Botchan and the Tempura Teacher(坊っちゃん(天ぷら先生とバッタ事件))の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate日本の昔話と名作

Botchan and the Tempura Teacher

坊っちゃん(天ぷら先生とバッタ事件)

  • 📖 724 words
  • ⏱ 約7分
  • 🔊 3:56
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ東京から四国の中学校に数学の先生としてやってきた、まっすぐで短気な「おれ」。いたずら好きの生徒たちとの、おかしな戦いが始まります。

夏目漱石『坊っちゃん』(1906年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • nicknamesあだ名
  • principal校長
  • flannelフランネル(布)
  • porcupineヤマアラシ
  • burst out laughingどっと笑い出した
  • on duty当直で
  • dormitory寄宿舎・寮
  • grasshoppersバッタ
  • locustsイナゴ
  • take responsibility責任をとる
音声に合わせて文が光ります0:00 / 3:56

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Orus)

Ever since I was a child, I have always acted first and thought later. When I was in elementary school, I once jumped from the second floor of the school building. A classmate had said, "You talk big, but you can't jump from there!" So I jumped, and I hurt my back. My father said, "What kind of fool jumps from the second floor?" I told him that next time I would jump without getting hurt.

おれは子どものころから、考えるより先に体が動いてしまうたちだ。小学校のとき、校舎の二階から飛び降りたことがある。同級生の一人が「えらそうなことを言っても、そこからは飛び降りられないだろう!」と言ったからだ。それで飛び降りて、腰をいためた。おやじは「二階から飛び降りるばかがどこにいる」と言った。おれは、今度はけがをしないで飛び降りてみせると答えた。

My family did not think much of me. The only person who loved me was Kiyo, our old maid. "You have a straight and honest heart," she always said. "You will become a great man someday." I did not know why she believed that, but it made me happy.

家族は、おれのことをたいして買ってはいなかった。おれをかわいがってくれたのは、年寄りの下女の清だけだった。「あなたはまっすぐで、正直なご気性です」と清はいつも言っていた。「いつかきっと、えらいお方になりますよ」なぜ清がそう信じているのかは分からなかったが、おれはうれしかった。

After I finished school in Tokyo, I got a job as a math teacher at a middle school in a small country town in Shikoku. I had never been outside of Tokyo before, but I thought, "Why not?" and went.

東京で学校を出ると、おれは四国の小さな田舎町の中学校に、数学の教師として勤めることになった。それまで東京から出たことは一度もなかったが、「まあいいか」と思って出かけていった。

The town was small, and the teachers were strange. I gave them all secret nicknames. The principal looked like a tanuki, so I called him Badger. The head teacher always wore a red flannel shirt, even in summer, so I called him Red Shirt. Another math teacher was big and strong with spiky hair, so he became Porcupine.

町は小さく、教師たちは変わり者ぞろいだった。おれはみんなに、こっそりあだ名をつけた。校長はタヌキに似ていたから「タヌキ」。教頭は夏でもいつも赤いフランネルのシャツを着ていたから「赤シャツ」。もう一人の数学の教師は大がらでたくましく、髪がつんつん立っていたので「山嵐」になった。

The students were even worse. One evening, I went to a noodle shop and saw tempura soba on the menu. I loved tempura soba back in Tokyo, so I ordered a bowl. It was good, so I ordered another. Then another. In the end, I ate four bowls.

生徒たちは、それに輪をかけてひどかった。ある晩、おれはそば屋に入って、品書きに天ぷらそばがあるのを見つけた。東京にいたころ、天ぷらそばが大好物だったので、一杯たのんだ。うまかったので、もう一杯たのんだ。それから、もう一杯。けっきょく、四杯平らげた。

The next morning, I walked into my classroom. On the blackboard, someone had written in very big letters: "TEMPURA TEACHER." When they saw my face, all the students burst out laughing.

次の朝、おれは教室に入っていった。黒板に、だれかがでかでかと「天ぷら先生」と書いていた。おれの顔を見ると、生徒たちはどっと笑いだした。

"Is it so strange to eat tempura?" I asked. One student said, "But four bowls is too many, sir!" "I paid for them with my own money!" I said. I finished the lesson quickly and went back to the teachers' room.

「天ぷらを食うのが、そんなにおかしいか」とおれは聞いた。生徒の一人が言った。「でも、四杯は食いすぎでしょう、先生!」「自分の金で食ったんだ!」とおれは言い返した。おれはさっさと授業を終えて、職員室にもどった。

Ten minutes later, I went to the next class. On the blackboard, it said: "Four bowls of tempura. But no laughing allowed." I was so angry that I could not speak. In a small town like this, everybody knows everything you do. When I ate two plates of sweet dango later that week, the blackboard said, "Two plates of dango, seven sen." Even my red towel at the hot spring became a joke.

