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総則・特別の教育課程

特別支援教育のポイント

まず通常の学級で支え、合理的配慮を総則に位置付ける方向。通級で教科の指導も可能にする案

ポイント

「重層的な指導・支援」――まず通常の学級から

どの通常の学級にも配慮が必要な子がいる前提で、まず全員にとって学びやすい授業・学級づくりと教室の環境づくりを進める方向です。そのうえで個別の支援、さらに必要なら通級による指導、それでも難しい場合は特別支援学級、という段階を追って学びの場を考える、という整理です。教科の指導では、目に見える「困難さの状態」だけでなく、その裏にある「困難さが生じる要因」に目を向けた手立てを示すとしています。校内委員会で組織的に対応し、特別支援学校の「センター的機能」(地域の学校への助言・支援の役割)の具体的な使い方も小・中・高の解説で示す方向です。 P116P96P124

合理的配慮を総則に位置付ける

現行の学習指導要領は、障害のある子への指導の工夫を「教師の工夫」として書いているだけで、子供側が合理的配慮を求める場合との関係がはっきりしていませんでした。次期は各学校段階の総則に、本人・保護者の意思の表明を受けて、話し合い(建設的対話)で合意をつくり、「過重な負担」のない範囲で合理的配慮を行うことを書き込む方向です。解説では、学習内容の変更・調整や情報保障・教材の配慮といった観点や、「過重な負担」の考え方、合意までの進め方を分かりやすく示すとしています。配慮を受ける子が「特別扱い」と見られて孤立しないよう、学校全体で取り組み、安心して過ごせる学級づくりも必要としています。 P117P96

1人1台端末などを「基礎的環境整備」として明記する方向

1人1台端末などのデジタル学習基盤は、合理的配慮の土台となる「基礎的環境整備」(全員のために前もって整える環境)に位置付くとして、その意義を総則等に明記する方向です。障害の状態に応じて、端末のアクセシビリティ機能(読み上げなど使いやすくする機能)や入出力支援装置、個別の学習ツールを授業に柔軟に取り入れることも示すとしています。全員向けの支援を前もって用意しておくことで、一人一人への個別の合理的配慮を必ずしも必要としない環境をつくる工夫も、国が示す方向です。 P117P96

個別の計画は「精選」し、合理的配慮は確実に引き継ぐ

合理的配慮の内容は「個別の教育支援計画」に必ず書き、学校が変わるときに確実に引き継ぐことの大切さを明示すべきとされました。一方で「個別の指導計画」のうち教科等の指導に関わる部分は、ほかの計画との重複をなくし、指導上の配慮や手立てなど本当に必要なことにしぼって、作る負担を軽くするとしています。幼稚園でも、個別の教育支援計画に合理的配慮を書くことで、園内の共通理解と小学校への確実な引継ぎを図ります。 P117P116P120

通級による指導の役割をはっきりさせる

通級による指導(通常の学級に在籍しながら一部の時間だけ別の場で受ける指導)は、通常の学級での配慮や手立てを実際に役立つものにするために行うもの、と明確にする方向です。通常の学級での対応を十分にしないまま通級に任せてしまう学校がある一方、自治体によっては利用のハードルが高く、困難を抱えたまま取り残される子もいる、という課題が背景です。通級では自立活動(障害による学習上・生活上の困難の改善・克服に必要な力を養う指導)を取り入れ、通常の学級の教科の指導と密接に関連させることを示す方向です。利用するかどうかは、校内委員会の組織的な見立てのもとで総合的に判断することを指針等で示すとしています。 P118P96

通級を受ける子の「特例」――教科の指導や内容の差し替えも可能にする案

現行では、通級を受ける子が教科の内容についていけなくても、教育課程上の対応は難しいとされてきました。次期は特例として、自立活動を行ったうえで、学習が遅れがちな場合などに、期間を区切るなど先生の負担にも気をつけながら、通級で教科の指導も行えるようにする考えです。また、通常の学級の授業も含めて、本人・保護者とよく話し合ったうえで、教科等の目標・内容の一部を障害の状態に合わせたものに替えることも可能にする方向で、これらは設置者の定めにより行います。通級の授業時数は小・中学校の下限を定めず、1年の中でもニーズの変化に合わせて柔軟に運用できるよう促すことが考えられるとしています。 P118P96

