もくじ(13項目)
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ひとことで言うと
身に付けたい「動き」と、運動の多様な楽しみ方を軸に
- 小1〜4は「遊び」の要素を取り入れた学習に整理し、具体的な運動名ではなく身に付けたい「動き」を軸に示す方向。
- 公正・協力・責任などの態度は「運動との関わり方」として知識・技能を中心に整理し直し、指導と評価をはっきりさせる方向。
- 「体育理論」は「スポーツ理論」に、高校専門学科「体育」は「スポーツ」に名前を変える案。保健は健康・安全の「概念」と「それに関わる原則」を軸にする方向。
校種ごとに、やさしく解説
小学校 体育はどう変わる?
やさしく言うと小学校1〜4年は、「遊び」の要素を取り入れた学習として整理し直す方向です。具体的な運動のやり方ではなく、身に付けたい「動き」を軸に示す方向です。公正や協力などの態度は、「運動との関わり方」として知識や技能を中心に教える方向です。保健は、身近な生活を中心とした健康・安全の基礎を実践的に学びます。体育は2年間のまとまりで計画することを基本とする方向です。
小1〜4は「運動遊び」で学ぶ
小1〜4は「各種の運動の基礎を培う時期」とされています。ここでは「遊び」の要素を取り入れた学習として整理し直す方向です。「運動遊び」は、やらされる活動ではなく、教師の意図をもちつつ、子供が「やってみたい」と取り組む活動を想定しています。 P270
教室では、たとえば:鬼遊びのルールを子供と工夫しながら、走る・かわす・止まるといった動きを繰り返し楽しむ、といった授業が考えられます。
「動き」を軸に、2年間のまとまりで計画
小4までは、具体的な運動のやり方を示すのをやめ、どんな「動き」を身に付けたいかを軸に示す方向です。体育は2年間のまとまりで計画的に学ぶことを基本とします。毎年同じ時期に同じ運動を置く計画を見直し、生まれた余白で学びの質を高めることが期待されています。 P272
教室では、たとえば:3・4年の2年間で「跳ぶ動き」を見通し、マット・跳び箱・なわとびを組み合わせた計画にする、といった工夫が考えられます。
態度は「運動との関わり方」として教える
公正、協力、責任などの態度は、今は「学びに向かう力」に位置付けています。次期は「運動との関わり方」として、なぜそうするのか(知識)と、実際の行い方(技能)を中心に教える方向です。形だけの指導や評価にならないようにするねらいです。 P267P268P269
教室では、たとえば:ゲームの前に「どうしたら皆が楽しめるか」を話し合い、作戦タイムでの声のかけ方を練習する授業が考えられます。
保健は「概念」と「原則」を軸に
保健は、健康や安全の「概念」と「それに関わる原則」を軸に整理する方向です。概念は何が関わって起きるか、原則はどうすればよい結果になるかを表します。小学校では、身近な生活を中心とした基礎的な内容を実践的に学びます。演習的な学習で理解を深める方向です。 P266P267P268P271
教室では、たとえば:1週間の睡眠時間を記録し、体調との関係を友達と比べて、よい生活のこつを見付ける、といった授業が考えられます。
中学校 保健体育はどう変わる?
やさしく言うと小5〜中2は「多くの領域の運動を経験し、スポーツの基礎に触れる時期」と整理し直す方向です。中3からは「卒業後も多様な楽しみ方で関わる時期」です。「体育理論」は「スポーツ理論」に名称を変える案です。保健は、個人生活を中心とした健康・安全を科学的に学びます。公正・協力などは「運動との関わり方」として教える方向です。
中2まではルールを簡単にした運動で
小5〜中2は、ルールなどを簡単にした「運動」を通した学びを基本に整理する方向です。単に技能の水準を下げるのではなく、「好き」「楽しい」を育てながら楽しみ方を広げる趣旨です。中3からは、引き続き興味・関心に応じた選択制とする方向です。 P268P270
教室では、たとえば:中1のバスケットボールで人数やコートを工夫した簡易ゲームにし、全員がボールに触れる機会を増やす授業が考えられます。
「体育理論」から「スポーツ理論」へ
「体育理論」の領域名を「スポーツ理論」に改める案です。運動やスポーツの多様な楽しみ方や、文化・経済・教育などの面からのとらえ方を学びます。改正スポーツ基本法の趣旨にも留意して内容を改善する方向です。実技や保健と関連させて理解を深めることが期待されています。 P267P270
教室では、たとえば:地域のスポーツ大会を「する・みる・支える」の立場で調べ、自分に合う関わり方を考える、といった授業が考えられます。
「運動との関わり方」で思考力も育てる
公正・協力などの態度は、「運動との関わり方」として知識・技能を中心に整理し直す方向です。中学校・高校では、運動実践につながる態度に関する思考・判断・表現の指導がしにくいと指摘されていました。この整理は、その改善にも役立つと期待されています。 P268P269
教室では、たとえば:審判やルール係を交代で担当し、公平な判定のために必要なことを話し合ってから試合を行う、といった授業が考えられます。
保健は個人生活を中心に科学的に
中学校の保健は、抽象的な概念も理解できる段階として、個人生活を中心に科学的に学ぶ方向です。体育と保健で重なる内容も見直します。中1保健「心の健康」と中2体育理論「運動やスポーツの効果」が、どちらもストレスと運動を扱う例として挙げられています。 P268P272
教室では、たとえば:運動の前後で気分の変化を記録し、保健で学ぶストレスへの対処と結び付けて考える、といった授業が考えられます。
高校 保健体育はどう変わる?
