The Secret of the Old Bookshop, Episode 3: Jo's Dream(古書店の秘密 第3話:ジョーの夢)の挿絵

📕 古書店の秘密 全8話の 3番目 目次 ↓

The Secret of the Old Bookshop, Episode 3: Jo's Dream

古書店の秘密 第3話:ジョーの夢

  • 📖 527 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ【連載第3話】2通目のカードは『若草物語』の中に。「金属で言葉を作る人をさがして」――レンとミカは錦市場の近くへ。そこで知ったのは、30年前のある家族の悲しい出来事でした。

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キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • attic屋根裏部屋
  • metal金属
  • letterpress printer活版印刷所
  • pickles漬物
  • inkインク
  • cupboard戸棚
  • poems詩(複数)
  • terribleひどい
  • counter(店の)カウンター

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

That night, Ren read Little Women at his desk. It was a long story about four sisters in America: Meg, Jo, Beth, and Amy. Their family did not have much money, but they were kind and loved each other very much.

その夜、レンは机に向かって『若草物語』を読んだ。アメリカに住むメグ、ジョー、ベス、エイミーの四人姉妹の、長い物語だった。家にはあまりお金がなかったが、姉妹はやさしく、心から愛しあっていた。

Ren liked Jo best. She was loud and brave, and she wanted to be a writer. She wrote stories in the attic and sent them to newspapers. Some people laughed at her dream, but she never stopped writing.

レンはジョーがいちばん好きだった。にぎやかで勇敢で、作家になるのが夢だった。ジョーは屋根裏部屋で物語を書き、新聞社に送った。その夢を笑う人もいたが、ジョーはけっして書くのをやめなかった。

Then Ren opened the second envelope. The card said: "My dear Hana, Jo dreamed of writing, and you dream of England. Never let anyone laugh at your dream. Not even your father. Next, find the man who makes words from metal, near the old market. Love, Mom."

それからレンは、二通目の封筒を開けた。カードにはこうあった。「愛するハナへ。ジョーは作家になることを夢見た。そしてあなたは、イギリスを夢見ている。あなたの夢を、だれにも笑いものにさせてはいけません。たとえお父さんにでもよ。次は、古い市場の近くで、金属で言葉を作る人を探しなさい。愛をこめて、母より」

"Not even your father," Ren said slowly. So Hana's father did not like her dream.

「たとえお父さんにでも、か」レンはゆっくりくり返した。つまり、ハナの父親は、娘の夢をよく思っていなかったのだ。

The next day, he met Mika at Nishiki Market. People call it "Kyoto's kitchen." It is a long, narrow street full of food shops. "Words from metal," Mika said, eating a fish cake. "I think it's a letterpress printer. In the old days, printers made words with small metal letters."

次の日、レンは錦市場でミカと待ち合わせた。「京の台所」と呼ばれる市場で、食べ物の店がずらりとならぶ細長い通りだ。「金属で言葉を作る、か」ミカはさつま揚げを食べながら言った。「それって活版印刷屋さんじゃないかな。昔の印刷屋さんは、小さな金属の文字をならべて言葉を作ってたんだよ」

They asked in many shops. At last, an old man selling pickles pointed down a side street. "Ueda Printing," he said. "Very old. It's still working."

ふたりはたくさんの店でたずねてまわった。とうとう、漬物屋のおじいさんが、わき道の先を指さした。「上田印刷だよ。ずいぶん古い店だが、今もやってる」

The printing shop was small and full of black machines. On the walls, thousands of tiny metal letters were sleeping in wooden boxes. An old man with gray hair and ink on his hands looked up. "Yes?"

印刷所は小さく、黒い機械でいっぱいだった。壁ぎわでは、何千もの小さな金属の活字が、木の箱の中で眠っていた。灰色の髪で、手にインクのついたおじいさんが顔を上げた。「何か?」

Ren showed him the two cards. Mr. Ueda read them twice. Then he went to a cupboard and took down a small box with dust on top.

レンは二枚のカードを見せた。上田さんはそれを二度読んだ。それから戸棚のところへ行き、ほこりをかぶった小さな箱を下ろした。

"Sachiko-san," he said. "I remember her well. She came here in the spring of 1996. She asked me to print a little book. A book of poems. Her daughter's poems, in English."

「さちこさんだね」と上田さんは言った。「よく覚えているよ。一九九六年の春に、ここに来てね。小さな本を刷ってほしいと頼まれた。詩集だ。娘さんが英語で書いた詩の本だよ」

Inside the box were ten small books with soft blue covers. The title was Rain on the Kamo River. Under it was a name: Hana Tachibana.

箱の中には、やわらかい青い表紙の小さな本が十冊入っていた。題名は『鴨川の雨』。その下に名前があった。「立花ハナ」と。

Ren opened one. The poems were short and beautiful. They were about the river, the old shop, the rain, and a father who read stories to his little girl on Sundays.

レンは一冊を開いた。どれも短く、美しい詩だった。川のこと、古い店のこと、雨のこと。そして、日曜日になると幼い娘に物語を読んでくれる父親のことがうたわれていた。

"Sachiko-san wanted to give these to her daughter for her birthday," said Mr. Ueda. "But she never came to take them. Later, I heard about the trouble. The daughter wanted to study in England, and her father said no. They had a terrible fight. She left Kyoto on the night before her birthday, and she never came back."

「さちこさんは、これを娘さんの誕生日に渡したかったんだ」と上田さんは言った。「でも、受け取りに来ることはなかった。あとで、家でもめごとがあったと聞いたよ。娘さんはイギリスに留学したがったが、父親が許さなかった。ふたりはひどいけんかをした。娘さんは誕生日の前の晩に京都を出ていって、それきりもどらなかったそうだ」

Mika's eyes were wet. "That's so sad," she said.