交流及び共同学習の趣旨を改めて示す

特別支援学級の子が、必要な配慮を受けないまま大半の時間を通常の学級で過ごしている例があり、その場合は学びの場の変更を検討すべきだとしています。一方で、通常の学級の子と特別支援学級の子が一緒に協働的に学ぶことは、お互いの理解を深めるものとして期待されています。交流及び共同学習は、学校行事や学級活動など特別活動の中でも一層重視するとしています。特別支援学校と小・中・高等学校の学校間交流はまだ一部にとどまるため、地域での連携体制づくりや、円滑に進めるためのポイントを国が整理して示す方向です。 P120P119P124

特別支援学級の教育課程を分かりやすく示す

特別支援学級は在籍者が急増し、特別の教育課程が正しく理解されないまま組まれている例や、専門性が十分でない先生が担当する例があるとされています。次期は、小・中学校の見直し(調整授業時数制度の適用など)を取り入れつつ、一人一人の進度に応じた学び、デジタル学習基盤の活用、交流及び共同学習、自立活動の時間を適切に設けることなど、基本的な考え方を整理して示す方向です。特別支援学級と通級では、これまで障害種ごとの基本的な対応や配慮事項が示されていなかったため、障害種ごとの「配慮事項」を新たに示す方向です。就学先の決定についても、国が指針等で判断の考え方を明確にする方向です。 P119P120P96

高等学校と幼稚園での方向性

高等学校でも障害のある生徒が多く在籍しており、まず通常の学級での授業・学級づくり、そのうえで個別の対応や通級、という同じ考え方で進める方向です。障害の程度が比較的重い生徒を受け入れ、自立と社会参加に向けた教育に積極的な高校では、障害の状態等に応じた教育課程を組めるようにする「新たな特例制度」をつくり、先導的に試す方向です。高校入試での受検上の配慮を進めるため、国の参考資料にデジタル学習基盤の活用などの例を加える見直しも検討します。幼稚園では、合理的配慮が確実に行われるよう必要な規定を置き、個別の計画の作成・活用を進めることが必要とされました。 P120P117

特別支援学校(知的障害)の教科の見直し

知的障害のある子の教科は、小・中・高との連続性を大切にしながら、引き続き段階別に目標・内容を示す方向です。情報活用能力を強めるため、中学部の「職業・家庭」を「職業」と「家庭」の二つの教科に分け、「職業」に中・高等部を通じて「情報機器・情報技術の活用(仮称)」を設けることが必要とされました。小学部では「生活」を中心に情報機器の活用を取り入れます。学習評価は小・中・高等学校の各教科等の考え方を踏まえたものにし、指導と評価の一体化を進める方向です。 P121P123

自立活動を子供主体に、内容は表形式に

自立活動は特別支援学校の教育の「核」であり、各教科等で育てる力を支えるものとして、教育活動全体で自立活動の視点をもち、教科等と関連付けることを明確にする方向です。障害を本人だけの問題とせず、社会の側の壁にも目を向ける「社会モデル」の考え方を踏まえ、実態把握では環境の要因も見ることや、子供自身が感じている困難さを考えることを示す方向です。子供が自分の意思を表明できるようになる指導内容を新たに盛り込み、内容は表の形で示す方向です。項目の「養護」という言葉を、より主体的な「対応」に変えることも考えられています。 P122P115

特別支援学校の総則と高等部の充実

小・中・高の見直し(調整授業時数制度や高等部の単位制度の柔軟化など)は特別支援学校にも同じように取り入れる方向です。総則では、自立と社会参加を目指す理念を明らかにし、知的障害教育の「各教科等を合わせた指導」は指導の形の一つとして「第2章各教科」以降に書くこと、不登校児童生徒への支援を書くことなどに留意します。高等部では、高校のスクール・ポリシーの一部を取り入れることや、「普通教育を主とする学科」として、「その他普通教育を施す学科として適当な規模及び内容があると認められる学科」を置けるようにすることが考えられています。専門教科は、全国の基準が必要な保健理療・理療・理学療法・理容・美容に示し、それ以外は設置者・学校の裁量に委ねる方向です。 P123P124

関連

現行の特別支援学校の学習指導要領と解説の原文(公式PDF)は資料室にあります。

出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。