もくじ(13項目)
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ひとことで言うと
小中高を4分野でつなぎ、デマに流されない科学の目を育てる
- 小・中・高で理科の目標と「見方・考え方」の文言を統一し、学習内容を物理・化学・生物・地学の4分野で整理し直す方向。
- 中・高に「科学とは何か」や研究倫理を学ぶ「科学ガイダンス」、小学校に分野をまたぐ課題を学ぶ「理科と日常生活」を新しく設けることが適当とされた。
- 高校は「科学と人間生活(8新単位)」だけで必履修を満たす道を加える案。学習内容は「統合的な理解・総合的な発揮」に必要なものに精選する方向。
校種ごとに、やさしく解説
小学校 理科はどう変わる?
やさしく言うと小学校の理科は、学習内容を物理・化学・生物・地学の4つの「分野」で整理する方向です。小・中・高で目標もそろえます。ただし、小学校の内容を難しくするものではないと、国が丁寧に周知する必要があるとされています。分野をまたぐ課題を学ぶ「理科と日常生活」を新しく設ける方向です。授業時間に「余白」を生むため、内容の精選も進めます。
新しく「理科と日常生活」
エネルギー問題や環境問題など、一つの分野に収まらない社会の課題が増えています。そこで、これまで学んだことをもとに、分野をまたぐ課題を学ぶ「理科と日常生活」を新しく設ける方向です。社会・職業との関係だけを扱う独立の内容は設けないとされています。 P182P187
教室では、たとえば:電気・水溶液・植物などの既習事項を使い、「家庭の省エネ」を多面的に考える学習。そんな内容が方向に沿う一例として考えられます。
4つの分野で整理(難しくはしない)
今の小学校は「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」の4領域です。次期は、小中高共通で物理・化学・生物・地学の4分野に分ける方向です。今の4領域で育てていた中心の考え方は、別の形で表すとしています。指導方法の違いを否定するものではないとされています。 P183P186
教室では、たとえば:単元の初めに「これは物理の仲間で、中学校の電流につながる」と子供と確かめる。そんな見通しのもたせ方が考えられます。
「科学的な探究」を積み重ねる
小学校から科学的な探究の過程を経験し、中学・高校と積み重ねる方向です。今は校種によって探究の過程の用語が違うことが課題とされています。そこで探究の過程を教育課程全体に位置付け、具体的に示すとしています。学習場面から「特徴を見いだして表現する」ことも共通して示します。 P182P183P186
教室では、たとえば:予想→計画→実験→考察の流れを、毎単元同じ言葉で板書し、子供が自分で次の段階を言えるようにする。そんな工夫が一例です。
授業時間に「余白」を
理科は、実験の進み具合や再実験で時間を組み替える必要がある教科です。そのため、授業時間に余白を生むことが欠かせないとされています。不可欠でない内容はしぼり、学年間の重なりが大きい部分は整理する方向です。 P189
教室では、たとえば:結果がそろわなかった実験を、余白の時間で条件を変えてもう一度やってみる。そんな時間の使い方が考えられます。
中学校 理科はどう変わる?
やさしく言うと中学校の理科は、「科学ガイダンス」を新しく設ける方向です。科学とは何か、理科の全体像、研究倫理などを学ぶ内容です。内容は小中高共通の4分野(物理・化学・生物・地学)で整理する方向です。新しい見方・考え方には、社会の言説も科学の目で批判的に考えることが入る案です。SNSでデマが広がる時代への対応とされています。
「科学ガイダンス」を新設
理科と社会・職業との関係が十分理解されていないことが課題とされています。そこで、科学とは何か、理科の全体像、研究倫理などを学ぶ「科学ガイダンス」を中学・高校に新しく設ける方向です。知識の暗記を求める指導にならないようにとしています。 P187
教室では、たとえば:1年の最初に「科学的に確かめるとはどういうことか」を、身近なうわさ話を例に話し合う。そんな導入の授業が考えられます。
社会の言説も科学の目で
新しい見方・考え方の案は「自然や社会の事象・言説を」科学の視点で捉えるものです。実験の結果や科学的な知見に基づき、客観的・論理的・批判的に考えます。非科学的なデマがSNSで広がる時代に、科学的な素養をすべての人に身に付けることがねらいとされています。 P183
教室では、たとえば:健康食品の広告の主張を読み、「どんな実験なら確かめられるか」を班で考える。そんな学習が方向に沿う例です。
小中高を4分野でつなぐ
今は校種によって分野・領域の分け方や用語が違うことが課題とされています。次期は、小中高共通で物理・化学・生物・地学の4分野で学習内容を整理する方向です。各分野はさらに3つ程度の「区分」に分け、中学校3年間で身に付けたい姿を示すとしています。 P183P186
教室では、たとえば:単元の初めに、小学校で学んだ同じ分野の内容を振り返り、高校でどう発展するかも示す。そんなつなぎ方が考えられます。
学び直しや発展的な実験の時間
調整授業時数制度の対象に理科も入るとされています。「裁量的な時間」を使えば、理科の授業を発展させた観察・実験の体験プログラムなどが考えられるとしています。校内での単元構想の研究なども例としてあげられています。 P190
教室では、たとえば:裁量的な時間を使い、授業で学んだ内容を発展させた野外観察を行う。そんな取組が一例として考えられます。
高校 理科はどう変わる?
