締切間近 審議まとめへの意見募集(パブコメ)は 11月5日(木)23:59 まで(受付中) くわしく →
総則・特別の教育課程

不登校児童生徒に係る特別の教育課程のポイント

支援センター等で学ぶ不登校の小中学生に、時数や評価を柔軟にできる教育課程を新設する方向

ポイント

どんな子が対象? 支援センター等で学ぶ不登校の子のための「2階部分」

校内・校外の教育支援センター等に通う不登校の子どもについて、一人一人に合わせた特別の教育課程を新しく作れるようにする方向です(通常の教育課程を「1階」、特別の教育課程を「2階」と呼んでいます)。ただし、センターを使う子ども全員が対象ではなく、学校や教育委員会が状態を見て「この子には合う」と判断した場合に行う案です。主に想定しているのは、休み始めでも寄り添った支援があれば学べる子や、心と体が回復して学びに向かいつつある子で、学びより休むことを優先すべき時期は除きます。欠席が続いたり、早退・保健室登校が見られるなど、不登校になりそうな子も対象になり得ます。 P367P368P370

学級担任・教科担任は計画づくりにどう関わる?

特別の教育課程を最終的に作るのは、その子の在籍する学校です。計画づくりは学級担任が中心になることが考えられますが、支援センターに配置された教師や、日ごろ指導している指導員が担任と密に連携して中心になってもよく、最後は担任が確認して学校の計画とします。時数や教える内容を決めるときは、学級担任に加えて教科担当や指導員と十分に話し合うことが必要とされ、例えば「担任が教科担当と相談して週単位の時数と内容の方針を考え、指導員が実現できるか確かめる」といった流れが示されています。でき上がった計画は校長の承認を得て教育委員会等に届け出ます。年度の途中から始めたり、途中でやめたりすることもできる仕組みとする案です。 P375P376

評価が変わる:「1」や「-」ではなく、頑張りや成長を受け止める

現行は、下の学年の内容を学び直して頑張っても在籍学年の基準で評価するため、評定が「1」や「-」になり、子どもや保護者の意欲や自己肯定感が下がるという指摘がありました。審議まとめでは、特別の教育課程に合わせた評価ができるようにすべきとされました。目標の立て方は「在籍学年と同じ目標」「在籍学年の一部の目標」「下の学年の目標」「学習指導要領をふまえた独自の目標」などに分けて考え、評価方法は目標の立て方に応じて使い分けます。在籍学年と同じ目標なら、通常どおりの観点別評価・評定(評価方法A)が基本です。一部や下学年の目標なら、その評価規準を使った観点別評価・評定(評価方法B)も可能とされました。独自の目標の場合は、数字を付けず文章で書く個人内評価(評価方法C)が基本で、ほかの場合も観点別評価・評定が適さないときは評価方法Cを使えるようにする案です。各教科に当たらない活動は個人内評価で評価すると整理されました。最終的な評価は学級担任や教科担任が行い、そのために指導員から情報(振り返りの記録や作品など)を受け取ります。 P367P378P379P380

指導要録の書き方:「※」の記載や計画の添付

下の学年の目標などで評価した場合は、どの目標で評価したかが分かるように書くべきとされました(例:「▲▲(教科)については、●学年(下学年)の目標に基づき評価」)。数字の評定を付けない場合(評価方法C)は「1」や「-」を書かず、評定欄に「※」だけを書き、文章の評価は総合所見欄や添付する計画で確認できるようにします。在籍学年と違う目標で評定を付けた場合は、評定の後ろに※を付けて書くことなどが考えられています。通級指導や日本語指導と同じように、個別の指導計画(分量が多いときはその要約)を添付して要録への記入に替えることもできるようにすべきとされました。年度の途中で始めた・やめた場合は、通常の教育課程と特別の教育課程での学びをまとめて、その学年の記録として書くのが基本です。 P380

調査書・高校入試での扱い

これまで「1」や「-」の評定が調査書に載り、合否に影響することが、子どもの意欲の低下につながっていると指摘されてきました。そこで、この特例での評定や文章による評価が、高校入試の中で適切に考慮されることを目指します。例えば、調査書にこの特例での評価をできるだけ書くこと、入試で一定の加点をすることや、学力検査や面接を重く見ること、生徒が評価方法を選べるようにすることなどの検討を促すとしています。具体的な方法は、都道府県教育委員会の意見も聞きながら国がさらに検討します。 P381

何を学ぶ? 教科の学び直しと、教科以外の効果的な活動

対象となる活動は大きく2つです。(A)各教科等の目標・内容に基づきつつ柔軟に行う活動で、下の学年・下の学校種の学び直しや、オンライン配信などで元の学級の授業に参加することも含みます。(B)教科には当たらないが不登校の子に特に効果的な活動で、興味に応じた探究・体験活動、人とふれあう体験活動、SST(人間関係の力を身につける練習)などです。(B)は、調整授業時数制度の「裁量的な時間」として行うことが考えられています。すべての教科をやる必要はなく、一部の教科だけでも特別の教育課程にできます。なお、いわゆる「居場所」としての活動は、引き続き教育課程の外の取組とされます。 P371

