素材・ツール

無料で多読:パブリックドメインの本・無料サイト・音声素材の使い方

英語多読は、お金をかけなくても始められます。インターネット上には、自由に読めるパブリックドメインの本や、無料の学習者向け読み物、音声素材がたくさんあります。この記事では、代表的な無料素材の特徴と使い方を、著作権・ライセンスの基本とあわせて紹介します。

まずは「レベル」を考える

無料素材を使うときにいちばん大切なのは、自分のレベルに合っているかです。無料の名作は魅力的ですが、19世紀の小説の原文は、学習者にとってはかなり難しい英語です。

  • 初級〜中級:学習者向けにやさしく書かれた素材(多読ベスト、VOA Learning English、ER Central、子ども向け絵本サイトなど)
  • 上級:パブリックドメインの原書(Project Gutenberg、Standard Ebooks)と、その朗読(LibriVox)

自分のレベルがわからない人は、レベル診断から始めましょう。

著作権とライセンスの基本

無料で読める素材には、大きく分けて次の種類があります。

パブリックドメイン(PD):著作権の保護期間が終わったり、権利者が権利を放棄したりして、誰でも自由に使える状態の作品です。ただし、保護期間は国によって違います。日本では、2018年12月30日の法改正で、保護期間が原則「著作者の死後50年」から「死後70年」に延びました。すでに保護期間が切れていた作品は延長の対象にならず、そのままです。また、一部の国の作品には「戦時加算」という特別なルールもあります。アメリカで PD の作品が、日本でも必ず PD とはかぎらないことを覚えておきましょう。

クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス:作者が「この条件を守れば自由に使ってよい」と前もって示しているものです。代表的な CC BY は「作者などのクレジット(表示)をすれば、コピー・改変・再配布・商用利用もできる」というライセンスです。

無料で公開されているが、著作権は残っているもの:多くの学習サイトの読み物は、読むのは無料でも、勝手にコピーして配ることはできません。

個人で読む・聞くだけなら、どの素材も安心して使えます。授業で配る、ブログに載せるなどコピーや再配布をするときだけ、ライセンスを必ず確認してください。

Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルク)

公式サイトによると、7万5,000冊以上の無料の電子書籍を公開しているオンライン図書館です。ほぼすべての作品はアメリカでパブリックドメインのものです。公式のライセンス文には、アメリカ国外の人は自分の国の法律も確認するように、と書かれています。

  • 向いている人:原書に挑戦したい中上級者
  • 使い方:作品ページから、EPUB や Kindle 用の形式、テキストなどを選んでダウンロードできます。
  • 注意:「Project Gutenberg」は登録商標で、再配布するときにはライセンスの条件があります。個人で読むぶんには気にしなくて大丈夫です。

多読ベストのイソップ原文312話も、Project Gutenberg の電子書籍 #21(タウンゼンド訳、1867年)を底本にしています。

LibriVox(リブリボックス)

パブリックドメインの本を、ボランティアが朗読した無料のオーディオブックです。公式サイトによると、非営利・広告なしのプロジェクトで、録音自体もパブリックドメインとして公開されています。

  • 向いている人:原書の聞き読みをしたい人
  • 使い方:Project Gutenberg の本文と、同じ作品の LibriVox の朗読を組み合わせると、無料で「本+音声」がそろいます。
  • 注意:読み手はボランティアなので、声の聞きやすさや読む速さは作品によってかなり違います。何人かの朗読を聞き比べて、聞きやすい人を選びましょう。

Standard Ebooks(スタンダード・イーブックス)

ボランティアが、パブリックドメインの作品を読みやすく、ていねいに組み直して無料で公開している電子書籍サイトです。公式サイトによると、本文と表紙はアメリカでパブリックドメインと考えられるもので、Standard Ebooks 自身の作業は CC0(権利を放棄して誰でも使えるようにする宣言)で公開されています。

  • 向いている人:原書を電子書籍リーダーできれいに読みたい人
  • ポイント:古い本のスキャンにありがちな読みにくさが少なく、目次やレイアウトが整っています。

VOA Learning English

アメリカ政府が出資する国際放送 VOA(Voice of America)の、英語学習者向けサイトです。ニュースや物語を、やさしい英語と、ゆっくりした音声で提供しています。Beginning・Intermediate・Advanced のレベル分けがあり、アメリカの名作短編を朗読する American Stories などのシリーズもあります。

公式サイトの利用条件では、Learning English のテキスト・MP3・写真・動画はパブリックドメインで、クレジットを付ければ教育目的や商業目的でも転載できると書かれています。ただし、AP、ロイター、AFP などの通信社の記事・写真・映像は著作権があり、転載できないので注意してください。

