The Three Sillies(三人のおばかさん)の挿絵

The Three Sillies

三人のおばかさん

  • 📖 647 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ地下室で泣いているお嫁さん候補とその両親を見て、若い紳士はあきれて旅に出ます。「この三人よりおばかな人を三人見つけたら、戻ってこよう」。

ジョーゼフ・ジェイコブズ『イギリスの昔話』(1890年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • gentleman紳士
  • cellar地下室
  • jug水差し
  • hammer木づち
  • ceiling天井
  • barrelたる
  • silliesおばかさんたち
  • chimney煙突
  • chest of drawersたんす
  • rakesくまで

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Once upon a time, a farmer and his wife had one daughter. A young gentleman came to visit her every evening, and they all hoped the two would get married.

むかしむかし、あるお百姓さんの夫婦に、娘が一人いました。毎晩、一人の若い紳士が娘に会いにやって来ました。みんな、二人が結婚すればいいのにと思っていました。

One evening, the daughter went down to the cellar to get some beer for supper. While the beer was running into the jug, she looked up. She saw a heavy wooden hammer stuck in the ceiling. It was very old, and nobody ever thought about it.

ある晩、娘は夕食のビールをくみに、地下室へ下りていきました。ビールが水差しに流れこむのを待ちながら、娘はふと上を見上げました。すると、天井に重たい木づちが刺さっているのが見えました。ずいぶん古いもので、誰もそんな木づちのことなど気にもとめていませんでした。

She began to think. "Suppose he and I get married, and we have a son. And suppose our son grows up and comes down here to get beer, just like me. And suppose that hammer falls on his head! How terrible!" She put down her candle, sat down and began to cry.

娘は考えはじめました。「もし、あの人とわたしが結婚して、男の子が生まれたとするでしょう。その子が大きくなって、今のわたしみたいに、ここへビールをくみに来たとするでしょう。そして、あの木づちがその子の頭に落ちてきたら! ああ、なんて恐ろしい!」娘はろうそくを置くと、座りこんで泣きだしました。

Upstairs, they waited and waited for the beer. At last the mother went down to the cellar. "What's the matter?" she asked. Her daughter told her about the hammer. "Oh, how terrible!" said the mother, and she sat down and cried too.

上では、みんながビールを待っていましたが、いつまでたっても来ません。とうとうお母さんが地下室へ下りていきました。「どうしたの?」娘は木づちのことを話しました。「まあ、なんて恐ろしい!」お母さんもそう言って座りこみ、一緒に泣きだしました。

Then the father went down. He heard the story, and he sat down and cried too. All this time, the beer was running out of the barrel and all over the floor.

次にお父さんが下りていきました。話を聞くと、お父さんも座りこんで泣きだしました。その間ずっと、ビールはたるから流れ出て、床いっぱいに広がっていました。

At last the gentleman went down himself. There were the three of them, crying side by side, with beer around their feet. When they told him the reason, he began to laugh. He reached up and pulled the hammer out of the ceiling.

とうとう、紳士が自分で下りていきました。見ると、三人が並んで泣いていて、足もとはビールの海です。わけを聞くと、紳士は笑いだしました。そして手を伸ばして、天井から木づちを引き抜きました。

"I have traveled a lot," he said, "but I have never met three such sillies. I am going to travel again. If I find three people sillier than you, I will come back and marry your daughter." Then he left, and they all cried even more.

「ぼくはあちこち旅をしてきましたが、こんなおばかさんが三人もそろっているのは見たことがありません」と紳士は言いました。「ぼくはもう一度旅に出ます。あなたたちよりおばかな人を三人見つけたら、戻ってきて娘さんと結婚しましょう」そう言って紳士は出ていき、三人はますます大泣きしました。

He traveled a long way. One day he saw a cottage with grass growing on the roof. An old woman was trying to push her cow up a ladder. "Why are you doing that?" he asked. "Look at all that good grass!" she said. "My cow can eat it up there."

紳士は長い旅をしました。ある日、屋根に草が生えている小さな家を見かけました。おばあさんが、自分の牛をはしごに押し上げようとしていました。「どうしてそんなことをしているんですか?」と紳士が尋ねると、おばあさんは言いました。「ほら、あんなにいい草が生えているでしょう! 牛にあそこで食べさせるんですよ」

"Why don't you cut the grass and throw it down to her?" he asked. But the old woman did not listen. She got the cow onto the roof and tied a rope around it. Then she dropped the other end of the rope down the chimney and tied it to her own arm. "Now my cow can't fall off," she said.

「草を刈って、下へ投げてやればいいじゃありませんか」と紳士は言いました。けれども、おばあさんは聞く耳を持ちませんでした。牛を屋根の上に上げると、その体にロープを結びつけました。それからロープのもう一方の端を煙突から下へたらして、自分の腕に結びつけました。「これで牛が落っこちる心配はないね」

But the cow slipped and fell off the roof, and the rope pulled the old woman right up into the chimney! The gentleman ran to help, and luckily the woman and the cow were both all right. "That is one silly," he said.

