次期学習指導要領とのつながり

審議まとめは、理数科の目標を「数理的・科学的に探究する資質・能力」とし、対象も社会とのつながりをはっきりさせるため「事象や社会の課題」に改める方向を示しています(P197)。見方・考え方では、扱う対象を「事象や社会の課題、言説」とし、批判的思考(クリティカル・シンキング)の重要性をふまえた記載にするとしています(P197)。また、探究の質を上げるには「問い」の設定が重要で、指導に困難を感じる教師に向けて国が参考資料を示すとし(P198)、探究の対象を科学的・数学的なものに偏らせず、文理横断(STEAM)的な課題も充実する方向です(P196・P197)。この授業は、社会でよく聞く主張(言説)を出発点に、数理的・科学的に確かめられる問いへと磨く時間です。 P196P197P198
社会でよく見聞きする主張を、測る量・比べる対象・データの集め方がはっきりした問いに言い換え、相関と因果のちがいに注意して、探究の問いとして成り立つかを判断できる。
準備するもの
- 主張カード(先生作成):「朝ごはんを食べる人は成績がよい」「部活動をしている人は睡眠時間が短い」「端末の画面を見る時間が長いと集中力が落ちる」「商店街に人が戻るにはイベントが効果的」など、自然・社会の両方の話題
- 「問いを磨く3つのふるい」カード(測れるか:何をどう数値にするか/比べられるか:何と何を比べるか、ほかの要因は何か/確かめられるか:高校生が使える時間・方法・倫理の範囲でデータを集められるか)
- 問いの変化を書くワークシート(最初の主張→ふるい1→ふるい2→ふるい3→探究の問い)
手順
- 主張カードを1枚見せ、「この主張、本当?」と問います。「本当かどうかを、どうやって確かめる?」と続け、本時のめあてを示します。5分
- 先生が1つ目の主張で、3つのふるいを通すやり方を実演します。「朝ごはん」を「週に何日食べるか」、「成績」を「どの試験の何点か」に決め、生活リズムなどほかの要因が両方に影響している可能性にも触れて、「一緒に増える(相関)」と「原因になる(因果)」は別であることを確かめます。10分
- 班で主張カードを1枚選び、ワークシートに沿ってふるいを通し、探究の問いをつくります。社会の話題を選んだ班にも、数や量で確かめる方法を考えさせます。15分
- 2つの班で問いを交換し、「ほかの要因はないか」「データの集め方に偏りはないか」「アンケートに答える人への配慮はできているか」を質問し合います。10分
- 受けた質問をもとに自分たちの問いを直し、直した理由をワークシートに書きます。7分
- 振り返りとして、「主張」と「探究の問い」のちがいを自分の言葉で書きます。3分
評価(見取り)のポイント
【思考・判断・表現】主張を、測る量・比べる対象・データの集め方がはっきりした問いに言い換えているか、相関と因果を区別してほかの要因に目を向けているかを、ワークシートで見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】ほかの班からの質問を受けて、問いを見直そうとしているかを見ます。問いが変わっていく過程はワークシートごとポートフォリオに残し、探究全体の評価に使います。
AIを使うなら
生成AIを使う場合は、生徒が自分たちで問いをつくったあとに、「この問いを確かめるとき、見落としているほかの要因は何か」を尋ね、出てきた候補を自分たちで吟味する使い方が考えられます。最初の問いづくりそのものを任せると、生徒自身の課題意識が育ちにくくなります。審議まとめは、探究でのAIを含むICTの効果的な使い方と、豊かな学びにつながらない使い方を国が解説などで示すとしているので、それが出たら見直します(P196・P198)。学校の利用ルールに従い、アンケートの個人データなどは入力しません。
うまくいくコツ・アレンジ
- 主張カードに社会の話題を必ず混ぜておくと、文理横断の探究テーマが選ばれやすくなります。
- 「ほかの要因」の視点は、数学Ⅰの「データの分析」で学ぶ相関の学習とつなげて説明します。
- 人を対象にした調査では、同意の取り方や個人が特定されない集計の仕方など、研究の倫理も問いづくりの段階で考えさせます。
アレンジ
- 理科で扱ったデマや誇大広告の話題を主張カードにして、科学ガイダンスの学習とつなげます。
- 社会科の先生と共同で、統計資料をもとに地域の課題に関する主張を検証する問いをつくります。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。