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2026年10月8日(木)

実質賃金、8か月続けてプラスに

給料の額より「何が買えるか」の話

日本の実質賃金が、2026年1月から8月まで8か月続けて前の年を上回りました。物価の上がり方を差し引いても、給料が増えている状態が続いているということです。数字の見方と、その背景にある春闘の仕組みを説明します。

実質賃金、8か月続けてプラスに — 給料の額より「何が買えるか」の話

名目と実質の違い

厚生労働省の毎月勤労統計調査(2026年8月分の速報)によると、働く人1人あたりの給料の総額は月31万1,364円で、前の年の同じ月より3.8%増えました。これが「名目賃金」です。

一方、物価は同じ期間に2.2%上がっています(持ち家の家賃に相当する分を除いた消費者物価指数)。給料の伸びから物価の伸びを差し引いた「実質賃金」は1.5%のプラスで、2026年1月から8か月続けて前の年を上回りました。給料の額ではなく、その給料で実際にどれだけ買えるかを表すのが実質賃金です。

4年続いたマイナスのあと

このニュースが注目されるのは、その前が長く苦しかったからです。2022年ごろから食べものや電気代が値上がりし、給料の伸びが追いつきませんでした。厚生労働省によると、実質賃金は年平均で2022年から2025年まで4年続けて前の年を下回り、2025年も1.3%のマイナスでした。

つまり、日本の多くの家庭では「給料は少し上がったのに、暮らしは楽にならない」という状態が数年続いていました。2026年に入って、ようやく給料の伸びが物価の伸びを上回り始めたのです。

春闘という仕組み

日本の給料が上がる大きなきっかけは、毎年春の「春闘」です。春闘は、多くの労働組合が同じ時期に会社と賃上げの交渉をする仕組みで、大企業の結果が、ほかの会社の賃上げの目安になります。

労働組合の全国組織である連合の集計では、2026年の春闘の賃上げ率は平均5.01%で、3年続けて5%を超えました。ただし、この数字には年齢や勤続年数に応じて毎年上がる分(定期昇給)も含まれます。給料の水準そのものを引き上げる「ベースアップ」などにあたる分は、はっきり分かる組合で3.50%でした。

全員の給料ではない

注意したい点もあります。春闘の数字は、主に労働組合のある会社のものです。厚生労働省の調査では、雇われて働く人のうち労働組合に入っている人の割合(推定組織率)は、2025年に16.0%で、前の年より0.1ポイント下がりました。組合のない小さな会社や、非正規で働く人の給料は、春闘の平均ほど上がっていない場合があります。

また、毎月勤労統計の数字は速報で、あとで改訂されることがあります。物価の伸びが落ち着いたことも、実質賃金がプラスになった理由の一つです。2025年の物価は年平均で3.7%上がっていましたが、2026年8月は2.2%でした。給料が上がり続けるかどうかは、来年の春闘も見ないと分かりません。

英語で言うと

In Japan, paychecks are finally growing faster than prices. Real wages, meaning pay adjusted for inflation, rose for eight months in a row through August 2026, after falling every year from 2022 to 2025. A big reason is shunto, the spring wage talks between unions and companies. But only about 16 percent of workers belong to a union, so not everyone is getting the same raise.

日本では、ようやく給料の伸びが物価の伸びを上回っています。物価の上昇を差し引いた実質賃金は、2022年から2025年まで毎年下がったあと、2026年8月まで8か月続けて上がりました。大きな理由は、労働組合と会社が春に賃上げを交渉する「春闘」です。ただ、労働組合に入っている人は働く人の16%ほどなので、誰もが同じように給料が上がっているわけではありません。

このコラムから、使えるフレーズ

  • Prices have been going up, but pay is finally catching up.
    物価は上がってきましたが、給料もようやく追いついてきています。
  • Real wages means your pay after you take inflation into account.
    実質賃金とは、物価の上がり分を差し引いたあとの給料のことです。
  • Most pay raises in Japan are decided in the spring.
    日本の賃上げの多くは、春に決まります。
  • Big companies set the pace, and smaller ones often follow.
    大企業が流れを作り、中小企業があとに続くことが多いです。
  • Not everyone got a raise. It depends a lot on where you work.
    全員の給料が上がったわけではありません。どこで働いているかで大きく違います。

この記事のもとにした資料

数字と事実は、次の資料で確かめています。ご自分でも確かめられます。

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