読む速さ(WPM)の測り方と伸ばし方
多読を続けると、英語を読むスピードが上がっていきます。その伸びを数字で確かめられるのが WPM(words per minute)です。この記事では、WPM の測り方、目安、そして速さを伸ばすための具体的な方法を説明します。
WPM とは
WPM(words per minute)は、1分間に読める英語の語数です。たとえば300語の文章を3分で読めば、100 WPM です。
計算式は次のとおりです。
- WPM = 語数 ÷ かかった秒数 × 60
例:420語の話を3分30秒(210秒)で読んだ場合、420 ÷ 210 × 60 = 120 WPM
なぜ読む速さが大切なのか
- 読む量が増える:同じ30分でも、60 WPM なら1,800語、120 WPM なら3,600語読めます。速さが2倍なら、多読の量も2倍です
- 理解しやすくなる:1語ずつ止まりながら読むと、文の初めを忘れてしまい、意味がつかみにくくなります
- 試験で時間が足りる:長文の多い試験では、読む速さがそのまま得点に影響します(→多読は英検・TOEIC・大学入試に効く?)
WPM の測り方(多読ベストを使う方法)
- ① 今のレベルの話を選ぶ:初めて読む話で、レベル診断で決めた、楽に読めるレベルのもの。多読ベストの読み物は語数が表示されているので計算が簡単です
- ② ストップウォッチを用意する:スマホのストップウォッチで十分です
- ③ ふつうに読む:「速く読もう」と力まず、内容を理解しながら、いつもの多読の読み方で読みます
- ④ 読み終わった時間を記録する:秒まで記録します
- ⑤ 理解を確かめる:話の最後のクイズに答えたり、話の筋を一言で言ってみたりします。内容がわかっていなければ、その速さは「本当の速さ」ではありません
- ⑥ 計算して記録する:語数 ÷ 秒数 × 60。日付・レベル・WPM を読書記録やノートに書いておきます(→読書記録のつけ方)
正しく比べるための3つの注意
- 同じくらいのレベルの文章で比べる:むずかしい文章では速さが落ちるのは当然です
- 初めて読む文章で測る:一度読んだ話は速く読めてしまいます
- 1回の数字に一喜一憂しない:体調や話題で変わります。3回くらいの平均で見ましょう
WPM の目安
英語を母語とする大人
190の研究(参加者18,573人)をまとめた Brysbaert(2019)によると、英語を母語とする大人が黙読する速さは、平均でノンフィクション238 WPM、物語260 WPMです。多くの大人は、ノンフィクションで175〜300 WPM、物語で200〜320 WPM の範囲に入ります。また、英語を第二言語とする読み手の速さは、母語の読み手より遅いことも報告されています。この論文では、これまで研究や一般向けの本でよく引用されてきた数字は、実際の平均より高すぎるとも指摘されています。
学習者の目安(多読ベストの考え)
研究で決まった基準ではありませんが、多読の目安として次のように考えるとよいでしょう。
- 〜60 WPM:1語ずつ訳しながら読んでいる段階。やさしいレベルをたくさん読もう
- 60〜100 WPM:多読を始めたばかりの段階の目安
- 100〜150 WPM:英語を英語のまま、すらすら読めている段階
- 150 WPM 以上:かなり速い。長い本や原書も楽しめるようになってくる
大切なのは、他人と比べることではなく、自分の速さが少しずつ伸びていくことです。
多読で読む速さは伸びるのか:研究から
- 日本の大学1年生(Beglar, Hunt & Kite, 2012):97人を1年間調べた研究で、多読をしたグループはすべて、精読中心のグループより読む速さが大きく伸びました。たくさん読んだグループほど伸びが大きく、2週間に1冊以上読むことが多くの学習者に効果的でした。速くなっても理解度は高いままで、やさしく書きかえた本を読んだほうが速さが伸びたことも報告されています。
- 日本の看護系の大学1年生(Huffman, 2014):1学期間の比較で、多読のクラスは読む速さが平均 20.73 WPM 伸びたのに対し、精読のクラスは −0.62 WPM とほとんど変わりませんでした(参加者66人)。理解度は下がっていませんでした。
- 日本の高校生(Iwahori, 2008):グレーデッド・リーダーやマンガを使った多読で、読む速さと総合的な英語力が伸びたことが報告されています。
- 韓国の大学生(Suk, 2017):週100分の精読の授業のうち30分を多読に置きかえたクラスは、精読だけのクラスより、読解・読む速さ・語彙のすべてで上回りました。
読む速さを伸ばす5つのコツ
1. やさしい本をたくさん読む
いちばん確実な方法です。むずかしい本では、どうしても止まったり読み返したりしてしまいます。楽に読める本で「速く読む」経験を積むことが、速さの土台になります(→レベルの選び方)。
2. 日本語に訳さない
英文を頭の中で日本語に訳すと、その分時間がかかります。英語の語順のまま、「だれが・どうした・何を・どこで」と前から意味をとっていきましょう。
