2026年9月30日(水)
「満員電車なのに、誰も電話しないの?」
法律ではなく、アナウンスが作った静けさの話
朝の東京の電車は、人がぎっしり乗っているのに驚くほど静かです。スマートフォンを見ている人は大勢いても、電話で話している人はまずいません。外国から来た人がよく驚くこの静けさは、法律で決まっているものではありません。
禁止ではなく「お願い」
日本の電車で電話をしても、それだけで罰せられる法律はありません。鉄道会社は車内の放送やポスターで、携帯電話をマナーモードにして通話は控えるよう「お願い」しているだけです。それでも多くの人がこのお願いに従うので、車内で話す声といえば、連れ同士の小さな会話くらいになります。
電話がかかってきたら、次の駅で降りてかけ直すか、「いま電車なので、あとでかけ直します」と小声で言ってすぐ切るのが普通です。新幹線では、席ではなく、車両の出入口にあるデッキに出て話すよう案内されています。
電源を切れと言われた時代
実は、昔の決まりはもっと厳しいものでした。優先席の近くでは、携帯電話の電源そのものを切るよう呼びかけられていたのです。心臓のペースメーカーなど、体に埋め込む医療機器に電波が影響するおそれがあると考えられていたためです。
その後、総務省が指針を見直し、影響が出るのは、携帯電話を機器のすぐ近くまで近づけた場合に限られると考えられるようになりました。そこで関西の鉄道会社は2014年に、東北・関東・甲信越の37の鉄道事業者は2015年10月1日に、「混雑時には電源をお切りください」へと呼びかけを緩めました。ただし、通話を控えてほしいというお願いは、そのとき混んでいるかどうかにかかわらず変わりませんでした。
なぜ声だけが嫌がられるのか
電話が嫌がられる理由としてよく言われるのは、相手の声が聞こえず、半分だけの会話が耳に入ってくることです。連れとの会話より気になる、と感じる人は少なくありません。そのうえ通勤の電車では、他人とすぐ近くで長い時間を過ごします。お互いに相手の時間を邪魔しないことが、そこでの暗黙の約束になっています。
ただ、この静けさを窮屈に感じる外国人もいますし、日本人の中にも、少しの電話くらいは構わないと考える人はいます。夜の電車で酔ったグループがにぎやかに話していることもあります。いつもどこでも静か、というわけではありません。
英語で言うと
Talking on the phone on a train isn't illegal in Japan, but rail companies ask passengers to set their phones to silent and not take calls. Most people follow the request because trains are packed and a one-sided phone conversation is hard to ignore. Chatting quietly with a friend is fine, though. If someone calls you, just say you're on the train and call back later.
日本では電車の中で電話をしても違法ではありませんが、鉄道会社は乗客に、携帯電話をマナーモードにして通話は控えるようお願いしています。ほとんどの人がそれを守るのは、電車が混んでいて、片方の声しか聞こえない電話の会話はどうしても耳に入ってしまうからです。ただ、友達と小声で話すのは構いません。電話がかかってきたら、電車の中だと伝えて、あとでかけ直せば大丈夫です。
このコラムから、使えるフレーズ
- Please put your phone on silent mode on the train.電車ではスマートフォンをマナーモードにしてください。
- Sorry, I'm on the train. Can I call you back?ごめん、いま電車なんだ。かけ直してもいい?
- It's not illegal. It's just something people don't do.違法ではありません。ただ、みんなしないだけです。
- Talking quietly with a friend is fine.友達と小声で話すのは構いません。
- On the shinkansen, you can take calls in the area between cars.新幹線では、車両の間のデッキで電話に出られます。