The Secret of the Old Bookshop, Episode 6: Sunday Stories(古書店の秘密 第6話:日曜日の物語)の挿絵

📕 古書店の秘密 全8話の 6番目 目次 ↓

The Secret of the Old Bookshop, Episode 6: Sunday Stories

古書店の秘密 第6話:日曜日の物語

  • 📖 735 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ【連載第6話】レンはすべてを店主に打ち明けます。30年間だまっていた老人が、ついに語りはじめた娘との過去。そして「日曜日に本を読んでやった場所」で、レンが見上げると……。

多読ベストのオリジナル連載

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • proudプライドが高い
  • funeral葬式
  • translated翻訳した
  • foolishおろかな
  • ceiling天井
  • boards板(複数)
  • slightlyわずかに
  • wrapped包まれた
  • tin box缶の箱

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The next morning, Ren went to the hospital with the four blue cards, the little book of poems, and the flyer. Mr. Tachibana was sitting up in bed. He was wearing his brown knitted vest over his hospital clothes, and he was reading a newspaper.

次の朝、レンは四枚の青いカードと小さな詩集、それにちらしを持って病院へ行った。立花さんはベッドの上で体を起こし、新聞を読んでいた。入院着の上に、いつもの茶色のニットのベストを着ていた。

"Mr. Tachibana," Ren said, "I have to tell you everything."

「立花さん」とレンは言った。「何もかも、お話ししなければなりません」

He told him about Mrs. Nakai and Cafe Komadori, about Mr. Ueda and the book of poems, and about the priest at the temple of the old well. He told him what Sachiko had said: "If a young person comes instead of Hana, please help them." Then he put the flyer on the bed. "She's in Kyoto," Ren said. "She has been coming to the shop."

レンは話した。中井さんと喫茶コマドリのこと。上田さんと詩集のこと。古井戸のあるお寺のお坊さんのこと。そして、さちこさんがお坊さんに言い残した言葉も伝えた。「もしハナの代わりに若い人が来たら、その人を助けてあげてください」。それから、ちらしをベッドの上に置いた。「ハナさんは京都にいます。何度も、店に来ていたんです」

The old man looked at the small photo for a long time. His hands were shaking. "She looks like her mother," he said at last.

老人は長いあいだ、小さな写真を見つめていた。手がふるえている。「母親に似てきたな」と、ようやく言った。

Then he told Ren the story that he had kept inside for thirty years.

それから立花さんは、三十年間胸にしまってきた話を語りはじめた。

"When Hana was a little girl, she loved English books more than anything. I taught her English myself. Every Sunday, I read to her. When she was eighteen, she told me she wanted to study in England. I was afraid. England was so far away. I thought that if she went, she would never come back to us. So I said terrible things. I said, 'If you go, don't ever come back to this house.'"

「ハナは小さいころ、何よりも英語の本が好きだった。あの子に英語を教えたのは、このわたしだ。毎週日曜日、あの子に本を読んでやった。十八歳になったとき、あの子はイギリスに留学したいと言いだした。わたしはこわかった。イギリスはあまりに遠い。行ってしまったら、もう二度とわたしたちのところへは帰ってこない。そう思った。だから、ひどいことを言ってしまった。『行くなら、二度とこの家の敷居をまたぐな』と」

He closed his eyes. "And she didn't. That night, she left with one bag. Later, we heard that she worked in Tokyo, saved her money, and went to England by herself. Sachiko wrote letters to her. But I was too proud. I never wrote even one. When Sachiko died, Hana sent white flowers, but she didn't come to the funeral. I think she believed I didn't want her there."

立花さんは目を閉じた。「そして、あの子は本当に帰ってこなかった。その夜、かばんひとつで出ていった。あとで聞いた話では、東京で働いてお金をため、ひとりでイギリスへ渡ったそうだ。さちこは手紙を書きつづけていた。だが、わたしは意地を張って、一通も書かなかった。さちこが死んだとき、ハナは白い花を送ってきたが、葬式には来なかった。父親は自分に来てほしくないのだ。あの子はそう信じていたんだろう」

"But you did," said Ren.

「でも、本当は来てほしかったんですよね」とレンは言った。

"Of course I did." The old man's voice broke. "Under the counter in the shop, there is a box. Inside it are all the books she has translated. Twelve of them. I bought every one, and I read every one. I'm a foolish old man, Ren."

「あたりまえだ」老人の声がつまった。「店のカウンターの下に、箱がある。中には、あの子が翻訳した本が全部入っている。十二冊だ。一冊残らず買って、一冊残らず読んだ。わたしはばかな年寄りだよ、レンくん」

Ren took out the fourth card. "Sachiko-san wrote this: 'The last key is in the place where your father read to you every Sunday. Sit there and look up.' Where was that place?"

