次期学習指導要領とのつながり

審議まとめは、情報モラルの扱いを見直すとともに、AIの惹起する道徳的課題を発達の段階をふまえて道徳科の教材で扱えることを解説で示す方向としています。問いの例として「学習課題や作品づくりに取り組む上で、何のために、どこまでAIを活用するべきか、そもそも何のために学ぶのか」が挙がっています。また、教師が適切なタイミングでAIに異なる立場の意見を示させる活用は、考えの多面化・多角化に一定の効果が期待できるとされる一方、AIの回答を正解として扱わないこと、自分で考えた後で補助的に使うことが留意点とされています。この授業はこれらをふまえ、まず自分で考え、その後でAIの意見を吟味する流れにしています。 P308P314P316P317
学習や作品づくりでAIをどこまで使うかという問いについて、学ぶことの意味や自分の成長、誠実さとの関わりから考え、自分なりの判断とその理由を言葉にする(主な内容項目の例:自主、自律、自由と責任)。
準備するもの
- 教師が自作した場面カード3枚(例:①読書感想文をAIに全部書かせる ②自分で書いた感想文の誤字だけをAIに直してもらう ③調べ学習で資料の要約をAIに頼み、元の資料は読まない)
- 「ここまでならよい」線引きシート(3枚の場面を並べ、どこに線を引くかと理由を書く)
- 教師が授業前に用意したAIの出力(異なる立場の意見を3つ程度。印刷またはスライド)
手順
- 「宿題や作品づくりでAIが使われそうな場面」を挙げてもらいます。自分が使ったことがあるかどうかは聞きません。5分
- 3枚の場面カードを読み、個人で「どこまでならよいか」線を引き、その理由を書きます。12分
- 4人班で線の位置と理由を交流します。同じ位置でも理由が違うことや、違う位置でも共通して大切にしていることを探します。13分
- 教師が授業前にAIに出させておいた異なる立場の意見を示し、「納得できる点・疑問に思う点」を班で吟味します。AIの意見は正解ではなく、考える材料の1つであることを確認します。8分
- 「そもそも何のために学ぶのか」を全体で考えた後、自分の線引きを見直し、理由とともに書きます(最初と変わらなくてもかまいません)。12分
評価(見取り)のポイント
線をどこに引いたかではなく、理由の中で学ぶことの意味や自分の成長、誠実さなど複数の視点から考えているか(多面化・多角化)、自分の学び方の問題として考えているか(自我関与)を記述から見取ります。AIの意見をそのまま写していないか、自分の考えと比べて吟味しているかにも注目します。
AIを使うなら
AIは教師が授業前に使い、異なる立場の意見を3つ程度出させて印刷しておきます。生徒が自分の考えを書いた後で示し、AIの意見を正解として扱わず、道徳的な価値との関わりで批判的に吟味させます。生徒が端末でAIを使う場合は、学校のルールに従います。
うまくいくコツ・アレンジ
- 「AIを使うのはずるい」という一方向の結論に誘導しないよう、使うことで学びがよくなる場面も取り上げます。
- 技術の変化が速いので、場面カードは生徒の実態に合わせて毎年見直します。
- 家庭での端末利用の状況は生徒によって違うため、使った経験の有無を聞き出さないようにします。
アレンジ
- 炎上している投稿のリポストや、不確かな事件情報の拡散など、単純な正誤では判断しにくい情報モラルの問いに置き換えて扱えます。
- 小学校高学年では、場面を「自由研究の絵をAIに描いてもらう」など身近なものにして扱えます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。