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外国人がビックリする日本現代の暮らし

2026年9月20日(日)

「財布を置き去りにする実験」動画のなぜ

現金は返るのに、傘は返らない不思議

現金入りの財布をわざと駅のベンチに置いて立ち去り、数時間後に交番へ届けられている様子を撮る。そんな「日本の実験」動画が、海外のSNSで繰り返し話題になります。日本人からすると、驚かれること自体に驚く話です。

「財布を置き去りにする実験」動画のなぜ — 現金は返るのに、傘は返らない不思議

実際、現金はよく届く

作り話ではありません。警察庁によると、2023年に全国の警察に届けられた現金の拾得物は約228億円で、統計を取り始めて以来もっとも多い額でした。東京都内だけでも2025年は約45億円の現金が届けられ、うち約32億3千万円が落とし主のもとに返っています。

額だけを聞くと「日本人は正直だから」という話にしたくなりますが、それだけでは説明のつかない部分があります。次の数字が、それを見せてくれます。

実は、返り方は物によって全然違う

平成26年の警察庁の集計では、運転免許証は91.9パーセント、預貯金通帳は86.7パーセント、携帯電話機は82.4パーセントが持ち主に返っている一方で、傘はわずか1.0パーセント、衣類・履物類は4.2パーセントしか返っていません。現金や本人確認書類はほぼ戻るのに、傘はほとんど戻らないのです。

つまり「日本人は誰でも何でも届ける」わけではありません。名前や口座が分かるもの、金額の大きいものは律儀に届けられ、誰のものか分からず被害も小さいものは、その場で「まあいいか」と持ち去られています。正直さというより、面倒さと後ろめたさの釣り合いの問題に近いと言えます。

仕組みの中心は交番

この仕組みを支えているのが交番です。拾った人は法律上、警察に届け出る義務があり、持ち主が見つかれば、落とし物の価値の5〜20パーセントを報労金として請求できます。3か月のあいだ持ち主が現れなければ、拾った人がその物を受け取れます。

拾得物は最寄りの交番でいったん預かり、一定の期間を過ぎると警察署の遺失物センターに集められます。届ければきちんと処理される場所がすぐそこにある、という物理的な近さが、現金や貴重品を届ける後押しになっています。

外国人が覚えておくといいこと

財布やスマートフォンをなくしたら、まず近くの交番へ行ってください。届いている確率は、統計が示すとおり低くありません。逆に、傘を置き忘れたら諦めたほうが早いです。悪気なく持っていかれることが多く、戻ってくることはあまり期待できません。

「日本は全部が返ってくる国」ではなく、「値打ちのはっきりしているものは律儀に届けられる国」というのが、実態に近い言い方です。

英語で言うと

If you lose a wallet in Japan, there's a good chance it turns up at a police box with the cash still in it — a remarkable amount of money is handed in every year. But it isn't that everyone here is honest about everything. It's that there's a system, with a koban every few blocks and people who know exactly where to take what they find. Umbrellas almost never come back.

日本で財布をなくしたら、現金が入ったまま交番に届いている見込みはかなりあります。毎年、驚くような額が届けられています。ただ、みんなが何についても正直だ、という話ではありません。数区画ごとに交番があり、拾ったものをどこへ持って行けばよいか誰もが知っている。その仕組みがあるということです。傘はまず返ってきませんが。

このコラムから、使えるフレーズ

  • I lost my wallet — is there a koban nearby?
    財布をなくしました。近くに交番はありますか。
  • Cash actually gets turned in here surprisingly often.
    実はここでは現金が届けられることが意外と多いです。
  • Report it the same day if you can.
    できれば当日中に届け出てください。
  • It's not that everyone's honest about everything.
    何でも正直に届けられているわけではありません。
  • Umbrellas are the one thing that rarely comes back.
    傘だけは戻ってくることがめったにありません。

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