レンは四枚目のカードを取り出した。「さちこさんは、こう書いています。『最後のかぎは、お父さんが毎週日曜日に本を読んでくれた場所にあります。そこにすわって、上を見なさい』。その場所って、どこなんですか?」

For the first time since Ren had known him, Mr. Tachibana smiled. "Upstairs in the shop, there is a small room with a round window. Hana called it 'the sky window.' On Sunday afternoons, we sat on the floor by that window, and I read to her. Her favorite was Winnie-the-Pooh. She always laughed when I did Pooh's voice."

レンが知り合ってからはじめて、立花さんがほほえんだ。「店の二階に、まるい窓のある小さな部屋がある。ハナはそれを『空の窓』と呼んでいた。日曜日の午後になると、その窓のそばの床にふたりですわって、わたしが本を読んでやった。あの子のお気に入りは『クマのプーさん』でね。わたしがプーの声をまねると、いつも笑ったものだ」

Ren went straight back to the shop. He had never been in the small room upstairs. It was full of old boxes and dust. But behind the boxes, there was the round window, and the pale winter light was coming in through it.

レンはまっすぐ店へもどった。二階の小さな部屋には、これまで入ったことがなかった。中は古い箱とほこりでいっぱいだった。けれど箱の奥に、たしかにまるい窓があり、冬のうすい光が差しこんでいた。

Ren sat down on the floor, in the place where a little girl had once listened to stories. Then he looked up.

レンは床にすわった。かつて小さな女の子が物語に耳をかたむけていた、その場所に。そして、上を見た。

The ceiling was made of old wooden boards. One board, just above the window, was a slightly different color from the others. Ren stood on a chair and pushed it gently. It moved.

天井は古い木の板でできていた。窓のちょうど真上の一枚だけ、ほかの板とわずかに色がちがっていた。レンはいすの上に立ち、その板をそっと押した。板は動いた。

In the dark space above, there was something wrapped in a cloth. It was a flat tin box, the kind that is used for cookies. A piece of paper was taped to the top. On it, in Sachiko's beautiful handwriting, were these words: "For Hana and her father. Please open it together."

その上の暗いすき間に、布に包まれたものがあった。クッキーを入れておくような、平たいブリキの缶だった。ふたには一枚の紙がテープで貼ってあり、さちこさんの美しい字でこう書かれていた。「ハナとお父さんへ。どうか、ふたり一緒に開けてください」

Ren sat down with the box on his knees. He wanted to know what was inside more than anything. But he did not open it. "It isn't mine to open," he said to himself. "It's theirs."

レンは缶をひざにのせてすわりこんだ。中に何が入っているのか、知りたくてたまらなかった。でも、開けなかった。「これは、ぼくが開けていいものじゃない」とレンは自分に言い聞かせた。「ふたりのものだ」

That evening, Mika came to the shop. She looked at the tin box and then at the flyer. "So now we have to bring them together," she said. "A father who is too proud to call, and a daughter who runs away."

その晩、ミカが店にやって来た。ミカは缶を見て、それからちらしを見た。「つまり今度は、あのふたりを会わせなきゃいけないってことね」とミカは言った。「意地っぱりで電話もできないお父さんと、すぐ逃げちゃう娘さんを」

"The talk is on the twentieth," said Ren. "Mr. Tachibana leaves the hospital on the twenty-first." He looked at the flyer again. At the bottom, in small letters, it said: "Ms. Evans will return to London on December 22nd."

「講演会は二十日だ」とレンは言った。「立花さんが退院するのは二十一日」もう一度ちらしを見ると、いちばん下に小さな字でこう書かれていた。「エヴァンズ氏は十二月二十二日にロンドンへ帰国されます」

Mika put her hand on the tin box. "Two days," she said. "We have just two days to finish Sachiko-san's game."

ミカは缶に手を置いた。「二日間」とミカは言った。「さちこさんのゲームを終わらせるのに、たった二日しかないんだ」

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次の朝、レンは四枚の青いカードと小さな詩集、それにちらしを持って病院へ行った。立花さんはベッドの上で体を起こし、新聞を読んでいた。入院着の上に、いつもの茶色のニットのベストを着ていた。

「立花さん」とレンは言った。「何もかも、お話ししなければなりません」

レンは話した。中井さんと喫茶コマドリのこと。上田さんと詩集のこと。古井戸のあるお寺のお坊さんのこと。そして、さちこさんがお坊さんに言い残した言葉も伝えた。「もしハナの代わりに若い人が来たら、その人を助けてあげてください」。それから、ちらしをベッドの上に置いた。「ハナさんは京都にいます。何度も、店に来ていたんです」

