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指導案(試案)・小学校第6学年

電気をつくって、ためて、上手に使おう ~「LEDは長持ち」をたしかめよう~

理科/全10時間(本時は第6時)/本時 45分

もくじ(7項目)
  1. この指導案の特色
  2. 1 単元名・単元の目標
  3. 2 単元の評価規準
  4. 3 単元の指導と評価の計画
  5. 4 本時の展開(45分)
  6. 5 板書計画・準備物
  7. 6 授業後のふり返り

この指導案の特色

電気をつくって、ためて、上手に使おう ~「LEDは長持ち」をたしかめよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、理科の「見方・考え方」の対象を「自然や社会の事象・言説」に広げ、観察・実験の結果などに基づいて客観的、論理的、批判的に考察するという方向と、「科学的な探究」の過程を小・中・高を通して位置付ける方向を先取りした試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめと資料編のイメージをふまえて作成した一つの例で、確定した内容ではない。現行の第6学年「電気の利用」の内容で、売り場で見かけるような「LED電球は長持ち」という言葉(言説)を出発点に、同じ量の電気で豆電球と発光ダイオードが光る時間を比べる実験を計画・実施し、結果を根拠に結論を導く。単元の終わりには家庭の照明や電気の使い方と結び付け、日常生活の判断に生かす学習にもつなげる。

次期の方向性この指導案での具体化
新たな「見方・考え方」の案として「自然や社会の事象・言説を、自然科学的な視点から捉え、観察、実験の結果や科学的知見などに基づいて、客観的、論理的、批判的に考察すること」が示された。非科学的なデマ等がSNS等で急速に広がる現代をふまえ、批判的思考やメディアリテラシーを意識したものにするとされる P183P185資料(理②)P2「LED電球は長持ち」という売り場の表示(教師が作った掲示)を「本当かな」と問い直すところから問題を設定する。結論では、実験の結果から言えることと言えないこと(例:今回の実験では電球そのものの寿命までは分からない)を区別して述べるようにする。
「科学的な探究」の過程を小・中・高の教育課程全体で位置付け、学校種で異なっていた探究の過程の用語を統一する方向(案では「課題の設定」「仮説の設定」「検証計画の立案」「観察・実験の実施」「結果の処理」「考察・結論」「表現・伝達」など)。授業で「課題」を「問い」や「問題」、「仮説」を「予想」などと表現することは妨げないとされる P182P183資料(理④-7)P10第5時で問題・予想・実験の計画を立て、本時で実験・結果の処理・考察・結論までを行う。板書の流れを探究の過程にそろえて示しつつ、子供には「問題」「予想」など小学校で使い慣れた言葉で示す。
エネルギー問題や環境問題など、特定の分野に限定できない社会課題が増えていることから、小学校に分野横断的な課題について学ぶ学習内容「理科と日常生活」を新たに設定する方向。社会・職業との関係に特化した独立の内容は設けず、各単元での指導の充実が期待されるとされる P182P187単元の最終時に、実験の結果をもとに「家の照明をどう選び、電気をどう使うか」を考える時間を設け、電気の働きの学習を日常生活の判断に生かす。「理科と日常生活」の具体的な内容は今後示されるため、本単元では現行の「電気の利用」の範囲で、日常生活とのつながりを意識した扱いにとどめる。
理科は、観察・実験の進み具合や再現性の確認のための再実験で、単元内の時間を臨機応変に組み替えることが必要な教科であり、授業時間に余白を生み出すことが必要不可欠とされる。必ずしも不可欠とはいえない内容は精選する方向 P189本時の後の第7時を、結果がそろわなかった班の再実験や、条件をそろえ直した確かめにも使える時間として計画する。本時でも「1回の結果で決めない」ことを大切にし、各班3回の測定を基本にする。
1人1台端末・クラウド環境・デジタル教材などのデジタル学習基盤を前提とし、記録・データの蓄積から観察・考察を深める、クラウド上で対話する(他者参照・コメント)、センサーでデータを取得・活用するなどの効果的な活用を進めるとされる P191各班の測定結果をクラウド上の共有表に入力し、学級全体のデータを見て考察する。単元後半のプログラミング(人が近づくと明かりがつく仕組み)では、センサーを使う道具の工夫を、電気をむだなく使うことと結び付ける。

1 単元名・単元の目標

単元名:電気をつくって、ためて、上手に使おう ~「LEDは長持ち」をたしかめよう~(全10時間(本時は第6時))

単元の目標:①電気はつくりだしたり蓄えたりすることができること、光・音・熱・運動などに変換することができること、身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることを理解するとともに、手回し発電機やコンデンサーなどを適切に使って実験し、結果を記録することができる。②電気の量や働きに着目して、それらを多面的に調べる活動を通して、発電や蓄電、電気の変換について、より妥当な考えをつくりだし、表現することができる。③電気の性質や働きについて進んで調べ、学んだことを日常生活での電気の使い方に生かそうとする。

2 単元の評価規準

知識・技能思考・判断・表現主体的に学習に取り組む態度
【知識】電気はつくりだしたり蓄えたりすることができること、光・音・熱・運動などに変換できること、身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることを理解している。【技能】手回し発電機やコンデンサー、豆電球、発光ダイオードなどを適切に扱い、条件をそろえて実験し、その結果を正確に記録している。電気の量や働きについて、予想を基に解決の方法を発想し、実験の結果を基に、発電や蓄電、電気の変換について、より妥当な考えをつくりだし、表現している。電気の性質や働きについて、進んで実験に取り組み、友達と結果を比べながら粘り強く問題解決しようとしているとともに、学んだことを日常生活での電気の使い方に生かそうとしている。
次期で評価はどうなる?

