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『原因と結果の法則』『ガルシアへの手紙』『自助論』『武士道』…自己啓発の名著を英語の原文で読もう

日本でも長く読み継がれている自己啓発の名著の中には、もともと英語で書かれ、いまでは著作権の保護期間が終わって誰でも自由に読めるものがたくさんあります。この記事では、代表的な名著を英語の原文で読むための作品ガイドと、挫折しない読み方を紹介します。

なぜ自己啓発の名著を英語で読むのか

1. 内容を知っているから読みやすい。 日本語訳で読んだことのある本なら、英語で読んでも話の流れを見失いません。知らない語があっても推測しやすくなります。

2. 原文の言葉の力にふれられる。 翻訳では伝わりにくい、原文ならではのリズムや言い回しを味わえます。有名な一節を、著者自身の言葉で読む体験は格別です。

3. 無料で読める。 ここで紹介する作品は、いずれも著者が亡くなってから長い年月がたち、Project Gutenberg で無料公開されているパブリックドメインの作品です(Project Gutenberg は主にアメリカでの PD 作品を扱います。ライセンスの考え方は無料で多読を参照)。

4. 大人の多読にぴったり。 子ども向けの話に飽きてきた大人にとって、人生や仕事を考える読み物は、続ける強い動機になります(大人の学び直し英語多読)。

なお、以下の語数は、Project Gutenberg 版の本文をもとに多読ベストで数えたおおよその数です。版によって序文などが違うので、目安として見てください。

1. As a Man Thinketh(ジェームズ・アレン)──『原因と結果の法則』

日本では『原因と結果の法則』の題で知られる、イギリスの作家ジェームズ・アレン(1912年没)の小さな本です。「人は心で考えたとおりの人間になる」というテーマを、7つの短い章で語ります。章の題は Thought and Character、Effect of Thought on Circumstances、Serenity など。

  • 長さ:本文で約7,400語。短い本なので、原書の1冊目に最適です。
  • 難しさ:語彙は抽象的(thought, purpose, circumstance など)で、文も長めです。ただし同じ語が何度も繰り返されるので、読み進めるうちに慣れていきます。
  • 有名な書き出し:第1章は、旧約聖書の箴言に由来する "As a man thinketh in his heart so is he" という言葉の紹介から始まります。thinketh は thinks の古い形です。

2. A Message to Garcia(エルバート・ハバード)──『ガルシアへの手紙』

アメリカの作家エルバート・ハバード(1915年没)の短いエッセイです。米西戦争のとき、キューバの山中にいるガルシア将軍へ、ローワンという人物が「どこにいるのか」と聞き返すこともなく手紙を届けた、というエピソードをもとに、言われたことを自分の力でやり遂げる人の価値を説きます。前書きによると、1899年2月22日の夕食後、1時間で書き上げられたそうです。

  • 長さ:本編は約1,800語(前書きを含めると約2,700語)。今回紹介する中でいちばん短く、1回で読み切れます。
  • 難しさ:19世紀末の口語的なアメリカ英語で、皮肉の効いた言い回しが多めです。短いので、2回、3回と読み返すのがおすすめです。
  • キーフレーズ:"Carry a message to Garcia."

3. Self-Help(サミュエル・スマイルズ)──『自助論』

イギリスのサミュエル・スマイルズ(1904年没)が1859年に出版した本です。日本では明治のはじめに中村正直が『西国立志編』として翻訳し、広く読まれました。いまも『自助論』の題で親しまれています。

  • 長さ:約14万語の大著です。全部を通して読むのは上級者向けです。
  • 難しさ:19世紀の英語で、文が長く、歴史上の人物のエピソードがたくさん出てきます。
  • 有名な書き出し:"Heaven helps those who help themselves"(天は自ら助くる者を助く)という格言から始まります。
  • 読み方のコツ:最初から順に読むより、第1章だけ、あるいは興味のある人物のエピソードだけを拾い読みするのがおすすめです。

4. Bushido: The Soul of Japan(新渡戸稲造)──『武士道』

新渡戸稲造(1933年没)が、日本人の道徳の土台にあるものを海外の人に説明するため、最初から英語で書いた本です。序文の日付は1899年12月です。

  • 長さ:約3万4,000語(序文などを含む)。
  • 難しさ:格調の高い英語で、西洋の歴史や文学からの引用も多く、難しめです。ただし内容は日本人になじみのあるテーマなので、推測しながら読めます。
  • 章の例:Rectitude or Justice(義)、Courage(勇)、Benevolence(仁)、Politeness(礼)、Veracity or Truthfulness(誠)、The Duty of Loyalty(忠義)、Self-Control(克己)など。
  • 読み方のコツ:章ごとに独立しているので、興味のある章から読めます。日本語訳と章ごとに照らし合わせて読むのもよい方法です。