やさしく言うと高校の理科は、「○○基礎」と「○○」という科目の基本的な枠組みを保つ方向です。そのうえで、必履修の満たし方に新しい道を加える案です。「科学と人間生活(8新単位)」1科目だけで満たせるようにします。各基礎科目には「科学ガイダンス」を置く方向です。科目を組み合わせた柔軟な開設も考えられるとしています。暗記に偏らない授業づくりも促されます。
「科学と人間生活(8新単位)」の道
今は「科学と人間生活」と基礎科目1つ、または基礎科目3つで必履修を満たします。これに加えて「科学と人間生活(8新単位)」を新設する案です。物理・化学・生物・地学の各分野には学習事項が2つずつあり、今はそのうち1つを選んで履修します。これを、両方とも履修できるようにすることが適当とされています。 P184P188
教室では、たとえば:理科を4分野すべて学ばずに卒業する生徒向けに、生活と結び付いた幅広い内容で1年間を組む。そんな科目設計が考えられます。
基礎科目に「科学ガイダンス」
科学ガイダンスは高校では各基礎科目に置く方向です。実際には、最初に学ぶ基礎科目の冒頭である程度まとめて学びます。ほかの基礎科目では、内容を重点化して扱うとしています。検証の方法や研究とのつながりは、科目の内容と関連付けて学ぶとされています。 P187
教室では、たとえば:物理基礎の最初の数時間で、仮説と検証の考え方や研究倫理を、簡単な実験を通して学ぶ。そんな導入が一例です。
科目を組み合わせた柔軟な開設
高校の教育課程を柔軟にする仕組みが検討されています。たとえば「物理基礎+物理」を5〜6単位で、4つの基礎科目の組合せを6〜8単位で開くことが考えられるとしています。ただし時数を減らしても、知識・技能の定着が疎かにならないよう注意が必要です。 P190
教室では、たとえば:4つの基礎科目の共通部分を整理し、分野をまたぐ探究の時間を生み出す年間計画を試しに作る。そんな検討が考えられます。
暗記より原理と魅力を
「統合的な理解」は、高校でもできるだけ平易でシンプルに示すとされています。用語の暗記や計算に偏らず、探究で導かれる原理・法則やその魅力を理解する授業を促すためです。教科書の内容も、必ず扱うものと必要に応じて扱うものを分かるようにすることが考えられています。 P186P189
教室では、たとえば:公式を覚える前に、実験データからグラフを描き、自分たちで規則性を見つける時間をとる。そんな授業が方向に沿う例です。
小・中・高で10秒
| 小学校 | 分野をまたぐ課題を学ぶ「理科と日常生活」を新設。内容を物理・化学・生物・地学の4分野で整理 |
|---|---|
| 中学校 | 「科学とは何か」や研究倫理を学ぶ「科学ガイダンス(仮称)」を新設する案 |
| 高校 | 「科学と人間生活(8新単位)」1科目で必履修を満たす道を新設。各基礎科目に科学ガイダンス |
| 高校の科目 | 「科学と人間生活」を4新単位と8新単位の2形に |
理科の指導案(試案)
理科の授業アイデア(次期を先取り)
主な変更点(審議まとめより)
高校理科の必ず学ぶ科目の組み方は、今の2通り(「科学と人間生活」+「○○基礎」1科目、または「○○基礎」3科目)に加えて、「科学と人間生活(8新単位)」1科目だけで満たす3つ目の道を設ける案である(「新設することが適当」とされた)。生徒のいろいろな希望に合わせ、学校がもっと自由に教育課程を組めるようにするためである。一方で「○○基礎」→「○○」の順に学ぶ基本の枠組みは引き続き維持すべきとされた。 P183P188
※組合せの単位数は資料編m3 P24・P25(理⑭・理⑮)
各分野の学習に入る前に、「科学とは何か、科学的とは何か」、理科の全体像と分野どうしの関係、研究倫理、検証の方法、理科と研究・社会とのつながりを学ぶ内容を中・高に新たに設けることが適当とされた。理科を学ぶ意味を実感させ、知的好奇心を引き出す導入であり、知識の暗記を求める指導にしないよう注意されている。高校では各「○○基礎」に位置付け、最初に学ぶ基礎科目の冒頭である程度まとめて扱う案である。総授業時数を増やさないことが前提である。 P183P187
※資料編m3 P9・P22・P23(理④-6、理⑬-1、理⑬-2)では「科学ガイダンス(仮称)」と表記