評価規準は、現行の学習指導要領に基づく3観点(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)で書いた。審議まとめでは、理科の学習評価は、課題や仮説の設定を含め、科学的な探究の過程における行動の表出を多角的に見取り、評価することが重要とされている(本体P193)。また、「内容のまとまりごとの評価規準例」は国が示して各学校の作成は不要とし、単元の目標がそのまま単元の評価規準となるようにする方向(本体P69)、「学びに向かう力」は総合所見欄での個人内評価と、「思考・判断・表現」の過程で継続的に表れた場合の「○」の付記を組み合わせ、単元ごとの「○」の付記は求めない方向(本体P63〜P66)、評定への総括は学年末のみに行うことが可能であることを明確にし、学期中は形成的評価を中心に行うことを促す方向(本体P70)が示されている。そこで本試案では、記録に残す評価を、器具の扱い(第3時)、実験結果に基づく考察(本時)、単元末の評価問題(第10時)にしぼり、ほかの時間は指導に生かす評価とした。単元計画の◎は記録に残す評価、○は指導に生かす評価を表す。

3 単元の指導と評価の計画

時主な学習活動評価
1発電所の写真や身の回りの電気製品から、電気がどこから来るのかを話し合う。手回し発電機を回して豆電球やモーターを動かし、回す向きや速さを変えたときの違いを調べる。○知:手回し発電機で電気をつくりだせることを理解しているか(ノート)
2光電池に光を当ててモーターを回し、光の当て方を変えたときの違いを調べる。発電の仕組みが身の回りで使われている例を出し合う。○思:結果を基に、発電について考えをまとめているか(ノート)
3手回し発電機でコンデンサーに電気をため、豆電球や電子オルゴールにつないで、電気を蓄えられることを確かめる。器具の安全な扱い方(回す速さ、+と−のつなぎ方)を身に付ける。◎知(技能):手回し発電機やコンデンサーを適切に扱い、結果を記録しているか(行動観察・ノート)
4ためた電気を、豆電球(光)、電子オルゴール(音)、電熱線(熱)、モーター(運動)につなぎ、電気が様々なものに変換されることを調べる。○知:電気が光・音・熱・運動に変換されることを理解しているか(ノート)
5「LED電球は長持ち」という売り場の表示(教師が作った掲示)を見て、「同じ量の電気で、豆電球と発光ダイオードではどちらが長く光るだろうか」という問題を設定する。予想を立て、同じにする条件(手回し発電機を回す回数と速さ、コンデンサー、つなぎ方)と変える条件を決めて実験の計画を立てる。○思:予想を基に、条件をそろえた実験の方法を発想しているか(ノート)
6(本時)計画に沿って実験し、班の結果をクラウドの共有表に入力して学級全体の結果を整理する。結果を基に考察し、結論を導く。売り場の表示の言葉に戻り、実験から言えることと言えないことを区別する。◎思:実験の結果を基に、電気の利用について、より妥当な考えをつくりだし、表現しているか(ノート)
7結果がそろわなかった班の再実験や、回す回数を変えた確かめをする(余白として計画した時間)。身の回りで電気を光や熱などに変えている道具を調べ、効率よく使う工夫を話し合う。○知:身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることを理解しているか(ノート)
8人が近づくと明かりがつく道具など、センサーで電気を制御する仕組みを知り、プログラミングで「必要なときだけ明かりをつける」動きを試す。○思:目的に合った動きになるよう、手順を考えているか(行動観察)
9プログラムを改良し、電気をむだなく使う工夫を班で発表し合う。○思:電気を効率よく使う工夫を説明しているか(発表)
10単元で学んだことを使って、「家の照明や電気製品をどう選び、どう使うか」を考えて書く。単元末の評価問題に取り組み、単元をふり返る。◎知・思:電気の変換や利用について理解し、日常生活に当てはめて説明しているか(評価問題・ノート)/態(現行制度に基づき、ふり返りと単元を通した観察で評価する。審議まとめで示された次期の方向では、単元ごとの記録にこだわらず長い期間を通して見取る)

4 本時の展開(45分)

本時の目標:同じ量の電気で豆電球と発光ダイオードが光る時間を、条件をそろえて比べ、実験の結果を基に電気の利用について考えをまとめ、「LED電球は長持ち」という表示から言えることを説明する。