十分後、次の教室へ行った。黒板にはこう書いてあった。「天ぷら四杯。ただし笑うべからず」おれは腹が立って、口もきけなかった。こんな小さな町では、こちらのすることは何でもみんなに知れわたってしまう。その週の終わりに甘いだんごを二皿食ったら、黒板に「だんご二皿七銭」と書かれた。温泉で使うおれの赤い手ぬぐいまで、笑いの種になった。

Then came my first night on duty at the school dormitory. Teachers had to take turns sleeping there to watch the students. I got into the futon, the Japanese bed on the floor. Then I felt something moving on my legs. Something was jumping. I threw back the covers. Grasshoppers! Fifty or sixty grasshoppers were jumping all over my bed.

それから、学校の寄宿舎で、おれの初めての宿直の夜がやって来た。教師は順番にそこにとまって、生徒たちを見張らなければならないのだ。おれは布団にもぐりこんだ。布団というのは、床にしいて寝る日本式の寝床だ。すると、足の上で何かが動くのを感じた。何かがはねている。おれは布団をはねのけた。バッタだ!五、六十ぴきのバッタが、寝床じゅうをぴょんぴょんはねまわっていた。

I spent half an hour hitting them with my pillow. Then I called six students from the dormitory into my room. "Why did you put grasshoppers in my bed?" I asked.

おれは三十分かかって、まくらでバッタをたたいた。それから寄宿舎の生徒を六人、部屋に呼びつけた。「なぜおれの寝床にバッタを入れた?」とおれは聞いた。

One boy looked at me calmly. "Grasshoppers, sir? Those are not grasshoppers. Those are locusts." "Same thing!" I shouted. "And why did you put them there?" "We didn't put anything anywhere, sir," he said politely. "Maybe they came in by themselves."

一人の生徒が、落ち着きはらっておれを見た。「バッタですか、先生?あれはバッタではありません。イナゴです」「同じことだ!」とおれはどなった。「それで、なぜあんなところに入れたんだ?」「ぼくたちは、どこにも何も入れていません、先生」とその生徒はていねいに言った。「ひとりでに入ったのかもしれませんよ」

No one would say who did it. Back in Tokyo, a boy who did something bad would at least say, "Yes, I did it." These students played tricks but would not take responsibility. That made me angrier than the grasshoppers.

だれも、自分がやったとは言わなかった。東京なら、悪さをした子どもは、少なくとも「はい、ぼくがやりました」と言ったものだ。ここの生徒たちは、いたずらはするくせに、責任は取ろうとしない。それが、バッタを入れられたことよりも腹立たしかった。

I tried to go back to sleep, but soon there was a terrible noise from the floor above me. Stomp, stomp, stomp! Thirty or forty students were jumping on the floor together. I ran upstairs, but when I got there, everyone was lying in bed with their eyes closed, pretending to sleep.

おれはもう一度寝ようとしたが、まもなく頭の上の階から、ものすごい音がしてきた。ドン、ドン、ドン!三、四十人の生徒が、いっせいに床をふみ鳴らしているのだ。おれは二階へかけ上がったが、着いてみると、みんな布団に入って目を閉じ、寝たふりをしていた。

I stayed up all night. "I will not lose to these kids," I said to myself. "I am from Tokyo, and I am not a coward."

おれはひと晩じゅう起きていた。「こんな子どもらに負けてたまるか」とおれは自分に言い聞かせた。「おれは江戸っ子だ。ひきょう者じゃない」

Later, I wrote a letter to Kiyo. I wanted to tell her everything about this town. But in the end, I only wrote a few lines. "I arrived safely. The people here are strange. I gave everyone nicknames. I will tell you more later. Don't worry about me." I wondered if she would smile when she read it.