授業時数は標準より少なく設定できる

不登校の背景はさまざまなので、国が一律に時数を決めるのではなく、校長が子どもの実態に合わせて適切な範囲で時数を決められるようにする方向です。計画の段階から標準授業時数を下回る時数を設定でき、その中での頑張りを積極的に評価できるようにする方向です。時数は、不登校の期間や今の出欠の状況、学ぶ意欲や必要な支援をふまえ、本人・保護者の意向も聞いて決めます。状態は変わりやすいので、途中で時数や内容を調整できることが前提です。どこまで柔軟にできるかは、学びの多様化学校などの取組もふまえ「運用の手引き」も含めて引き続き検討するとされています。 P371P374

子ども自身も関わる「個別の指導計画」

この特例では、先生が計画を作るだけでなく、子ども自身が目標の設定などに関わり、学びを積み重ねて意欲や自己肯定感を取り戻すことを重視します。計画は、子どもにとっては「自分の学習」を、先生にとっては「伴走の過程」を見える化するものと位置づけられ、名前も今後整理されます。計画に入れる項目は、「学びにおいて意識したい視点」、教育内容(順序を含む)、目標やねらい、指導方法(期間・教材を含む)、授業時数、振り返り、フィードバックです。教科の内容は1コマごとではなく「単元などの内容のまとまり」ごとに書くことで、先生の負担を抑え、引き継ぎもしやすくします。 P372P373P374

小さなステップで「学びのサイクル」を回す(振り返り・フィードバック・見直し)

長い見通しを持ちにくい子どもが多いため、短い区切りで振り返り、小さな達成感を積み重ねることが大切とされます。振り返りはできるだけ子ども自身の言葉で行い、フィードバックは日ごろ指導している教師や指導員が中心となって、頑張りを受け止め励ます言葉として計画に書きます(「評価」そのものに抵抗感をもつ子もいるため、自己肯定感を高める視点を特に大事にします)。指導員が書いた場合も、最後は担任等の教師が確認します。目標を達成したときは時数や教科を増やせないか、負担が大きすぎるときは時数を減らしたりペースを緩めたりできないかを考え、計画を柔軟に見直します。 P375P377

どこで・誰が教える? 支援センターと免許のない指導員

主な実施場所は、校内教育支援センターと、教育委員会等が管理・運営する校外教育支援センターです。全てのセンターで行うわけではなく、教育委員会が拠点となる学校を決めることなども考えられます。本来は教科の免許状をもつ教師が教えるのが望ましいものの、それを必須にすると制度がほとんど使えなくなるため、教師が中心的な役割を担うことを条件に、一定の要件を満たす指導員も、担任等の管理の下で密に連携して指導できるようにする案です。要件の例は、計画や評価を最終的に学校の責任で行うこと、教師が定期的に子どもと対面で面談すること、指導員が研修を受けることなどです。現行も、学校と十分に連携し、学習計画・内容が在籍校の教育課程に照らして適切と判断できるなど、一定の要件を満たせば、免許のない指導員による指導も出席扱いや成績評価の対象にできますが、次期の特例は計画づくりや評価を通じて教育の質をより強く確保しようとするものです。 P368P382P383

支援の記録を一つにまとめる「2階シート(仮称)」

計画づくりの前に、学級担任をはじめとする関係者が「児童生徒理解・支援シート」なども参考に、子どもの思いや様子を丁寧につかみます。現在は、不登校・障害・日本語指導など支援ごとに別々の書類が作られ、内容が重なるなどの指摘があります。そこで国が、複数の特例の計画などを一つの電子ファイルでまとめて使える参考様式「2階シート(仮称)」を示し、全員共通のシートと特例ごとの個別シートで構成する案です。計画は担任を含む関係者でクラウド等により共有することも含めて、具体的な運用は「運用の手引き」で示す方向です。 P376P377

高校は当面対象外/令和10年度から先行実施

対象は当面、義務教育段階(小学校、中学校〈中等教育学校前期課程を含む〉、義務教育学校、特別支援学校の小学部・中学部)です。高校は、学校設定科目による学び直しや、単位制の柔軟化など通常の教育課程の仕組みで対応できると考えられるため、運用の成果を見て将来必要なら検討します。始める時期は学習指導要領の全面実施を待たず、調整授業時数制度と一緒に令和10年度からの先行実施期間から取り組めるようにする方向で、それに間に合うよう国が「運用の手引き」を作ります。総則にも、現行の一般的な記述や学びの多様化学校の記述に加えて、この特別の教育課程を編成するときの基本的な配慮事項を新たに書き加える方向です。 P97P369P384

関連

出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」(2026年10月5日)。P○ は本体PDFのページ、資料P○ は資料編のページ(クリックで該当ページが開きます)。