ER Central

多読・多聴のための無料サイトです。公式サイトによると、無料で登録でき、読み物は 20のレベルに分かれ、数千の読み物と1,000以上のリスニング教材があります。読んだあとに内容を確認する問題もあります。

子ども向けの無料絵本サイト

  • StoryWeaver:インドの非営利出版社 Pratham Books が運営する多言語の絵本プラットフォームです。多くの絵本は CC BY 4.0 で公開され、無料で読んだりダウンロードしたりできます。作品ごとのライセンス表示を確認しましょう。
  • Global Storybooks:多言語の絵本を、文字と音声で楽しめる無料サイトです。公式の FAQ によると、物語は語数で5段階(Level 1は75語まで、Level 5は800語以上)に分かれ、すべてのコンテンツがオープンライセンスで公開されています。大人の学習者にも役立つと書かれています。
  • Oxford Owl:オックスフォード大学出版局のサイトで、無料登録をすると3〜11歳向けの電子書籍が読めます。

無料素材の組み合わせ方(レベル別)

  • 入門(L0〜L1):多読ベストの L0・L1、Global Storybooks の Level 1〜2、Oxford Owl
  • 初級(L2〜L3):多読ベストの L2・L3、VOA Learning English の Beginning、ER Central のやさしいレベル
  • 中級(L4〜L5):多読ベストの L4・L5、VOA の Intermediate・American Stories
  • 上級(L6):多読ベストの原文で読む名作、Project Gutenberg や Standard Ebooks の原書+ LibriVox の朗読

原書へのステップは名作を原文で読むためのステップで詳しく説明しています。サイトごとの詳しい紹介は無料多読サイト大特集もどうぞ。

多読ベストの無料素材について

多読ベストの読み物は、パブリックドメインの物語(イソップ、昔話、神話、名作など)をもとに、レベルに合わせて新しく書き直した英文です。すべて無料で読めます。原文(L6)はパブリックドメインの本文をそのまま使っています。読んだ量は読書記録・100万語メーターに記録できます。

まとめ

無料素材だけでも、入門から原書まで多読を続けることは十分に可能です。ポイントは、自分のレベルに合った素材を選ぶことと、コピーや配布をするときはライセンスを確認することの2つです。

よくある質問

Project Gutenberg の本は日本でも自由に使えますか?

個人で読むぶんには問題ありません。ただし、Project Gutenberg はアメリカでパブリックドメインの作品を中心に公開しており、公式のライセンス文でもアメリカ国外の人は自国の法律を確認するよう書かれています。コピーや再配布をするときは、日本での保護期間も確認してください。

CC BY とは何ですか?

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのひとつで、作者などのクレジットを表示すれば、コピー・改変・再配布・商用利用ができるという条件です。StoryWeaver の多くの絵本は CC BY 4.0 で公開されています。

無料の素材だけで英語力は伸びますか?

伸ばせます。大切なのは素材の値段ではなく、自分のレベルに合った英文を大量に読むことです。多読ベストや VOA Learning English などのやさしい素材から始め、少しずつ原書に近づいていきましょう。

VOA Learning English の記事を授業で配ってもよいですか?

公式の利用条件では、Learning English のテキスト・MP3・写真・動画はパブリックドメインで、クレジットを付ければ転載できるとされています。ただし、AP・ロイター・AFP などの通信社の素材は著作権があり転載できないので、配る前に確認してください。

参考文献

  1. Project Gutenberg. About Project Gutenberg. 2026年10月確認. www.gutenberg.org/about/
  2. Project Gutenberg. The Project Gutenberg License. 2026年10月確認. www.gutenberg.org/policy/license.html
  3. LibriVox. About LibriVox. 2026年10月確認. librivox.org/pages/about-librivox/
  4. Standard Ebooks. About Standard Ebooks. 2026年10月確認. standardebooks.org/about
  5. VOA Learning English. 利用条件(Terms of use / copyright). 2026年10月確認. learningenglish.voanews.com/p/6861.html
  6. ER Central. 2026年10月確認. www.er-central.com/
  7. Pratham Education Foundation (2020). StoryWeaver と Pratham の無料絵本(CC BY 4.0). 2026年10月確認. pratham.org/2020/11/16/9859/
  8. Global Storybooks. FAQ. 2026年10月確認. globalstorybooks.net/faq/
  9. カレントアウェアネス・ポータル(国立国会図書館). E2119「著作権延長後の世界で、我われは何をすべきか」報告. 2026年10月確認. current.ndl.go.jp/e2119

読んだら、さっそく1冊。無料・登録なし・音声つき。

1分レベル診断Level 0 から読む

あわせて読みたい