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各教科の変更点

理数はこう変わる

探究テーマを文理横断に広げ、数学・理科以外の先生も関わる全校体制へ

更新:2026年11月4日出典:審議まとめ P194〜P198
もくじ(11項目)
  1. ひとことで言うと
  2. 校種ごとに、やさしく解説
  3. 小・中・高で10秒
  4. 理数の授業アイデア(次期を先取り)
  5. 主な変更点(審議まとめより)
  6. 今からできる準備
  7. 理数とAI
  8. 現行⇔次期 新旧比較
  9. 授業時数・単位
  10. 校種ごとのページ・図解アニメ
  11. ほかの教科も見る

ひとことで言うと

ひとことで言うと

理系だけでなく文理をこえたテーマで、全校で探究を

  1. 高校の共通教科「理数科」(理数探究基礎・理数探究)は科目名・単位数とも現行どおりとする案で、学習内容の精選も特に示されていません。
  2. 目標を「数理的・科学的に探究する資質・能力」とし、対象を「事象や社会の課題」に広げ、見方・考え方に批判的思考を加える方向です。
  3. 探究テーマを科学・数学に偏らせず文理横断(STEAM)の課題も充実し、数学・理科以外の先生も関わる全校の指導体制が望ましいとされました。

校種ごとに、やさしく解説

高校 理数はどう変わる?

やさしく言うと高校の共通教科「理数」(理数探究基礎・理数探究。審議まとめでは「理数科」と表記)は、科目の枠組みと学習内容を大きく変えない方向です。今の内容は、探究に最低限必要なものと考えられているためです。そのうえで、探究のテーマを科学・数学に偏らせず、文理をこえた課題も充実することが望ましいとされています。数学・理科の先生だけでなく、全校で指導する体制が望ましいとされています。

  1. 文理をこえたテーマも

    社会の事象や学際的なテーマも本来想定されていますが、現場では選ばれにくいとされています。そこで、探究の対象の例を科学・数学に偏らせず、文理横断・文理融合(STEAM)の課題も充実する方向です。数学的な事象の例の追加も検討するとしています。 P195P196P197

    教室では、たとえば:地域の交通渋滞を、データ分析と住民へのインタビューの両方から探究する。そんなテーマ設定が、この方向に沿う一例です。

  2. 目標と見方・考え方の言葉

    目標の「課題を解決するために必要な資質・能力」は、「数理的・科学的に探究する資質・能力」に改める案です。対象は「様々な事象」から「事象や社会の課題」に改めることが望ましいとされています。見方・考え方には、批判的思考(クリティカル・シンキング)の重要性をふまえた記載を入れる方向です。 P197

    教室では、たとえば:探究の中間発表で、互いの仮説や根拠に「本当にそう言えるか」と質問し合う時間を設ける。そんな場面づくりが考えられます。

  3. 全校で指導する体制へ

    指導を担当する先生を、数学・理科以外にも広げるべきとの指摘があります。そこで、全校で指導する体制を作ることが望ましいとされています。全ての教員が自主的・協働的に関われる仕掛けづくりが重要で、国による好事例の周知が必要とされています。 P195P196P198

    教室では、たとえば:社会科や国語科の先生が、テーマに応じて探究グループの相談役を担当する。そんな校内の役割分担が一例として考えられます。

  4. 時間の確保と、問い・評価への支援

    探究には十分な時間が必要です。理数探究で総合的な探究の時間に代えられる今の仕組みがあります。次期改訂の案として、単位数を細かく分けて増やしたり減らしたりできる仕組みも示されています。これらの活用が有効とされています。問いの立て方や評価は、国が先行事例や参考資料で示していくべきとされています。 P196P198

    教室では、たとえば:探究の過程をポートフォリオに残し、問いの変化や試行錯誤も評価の材料にする。そんな評価の工夫が考えられます。

小・中・高で10秒

小学校—
中学校—
高校理数探究基礎・理数探究は現行どおり。文理横断(STEAM)の課題も充実し、全校で指導
高校の科目科目名・単位数は現行どおり

理数の授業アイデア(次期を先取り)

