The Secret of the Old Bookshop, Episode 1: A Note in The Secret Garden(古書店の秘密 第1話:『秘密の花園』のメモ)の挿絵

📕 古書店の秘密 全8話の 1番目 目次 ↓

The Secret of the Old Bookshop, Episode 1: A Note in The Secret Garden

古書店の秘密 第1話:『秘密の花園』のメモ

  • 📖 558 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ【連載第1話】京都の古書店でアルバイトをする大学生のレン。ほこりだらけの洋書の棚を片づけていると、古い『秘密の花園』から青い封筒が落ちてきます。それを見た店主の顔色が変わって……。

多読ベストのオリジナル連載

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • literature文学
  • secondhand bookshop古書店・古本屋
  • knitted vestニットのベスト
  • copy(本の)1冊
  • dictionaries辞書(複数)
  • envelope封筒
  • handwriting手書きの文字
  • curious好奇心がある
  • robinコマドリ

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Ren Aoki was a university student in Kyoto. He was twenty years old, and he studied English literature. Three days a week, after his classes, he worked at Tachibana Books. It was a small secondhand bookshop on a quiet street near the Kamo River.

青木レンは京都の大学生だった。二十歳で、英文学を学んでいた。週に三日、授業が終わると、立花書店でアルバイトをしていた。鴨川に近い静かな通りにある、小さな古本屋だった。

The shop was very old. The wooden floor made noises when you walked on it, and the air smelled of paper and dust. There were books everywhere: on the shelves, on the floor, and even on the narrow stairs to the second floor.

店はとても古かった。木の床は歩くたびにきしみ、紙とほこりのにおいがした。本はいたるところにあった。棚にも、床にも、二階へつづく細い階段にまで積まれていた。

The owner, Mr. Tachibana, was seventy-eight. He had white hair, a small white mustache, and reading glasses on a chain around his neck. He always wore the same brown knitted vest. He did not talk much, and he never smiled. But Ren liked him. The old man knew every book in the shop.

店主の立花さんは七十八歳だった。白い髪に、小さな白い口ひげを生やし、鎖のついた老眼鏡を首から下げていた。いつも同じ茶色のニットのベストを着ていた。口数が少なく、笑うこともなかった。でもレンは、この老人が好きだった。立花さんは、店にあるすべての本を知りつくしていたのだ。

One cold afternoon in late November, Mr. Tachibana said, "Ren, please clean the English corner today. Nobody has touched it for years." Then he went out to the bank.

十一月も末の、寒い午後のことだった。「レンくん、今日は洋書の棚を掃除してくれないか。もう何年も、だれも手をつけていないんだ」立花さんはそう言うと、銀行へ出かけていった。

The English corner was at the back of the shop, in the darkest place. Ren was taking down old books and cleaning them when the bell over the door rang. A woman came in. She wore a long gray coat and a red scarf.

洋書の棚は、店のいちばん奥の、いちばん暗い場所にあった。レンが古い本を下ろしては拭いていると、ドアの上のベルが鳴った。女の人が入ってきた。長い灰色のコートに、赤いスカーフを巻いている。

"Excuse me," she said quietly. "Do you have an old copy of The Secret Garden? In English?"

「すみません」と女の人は静かに言った。「古い『秘密の花園』は置いてありますか? 英語の本なんですが」

Ren looked and looked, but he could not find it. "I'm sorry," he said. The woman looked up at the stairs to the second floor for a moment. Then she said, "Thank you," and left quickly.

レンはあちこち探したが、見つからなかった。「申しわけありません」とレンは言った。女の人は一瞬、二階へつづく階段を見上げた。それから「ありがとう」と言って、足早に出ていった。

An hour later, Ren pulled out a row of heavy old dictionaries. Behind them, against the wall, there was a thin green book. The title on the cover was The Secret Garden. "So it was here," Ren thought. "That woman wanted this book."

一時間後、レンは重い古辞書をまとめて引き出した。すると、その奥の壁ぎわに、うすい緑色の本があった。表紙の題名は『秘密の花園』。「ここにあったのか」とレンは思った。「あの人がさがしていたのは、この本だ」

When he opened it, a pale blue envelope fell to the floor. On the front, there was one word in beautiful handwriting: "Hana."

本を開くと、うすい青色の封筒が床に落ちた。表には、美しい手書きの文字で、ひとことだけ書かれていた。「ハナへ」

Ren knew it was not his letter. But the envelope was not closed, and he was curious. Inside was a small card, and the English on it was simple:

自分あての手紙でないことは、わかっていた。でも封筒には封がしていなかったし、好奇心をおさえられなかった。中には小さなカードが入っていて、やさしい英語でこう書かれていた。

"My dear Hana, Happy eighteenth birthday! This is a game, and it is my present to you. Read this book. Like Mary, you must find the key. The robin will show you the way, by the river of ducks. With love, Mom. March 1996."

「愛するハナへ。十八歳の誕生日おめでとう! これはゲームよ。わたしからのプレゼント。この本を読みなさい。メアリーのように、あなたもかぎを見つけなければなりません。カモの川のほとりで、コマドリが道を教えてくれるわ。愛をこめて、母より。一九九六年三月」

"Nineteen ninety-six," Ren said. "That's thirty years ago." Who was Hana? And why was her birthday present still hidden behind the dictionaries?

「一九九六年か」とレンはつぶやいた。「三十年も前だ」ハナとは、いったいだれなのだろう。そしてなぜ、その誕生日プレゼントが今も辞書のうしろに隠れていたのだろう。

Just then, the bell rang again. Mr. Tachibana was back. He saw the blue card in Ren's hand, and he stopped. His face turned white.