ほかにもある、英語で読める名著

  • The Book of Tea(岡倉天心):茶道を通して東洋の美意識を語った、英語で書かれた本です。約1万8,000語。岡倉天心は1913年に亡くなっています。
  • The Autobiography of Benjamin Franklin(ベンジャミン・フランクリン):アメリカ建国の父のひとりが、自分の人生と、身につけようとした13の徳について語った自伝です。約6万7,000語。
  • The Science of Getting Rich(ウォレス・D・ワトルズ):1910年の本で、約2万3,000語。いわゆる「引き寄せ」系の古典として知られます。

おすすめの読む順番

  1. まず多読ベストで再話を読む:自己啓発の名著のジャンルでは、『原因と結果の法則』(全7章)、『ガルシアへの手紙』、『自助論』、『自分の時間』、フランクリン、『自省録』、『武士道』『茶の本』『代表的日本人』、さらにナポレオン・ヒル『思考は現実化する』やカーネギー『人を動かす』の考え方の紹介まで、名著の内容を Level 2〜5 のやさしい英語で書き直した読み物が59本あります。エマソン『自己信頼』、ソロー『森の生活』、『自省録』、エピクテトス、フランクリン自伝などの原文(全訳つき)もそろっています。自分のレベルの再話で、内容と大事なキーワードをつかみましょう。
  2. 短い原文から:『ガルシアへの手紙』(約1,800語)→『原因と結果の法則』(約7,400語)の順がおすすめです。
  3. 章ごとに読む:『武士道』や『自助論』は、1日1章、または1日数ページと決めて読みます。
  4. 原文の名作はジャンルページから:多読ベストの原文で読む名作(L6)もあわせてどうぞ。

原文を読むときの5つのコツ

  • 日本語訳を先に読んでもよい。多読では「内容を知っている」ことが大きな助けになります。日本語訳で読んだ本を英語で読み直すのは、立派な多読の方法です。
  • 古い語形に慣れる。thinketh(= thinks)、hath(= has)、thou(= you)のような古い形が出てきても、慌てずに推測しましょう。
  • 心に残った一文に印をつける。お気に入りの一文を書き写したり、音読したりすると、記憶に残ります。
  • 全部わからなくてよい。7〜8割の理解で十分です。わからない段落は飛ばして先に進みましょう(辞書を引かない多読)。
  • やさしい本も並行して読む。原文だけだと読む量が落ちます。やさしい本も読み続けて、読む力そのものを伸ばしましょう。原書への進み方は名作を原文で読むためのステップで詳しく説明しています。

どのくらいの英語力が必要?

原文の自己啓発書は、語彙が抽象的で文も長いので、graded readers の上位レベルや、多読ベストの L5 を楽に読めるくらいが挑戦の目安です。まだ難しいと感じる人は、再話を何冊か読んでから原文に戻ってきてください。自分のレベルはレベル診断で確かめられます。

まとめ

自己啓発の名著は、内容を知っている・無料で読める・人生の役に立つという、大人の多読にうってつけの素材です。まずは再話で内容をつかみ、短い『ガルシアへの手紙』や『原因と結果の法則』の原文から挑戦してみましょう。読んだ語数は読書記録・100万語メーターに記録して、名著を英語で読んだ達成感を積み上げてください。

よくある質問

自己啓発の名著で、最初に原文で読むならどれがよいですか?

いちばん短い『ガルシアへの手紙』(本編約1,800語)か、『原因と結果の法則』(As a Man Thinketh、本文約7,400語)がおすすめです。どちらも短いので、原書を1冊読み切る達成感を味わえます。

『武士道』はもともと日本語の本ではないのですか?

新渡戸稲造が、日本の道徳を海外の人に説明するために、最初から英語で書いた本です。日本語版はあとから翻訳されたものです。

これらの本は本当に無料で読めるのですか?

紹介した作品はいずれも著者が亡くなってから長い年月がたち、Project Gutenberg で無料公開されています。個人で読むぶんには自由に使えます。コピーして配るなどの場合は、国ごとの著作権の扱いも確認してください。

日本語訳を先に読んでもよいのですか?

よいです。内容を知っていると、知らない語があっても推測しながら読み進められます。日本語で読んだ本を英語で読み直すのは、多読でもよく使われる方法です。

参考文献

  1. Allen, J. As a Man Thinketh. Project Gutenberg eBook #4507. www.gutenberg.org/ebooks/4507
  2. Hubbard, E. A Message to Garcia. Project Gutenberg eBook #17195. www.gutenberg.org/ebooks/17195
  3. Smiles, S. Self Help; with Illustrations of Conduct and Perseverance. Project Gutenberg eBook #935. www.gutenberg.org/ebooks/935
  4. Nitobe, I. Bushido, the Soul of Japan. Project Gutenberg eBook #12096. www.gutenberg.org/ebooks/12096
  5. Okakura, K. The Book of Tea. Project Gutenberg eBook #769. www.gutenberg.org/ebooks/769
  6. Franklin, B. The Autobiography of Benjamin Franklin. Project Gutenberg eBook #148. www.gutenberg.org/ebooks/148
  7. Wattles, W. D. The Science of Getting Rich. Project Gutenberg eBook #59844. www.gutenberg.org/ebooks/59844

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