主な変更点(審議まとめより)

高 探究テーマを科学・数学に偏らせず、文理横断(STEAM)の課題も

理数科の探究はもともと社会的な事象や複数の分野にまたがるテーマも想定していますが、学校ではそうした課題が選ばれにくいという指摘があります。そこで、探究の対象の例示を科学的・数学的なものに偏らせず、文理横断・文理融合(STEAM)の課題も充実させることが望ましいとされました。数学的な事象も例示に加えることを検討すべきとされています。 P195P196P197

高 数学・理科の先生だけでなく、全校で指導する体制へ

指導する教師を数学や理科の担当以外にも広げるべきだという指摘をふまえ、数学・理科担当に限らない全校での指導体制をつくることが望ましいとされました。全ての教員が自分から協力して理数探究に関われる「仕掛けづくり」が大事で、国による好事例の周知が必要だとされました。文理横断の課題を増やすことで、数学・理科以外の先生も関わりやすくなることが期待されています。 P195P196P197P198

高 目標の言葉が変わる:「数理的・科学的に探究する資質・能力」

目標のうち「探究の過程を通して」は理数科の本質なので引き続き示すことが適当とされました。一方、「課題を解決するために必要な資質・能力」は、課題解決型ではない探究もあるため「数理的・科学的に探究する資質・能力」に改めることが適当とされました。対象も、社会とのつながりをはっきりさせるため「様々な事象」から「事象や社会の課題」に改めることが望ましいとされています。学びに向かう力には、知的好奇心や問題意識、他者と対話・協働しながら学びを調整することを加え、研究の倫理的な態度や粘り強く探究する態度は引き続き示す方向です。 P197

高 見方・考え方に「批判的」な考察を加え、「数理的・科学的」な視点に

社会で批判的思考(クリティカル・シンキング)の重要性が高まっていることをふまえた見方・考え方にすることが適当とされました。扱う対象は「事象や社会の課題、言説」とし、理数科ならではの視点は「数学」「理科」という教科名ではなく「数理的・科学的」と示す方向です。資料編の案では、現行の「数学的な見方・考え方や理科の見方・考え方を組み合わせる」形から、理数科として1つの見方・考え方を示す形に変わっています。 P197

※見方・考え方の現行・改訂案の並記は資料編m3 P28(理数②)

高 探究の時間を確保する仕組みの活用

探究には十分な時間が必要なので、理数探究基礎または理数探究の履修により、総合的な探究の時間と同様の成果が期待できる場合に、その一部または全部に代えることができる今の仕組みや、単位を細かく分けて増やしたり減らしたりできる新しい仕組みを活用できることを、国が積極的に知らせるべきだとされました。入試指導への期待から探究に取り組みにくいという声に対しては、理数科の探究が大学での学びの基礎になることなどを、国が保護者や大学関係者に丁寧に説明する必要があるとされています。 P196P198

高 問いの立て方・評価・ICT活用・外部連携への国の支援

教師が困っている「問い」の設定については、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の事例も含め国が参考資料を示す必要があるとされました。評価についても、探究の過程をポートフォリオなどで残すことも含め、参考資料を示す方向です。ICT(AIを含む)の効果的な使い方と豊かな学びにつながらない使い方も解説で示し、情報科との関係も説明する方向です。大学と連携しやすいよう、大学側に高校との連絡窓口を一つにまとめるなどの体制づくりを国が検討することが望ましいとされています。 P196P198

高 内容は大きく削らない(「科学ガイダンス」との接続に注意)

理数科は現行の学習指導要領で新しくできた教科・科目で、今の学習内容は数理的・科学的な探究に最低限必要なものと考えられるため、精選は特に示されていません。ただし、理科で検討中の「科学ガイダンス」との内容のつながりには注意が必要とされています。開設・履修を広げるため、国が意義を周知し、開設に必要な費用には高等学校教育改革促進基金やSSH事業の活用が期待されています。 P195P196P197

