次期学習指導要領とのつながり

社会を読み解く数学(統計的な推測の基礎)事象や言説を批判的に考察AI・データサイエンスの基盤としての確率・統計
審議まとめは、高校の必履修科目「数学Ⅰ」に、実社会の数学的な場面をもとに「場合の数と確率」「統計的な推測」「行列」「数列」の基礎的素養を学ぶ「社会を読み解く数学」を新設する方向を示しています(P167・P172)。また高校では、AI技術やデータサイエンスの仕組みを理解し適切に使えるよう、その土台である確率・統計などの基礎を重視するとしています(P167・P171)。見方・考え方にも「言説」と「批判的」な考察が加わる方向です(P169)。この授業は、現行の数学Ⅰ「データの分析」で扱う仮説検定の考え方を身近な主張の判断に使い、審議まとめが示す「社会を読み解く数学」の統計的な推測につながる見方を先取りするものです。 P167P169P171P172
ねらい
「新商品の方がおいしいと感じる人が多い」という主張について、「味に差はない(半々)」と仮定したときに結果がどのくらい起こりやすいかをシミュレーションで調べ、判断の基準を示して主張を受け入れるかどうかを説明できる。
準備するもの
- 場面カード(先生作成):「20人が新旧2つの飲み物を飲み比べ、15人が新しい方をおいしいと答えた。新しい方がおいしいと言える?」と、同じ形で14人の場合のカード
- 1人1枚の硬貨
- 先生が用意した表計算のシート(乱数で20回のコイン投げを行い、表の回数を1000セット記録する)
- 結果を集計する度数分布表のワークシート
手順
- 場面カードを示し、「15人なら、新しい方がおいしいと言っていい?」と問います。「味に差がなくても、たまたま15人になることはある?」という問いを立てます。5分
- 「味に差がないなら、一人一人の答えはコインの表裏と同じ」と仮定することを確かめます(仮説を立てる)。5分
- ペアで実際に硬貨を20回投げ、表の回数を記録します。クラス全体の結果を集めて度数分布表をつくり、「15回以上はどのくらいあったか」を見ます。10分
- 表計算のシミュレーション(20回×1000セット)を全員で動かし、表が15回以上になった割合を求めます(およそ2%前後になります)。同じように、14回以上になった割合も求めます(およそ6%前後になります)。12分
- 班で「15人なら」「14人なら」それぞれ主張を受け入れるかを話し合います。どのくらい珍しければ「偶然とは考えにくい」と判断するか(基準、たとえば5%)を前もって決めておく必要があること、基準によって結論が変わりうることを全体で整理します。12分
- 振り返りとして、広告やニュースの「〇人中〇人が〜」という表現を見たとき、何を確かめるか(人数、選び方、偶然と比べたか)を書きます。6分
評価(見取り)のポイント
【知識・技能】仮説を立て、シミュレーションの結果から起こりやすさを求めているかを見取ります。【思考・判断・表現】判断の基準をはっきりさせたうえで、主張を受け入れるかどうかを根拠をもって説明しているかを見ます。「15人でも絶対においしいとは言えない」「基準によって結論が変わる」ことに触れているかも確かめます。
うまくいくコツ・アレンジ
- 実際の硬貨投げを先に行うと、シミュレーションが「同じことをたくさん、速くやっている」だけだと実感できます。
- 理論上の割合は、15回以上でおよそ2.1%、14回以上でおよそ5.8%です。シミュレーションの結果が少しずれるのは自然なことだと伝えます。
- 「仮説が正しいと証明された」ではなく、「偶然とは考えにくい」「偶然の可能性も否定できない」という言い方を大切にします。
アレンジ
- 数学Aの「場合の数と確率」を学んだあとなら、組合せを使って理論上の確率を求め、シミュレーションの結果と比べます。
- 20人の選び方(知り合いだけに聞いた等)に偏りがあるとどうなるかを考え、中学校の標本調査とつなげます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。