過程・時間学習活動指導上の留意点・支援評価
導入
5分
前時に立てた問題・予想・実験の計画を確かめる。売り場の表示「LED電球は長持ち」をもう一度見て、本時で確かめることをはっきりさせる。
主な発問:「今日の実験で確かめたいことは何だったかな。」「同じにする条件と、変える条件は何だったかな。」
板書に「問題→予想→計画→実験→結果→考察→結論」の流れを示し、本時はどこまで進むかを確かめる。手回し発電機を回す回数と速さ(例:1秒に2回くらいの速さで30回)、使うコンデンサー、つなぎ方を全員で確認する。
展開
15分
班(3〜4人)で、手回し発電機でコンデンサーに電気をため、豆電球と発光ダイオードにそれぞれつないで、明かりが消えるまでの時間をストップウォッチで測る。それぞれ3回ずつ測る。
主な発問:「条件はそろっているかな。毎回、同じ回数と速さで回しているかな。」
測る前にコンデンサーの電気を使い切っておく(豆電球をつないで消えるまで待つ)ことを確認する。手回し発電機は速く回しすぎないようにし、+と−のつなぎ方を確かめさせる。発光ダイオードは長く光ることがあるため、「3分たっても光っていたら『3分以上』と記録して止める」ことを事前に決めておく。回す役・測る役・記録する役を交代させる。○知(技能):条件をそろえて実験し、結果を正確に記録しているか(行動観察)
展開
5分
班の結果をクラウド上の共有表に入力し、学級全体の結果を見て、豆電球と発光ダイオードの光った時間を比べる。
主な発問:「ほかの班の結果も、同じような傾向になっているかな。」
大きく外れた結果があれば、どこで条件が変わった可能性があるかを班で話し合わせ、第7時の再実験の候補にする。入力に時間がかかる班は、教師が代わりに入力する。
展開
12分
結果を基に、個人で考察をノートに書いた後、班・全体で話し合う。同じ量の電気で長く光ったのはどちらか、そこから何が言えるかを考える。
主な発問:「同じ量の電気をためたのに、光る時間がちがったのはなぜだと考えられるかな。」「この結果から、『LED電球は長持ち』と言ってよいかな。言えることと言えないことを分けてみよう。」
考察は「結果(事実)」と「そこから考えたこと」を分けて書くよう指示する。発光ダイオードは豆電球より少ない電気で光るので、同じ量の電気でも長く光ることに目を向けさせる。豆電球が温かくなることに気付いた児童がいれば取り上げ、電気が光だけでなく熱にも変わっていることと結び付ける。「長持ち」には「電気の量」と「電球そのものの寿命」の二つの意味があり、今日の実験で確かめたのは前者だけであることを全体で確かめる。◎思:実験の結果を基に、電気の利用について、より妥当な考えをつくりだし、表現しているか(ノート)
まとめ
8分
結論を全体でまとめ、売り場の表示の言葉を、実験の結果を根拠に自分の言葉で言い直す。ふり返りを書く。
主な発問:「売り場の表示を、今日の実験の結果を使って説明するとしたら、どう書くかな。」
結論は子供の言葉を生かして板書する(例:同じ量の電気では、発光ダイオードの方が豆電球より長く光る。発光ダイオードは少ない電気で光る)。ふり返りでは、「1回の結果で決めなかったこと」「言えることと言えないことを分けたこと」のよさにも触れる。次時は再実験と身の回りの道具調べをすることを予告する。

5 板書計画・準備物

板書
  • 問題:同じ量の電気で、豆電球と発光ダイオードでは、どちらが長く光るだろうか
  • 売り場の表示(掲示):「LED電球は長持ち」
  • 予想とその理由
  • 実験の計画:同じにする条件(回す回数と速さ・コンデンサー・つなぎ方)/変える条件(豆電球か発光ダイオードか)
  • 結果:学級全体の共有表(班ごとの3回の時間)
  • 考察:結果から考えたこと
  • 言えること・言えないこと:電気の量のことは確かめた/電球そのものの寿命は確かめていない
  • 結論(子供の言葉で)
  • 探究の流れ:問題→予想→計画→実験→結果→考察→結論
教材・準備物
  • 手回し発電機・コンデンサー・豆電球(ソケット付き)・発光ダイオード(抵抗付きの実験用)・導線(班の数)
  • ストップウォッチ(または端末のタイマー)
  • 1人1台端末とクラウドの共有表(班の結果を入力する表)
  • 教師が作った売り場の表示の掲示(実在の商品名や会社名は出さない)
  • ノート・記録用ワークシート

6 授業後のふり返り

ノートの考察から、結果と考えを区別して書けているか、条件をそろえる意味が分かっているかを確かめ、次時の始めに全体で取り上げる。結果がそろわなかった班は、第7時に条件を確かめて再実験する。「長持ち」の二つの意味(電気の量と寿命)に気付いた子供の考えは、単元の最終時に「家の照明をどう選ぶか」を考える場面で生かす。手回し発電機の回しすぎなどによる器具の破損がなかったかを点検し、次年度の準備に引き継ぐ。

※ この指導案は、次期学習指導要領の告示前に、審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえて原田英語.comが作成した試案です。評価規準は現行の3観点で書いています。