2026年9月2日(水)
値上げが止まらない
1年で2万品目、デフレ慣れした国で
日本は30年近く、物の値段がほとんど動かない国でした。ペットボトルのお茶が150円、牛丼が並盛で400円前後。その安定が、ここ数年で崩れています。外国から来た人には「まだ安い」と映るかもしれませんが、日本人にとっては経験のない変化です。
2025年に値上げされた食品は2万609品目
帝国データバンクの調査によると、2025年に値上げされた飲食料品は累計2万609品目でした。2024年の1万2520品目から64.6%増えています。
とくに4月は、月に4千品目を超える大規模な値上げとなり、ドレッシングや味噌などの調味料、ビールや酎ハイ、パックご飯など、幅広い食品に及びました。
値上げの理由は9割超が原材料高で、物流費が78.6%、人件費が50.3%でした。人件費を理由にした値上げは前年からほぼ倍増しています。複数の要因が同時に効いていることが分かります。
「安いことが当たり前」だった時代の終わり
1990年代の終わりから、日本は物価がほとんど上がらない状態が続きました。企業は値上げを避け、量を減らしたり質を落としたりして価格を守ってきました。いわゆるステルス値上げです。
その結果、日本人には「値上げは悪いこと」という感覚が強く残りました。値上げした企業が謝罪する、という場面も日本では珍しくありません。海外から見ると、これはかなり珍しい光景のようです。
問題は、給料が同じように上がってきたわけではない点です。ここ数年は賃上げの動きが広がっていますが、物価の上がり方に追いついたかどうかについては、見方が分かれています。
旅行で来る人が感じるずれ
円が安い時期が続いたため、外国から来た人にとって日本は安い国に見えます。実際、外食も交通費も、多くの国より安く済みます。
ただ、その安さの一部は、賃金が長く上がらなかったことにも関係している、という見方があります。定食が800円で出てくるのは、飲食店が値上げを抑えてきた結果でもあります。
「日本は安くていいね」という感想は、日本人には少し複雑に響きます。悪気がないのは伝わるので気にしすぎる必要はありませんが、そういう背景があることは知っておくと会話が深まります。
英語で言うと
Japan spent nearly thirty years with prices that barely moved. One research firm counted more than 20,000 food items that went up in price in 2025 alone, over sixty percent more than the year before. Companies here used to shrink the package instead of raising the price, so people never got used to prices going up at all. The yen is weak, so visitors still find Japan cheap. For people earning their salary in yen, it does not feel cheap at all.
日本は三十年近く、物価がほとんど動かない国でした。ある調査会社の集計では、2025年だけで二万品目を超える食品が値上げされ、前の年より六割以上増えています。日本の企業は値段を上げるかわりに中身を減らしてきたので、値段が上がること自体に、人が慣れていません。円が安いので、旅行者にはいまも日本は安く見えます。円で給料をもらっている人には、まったく安く感じられません。
このコラムから、使えるフレーズ
- Over 20,000 food items went up in price last year alone.去年だけで2万品目以上の食品が値上げされました。
- Prices barely moved here for about thirty years, so this feels new.30年ほど値段が動かなかったので、この変化は新しい感覚なんです。
- Some companies here even apologize when they raise prices. That surprises people from abroad.日本では値上げのときに謝る企業もあります。海外の人は驚きますね。
- Some say Japan looks cheap partly because wages here haven't gone up much.日本が安く見えるのは、賃金があまり上がっていないからでもある、という見方があります。
- Instead of raising prices, companies used to shrink the package. In English, that's called shrinkflation.値上げのかわりに量を減らしていました。ステルス値上げのことを、英語ではシュリンクフレーションと言います。
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