simulated weakness postulates strength.

17. 乱れているふりをするには、完全な規律がいる。恐れているふりをするには、勇気がいる。弱いふりをするには、強さがいる。

18. Hiding order beneath the cloak of disorder is simply a question of subdivision; concealing courage under a show of timidity presupposes a fund of latent energy; masking strength with weakness is to be effected by tactical dispositions.

18. 乱れたふりの下に秩序を隠せるかどうかは、部隊の分け方しだいである。臆病なふりの下に勇気を隠すには、内に秘めた力のたくわえがいる。弱いふりの下に強さを隠せるかどうかは、軍の態勢しだいである。

19. Thus one who is skilful at keeping the enemy on the move maintains deceitful appearances, according to which the enemy will act. He sacrifices something, that the enemy may snatch at it.

19. 敵を思いのままに動かすのが上手な者は、わざと偽りの姿を見せる。敵はそれに応じて動く。何かを捨ててみせれば、敵はそれに飛びつく。

20. By holding out baits, he keeps him on the march; then with a body of picked men he lies in wait for him.

20. えさを見せて敵を動かし続け、その間に、えりすぐりの兵を伏せて待ち構えるのである。

21. The clever combatant looks to the effect of combined energy, and does not require too much from individuals. Hence his ability to pick out the right men and utilise combined energy.

21. 戦の上手な者は、軍全体の勢いに頼り、一人ひとりの兵に多くを求めない。だから、ふさわしい人を選び出し、全体の勢いを生かすことができるのである。

22. When he utilises combined energy, his fighting men become as it were like unto rolling logs or stones. For it is the nature of a log or stone to remain motionless on level ground, and to move when on a slope; if four-cornered, to come to a standstill, but if round-shaped, to go rolling down.

22. 全体の勢いを生かすとき、兵士たちは転がる丸太や石のようになる。丸太や石は、平らな地面では止まっているが、坂では動き出す。四角いものは止まってしまうが、丸いものは転がり落ちていく。

23. Thus the energy developed by good fighting men is as the momentum of a round stone rolled down a mountain thousands of feet in height. So much on the subject of energy.

23. だから、戦の上手な者が生み出す勢いは、千尋の高い山から丸い石が転がり落ちる勢いのようなものである。これが「勢」というものである。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

1. 孫子は言う。大軍を治めるのも、小勢を治めるのも、原理は同じである。ただ兵をいくつかの部隊に分けるだけのことである。

2. 大軍を率いて戦うのも、小勢を率いて戦うのも、少しも変わらない。ただ合図や信号を決めておくだけのことである。

3. 全軍が敵の攻撃を正面から受けとめて、少しもゆるがないようにする。それは、「正(正攻法)」と「奇(奇策)」をうまく使い分けることで実現する。

4. 自軍が敵にぶつかるとき、砥石を卵に投げつけるように打ち砕く。それは、敵の弱いところと強いところを見抜く「虚実」の術で実現する。

5. どんな戦いでも、正攻法で敵とぶつかり、奇策で勝つのである。

6. 奇策をうまく使う者の手は、天地のように尽きることがなく、大河の流れのように終わることがない。太陽や月のように、沈んではまた昇り、四季のように、過ぎ去ってはまためぐってくる。

7. 音階の音は五つしかない。だが、その組み合わせからは、聞ききれないほど多くの調べが生まれる。

8. もとになる色は五つ(青、黄、赤、白、黒)しかない。だが、それを混ぜ合わせると、見きれないほど多くの色合いが生まれる。

9. もとになる味は五つ(酸っぱい、辛い、塩からい、甘い、苦い)しかない。だが、その組み合わせからは、味わいきれないほど多くの味が生まれる。

10. 戦での攻め方は、正攻法と奇策の二つしかない。だが、この二つを組み合わせると、限りなく多くの戦法が生まれる。

11. 正攻法と奇策は、互いに入れ替わり、次々と相手を生み出していく。輪の上を回るように、どこまで行っても終わりがない。その組み合わせの可能性を、誰が汲み尽くせるだろうか。

12. 兵がどっと攻め寄せる勢いは、激しい急流のようなものである。急流は石さえも押し流していく。

13. 決断の鋭さは、鷹が狙いすまして一気に舞い降りるようなものである。だから獲物を打ち砕くことができる。

14. だから戦の上手な者は、攻めかかる勢いがすさまじく、決断がすばやい。

15. 勢いは、弩(いしゆみ)を引きしぼるようなものであり、決断は、その引き金を引くようなものである。

16. 戦いの騒ぎと混乱のさなかで、乱れているように見えても、実は少しも乱れていない。入り乱れた混沌の中で、陣形の頭も尾も分からなくなっているように見えても、決して負けることはない。

17. 乱れているふりをするには、完全な規律がいる。恐れているふりをするには、勇気がいる。弱いふりをするには、強さがいる。

18. 乱れたふりの下に秩序を隠せるかどうかは、部隊の分け方しだいである。臆病なふりの下に勇気を隠すには、内に秘めた力のたくわえがいる。弱いふりの下に強さを隠せるかどうかは、軍の態勢しだいである。

19. 敵を思いのままに動かすのが上手な者は、わざと偽りの姿を見せる。敵はそれに応じて動く。何かを捨ててみせれば、敵はそれに飛びつく。

20. えさを見せて敵を動かし続け、その間に、えりすぐりの兵を伏せて待ち構えるのである。

21. 戦の上手な者は、軍全体の勢いに頼り、一人ひとりの兵に多くを求めない。だから、ふさわしい人を選び出し、全体の勢いを生かすことができるのである。

22. 全体の勢いを生かすとき、兵士たちは転がる丸太や石のようになる。丸太や石は、平らな地面では止まっているが、坂では動き出す。四角いものは止まってしまうが、丸いものは転がり落ちていく。

23. だから、戦の上手な者が生み出す勢いは、千尋の高い山から丸い石が転がり落ちる勢いのようなものである。これが「勢」というものである。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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In all fighting, the direct method may be used for joining battle, but indirect methods will be needed to secure victory.

凡そ戦いは、正を以て合し、奇を以て勝つ。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. How many musical notes are there, according to Sun Tzu?

Q2. What can energy be compared to?

Q3. How many methods of attack are there in battle?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

📕 孫子の兵法 The Art of War

全13章・10,880語。1章ずつ、音声と全訳つきで読めます。

目次(全13章)
  1. 第1章 計篇 636語
  2. 第2章 作戦篇 599語
  3. 第3章 謀攻篇 690語
  4. 第4章 形篇 485語
  5. 第5章 勢篇 668語
  6. 第6章 虚実篇 1,050語
  7. 第7章 軍争篇 917語
  8. 第8章 九変篇 426語
  9. 第9章 行軍篇 1,224語
  10. 第10章 地形篇 999語
  11. 第11章 九地篇 1,898語
  12. 第12章 火攻篇 542語
  13. 第13章 用間篇 746語

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