読書記録のつけ方(語数・感想・レベル)
多読を長く続けている人の多くが、読んだ本の記録をつけています。記録は、成長を目に見える形にし、次に読む本を選ぶヒントにもなります。この記事では、何をどう記録すればよいか、例を挙げて説明します。
なぜ読書記録をつけるのか
- 成長が目に見える:語数が1万、10万と増えていくのは大きなはげみになります
- 自分に合うレベルがわかる:「このレベルは楽だった」「これは少しきつかった」という記録が、レベル選びの材料になります
- 好きなジャンルがわかる:楽しかった本の傾向から、次の本を選べます
- ふり返りができる:数か月前の記録と比べると、同じレベルが楽に読めるようになっていることに気づけます
多読研究で有名なデイとバンフォードの原則にも、教師は生徒が何をどれだけ読み、どう感じたかを把握して導くとあります。一人で多読をする人は、記録をつけることで、自分で自分を導くことができます。
記録する項目
必ず記録したい項目
- 日付
- タイトル
- レベル(多読ベストのレベル、YL、グレーデッド・リーダーのレベルなど)
- 語数(その本・話の総語数)
- 累計語数(これまでの合計)
できれば記録したい項目
- 一言感想(★の数や「おもしろい」「ふつう」でもOK)
- 読みやすさ(楽/ちょうどよい/きつい)
- 読み終えたか(読了/途中でやめた)
ときどき記録する項目
- かかった時間とWPM(月に1回くらい。→読む速さ(WPM)の測り方と伸ばし方)
- 聞き読みをしたか(→聞き読みの効果とやり方)
項目を増やしすぎると、記録が面倒になって続きません。最初は「日付・タイトル・レベル・語数・一言」の5つで十分です。
1行でできる記録の例
ノートやメモアプリに、1冊(1話)1行で書いていきます。
- 5/1 L1 The Lion and the Mouse 250語 累計12,400語 ★★★ ネズミがかっこいい
- 5/2 L1 The Crow and the Pitcher 200語 累計12,600語 ★★ 楽
- 5/3 L2 (昔話) 480語 累計13,080語 ★★★ 少しきつい、でも話は知っていた
- 5/4 L2 (童話) 途中まで約300語 累計13,380語 ★ 合わない、やめた
途中でやめた本も、読んだところまでの語数を記録しておきましょう。「合わない本」の記録も、本選びの大切な情報です。
一言感想の書き方
感想は、長く書く必要はありません。長い感想文は負担になり、多読を続ける妨げになります。デイとバンフォードも、読んだあとの活動は、読書体験をこわさず、次の読書を後押しするものであるべきだとしています。
一言感想の例
- 「オチが読めなかった!」
- 「主人公のキツネがずるい」
- 「知っている話なので楽に読めた」
- 「単語 gnaw が3回出てきた。たぶん『かじる』」
- 「次は同じシリーズを読みたい」
英語で一言書いてみる
慣れてきたら、英語で一言書くのもおすすめです。読んだばかりの表現を使うと、書く練習にもなります。
- 「Funny story!」
- 「The mouse was brave.」
- 「I want to read more fables.」
記録の方法:3つのやり方
1. 多読ベストの読書記録(100万語メーター)
読書記録・100万語メーターでは、多読ベストで読んだ話と語数が自動で記録され、100万語までの進み具合がメーターで見えます。手間をかけずに記録したい人にいちばんおすすめです。
2. 紙のノート
手で書くと記憶に残りやすく、ページが埋まっていく達成感があります。表紙に「100万語ノート」と書いて、累計語数のグラフを貼るのも楽しいでしょう。
3. 表計算ソフト・メモアプリ
スプレッドシートなら、累計語数や月ごとの合計を自動で計算できます。列は「日付・タイトル・レベル・語数・累計・感想・読みやすさ」がおすすめです。
ほかのサイトや紙の本で読んだ分も、同じ記録にまとめておくと、全体の量がわかります。本の語数の調べ方は100万語多読への道で説明しています。
記録を見返して生かす
月に1回のふり返り
月末に、次のことを確かめてみましょう。
- 今月の合計語数と、先月との比較
- いちばんよく読んだレベル
- 「楽」「きつい」の割合
- ★が多かったジャンル
記録からわかること・すること
- 「楽」が多い:レベルを1つ上げてみる時期かもしれません(→レベルの選び方)
- 「きつい」が多い:レベルを1つ下げましょう
- 途中でやめた本が多い:ジャンルかレベルが合っていない可能性があります
- 語数が減ってきた:生活リズムが変わったのかもしれません。読む時間を見直しましょう(→多読を続けるコツ)
先生・保護者向け:記録の使い方
授業や家庭で多読をするとき、記録は「読んだかどうかを確認するため」だけでなく、一人ひとりに合った本をすすめるために使えます。日本の大学で授業外の多読を大規模に行った Robb & Kano(2013)では、Moodle 用のプラグイン「MoodleReader」を使い、学生が読んだことを確かめられるようにしていました。
ただし、記録や確認が重すぎると、読書が義務になってしまいます。
- 記録はタイトル・語数・一言感想程度にする
- 感想には評価ではなく共感で返す(「先生もその話好き!」)
- 語数の多さだけでなく、「楽しく読めているか」に目を向ける
授業での取り入れ方は授業で多読を取り入れる方法、子どもの場合は子どもの英語多読でくわしく紹介しています。
まとめ
- 記録は「日付・タイトル・レベル・語数・一言」の5項目から始める
- 感想は短く。長い感想文は続かない原因になる
- 月に1回見返して、レベルや本選びに生かす
まずは今日読んだ1話を記録してみましょう。100万語メーターなら、読むだけで記録が始まります。多読の全体像は英語多読とは?完全ガイドで紹介しています。
よくある質問
語数がわからない本はどう記録すればいいですか?
1行の語数×1ページの行数×ページ数でおおよその語数を出せます。絵の多い本は2〜3割引いて考えましょう。正確でなくても、続けて記録することが大切です。
感想を書くのが苦手です。
★の数や「楽しい」「ふつう」だけでもかまいません。記録のいちばんの目的は、続けることと、次の本選びのヒントを残すことです。
多読ベスト以外で読んだ本も記録したほうがいいですか?
はい。ほかのサイトや紙の本で読んだ分もまとめて記録すると、全体の読書量がわかり、レベル選びにも役立ちます。
記録をつけるのが面倒になってきました。
項目を減らしましょう。タイトルと語数だけでも十分です。多読ベストで読む場合は、読書記録が自動でたまるので手間がかかりません。
参考文献
- Bamford, J., & Day, R. R. (Eds.). (2004). Extensive Reading Activities for Teaching Language. Cambridge University Press. ci.nii.ac.jp/ncid/BA68484365
- Day, R., & Bamford, J. (2002). Top ten principles for teaching extensive reading. Reading in a Foreign Language, 14(2), 136–141. doi.org/10.64152/10125/66761
- Robb, T., & Kano, M. (2013). Effective extensive reading outside the classroom: A large-scale experiment. Reading in a Foreign Language, 25(2), 234–247. doi.org/10.64152/10125/66870
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