あとで、おれは清に手紙を書いた。この町のことを何もかも話してやりたかった。けれども、けっきょく数行しか書かなかった。「無事に着いた。ここの人間は変わっている。みんなにあだ名をつけてやった。くわしいことはいずれ話す。心配するな」清はこれを読んで、にっこりするだろうかと思った。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

おれは子どものころから、考えるより先に体が動いてしまうたちだ。小学校のとき、校舎の二階から飛び降りたことがある。同級生の一人が「えらそうなことを言っても、そこからは飛び降りられないだろう!」と言ったからだ。それで飛び降りて、腰をいためた。おやじは「二階から飛び降りるばかがどこにいる」と言った。おれは、今度はけがをしないで飛び降りてみせると答えた。

家族は、おれのことをたいして買ってはいなかった。おれをかわいがってくれたのは、年寄りの下女の清だけだった。「あなたはまっすぐで、正直なご気性です」と清はいつも言っていた。「いつかきっと、えらいお方になりますよ」なぜ清がそう信じているのかは分からなかったが、おれはうれしかった。

東京で学校を出ると、おれは四国の小さな田舎町の中学校に、数学の教師として勤めることになった。それまで東京から出たことは一度もなかったが、「まあいいか」と思って出かけていった。

町は小さく、教師たちは変わり者ぞろいだった。おれはみんなに、こっそりあだ名をつけた。校長はタヌキに似ていたから「タヌキ」。教頭は夏でもいつも赤いフランネルのシャツを着ていたから「赤シャツ」。もう一人の数学の教師は大がらでたくましく、髪がつんつん立っていたので「山嵐」になった。

生徒たちは、それに輪をかけてひどかった。ある晩、おれはそば屋に入って、品書きに天ぷらそばがあるのを見つけた。東京にいたころ、天ぷらそばが大好物だったので、一杯たのんだ。うまかったので、もう一杯たのんだ。それから、もう一杯。けっきょく、四杯平らげた。

次の朝、おれは教室に入っていった。黒板に、だれかがでかでかと「天ぷら先生」と書いていた。おれの顔を見ると、生徒たちはどっと笑いだした。

「天ぷらを食うのが、そんなにおかしいか」とおれは聞いた。生徒の一人が言った。「でも、四杯は食いすぎでしょう、先生!」「自分の金で食ったんだ!」とおれは言い返した。おれはさっさと授業を終えて、職員室にもどった。

十分後、次の教室へ行った。黒板にはこう書いてあった。「天ぷら四杯。ただし笑うべからず」おれは腹が立って、口もきけなかった。こんな小さな町では、こちらのすることは何でもみんなに知れわたってしまう。その週の終わりに甘いだんごを二皿食ったら、黒板に「だんご二皿七銭」と書かれた。温泉で使うおれの赤い手ぬぐいまで、笑いの種になった。

それから、学校の寄宿舎で、おれの初めての宿直の夜がやって来た。教師は順番にそこにとまって、生徒たちを見張らなければならないのだ。おれは布団にもぐりこんだ。布団というのは、床にしいて寝る日本式の寝床だ。すると、足の上で何かが動くのを感じた。何かがはねている。おれは布団をはねのけた。バッタだ!五、六十ぴきのバッタが、寝床じゅうをぴょんぴょんはねまわっていた。

おれは三十分かかって、まくらでバッタをたたいた。それから寄宿舎の生徒を六人、部屋に呼びつけた。「なぜおれの寝床にバッタを入れた?」とおれは聞いた。

一人の生徒が、落ち着きはらっておれを見た。「バッタですか、先生?あれはバッタではありません。イナゴです」「同じことだ!」とおれはどなった。「それで、なぜあんなところに入れたんだ?」「ぼくたちは、どこにも何も入れていません、先生」とその生徒はていねいに言った。「ひとりでに入ったのかもしれませんよ」

だれも、自分がやったとは言わなかった。東京なら、悪さをした子どもは、少なくとも「はい、ぼくがやりました」と言ったものだ。ここの生徒たちは、いたずらはするくせに、責任は取ろうとしない。それが、バッタを入れられたことよりも腹立たしかった。

おれはもう一度寝ようとしたが、まもなく頭の上の階から、ものすごい音がしてきた。ドン、ドン、ドン!三、四十人の生徒が、いっせいに床をふみ鳴らしているのだ。おれは二階へかけ上がったが、着いてみると、みんな布団に入って目を閉じ、寝たふりをしていた。

おれはひと晩じゅう起きていた。「こんな子どもらに負けてたまるか」とおれは自分に言い聞かせた。「おれは江戸っ子だ。ひきょう者じゃない」

あとで、おれは清に手紙を書いた。この町のことを何もかも話してやりたかった。けれども、けっきょく数行しか書かなかった。「無事に着いた。ここの人間は変わっている。みんなにあだ名をつけてやった。くわしいことはいずれ話す。心配するな」清はこれを読んで、にっこりするだろうかと思った。

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the students call him the Tempura Teacher?

Q2. What did the students say about the grasshoppers?

Q3. What made Botchan angrier than the grasshoppers?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 3 の読み物をもっと見る →