3. 返り読みをしない
同じ文を何度も読み返すくせは、速さを大きく落とします。わからないところがあっても先へ進むと、たいていは後でわかります(→多読三原則)。
4. 意味のかたまりで読む
1語ずつではなく、「in the morning」「the old man」のような意味のかたまり(チャンク)で目を動かすと、速く楽に読めます。
5. 音声を使う
音声を聞きながら読む「聞き読み」は、音声が一定の速さで進むので、返り読みを防ぎ、速く読む感覚をつかむ助けになります(→聞き読みの効果とやり方)。
やってはいけない「速読」
- 理解をあきらめて目だけ速く動かす:内容がわからなければ意味がありません。クイズや要約で理解を確かめましょう
- むずかしい本を無理に速く読む:疲れるだけで、力はつきにくい
- 毎日測る:数字ばかり気にすると、読書が楽しくなくなります。月に1回程度で十分です
記録のつけ方の例
- 4月1日:L2、イソップの1話、350語、3分20秒 → 105 WPM、内容◎
- 5月1日:L2、別の話、380語、3分00秒 → 127 WPM、内容◎
- 6月1日:L3、別の話、600語、5分30秒 → 109 WPM、内容○(レベルが上がったので速さは少し下がった)
このように、レベルも一緒に記録しておくと、速さとレベルの両方の成長がわかります。レベルを上げた直後に速さが下がるのは自然なことです。
まとめ
- WPM = 語数 ÷ 秒数 × 60。同じレベルの初めて読む文章で、月1回くらい測る
- 英語を母語とする大人の黙読の平均は約240〜260 WPM。学習者は100〜150 WPM でもすらすら読めている
- 多読で読む速さが伸びることは、日本の学習者を対象にした研究でも確かめられている。カギはやさしい本をたくさん読むこと
多読全体の進め方は英語多読とは?完全ガイドをごらんください。
よくある質問
何 WPM あれば英検や TOEIC に十分ですか?
試験の種類や設問によって必要な速さは変わるので、一つの数字では言えません。ただ、長文を時間内に読み切るには、楽なレベルの英文を100 WPM 以上で読めることが一つの目安になります。
速く読もうとすると内容がわからなくなります。
無理に速く読む必要はありません。多読では、ふつうに理解しながら読む速さが自然に上がっていくのを待ちます。速く読めないときは、レベルを1つ下げてみてください。
WPM はどのくらいの頻度で測ればいいですか?
月に1回程度で十分です。毎日測ると数字ばかり気になって楽しくなくなります。同じくらいのレベルの、初めて読む文章で測りましょう。
レベルを上げたら WPM が下がりました。
自然なことです。新しいレベルに慣れると、また速さは戻ってきます。記録にはレベルも一緒に書いておき、同じレベル同士で比べましょう。
参考文献
- Brysbaert, M. (2019). How many words do we read per minute? A review and meta-analysis of reading rate. Journal of Memory and Language, 109, 104047. doi.org/10.1016/j.jml.2019.104047
- Beglar, D., Hunt, A., & Kite, Y. (2012). The effect of pleasure reading on Japanese university EFL learners’ reading rates. Language Learning, 62(3), 665–703. doi.org/10.1111/j.1467-9922.2011.00651.x
- Huffman, J. (2014). Reading rate gains during a one-semester extensive reading course. Reading in a Foreign Language, 26(2), 17–33. doi.org/10.64152/10125/66879
- Iwahori, Y. (2008). Developing reading fluency: A study of extensive reading in EFL. Reading in a Foreign Language, 20(1), 70–91. doi.org/10.64152/10125/66626
- Suk, N. (2017). The effects of extensive reading on reading comprehension, reading rate, and vocabulary acquisition. Reading Research Quarterly, 52(1), 73–89. doi.org/10.1002/rrq.152
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