ミカの目がうるんでいた。「そんなの、悲しすぎる」とミカは言った。

In the back of one book, there was a third blue envelope. Mr. Ueda gave Ren that copy. "Take it," he said. "Books should be read, not kept in boxes."

一冊の本のうしろに、三通目の青い封筒がはさまっていた。上田さんはその一冊をレンに渡した。「持っていきなさい。本は読まれるためにあるんだ。箱にしまっておくためじゃない」

It was dark when Ren got back to Tachibana Books. The lights were still on. Mr. Tachibana was sitting behind the counter, waiting for him. The Secret Garden was on the counter in front of him.

レンが立花書店にもどったときには、もう暗くなっていた。店の明かりはまだついている。カウンターの奥で、立花さんがレンを待っていた。目の前のカウンターには、『秘密の花園』が置かれていた。

"Ren," he said in a low, cold voice. "Mrs. Nakai called me. I know what you are doing." He stood up. "Stop it. Now."

「レンくん」立花さんは低く冷たい声で言った。「中井さんから電話があった。きみが何をしているのか、わかっている」立花さんは立ち上がった。「やめなさい。今すぐに」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

その夜、レンは机に向かって『若草物語』を読んだ。アメリカに住むメグ、ジョー、ベス、エイミーの四人姉妹の、長い物語だった。家にはあまりお金がなかったが、姉妹はやさしく、心から愛しあっていた。

レンはジョーがいちばん好きだった。にぎやかで勇敢で、作家になるのが夢だった。ジョーは屋根裏部屋で物語を書き、新聞社に送った。その夢を笑う人もいたが、ジョーはけっして書くのをやめなかった。

それからレンは、二通目の封筒を開けた。カードにはこうあった。「愛するハナへ。ジョーは作家になることを夢見た。そしてあなたは、イギリスを夢見ている。あなたの夢を、だれにも笑いものにさせてはいけません。たとえお父さんにでもよ。次は、古い市場の近くで、金属で言葉を作る人を探しなさい。愛をこめて、母より」

「たとえお父さんにでも、か」レンはゆっくりくり返した。つまり、ハナの父親は、娘の夢をよく思っていなかったのだ。

次の日、レンは錦市場でミカと待ち合わせた。「京の台所」と呼ばれる市場で、食べ物の店がずらりとならぶ細長い通りだ。「金属で言葉を作る、か」ミカはさつま揚げを食べながら言った。「それって活版印刷屋さんじゃないかな。昔の印刷屋さんは、小さな金属の文字をならべて言葉を作ってたんだよ」

ふたりはたくさんの店でたずねてまわった。とうとう、漬物屋のおじいさんが、わき道の先を指さした。「上田印刷だよ。ずいぶん古い店だが、今もやってる」

印刷所は小さく、黒い機械でいっぱいだった。壁ぎわでは、何千もの小さな金属の活字が、木の箱の中で眠っていた。灰色の髪で、手にインクのついたおじいさんが顔を上げた。「何か?」

レンは二枚のカードを見せた。上田さんはそれを二度読んだ。それから戸棚のところへ行き、ほこりをかぶった小さな箱を下ろした。

「さちこさんだね」と上田さんは言った。「よく覚えているよ。一九九六年の春に、ここに来てね。小さな本を刷ってほしいと頼まれた。詩集だ。娘さんが英語で書いた詩の本だよ」

箱の中には、やわらかい青い表紙の小さな本が十冊入っていた。題名は『鴨川の雨』。その下に名前があった。「立花ハナ」と。

レンは一冊を開いた。どれも短く、美しい詩だった。川のこと、古い店のこと、雨のこと。そして、日曜日になると幼い娘に物語を読んでくれる父親のことがうたわれていた。

「さちこさんは、これを娘さんの誕生日に渡したかったんだ」と上田さんは言った。「でも、受け取りに来ることはなかった。あとで、家でもめごとがあったと聞いたよ。娘さんはイギリスに留学したがったが、父親が許さなかった。ふたりはひどいけんかをした。娘さんは誕生日の前の晩に京都を出ていって、それきりもどらなかったそうだ」

ミカの目がうるんでいた。「そんなの、悲しすぎる」とミカは言った。

一冊の本のうしろに、三通目の青い封筒がはさまっていた。上田さんはその一冊をレンに渡した。「持っていきなさい。本は読まれるためにあるんだ。箱にしまっておくためじゃない」

レンが立花書店にもどったときには、もう暗くなっていた。店の明かりはまだついている。カウンターの奥で、立花さんがレンを待っていた。目の前のカウンターには、『秘密の花園』が置かれていた。

「レンくん」立花さんは低く冷たい声で言った。「中井さんから電話があった。きみが何をしているのか、わかっている」立花さんは立ち上がった。「やめなさい。今すぐに」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was Jo's dream in Little Women?

Q2. What was in the box at Ueda Printing?

Q3. Why did Hana leave Kyoto?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

📕 古書店の秘密 The Secret of the Old Bookshop

全8話・5,181語。1話ずつ、音声と全訳つきで読めます。

目次(全8話)
  1. 古書店の秘密 第1話:『秘密の花園』のメモ 558語
  2. 古書店の秘密 第2話:川辺のコマドリ 518語
  3. 古書店の秘密 第3話:ジョーの夢 527語
  4. 古書店の秘密 第4話:別の世界への井戸 579語
  5. 古書店の秘密 第5話:赤いスカーフの女性 692語
  6. 古書店の秘密 第6話:日曜日の物語 735語
  7. 古書店の秘密 第7話:翻訳家 734語
  8. 古書店の秘密 第8話:最後のページ 838語

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