今日から始める英語多読:最初の1か月のステップ
多読を始めるのに、特別な準備はいりません。必要なのは「やさしい英語」と「毎日少しの時間」だけです。この記事では、最初の1か月を4週に分け、何をどれだけ読めばよいかを具体的に紹介します。
始める前に:3つの準備
1. 目標を「楽しく続ける」にする
最初から「TOEICで何点」「洋書を読む」と大きな目標を立てるのは悪くありませんが、最初の1か月の目標は毎日少しでも英語を読む習慣をつくることにしましょう。多読の効果は大量に読むことで出てくるので、続けることがいちばん大事です。
2. 時間を決める
「通学の電車の中」「お風呂のあと」「寝る前の15分」など、読む時間をいつもの行動にくっつけると続きやすくなります。1日10〜15分から始めましょう。
3. 記録の場所を用意する
読書記録・100万語メーターを使えば、読んだ話と語数が自動でたまっていきます。紙のノートでもかまいません(→読書記録のつけ方)。
第1週:やさしすぎる本で「辞書なしで読む」体験をする
やること
- ① レベル診断を受ける
- ② 診断の結果より1つ下のレベルから読み始める(中学英語に自信がない人は L0 Starter から)
- ③ 1日1〜3話を読む
ポイント
- 辞書は使いません。わからない語は飛ばします(→多読三原則)
- 「簡単すぎる」と感じても大丈夫。むしろそれが正解です。最初の週は、英語を日本語に訳さずに理解できたという感覚をつかむことが目的です
- 多読ベストの L0 は1話40〜160語、L1 は120〜380語です。1話あたり数分で読めます
第1週の目安
- 読書時間:1日10〜15分
- 語数:合計2,000〜5,000語
第2週:毎日読む習慣をつくる
やること
- 第1週と同じか、少し上のレベルを読む
- ジャンルを広げてみる:イソップ物語、日本の昔話、世界の名作童話など
- 音声がある話は、音声を聞きながら読むのも試してみる(→聞き読みの効果とやり方)
ポイント
- 読む時間をずらさないことが大切です。忙しい日は1話だけでもOK
- 知っている話(桃太郎、シンデレラなど)は、英語でも筋が追いやすく、多読の入門にぴったりです
- 量は力になります。日本の大学生を1年間調べた研究(Beglar, Hunt & Kite, 2012)では、2週間に1冊以上読むことが、多くの学習者の読む速さを伸ばすのに効果的でした。短い話でも、毎日の積み重ねが大きな量になります
第2週の目安
- 語数:合計5,000〜10,000語(1週目と合わせて1万語前後)
第3週:自分の「ちょうどいい」を見つける
やること
- 今のレベルの話を読んで、次の3つをチェックする
- 1話を止まらずに最後まで読めるか
- 話の筋がだいたいわかるか
- 楽しいと感じるか
- 3つとも「はい」なら、1つ上のレベルの話を1〜2話試してみる
レベルを上げてよいサイン
- 知らない語がほとんど気にならない
- 速く読めて、内容もわかる
- 「もう少し長い話を読みたい」と感じる
レベルを下げた方がよいサイン
- 1ページに知らない語が5個以上ある
- 同じ文を何度も読み返してしまう
- 読み終わっても話の筋が説明できない
くわしい基準はレベルの選び方:YL・語数・98%の目安で説明しています。
第3週の目安
- 読書時間:1日15〜20分
- 語数:合計1万〜2万語に届けば上出来です
第4週:ふり返りと次の1か月の計画
やること
- ① 1か月で読んだ語数を確認する
- ② いちばんおもしろかった話・つまらなかった話を思い出す
- ③ 次の1か月の目標を決める(例:「1日20分」「月3万語」「L2 に上がる」)
読む速さを測ってみよう
1か月たったら、読む速さ(WPM:1分間に読める語数)を測ってみるのもおすすめです。同じくらいのやさしさの話で測り、数か月ごとに比べると、伸びが目に見えます(→読む速さ(WPM)の測り方と伸ばし方)。
1か月の語数の目安
- 1日10分 × 毎日:1分80語なら1日800語、1か月約2万4千語
- 1日15分 × 毎日:1分100語なら1日1,500語、1か月約4万5千語
- 1日30分 × 毎日:1分100語なら1日3,000語、1か月約9万語
数字はあくまで目安です。最初の1か月は1万〜3万語読めれば十分です。100万語までの長期計画は100万語多読への道をごらんください。
最初の1か月でやってはいけないこと
- むずかしい本から始める:挫折のいちばんの原因です
- 全部の単語を調べる:読書が止まり、楽しくなくなります
- 毎回ノートに和訳を書く:それは精読の練習です。多読の時間は読むことに集中しましょう
- 数日休んだからとやめてしまう:休んだら、また1話から再開すればよいだけです
ほかの失敗パターンは多読でよくある失敗10と対策にまとめています。
大人・子ども・先生向けのヒント
- 大人の学び直しなら:大人の英語多読
- 子どもと一緒に始めるなら:子どもの英語多読
- クラスで始めるなら:授業で多読を取り入れる方法
まとめ
最初の1か月は、やさしすぎる本で、毎日少しずつ、楽しく読むことに集中しましょう。習慣ができれば、語数は自然に積み上がっていきます。さっそくレベル診断から始めてみてください。多読全体の考え方は英語多読とは?完全ガイドにまとめています。
よくある質問
最初の本はどれを選べばいいですか?
レベル診断の結果より1つ下のレベルで、筋を知っている話(日本の昔話や有名な童話)がおすすめです。多読ベストなら L0 や L1 の日本の昔話、イソップ物語から始めると読みやすいです。
1日何分読めば効果がありますか?
最初は1日10〜15分で十分です。大切なのは毎日続けることです。慣れたら20〜30分に増やすと、語数が大きく積み上がります。
やさしすぎて物足りないのですが、レベルを上げてもいいですか?
止まらずに読めて、話がよくわかり、楽しいと感じるなら、1つ上のレベルを試してかまいません。上げてみて読みにくければ、すぐに戻しましょう。行ったり来たりしながら少しずつ上がるのが自然です。
1か月続けたら効果を感じられますか?
「英語を読むのが前ほど苦痛でなくなった」「訳さずに読める感覚がわかった」と感じる人は多いです。ただ、読解力や試験の点数の伸びは、数か月から1年単位で読み続けて出てくるものです。
参考文献
- Beglar, D., Hunt, A., & Kite, Y. (2012). The effect of pleasure reading on Japanese university EFL learners’ reading rates. Language Learning, 62(3), 665–703. doi.org/10.1111/j.1467-9922.2011.00651.x
- Bamford, J., & Day, R. R. (Eds.). (2004). Extensive Reading Activities for Teaching Language. Cambridge University Press. ci.nii.ac.jp/ncid/BA68484365
- 酒井邦秀 (2002).『快読100万語!ペーパーバックへの道』筑摩書房. ci.nii.ac.jp/ncid/BA57253600
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