老人は長いあいだ、小さな写真を見つめていた。手がふるえている。「母親に似てきたな」と、ようやく言った。

それから立花さんは、三十年間胸にしまってきた話を語りはじめた。

「ハナは小さいころ、何よりも英語の本が好きだった。あの子に英語を教えたのは、このわたしだ。毎週日曜日、あの子に本を読んでやった。十八歳になったとき、あの子はイギリスに留学したいと言いだした。わたしはこわかった。イギリスはあまりに遠い。行ってしまったら、もう二度とわたしたちのところへは帰ってこない。そう思った。だから、ひどいことを言ってしまった。『行くなら、二度とこの家の敷居をまたぐな』と」

立花さんは目を閉じた。「そして、あの子は本当に帰ってこなかった。その夜、かばんひとつで出ていった。あとで聞いた話では、東京で働いてお金をため、ひとりでイギリスへ渡ったそうだ。さちこは手紙を書きつづけていた。だが、わたしは意地を張って、一通も書かなかった。さちこが死んだとき、ハナは白い花を送ってきたが、葬式には来なかった。父親は自分に来てほしくないのだ。あの子はそう信じていたんだろう」

「でも、本当は来てほしかったんですよね」とレンは言った。

「あたりまえだ」老人の声がつまった。「店のカウンターの下に、箱がある。中には、あの子が翻訳した本が全部入っている。十二冊だ。一冊残らず買って、一冊残らず読んだ。わたしはばかな年寄りだよ、レンくん」

レンは四枚目のカードを取り出した。「さちこさんは、こう書いています。『最後のかぎは、お父さんが毎週日曜日に本を読んでくれた場所にあります。そこにすわって、上を見なさい』。その場所って、どこなんですか?」

レンが知り合ってからはじめて、立花さんがほほえんだ。「店の二階に、まるい窓のある小さな部屋がある。ハナはそれを『空の窓』と呼んでいた。日曜日の午後になると、その窓のそばの床にふたりですわって、わたしが本を読んでやった。あの子のお気に入りは『クマのプーさん』でね。わたしがプーの声をまねると、いつも笑ったものだ」

レンはまっすぐ店へもどった。二階の小さな部屋には、これまで入ったことがなかった。中は古い箱とほこりでいっぱいだった。けれど箱の奥に、たしかにまるい窓があり、冬のうすい光が差しこんでいた。

レンは床にすわった。かつて小さな女の子が物語に耳をかたむけていた、その場所に。そして、上を見た。

天井は古い木の板でできていた。窓のちょうど真上の一枚だけ、ほかの板とわずかに色がちがっていた。レンはいすの上に立ち、その板をそっと押した。板は動いた。

その上の暗いすき間に、布に包まれたものがあった。クッキーを入れておくような、平たいブリキの缶だった。ふたには一枚の紙がテープで貼ってあり、さちこさんの美しい字でこう書かれていた。「ハナとお父さんへ。どうか、ふたり一緒に開けてください」

レンは缶をひざにのせてすわりこんだ。中に何が入っているのか、知りたくてたまらなかった。でも、開けなかった。「これは、ぼくが開けていいものじゃない」とレンは自分に言い聞かせた。「ふたりのものだ」

その晩、ミカが店にやって来た。ミカは缶を見て、それからちらしを見た。「つまり今度は、あのふたりを会わせなきゃいけないってことね」とミカは言った。「意地っぱりで電話もできないお父さんと、すぐ逃げちゃう娘さんを」

「講演会は二十日だ」とレンは言った。「立花さんが退院するのは二十一日」もう一度ちらしを見ると、いちばん下に小さな字でこう書かれていた。「エヴァンズ氏は十二月二十二日にロンドンへ帰国されます」

ミカは缶に手を置いた。「二日間」とミカは言った。「さちこさんのゲームを終わらせるのに、たった二日しかないんだ」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Mr. Tachibana say to Hana thirty years ago?

Q2. What was under the counter in the shop?

Q3. Why didn't Ren open the tin box?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

📕 古書店の秘密 The Secret of the Old Bookshop

全8話・5,181語。1話ずつ、音声と全訳つきで読めます。

目次(全8話)
  1. 古書店の秘密 第1話:『秘密の花園』のメモ 558語
  2. 古書店の秘密 第2話:川辺のコマドリ 518語
  3. 古書店の秘密 第3話:ジョーの夢 527語
  4. 古書店の秘密 第4話:別の世界への井戸 579語
  5. 古書店の秘密 第5話:赤いスカーフの女性 692語
  6. 古書店の秘密 第6話:日曜日の物語 735語
  7. 古書店の秘密 第7話:翻訳家 734語
  8. 古書店の秘密 第8話:最後のページ 838語

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