エネルギー問題や環境問題のように、一つの分野だけでは扱えない社会の課題が増えているため、小学校でも、それまでに学んだことをもとに分野をまたぐ課題を学ぶ内容「理科と日常生活」を新しく設けることが適当とされた。ただし社会や職業との関係だけを扱う独立した内容は小学校には設けず、各単元の中での指導を充実させることが期待されている。 P183P187
理科は実験のやり直しなどで時間を組み替えることが多いため、時間の余白が不可欠とされた。「統合的な理解」「総合的な発揮」に欠かせない内容を中心に並べ、必ずしも必要でない内容や、学年・学校種の間で重なりが大きい内容は整理する方向である。教科書についても、必ず扱う内容か必要に応じて扱う内容かが分かる工夫を教科書会社に求めることが考えられている。 P189
※資料編m3 P26(理⑯)に、小3「風とゴムの力の働き」を「力の働き」に見直す検討例あり(もう一方を扱うことは妨げない)
学校段階のつながりや学問の筋道を分かりやすくするため、小・中・高で共通して4分野に分けて内容を整理することが適当とされた。さらに各分野を3つ程度の「区分」に分け、区分ごと・学校種ごとに「統合的な理解・総合的な発揮」を示す方向である。小学校の内容が難しくなるわけではないことは、国が丁寧に知らせるとしている。 P183P186
※現行の「2分野4領域」から4分野への再編は資料編m3 P21(理⑫)
高校で4分野すべてを学ばずに就職・進学する生徒も含め、理科を学ぶ意味や面白さを感じ、社会で最低限必要な科学の素養を身に付けさせる科目として内容を見直すべきとされた。中学校理科とのつながりを意識し、4分野を広くカバーしつつ生活や社会に結びついた身近な内容にする方向である。今は物理・化学・生物・地学の各項目で「2つのうち1つ」を選んで学ぶが、両方を学べるようにすることが適当とされ、その場合は4単位程度が適当と考えられている。 P183P188
※4単位程度=8新単位(資料編m3 P25 理⑮)
高校全体で検討されている科目の組替えのしくみを使うと、たとえば「物理基礎+物理」を一体にしたり、「○○基礎」4科目を組み合わせたりする科目開設が考えられる。単位を少し減らすこともできるが、時間が減ることで知識・技能の習得がおろそかにならないよう注意が必要とされている。 P190
※例:物理基礎+物理 現行6単位→5~6単位、基礎4科目 現行8単位→6~8単位(単位計算の細分化をしない場合)
教科の目標の文言を小・中・高でそろえる方向である。「見方・考え方」は、デマやフェイクニュースが広がる時代を踏まえ、メディアリテラシーや批判的思考を意識したものにし、対象を「自然の事物・現象」から「自然や社会の事象・言説」へ広げる案である。また「科学的な視点」は「自然科学的な視点」と言い換え、人文・社会科学との違いをはっきりさせるとしている。 P183P185
※新旧の文言は資料編m3 P1・P2(理①・理②)
今は学校種によって探究の過程の用語などが違い、教科として統一されていないという課題がある。そこで「科学的な探究」の過程を小中高を通して位置付け、解説などで具体的に示すべきとされた。資料編の案では、授業で「課題」を「問い」、「仮説」を「予想」などと言い換えることは妨げないとしている。 P182P183
※用語統一の案は資料編m3 P10(理④-7)
理科は知識・技能の積み上がりがはっきりしているので、知識・技能と思考力などを並べて示す「並列パターン」で整理する方向である。「統合的な理解」は、個々の知識をどんな大きな理解に結び付けるかを先生がイメージできるよう、高校も含めできるだけ平易に示すとしている。「総合的な発揮」は、どの区分でも「特徴を見いだして表現する」ことを共通で示し、毎日の授業で科学の考え方を実践できるようにするとしている。 P186
今からできる準備
理科とAI
生成AIの発展もあって、非科学的なデマやフェイクニュースがSNSなどで急速に広がっています。だからこそ全ての人に科学的な素養を身に付けさせる理科教育の重要性が高まっており、科学的に探究する従来の「見方・考え方」は引き続き適切だとされています。 P183P185
理科のICT活用は学校や地域で差が大きいので、デジタルとアナログの適切な組み合わせを含む効果的な事例を、国が改訂を待たず広く知らせます。例として、データの記録・蓄積、シミュレーション、センサー、AR/VR、生成AIの適切かつ効果的な利用、ポートフォリオなどが挙がっています。 P191
- デマやフェイク情報を題材に、科学的に確かめる方法で真偽を考えさせる(根拠P183、P185)
