やり方・コツ

聞き読み(音声つき多読・多聴)の効果とやり方

多読に音声を組み合わせる「聞き読み」は、読む力と聞く力を同時に育てる方法です。この記事では、聞き読みにどんな効果があるのかを研究から紹介し、だれでも今日からできる具体的なやり方を説明します。

聞き読み・多聴とは

  • 聞き読み(reading while listening):英文を目で追いながら、同じ文の音声を聞く方法。「音声つき多読」とも呼ばれます
  • 多聴(extensive listening):やさしい英語の音声を、たくさん聞く方法。文字を見ずに音だけで聞くことが多い
  • 黙読:音声なしで、黙って読む。ふつうの多読

この3つは対立するものではありません。同じ話を「黙読→聞き読み→音だけ」のように組み合わせると、一つの話から何度も学べます。

研究でわかっている聞き読みの効果

リスニングの流暢さが伸びた

Chang & Millett(2014)は、学習者を3つのグループに分け、13週間で初級(レベル1)のグレーデッド・リーダー10冊を、それぞれ「読むだけ」「聞き読み」「聞くだけ」で学ばせました。その後、同じ速さの音声を1回だけ聞いて答えるテストをしたところ、聞き読みのグループが最も安定した、はっきりとした伸びを示しました。音声と文字を一緒に使うことが、聞く力を育てるのに役立つことを示す結果です。

単語は「聞くだけ」より「読む・聞き読み」で残りやすい

Brown, Waring & Donkaewbua(2008)は、物語を「読む」「聞き読みする」「聞くだけ」の3つの方法で、新しい単語がどれだけ身につくかを比べました。どの方法でも単語は学べましたが、多くの語は身につきませんでした。3か月後に意味を思い出せたのは、読む・聞き読みでは平均28語中1語ほど、聞くだけでは0語でした。音だけで新しい単語を覚えるのはむずかしく、文字があると助けになることがわかります。

音声つきで多読を続けると、単語も伸びる

台湾の学習者がグレーデッド・リーダー10冊を読みながら聞いた研究(Webb & Chang, 2015)では、対象の単語の相対的な伸びは、読み終わった直後で約44%、3か月後でも約37%でした。1冊ではなく、何冊も続けて音声つきで読むことで、単語の学習が積み上がることがうかがえます。

聞き読みのよいところ

  • 音と文字が結びつく:知っているつもりの単語の「本当の発音」に気づける
  • 英語のリズムや区切りがわかる:どこで区切って、どこを強く読むかが耳から入る
  • 読むスピードを一定に保てる:音声が先に進むので、同じ文を何度も読み返すくせ(返り読み)を減らせる
  • 集中しやすい:目と耳の両方を使うので、ぼんやり読みになりにくい
  • リスニング問題への慣れ:英検・共通テストなどのリスニングの土台になる(→多読は英検・TOEIC・大学入試に効く?)

聞き読みのやり方:基本の3ステップ

ステップ1:まず黙読する

いつもの多読と同じように、辞書を使わずに話を読みます。話の筋をつかんでおくと、音声に集中できます。やさしい話なら、このステップは飛ばしてもかまいません。

ステップ2:音声を流しながら目で追う(聞き読み)

音声に合わせて、文字を目で追います。ポイントは音声に遅れないこと。わからない語があっても止めずに、音声と一緒に進みます。

ステップ3:文字を見ずに音だけで聞く(多聴)

内容がわかっている話を、今度は音だけで聞きます。通学中や家事の合間に聞くのもおすすめです。聞き取れないところがあったら、もう一度聞き読みに戻ります。

レベルの選び方:黙読より1つ下が目安

音声は一定の速さで進むので、黙読で「少しむずかしい」と感じる話は、聞き読みではついていけません。黙読のレベルより1つやさしいレベルから始めましょう。たとえば黙読で L2 を読んでいる人は、聞き読みは L1 から始めると安心です。

参考までに、英語を母語とする大人が声に出して読む速さは、平均で1分に183語ほどと報告されています(Brysbaert, 2019)。多読を始めたばかりの学習者の黙読の速さ(たとえば1分60〜100語)よりかなり速いので、音声についていけないのは自然なことです。最初はやさしい話で、速さに慣れていきましょう。

聞き読みの1週間メニュー(1日15分)

  • 月:新しい話を1つ黙読(5分)→ 聞き読み2回(10分)
  • 火:月曜の話を音だけで聞く(5分)→ 新しい話を聞き読み(10分)
  • 水:新しい話を黙読→聞き読み
  • 木:月〜水の話を音だけで続けて聞く
  • 金:新しい話を聞き読み
  • 土:お気に入りの話を聞き読み → 余裕があれば音読(→シャドーイングと音読)
  • 日:お休み、または好きな話を音だけで

聞き読みした語数は、目で文字を追っていたなら読んだ語数として記録してよいでしょう(→100万語多読への道)。

うまくいかないときの対処法

  • 音声についていけない:レベルを下げる。再生速度を0.8倍くらいに落とすのも一つの方法です。慣れたら通常の速さに戻しましょう
  • 文字を追うのに必死で内容が入らない:先に黙読して話の筋をつかんでから聞き読みする
  • 音だけだと何もわからない:音だけで聞くのは、聞き読みで内容を知っている話にする
  • 眠くなる:1回を短くする。1話数分の短い話から

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まとめ

  • 聞き読みは、読む力と聞く力を同時に育てる方法。研究でもリスニングの流暢さや単語の学習に役立つことが示されている
  • 黙読→聞き読み→音だけ、の順に組み合わせると、一つの話を何度も楽しめる
  • レベルは黙読より1つやさしく。音声に遅れずについていくことを優先する

多読全体の進め方は英語多読とは?完全ガイドをごらんください。

よくある質問

聞き読みと黙読、どちらを優先すべきですか?

どちらも大切です。読む量を稼ぐには黙読、リスニングや発音も伸ばしたいなら聞き読みが向いています。1日の中で両方を組み合わせるのがおすすめです。

聞き読みで音声の速度を落としてもいいですか?

最初は落としてかまいません。ただし、ゆっくりすぎると自然な英語のリズムが崩れるので、0.8倍くらいまでにして、慣れたら通常の速さに戻しましょう。

音だけで聞く多聴は、いつから始めればいいですか?

最初は聞き読みや黙読で内容を知っている話を、音だけで聞くことから始めましょう。知らない話を音だけで聞くのは、聞き読みに慣れてからで十分です。

聞き読みした分も語数に数えていいですか?

文字を目で追いながら聞いたなら、読んだ語数に数えてよいでしょう。音だけで聞いた分は「聞いた語数」として別に記録すると、聞く量も見えるようになります。

参考文献

  1. Chang, A. C.-S., & Millett, S. (2014). The effect of extensive listening on developing L2 listening fluency: Some hard evidence. ELT Journal, 68(1), 31–40. doi.org/10.1093/elt/cct052
  2. Brown, R., Waring, R., & Donkaewbua, S. (2008). Incidental vocabulary acquisition from reading, reading-while-listening, and listening to stories. Reading in a Foreign Language, 20(2), 136–163. doi.org/10.64152/10125/66816
  3. Webb, S., & Chang, A. C.-S. (2015). Second language vocabulary learning through extensive reading with audio support: How do frequency and distribution of occurrence affect learning? Language Teaching Research, 19(6), 667–686. doi.org/10.1177/1362168814559800
  4. Brysbaert, M. (2019). How many words do we read per minute? A review and meta-analysis of reading rate. Journal of Memory and Language, 109, 104047. doi.org/10.1016/j.jml.2019.104047

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