やさしく言うと高校は、中3から高3までの「卒業後も運動やスポーツに多様な楽しみ方で関わる時期」に含まれます。高2以上で示す技能は、今の中3〜高1程度を基本とする方向です。専門教科の「体育」は「スポーツ」に名称を変える案です。保健は、個人と社会生活における健康・安全を総合的に学ぶ方向です。体育と保健の関連も一層大切にします。
技能の水準は高すぎないように
指導内容が積み上がりすぎないよう、高2以上で示す技能は、今の中3〜高1程度を基本とする方向です。そのうえで、生徒の状況に応じて発展的な学習に取り組む余地も分かりやすく示すとされています。仲間とともに楽しさを十分に味わえるようにするねらいです。 P272
教室では、たとえば:高2のバレーボールで、技能を高めるだけでなく、チームで楽しめるルールや役割を生徒が考える、といった授業が考えられます。
選択制で、自分に合う楽しみ方を考える
中3からは、興味・関心に応じた選択制を続ける方向です。基本の考え方は3つです。運動やスポーツを主体的に選ぶこと(自己選択)と、生涯スポーツの多様な楽しみ方に触れることです。そして、自分にとっての楽しみ方を考えることです。 P270
教室では、たとえば:種目を選ぶ前に、卒業後に続けたい運動との関わり方を考え、選んだ理由を書いてから取り組む、といった授業が考えられます。
専門教科「体育」は「スポーツ」に
専門教科の「体育」は、性格をより正確に表すため「スポーツ」に名称を改める案です。「する」に偏りがちな指導を改め、「みる」「支える」「知る」を含めて学びます。スポーツを通じた社会課題の解決もふまえ、スポーツの推進を担う人を育てることを軸にする方向です。 P265P271
教室では、たとえば:地域のスポーツ大会の運営を手伝い、観客や選手が過ごしやすくなる工夫を提案する、といった学習が考えられます。
保健は社会との関わりも含めて総合的に
高校の保健は、ライフステージや社会との関わりを意識し、総合的に学びを深める方向です。体育と保健の関連も大切にします。例として、体育「実生活に生かす運動の計画」と保健「健康に関する環境づくりと社会参加」をつなげることが挙げられています。 P268P271
教室では、たとえば:自分の生活に合う運動計画を立て、続けやすい環境を地域の施設や制度から考えてまとめる、といった授業が考えられます。
小・中・高で10秒
| 小学校 | 1〜4年は「遊び」の要素を取り入れ、運動名でなく身に付けたい「動き」を軸に示す |
|---|---|
| 中学校 | 「体育理論」を「スポーツ理論」に改称。公正・協力などは「運動との関わり方」として学ぶ |
| 高校 | 専門教科「体育」を「スポーツ」に改称。保健は健康・安全の「概念」と「原則」を軸に |
| 高校の科目 | 共通教科は現行どおり。専門教科体育→スポーツ |
体育・保健体育の指導案(試案)
体育・保健体育の授業アイデア(次期を先取り)
主な変更点(審議まとめより)
小学校1〜4年生の体育は、幼児期とのつながりを大切にして「遊び」の要素を取り入れた学習として整理し直す方向です。やらされる運動ではなく、子どもが「やってみたい」と夢中になって体を動かす中で、いろいろな「動き」を身に付けることをねらいます。学習指導要領では、具体的な運動のやり方を並べる示し方を改め、どんな「動き」ができるようになってほしいかを軸に示す方向です。教師が指導をイメージしやすいよう、解説や指導参考資料でねらいの動きなどを示すとされています。 P270P272P61P107
これまで「学びに向かう力」に入っていた公正、協力、責任、参画、共生、健康・安全は、「運動との関わり方」という名前で、主に「知識・技能」として整理し直す方向です。「なぜそうするのか」「どうやって行うのか」を理解させることで、形だけの指導や評価にならないようにするのがねらいです。評価では、態度だけを見る評価にならないよう注意しつつ、指導と評価のイメージを今後さらに検討します。また「愛好的な態度」は「運動やスポーツの多様な楽しみ方を目指す態度(仮称)」として「学びに向かう力」に残すとされています。 P268P269P274