ちょうどそのとき、またベルが鳴った。立花さんがもどってきたのだ。レンの手にある青いカードを見て、立花さんは立ち止まった。顔がまっ白になっていた。

"Where did you find that?" he asked. His voice sounded strange.

「それを、どこで見つけた?」声がいつもとちがっていた。

"In this book, behind the dictionaries," said Ren. "Do you know who Hana is?"

「この本の中です。辞書のうしろにありました」とレンは言った。「ハナってだれだか、ご存じですか?」

For a long time, the old man said nothing. Then he took off his glasses. "Put it back," he said. "It's nothing. It's an old story." He walked up the stairs slowly and closed the door.

老人は長いあいだ、何も言わなかった。それから眼鏡をはずした。「もとにもどしておきなさい。なんでもない。昔の話だ」そう言うと、ゆっくりと階段を上がり、ドアを閉めた。

Ren stood alone among the books. He looked at the card again. Then, slowly, he put it in his pocket.

レンは本にかこまれて、ひとり立ちつくしていた。もう一度カードを見た。それから、ゆっくりとポケットにしまった。

Above him, he heard a sound. It was very quiet, but he knew what it was. Mr. Tachibana, the man who never smiled, was crying.

頭の上から、物音が聞こえた。とても小さな音だったが、何の音なのかはわかった。一度も笑ったことのない立花さんが、泣いていたのだ。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

青木レンは京都の大学生だった。二十歳で、英文学を学んでいた。週に三日、授業が終わると、立花書店でアルバイトをしていた。鴨川に近い静かな通りにある、小さな古本屋だった。

店はとても古かった。木の床は歩くたびにきしみ、紙とほこりのにおいがした。本はいたるところにあった。棚にも、床にも、二階へつづく細い階段にまで積まれていた。

店主の立花さんは七十八歳だった。白い髪に、小さな白い口ひげを生やし、鎖のついた老眼鏡を首から下げていた。いつも同じ茶色のニットのベストを着ていた。口数が少なく、笑うこともなかった。でもレンは、この老人が好きだった。立花さんは、店にあるすべての本を知りつくしていたのだ。

十一月も末の、寒い午後のことだった。「レンくん、今日は洋書の棚を掃除してくれないか。もう何年も、だれも手をつけていないんだ」立花さんはそう言うと、銀行へ出かけていった。

洋書の棚は、店のいちばん奥の、いちばん暗い場所にあった。レンが古い本を下ろしては拭いていると、ドアの上のベルが鳴った。女の人が入ってきた。長い灰色のコートに、赤いスカーフを巻いている。

「すみません」と女の人は静かに言った。「古い『秘密の花園』は置いてありますか? 英語の本なんですが」

レンはあちこち探したが、見つからなかった。「申しわけありません」とレンは言った。女の人は一瞬、二階へつづく階段を見上げた。それから「ありがとう」と言って、足早に出ていった。

一時間後、レンは重い古辞書をまとめて引き出した。すると、その奥の壁ぎわに、うすい緑色の本があった。表紙の題名は『秘密の花園』。「ここにあったのか」とレンは思った。「あの人がさがしていたのは、この本だ」

本を開くと、うすい青色の封筒が床に落ちた。表には、美しい手書きの文字で、ひとことだけ書かれていた。「ハナへ」

自分あての手紙でないことは、わかっていた。でも封筒には封がしていなかったし、好奇心をおさえられなかった。中には小さなカードが入っていて、やさしい英語でこう書かれていた。

「愛するハナへ。十八歳の誕生日おめでとう! これはゲームよ。わたしからのプレゼント。この本を読みなさい。メアリーのように、あなたもかぎを見つけなければなりません。カモの川のほとりで、コマドリが道を教えてくれるわ。愛をこめて、母より。一九九六年三月」

「一九九六年か」とレンはつぶやいた。「三十年も前だ」ハナとは、いったいだれなのだろう。そしてなぜ、その誕生日プレゼントが今も辞書のうしろに隠れていたのだろう。

ちょうどそのとき、またベルが鳴った。立花さんがもどってきたのだ。レンの手にある青いカードを見て、立花さんは立ち止まった。顔がまっ白になっていた。

「それを、どこで見つけた?」声がいつもとちがっていた。

「この本の中です。辞書のうしろにありました」とレンは言った。「ハナってだれだか、ご存じですか?」

老人は長いあいだ、何も言わなかった。それから眼鏡をはずした。「もとにもどしておきなさい。なんでもない。昔の話だ」そう言うと、ゆっくりと階段を上がり、ドアを閉めた。

レンは本にかこまれて、ひとり立ちつくしていた。もう一度カードを見た。それから、ゆっくりとポケットにしまった。

頭の上から、物音が聞こえた。とても小さな音だったが、何の音なのかはわかった。一度も笑ったことのない立花さんが、泣いていたのだ。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the woman in the red scarf ask for?

Q2. Where was the book?

Q3. What did Mr. Tachibana do after he saw the card?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

📕 古書店の秘密 The Secret of the Old Bookshop

全8話・5,181語。1話ずつ、音声と全訳つきで読めます。

目次(全8話)
  1. 古書店の秘密 第1話:『秘密の花園』のメモ 558語
  2. 古書店の秘密 第2話:川辺のコマドリ 518語
  3. 古書店の秘密 第3話:ジョーの夢 527語
  4. 古書店の秘密 第4話:別の世界への井戸 579語
  5. 古書店の秘密 第5話:赤いスカーフの女性 692語
  6. 古書店の秘密 第6話:日曜日の物語 735語
  7. 古書店の秘密 第7話:翻訳家 734語
  8. 古書店の秘密 第8話:最後のページ 838語

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