今からできる準備

理数とAI

生成AIとデマ・フェイクニュースの時代の科学的な素養

生成AIの発展もあって、非科学的なデマやフェイクニュースがSNSなどで急速に広がっています。だからこそ全ての人に科学的な素養を身に付けさせる理科教育の重要性が高まっており、科学的に探究する従来の「見方・考え方」は引き続き適切だとされています。 P183P185

ICT活用例に「生成AIを適切かつ効果的に利用する」

理科のICT活用は学校や地域で差が大きいので、デジタルとアナログの適切な組み合わせを含む効果的な事例を、国が改訂を待たず広く知らせます。例として、データの記録・蓄積、シミュレーション、センサー、AR/VR、生成AIの適切かつ効果的な利用、ポートフォリオなどが挙がっています。 P191

理数:AIを含むICTの良い使い方と、学びに繋がらない使い方

高校の共通教科「理数」では、探究の学習過程や指導・評価でのICT(AIを含む)の効果的な使い方と、逆に豊かな学びにつながらない使い方を、国が解説などで示す必要があるとされています。特にAIについては、科学的な探究での活用例を示すことも重要とされています。 P196P198

授業でのヒント
  • デマやフェイク情報を題材に、科学的に確かめる方法で真偽を考えさせる(根拠P183、P185)
  • 実験・観察のデータ整理や考察で、生成AIを「適切かつ効果的に」補助として使い、アナログの体験と組み合わせる(根拠P191)

AI×授業 特集を見る

現行⇔次期 新旧比較

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強調される言葉赤の取り消し線=現行から消える・変わる言葉

目標で示す資質・能力

現行
「課題を解決するために必要な資質・能力」
次期(審議まとめの案・告示前)
「数理的・科学的に探究する資質・能力」(課題解決型以外の探究もあるため)
P197 ※目標全体の現行・改訂案の並記は資料編m3 P27(理数①)

目標で扱う対象

現行
「様々な事象」
次期(審議まとめの案・告示前)
「事象や社会の課題」

見方・考え方

現行
数学的な見方・考え方や理科の見方・考え方を組み合わせるなどして働かせる。
次期(審議まとめの案・告示前)
対象を「事象や社会の課題、言説」とし、「数理的・科学的」な視点から捉え、批判的思考の重要性をふまえて考察する。
P197 ※現行の記述と改訂案の全文は資料編m3 P27・P28(理数①②)

学びに向かう力(情意・感性)

現行
粘り強く考え行動する態度や倫理的な態度などを規定。
次期(審議まとめの案・告示前)
倫理的な態度・粘り強く探究する態度は引き続き示しつつ、知的好奇心や問題意識、他者と対話・協働して学びを調整する態度を加える。情意・感性は「数理的・科学的な美しさや不思議さを感じる感性」などで整理。
P197 ※現行の規定は資料編m3 P27(理数①)

探究の対象とする事象の例示

現行
社会的事象や学際的領域も想定されているが、学校現場では選ばれにくいとの指摘がある。
次期(審議まとめの案・告示前)
科学的・数学的なものに偏らず、文理横断・文理融合(STEAM)の課題も充実させることが望ましいとされた。数学的事象の例示への追加も検討すべきとされた。

指導する教師

現行
指導の担当を数学や理科の教師以外にも広げるべきとの指摘がある(課題として記述)。
次期(審議まとめの案・告示前)
数学・理科担当に限らない全校での指導体制の構築が望ましいとされた。国が仕掛けづくりの好事例を周知し、数学・理科の探究的な学びとの関係を示す必要があるとされた。

現行の学習指導要領・解説の原文(公式PDF)は資料室にまとめています。

授業時数・単位

本文の理数の節には単位数の変更は書かれていない。総論の高校単位数表では、理数探究基礎は現行1単位→2新単位、理数探究は現行2〜5単位→4〜10新単位(1新単位=17コマとする単位の細分化に伴う表記)。総論では外国語・国語・数学以外の科目は「科目名・単位数ともに現行と同様」とされている(P80、P82)。

校種ごとのページ・図解アニメ

ほかの教科も見る

出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。