2026年10月19日(月)
お客さんの前では課長も「鈴木は」、が最多の37%
敬語の「内と外」は、いまも生きているのか
会社の受付の人が、外のお客さんに自分の会社の鈴木課長のことを話すとき、「鈴木は」と呼び捨てにするのがいちばん良い、と答えた人が37.4%でした。文化庁が2026年10月に公表した「国語に関する世論調査」の結果です。外国人がよく驚く日本の敬語の決まりが、数字で表れています。
どんな調査か
「国語に関する世論調査」は、文化庁が平成7年度(1995年度)から毎年行っている調査です。令和7年度の調査は、2026年1月から3月にかけて、全国の16歳以上の6,000人に郵送で行い、3,777人が答えました。言葉遣いや敬語、慣用句の意味など、毎年いくつかのテーマを選んで聞いています。
調査の方法は2020年度から、面接で聞くやり方から郵送に変わりました。そのため文化庁は、2019年度以前の結果は参考値で、比べるときには注意が必要だとしています。
外の人には、上司を呼び捨てに
質問は「会社の受付の人が外部の人に、自分の会社の鈴木課長のことを話す場合、どれが一番良いか」というものです。答えは「鈴木は…」が37.4%でいちばん多く、「課長の鈴木は…」が35.8%、「鈴木課長は…」が22.3%、「鈴木さんは…」が3.6%でした。
日本語の敬語では、自分の側(内)の人を、相手の側(外)の人の前では高めないのが基本とされます。社内では「鈴木課長」と呼ぶ上司でも、お客さんの前では「鈴木は」と言うのは、そのためです。上司を呼び捨てにするのは失礼に聞こえることが多いため、外国の人によく驚かれる点です。「課長の鈴木は」と役職を前に出す言い方も、ほぼ同じくらい選ばれています。
学校と病院では「先生」
同じ「内の人」でも、職場によって答えは変わります。学校の先生が生徒の保護者に同僚のことを話す場合は、「田中先生は…」が71.9%でいちばん多く、「田中は…」は8.1%でした。病院の医師が大人の患者に同僚の医師のことを話す場合も、「木村先生は…」が49.5%、「木村医師は…」が43.2%で、「木村は…」は4.3%にとどまりました。
つまり「内の人は外の人の前で高めない」という決まりは、会社では多くの人が選びますが、学校や病院では「先生」を付ける答えがいちばん多くなっています。敬語の決まりは一つではなく、場面と職業によって使い分けられていることが分かります。
社内では「課長」が6割
部下が課長に呼びかけるときの呼び方は、「課長」が62.9%、名字に「さん」を付けるのが25.5%、「課長さん」が6.4%でした。「さん」付けを選んだ人は、20代で4割台と、ほかの年代より多くなっています。
これからの敬語については、「伝統的な美しい日本語として、豊かな表現が大切にされるべきだ」に近いと答えた人が54.4%で、「簡単で分かりやすいものであるべきだ」に近い人の32.7%を上回りました。同じ調査では、「見れた」「来れますか」のような、いわゆる「ら抜き言葉」を使う人が、言葉によっては5割を超えていることも分かっています。
英語で言うと
In Japanese, you don't use polite titles for people on your own side when you talk to outsiders. So a receptionist talking to a visitor will often say just "Suzuki" instead of "Suzuki-kacho," or Manager Suzuki, and in a 2026 government survey that was the most popular answer, at 37 percent. But it's not the same everywhere. At schools and hospitals, the most common choice was still to say "sensei," even about a colleague.
日本語では、外の人と話すとき、自分の側の人には敬った呼び方をしません。ですから、受付の人はお客さんに対して「鈴木課長」ではなく、ただ「鈴木」と言うことがよくあります。2026年に国が公表した調査でも、これがいちばん多い答えで、37%でした。ただ、どこでも同じというわけではありません。学校や病院では、自分の同僚のことでも「先生」を付ける答えが、いまもいちばん多くなっています。
このコラムから、使えるフレーズ
- In Japan, you don't use honorifics for your own boss when you talk to a client.日本では、お客さんと話すとき、自分の上司には敬語を使いません。
- It's not rude. It's a way of showing respect to the other person.失礼なのではありません。相手への敬意の示し方なんです。
- Inside the company, many people call their manager by their title.社内では、上司を役職で呼ぶ人が多いです。
- At schools, teachers usually say "sensei" about each other, even to parents.学校では、保護者に話すときも、先生どうしはたいてい「先生」と呼びます。
- Many people in their twenties would rather just call their boss "san."20代には、上司のことも「さん」で呼びたいという人が多いです。
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