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大人の学び直し英語多読:忙しい社会人の続け方

「学生時代に英語が苦手だった」「仕事が忙しくて机に向かう時間がない」。そんな大人にこそ、英語多読は向いています。この記事では、社会人が無理なく多読を続けるための始め方と時間の作り方を、研究の知見も交えて紹介します。

大人に多読が向いている3つの理由

1. 研究でも大人の効果が大きい。 Jeon と Day(2016)は、1980年から2014年までの49の研究(参加者5,919人)を分析したメタ分析で、多読の効果は子どもや10代よりも大人のグループで高かったと報告しています。年齢を理由にあきらめる必要はまったくありません。

2. 背景知識が多い。 大人は人生経験や一般常識が豊富です。物語の展開や、ノンフィクションの内容を推測する力が高いので、やさしい英語でも深く楽しめます。

3. 机がなくてもできる。 単語帳や問題集と違い、多読はスマホ1台、本1冊あれば、通勤電車でも昼休みでもできます。

学び直しの出発点:思い切って「やさしすぎる」レベルから

学び直しで最も多い失敗は、昔の自分の学年や、TOEIC のスコアに合わせて本を選んでしまうことです。読めるけれど辞書が必要な本は、多読ではなく精読になり、すぐに疲れてしまいます。

  • まずはレベル診断で、いまの自分に合うレベルを確かめましょう。
  • 迷ったら一段下を選びます。多読ベストなら L0 Starter や L1 から始めて、すらすら読めたら上げれば十分です。
  • 「こんなに簡単でいいの?」と思うくらいが正解です。日本の大学生を対象にした Beglar ら(2012)の研究では、リライトされたやさしい本を読んだほうが、原書を読むよりも読む速さが大きく伸びました。

忙しい人のための「1日15分」プラン

まとまった時間を作ろうとすると続きません。生活の中にすでにあるスキマ時間に、多読をはめ込むのがコツです。

  • 朝の5分:コーヒーを飲みながら短い話を1本。多読ベストの L0〜L2 は1話40〜650語ほどなので、数分で1話読めます。
  • 通勤の10分:スマホで読む。混んでいる電車では、音声を聞きながら文字を追う聞き読みや、聞くだけの日があってもOK。
  • 寝る前の5分:お気に入りの話をもう一度。読み直しは立派な多読です。

1日15分、1分間に100語のペースで読めば1日約1,500語、1か月でおよそ4万5,000語です。1年続ければ50万語を超えます。100万語は、決して遠い目標ではありません。読む速さの目安は読む速さ(WPM)の測り方で確認できます。

大人が楽しめる読み物の選び方

子ども向けの話ばかりだと飽きてしまう、という声もよく聞きます。大人が楽しみやすいジャンルを紹介します。

続けるための仕組みづくり

記録をつける。 読んだ語数を記録すると、成長が目に見えるようになります。多読ベストの読書記録・100万語メーターで、読んだ話の語数を積み上げていきましょう。

「読まない日」を責めない。 忙しい週は読めなくて当然です。大切なのは、ゼロの日が続いたときに、いちばんやさしい話を1本だけ読んで再開することです。

目標は「量」より「習慣」。 最初の1か月の目標は「毎日開く」だけで十分です。

日本の大学生を対象にした Yamashita(2013)は、多読を経験した学生の英語の読書に対する気持ちを調べ、「読むことの心地よさ」と「知的な価値」の感じ方が高まり、不安が下がったと報告しています。英語に苦手意識がある大人ほど、多読で「英語と仲直り」できる可能性があります。

仕事や試験に役立つ?

多読でつくのは、英語を英語のまま、速く理解する力です。メールや資料を読むスピードが上がる、TOEIC の長文を最後まで読み切れるようになる、といった変化を感じる人は多いです。ただし、多読だけで試験対策が完結するわけではありません。試験との組み合わせ方は多読と英検・TOEIC・大学入試で、精読との使い分けは精読と多読のちがいで解説しています。

学び直しでよくある失敗

  • 単語を全部調べる:多読では、わからない語は飛ばして読み進めます(辞書を引かない多読)。
  • 一冊を最後まで読まなければと思う:つまらなければ途中でやめて、別の本へ。
  • すぐに原書に挑戦する:原書は楽しいけれど、語彙の負担が一気に大きくなります。段階的な進み方は名作を原文で読むためのステップをどうぞ。

ほかの失敗例は多読のよくある失敗にまとめました。

まとめ

大人の多読は、やさしいレベルから、スキマ時間で、記録をつけながら。1日15分でも、1年続ければ大きな量になります。今日、いちばんやさしい話を1本読むところから始めてみましょう。

よくある質問

中学英語もあやしいのですが、多読はできますか?

できます。多読ベストの L0 Starter は、最頻出300語程度と現在形中心の短い文で書かれています。まずレベル診断を受け、すらすら読めるレベルから始めれば、中学英語の復習にもなります。

1日何分くらい読めば効果がありますか?

決まった最低時間はありませんが、毎日15分を目安にすると続けやすいです。1分間に100語で15分読めば1日約1,500語、1年で50万語を超えます。毎日少しずつのほうが、週末にまとめて読むより習慣になりやすいです。

大人になってから多読を始めても遅くないですか?

遅くありません。49の研究をまとめた Jeon と Day(2016)のメタ分析では、多読の効果は子どもや10代よりも大人のグループで高かったと報告されています。

スマホで読んでも効果はありますか?

あります。紙かスマホかよりも、やさしいレベルをたくさん読むことが大切です。Jeon と Day(2016)では、Web上の物語を使った研究のほうが紙の本よりも高い効果を示したと報告されています。

参考文献

  1. Jeon, E.-Y., & Day, R. R. (2016). The effectiveness of ER on reading proficiency: A meta-analysis. Reading in a Foreign Language, 28(2), 246–265. doi.org/10.64152/10125/66901
  2. Beglar, D., Hunt, A., & Kite, Y. (2012). The effect of pleasure reading on Japanese university EFL learners’ reading rates. Language Learning, 62(3), 665–703. doi.org/10.1111/j.1467-9922.2011.00651.x
  3. Yamashita, J. (2013). Effects of extensive reading on reading attitudes in a foreign language. Reading in a Foreign Language, 25(2), 248–263. doi.org/10.64152/10125/66872
  4. Nakanishi, T. (2015). A meta-analysis of extensive reading research. TESOL Quarterly, 49(1), 6–37. doi.org/10.1002/tesq.157

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