2026年10月9日(金)
「サインじゃだめなの? なんでハンコ?」
名前を「書く」より「押す」国の150年
日本で部屋を借りたり銀行口座を作ったりした外国人が、まず驚くのがハンコです。「サインでいいでしょう?」と聞かれて、うまく答えられる日本人は多くありません。実は、役所の手続きではハンコはかなり減っています。それでも残っている理由を、順に説明します。
答え:もう「必須」ではない場面が多い
先に答えを言うと、いまの日本では、ハンコがなくても済む手続きがかなり増えています。2020年、国は各省庁の行政手続きを見直し、全省庁で約1万5千種類あった押印について、原則としてやめる方針を決めました。
身近な例が婚姻届です。2021年9月からは押印が任意になり、ハンコを押さなくても受け付けてもらえます。用紙に押印欄は残っているので、押したい人は押してかまいません。
実は明治に決まったこと
ハンコの文化そのものは古く、中国から伝わったとされます。江戸時代にも印は広く使われていましたが、「証書には実印を押す」が国の決まりになったのは明治時代です。1873年(明治6年)、証書の爪印や花押をやめ、10月1日から実印を使うよう定めた布告が出たとされています。いまも10月1日は、全日本印章業組合連合会が定めた「印章の日」です。
爪印は指先に墨をつけて押すしるし、花押は名前をくずして図案にした署名のようなものです。それを実印に置きかえたところから、「大事な書類にはハンコ」という感覚が、およそ150年かけて社会に根づいていきました。
それでも残る場面
なくならないのは、本人であることを強く証明したい場面です。家や土地の登記、自動車の購入、会社の登記などでは、市区町村に登録した「実印」と、その印鑑証明書が今も使われています。
一方、会社の中の書類では電子の承認に切り替えたところが増え、宅配便もハンコなしで受け取れることが多くなりました。ただ、どこまでハンコを求めるかは会社や銀行、自治体によってまちまちです。外国人がとまどうのは、この「ところによって違う」部分でもあります。
英語で言うと
A hanko is a personal name stamp, and for over a century it was used in Japan the way a signature is used elsewhere. Since 2020, the government has dropped the stamp from most of its paperwork, so a signature is often enough now. But for big things like buying a house or a car, you still need a registered stamp, and some banks and companies still ask for one, so it depends on where you go.
ハンコは名前を彫った個人の印で、日本では100年以上、ほかの国の署名と同じように使われてきました。2020年からは国の手続きの多くでハンコが不要になったので、今はサインで足りることも多いです。でも家や車を買うような大きな手続きでは、今も登録したハンコが要りますし、まだハンコを求める銀行や会社もあるので、どこに行くかによって違います。
このコラムから、使えるフレーズ
- In Japan, we use a name stamp instead of a signature.日本では、サインの代わりに名前のハンコを使います。
- You don't need a stamp for most government forms anymore.役所の書類の多くは、もうハンコが要りません。
- For buying a house or a car, you still need a registered seal.家や車を買うときは、今も登録したハンコが要ります。
- Just ask if a signature is OK. Many places accept one now.サインでいいか聞いてみて。今はサインで大丈夫なところも多いよ。
- You can get a simple name stamp made at a stamp shop.簡単な名前のハンコなら、ハンコ屋さんで作れます。