体育の各領域の学習は、2年間のまとまりで計画的に学ぶことを基本とし、2年間で学ぶ内容を分かりやすく示す方向です。運動の種類を毎年すべて行うという意味ではないことを明確にするねらいです。毎年同じ時期に入れがちな運動も見直し、生まれた「余白」で学びの質を高める活動をすることが期待されています。年間・複数年の指導計画の立て方を見直す必要があります。 P272P61
指導内容が積み上がりすぎないよう、高2以上の最終段階で示す技能は、現行で中3〜高1程度として示している程度を置くことを基本に、全体の系統を整理する方向です。小5〜中2は、ルールなどを簡単にした「運動」を通した学びを基本にするとされています。これは技能の水準をただ下げるのではなく、「好き」「楽しい」を育てながら楽しみ方を広げる趣旨だとされています。子どもの状況に応じて発展的な学習に取り組む工夫の余地も示されます。 P270P272
保健では、知識をため込むだけでなく、まだ知らない健康課題にも対応できる力を育てるため、健康・安全の「概念」(どんな要素が関わって起きるのか)と「それに関わる原則」(どう働きかければ良い結果になるのか)を整理して示す方向です。小学校は身近な生活を中心に実践的に、中学校は個人生活を中心に科学的に、高校は個人と社会生活について総合的に学ぶ流れに整理し直すとされています。生活習慣や地域の事故情報のデータを使うなど、演習的な学習が例として挙げられています。評価も、暗記ではなく「概念」と「原則」に照らして見ることを充実させる方向です。 P267P268P271P274
中学校・高校の体育の領域「体育理論」の名前を「スポーツ理論」に改めるとされています。運動やスポーツの多様な楽しみ方、文化・経済・教育などの面からの見方、安全な行い方などを学ぶ領域で、改正されたスポーツ基本法の趣旨にも気を配って内容を改善する方向です。実際に体を動かす領域や保健と関連付けて学ぶことが期待されています。 P270
心と体を一体として捉えるため、体育と保健を関連付けた指導を充実させる方向です。例えば高校の体育「実生活に生かす運動の計画」と保健「健康に関する環境づくりと社会参加」のように、関連させやすい内容を整理して示すことも考えられています。一方、体育と保健で重なる内容(例:ストレスへの対処としての運動)や、教科書で何度も繰り返されている内容(例:健康には運動・食事・休養及び睡眠が関係すること)は、扱い方を見直すよう促すとされています。 P271P272
メンタルヘルスの課題、自然災害、SNSや犯罪による被害、性犯罪・性暴力などを背景に、健康・安全の学習を学校全体で充実させることが求められています。国の教材がある「生命(いのち)の安全教育」は、教材の内容と学習指導要領との関係を分かりやすく示し、活用を進める方向です。一人一人の発達に応じた指導が必要な事柄は、保護者の理解を得て外部の専門家の協力も得ながら個別の指導などで扱い、学習指導要領は現場の指導をためらわせない書き方を検討します。 P265P271
今からできる準備
体育・保健体育とAI
社会の様々な場面でAIの活用が進む今、運動やスポーツで自分の体を通して学び、仲間と楽しさを味わうことは、自分を深く知ることや、体を使いこなして人生を切りひらく「人間ならではの力」を育てるうえで大きな意味があるとされています。 P266資料P201
体育・保健でICT(生成AIを含む)を使うと、学習の状況・考えの過程・感覚などを見える化でき、学ぶ機会や学習活動の充実を支えられる強みがあります。資料編では、生成AIとのやり取りによる対話型の振り返りなどが例に挙がっています。 P273資料P212
自分や他人の体・健康・安全に関する情報を適切に取り扱うこと、実際に体を動かしたり仲間と関わったりする活動を支えるという視点を損なわないことに十分注意する必要があるとされています。 P273
- 運動の後に生成AIとのやり取りで振り返りを深めるが、実際に体を動かす時間を削らない(根拠P273、資料編m3 P212)
- 動きの記録などの体や健康に関わるデータは、扱い方のルールを決めてから使う(根拠P273)
現行⇔次期 新旧比較
公正・協力・責任などの態度の位置づけ