- 実験・観察のデータ整理や考察で、生成AIを「適切かつ効果的に」補助として使い、アナログの体験と組み合わせる(根拠P191)
現行⇔次期 新旧比較
教科の目標(柱書)
小学校は「問題を科学的に解決するために必要な資質・能力」、中・高は「科学的に探究するために必要な資質・能力」など、学校段階ごとに文言が少しずつ違う。
基本の方向は変えずに、小・中・高で同じ文言に統一する方向(到達の目安は解説で学校段階ごとに説明)。
目標の「学びに向かう力」で育てたい心情
「自然を愛する心情」などは小学校理科だけに書かれている。
小・中・高共通で「生命を尊重する心情や人と自然環境の調和に寄与しようとする心情」と示す案。
見方・考え方
「(身近な)自然の事物・現象」を「科学的な視点」で捉え、比較したり関係付けたりする方法で考える(小は問題解決、中高は科学的に探究する方法)。
「自然や社会の事象・言説」を「自然科学的な視点」から捉え、観察・実験の結果や科学的知見に基づいて客観的・論理的・批判的に考える、と小中高で統一する案。
学習内容の分け方
中学校は第1分野・第2分野、内容は「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」の4領域で整理されている。
小・中・高共通で4つの「分野」(物理・化学・生物・地学)に分け、各分野をさらに3つ程度の「区分」にする方向。4領域で育てていた中心の考えは「統合的な理解・総合的な発揮」で表す考え方。
探究の過程の用語
学校種によって探究の過程の用語などが違う(小学校は「問題解決の過程」で「問題の設定」「予想や仮説の設定」など)。
「科学的な探究」の過程として小中高で用語をそろえる方向(例:「課題の設定」「仮説の設定」「検証計画の立案」「考察・結論」「表現・伝達」)。言い換えは妨げない。
高校の必履修科目の組合せ
「科学と人間生活」+「○○基礎」1科目(4単位)、または「○○基礎」3科目(6単位)のどちらか。
上の2通りに加え、「科学と人間生活(8新単位)」1科目を新設することが適当とされた。組合せは8新単位・8新単位・12新単位の3通りになる案。
「科学と人間生活」の学び方
物理・化学・生物・地学に関する各項目で、それぞれ2つのうち1つを選んで学ぶ。
両方を学ぶことも可能にすることが適当とされた(その場合は4単位程度=8新単位)。内容も中学校とのつながりと身近さを重視して見直す方向。
高校理科の標準単位数
科学と人間生活2、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎 各2、物理・化学・生物・地学 各4(単位)。
科学と人間生活「4 or 8」、各「○○基礎」4、各「○○」8(新単位)とする案(P82「構成(案)」)。
現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。
高校の科目構成
物理・化学・生物・地学の分野別に、選択必履修の「○○基礎」と選択科目「○○」を置き、「○○基礎」→「○○」の順に学ぶ枠組みは維持(P188)。分野横断の「科学と人間生活」も続け、内容を見直したうえで4新単位(内容を選ぶ)と8新単位(全内容)の2つの形にする案(P183・P188、資料編m3 P24)。必履修は①「科学と人間生活(8新単位)」【新設】、②「科学と人間生活(4新単位)」+「○○基礎」1科目、③「○○基礎」3科目の3通りとする案。各基礎科目には「科学ガイダンス」を位置付ける方向(P187)。
授業時数・単位
高校:新しい単位計算(1新単位=50分×17コマ、P46)で、科学と人間生活4 or 8、各基礎4、各「○○」8新単位(現行は2・2・4単位、P82)。組替えのしくみで例:物理基礎+物理 現行6単位→5~6単位、基礎4科目 現行8単位→6~8単位(細分化しない場合、P190)。小・中:理科の節に具体的な時数の記載はない。総論では、情報の新教科・領域の時数を生むため、小学校3年以上の教科等(35コマ以下のものを除く)から一律3-4%程度を「広く薄く」減らす考え方を示し、実数は今後示すとしている(P79)。理科は調整授業時数の対象教科でもある(P190)。科学ガイダンスは総授業時数を増やさないことが前提(P187)。
校種ごとのページ・図解アニメ
ほかの教科も見る
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。