「学びに向かう力、人間性等」の中に、愛好的な態度と並んで公正、協力、責任、参画、共生、健康・安全の態度が位置付けられている。
これらは「運動との関わり方」として「知識及び技能」を中心に整理し直す方向。愛好的な態度は「運動やスポーツの多様な楽しみ方を目指す態度(仮称)」として「学びに向かう力」に残す。
体育の12年間の時期の分け方
小1〜4「各種の運動の基礎を培う時期」、小5〜中2「多くの領域の学習を経験する時期」、中3〜高3「卒業後も運動やスポーツに多様な形で関わることができるようにする時期」。
4年ごとの区切りは保ちつつ、小5〜中2を「多くの領域の運動を経験しスポーツの基礎に触れる時期」、中3以降を「卒業後も運動やスポーツに多様な楽しみ方で豊かに関わることができるようにする時期」と再整理。小1〜4は「遊び」の要素を取り入れた学習に。
体育の領域名「体育理論」
中学校・高校に「体育理論」の領域がある(中学校:運動やスポーツの多様性など、高校:スポーツの文化的特性や現代のスポーツの発展など)。
領域名を「スポーツ理論」に改め、改正スポーツ基本法の趣旨にも留意して内容を改善する案。
高2以上で求める技能の水準
学校段階が上がるにつれて技能の内容が積み上がっていく(例:ベースボール型で中3・高校の技能の記述が中1〜2より高度になる)。
高2以上(最終段階)で示す技能は、現行の中3〜高1程度を置くことを基本に全体の系統を整理。発展的な学習の余地は示す。
学習指導要領での運動の示し方
「○○(運動)では、XXをする」のように、具体的な運動を限定して示していると読み取れる部分があり、教師・子ども双方の負担になる面がある。
小4までは具体的な運動のやり方を示すのをやめ、身に付けたい「動き」を軸に示す方向。小5以降も運動や種目の示し方を柔軟にする方向で検討。各領域は2年間のまとまりで計画的に学ぶ。
保健の学校段階ごとの学び方
小学校「身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内容」、中学校「個人生活における健康・安全に関する内容」、高校「個人及び社会生活における健康・安全に関する内容」のスパイラル構造。
小学校は「身近な生活を中心とした」内容を実践的に、中学校は「個人生活を中心とした」内容を科学的に、高校は個人及び社会生活の内容を総合的に学ぶ系統に再整理。健康・安全の「概念」と「それに関わる原則」をスパイラルで深める。
体育・保健の「見方・考え方」
体育は、運動やスポーツを価値や特性に着目し、楽しさや喜びとともに体力の向上に果たす役割の視点から捉え、「する・みる・支える・知る」の多様な関わり方と関連付けること(92字)。
体育は、運動やスポーツを心身の充実に果たす役割や多様な楽しみ方の視点から捉え、自他の豊かな生活と活力あふれる社会づくりにつなげること。全学校種で1つにそろえ、短く分かりやすく示す。
現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。
高校の科目構成
共通教科「保健体育」の科目は「体育」「保健」のままで、科目名の変更は示されていない(P82の表)。専門学科の教科「体育」は「スポーツ」に名称変更する案で、科目は現行の構成(スポーツ概論、スポーツⅠ〜Ⅵ、スポーツ総合演習:資料編m3 P208)を基本とする(P271)。体育の領域「体育理論」は「スポーツ理論」に改称する案(P270)。
授業時数・単位
体育・保健体育の節そのものに授業時数の変更の記述はない。高校の標準単位数は、表で現行「体育7〜8単位・保健2単位」が次期「体育14〜16新単位・保健4新単位」と示されている(P82)。これは単位の数え方の変更(1新単位=50分×17コマ。現行の1単位は35コマ)によるもの(P81)。また、調整授業時数制度などを使って体育・保健の学びを深める取組の例が示されている(P274)。
校種ごとのページ・図解アニメ
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出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。