ところが牛は足を滑らせて、屋根から落ちてしまいました。するとロープに引っぱられて、おばあさんは煙突の中へ引き上げられてしまったのです! 紳士は急いで助けに行きました。さいわい、おばあさんも牛も無事でした。「これで一人目のおばかさんだ」と紳士は言いました。

That night, he stayed at an inn. In the morning, he saw another guest. The man hung his trousers on a chest of drawers. Then he ran across the room and tried to jump into them. He tried again and again, but he could not do it.

その晩、紳士は宿屋に泊まりました。朝になると、ほかの泊まり客の一人が、ズボンをたんすにひっかけていました。男は部屋の向こうから走ってきて、ズボンに飛びこもうとしました。何度も何度もやってみましたが、うまくいきませんでした。

"Every morning it takes me an hour to put on my trousers," the man said. "How do you do it?" The gentleman laughed and showed him. "Thank you!" said the man. "I never thought of that!" "That makes two sillies," thought the gentleman.

「毎朝、ズボンをはくのに一時間もかかるんですよ」と、その男は言いました。「あなたはどうやってはいているんです?」紳士は笑って、はき方を見せてやりました。「ありがとう! そんなこと、思いつきもしませんでした!」「これで二人目のおばかさんだ」と紳士は思いました。

The next night, he came to a village. By the pond, many people were holding rakes, brooms and forks. They were all reaching into the water. "What are you doing?" he asked. "The moon has fallen into the pond!" they cried. "We're trying to get it out!"

次の晩、紳士はある村にやって来ました。池のほとりで、大勢の人が熊手やほうきや干し草用のフォークを手にして、水の中をかきまわしていました。「何をしているんですか?」と尋ねると、村人たちは叫びました。「お月さまが池に落っこちたんだ! 引き上げようとしているんだよ!」

The gentleman laughed and told them to look up at the sky. But they did not believe him. They called him a fool and chased him away. "That makes three sillies," he said, "and they are much sillier than the first three."

紳士は笑って、空を見上げてごらんなさいと言いました。けれども村人たちは信じませんでした。紳士をばか者呼ばわりして、追い払ってしまいました。「これで三人目のおばかさんだ」と紳士は言いました。「しかも、最初の三人より、ずっとおばかさんだぞ」

So the gentleman went back to the farm and married the farmer's daughter. And they all lived happily together, sillies and all.

そこで紳士は農家へ帰って、娘と結婚しました。そして、おばかさんはおばかさんのまま、みんなで仲よく幸せに暮らしました。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかしむかし、あるお百姓さんの夫婦に、娘が一人いました。毎晩、一人の若い紳士が娘に会いにやって来ました。みんな、二人が結婚すればいいのにと思っていました。

ある晩、娘は夕食のビールをくみに、地下室へ下りていきました。ビールが水差しに流れこむのを待ちながら、娘はふと上を見上げました。すると、天井に重たい木づちが刺さっているのが見えました。ずいぶん古いもので、誰もそんな木づちのことなど気にもとめていませんでした。

娘は考えはじめました。「もし、あの人とわたしが結婚して、男の子が生まれたとするでしょう。その子が大きくなって、今のわたしみたいに、ここへビールをくみに来たとするでしょう。そして、あの木づちがその子の頭に落ちてきたら! ああ、なんて恐ろしい!」娘はろうそくを置くと、座りこんで泣きだしました。

上では、みんながビールを待っていましたが、いつまでたっても来ません。とうとうお母さんが地下室へ下りていきました。「どうしたの?」娘は木づちのことを話しました。「まあ、なんて恐ろしい!」お母さんもそう言って座りこみ、一緒に泣きだしました。

次にお父さんが下りていきました。話を聞くと、お父さんも座りこんで泣きだしました。その間ずっと、ビールはたるから流れ出て、床いっぱいに広がっていました。

とうとう、紳士が自分で下りていきました。見ると、三人が並んで泣いていて、足もとはビールの海です。わけを聞くと、紳士は笑いだしました。そして手を伸ばして、天井から木づちを引き抜きました。

「ぼくはあちこち旅をしてきましたが、こんなおばかさんが三人もそろっているのは見たことがありません」と紳士は言いました。「ぼくはもう一度旅に出ます。あなたたちよりおばかな人を三人見つけたら、戻ってきて娘さんと結婚しましょう」そう言って紳士は出ていき、三人はますます大泣きしました。

紳士は長い旅をしました。ある日、屋根に草が生えている小さな家を見かけました。おばあさんが、自分の牛をはしごに押し上げようとしていました。「どうしてそんなことをしているんですか?」と紳士が尋ねると、おばあさんは言いました。「ほら、あんなにいい草が生えているでしょう! 牛にあそこで食べさせるんですよ」

「草を刈って、下へ投げてやればいいじゃありませんか」と紳士は言いました。けれども、おばあさんは聞く耳を持ちませんでした。牛を屋根の上に上げると、その体にロープを結びつけました。それからロープのもう一方の端を煙突から下へたらして、自分の腕に結びつけました。「これで牛が落っこちる心配はないね」

ところが牛は足を滑らせて、屋根から落ちてしまいました。するとロープに引っぱられて、おばあさんは煙突の中へ引き上げられてしまったのです! 紳士は急いで助けに行きました。さいわい、おばあさんも牛も無事でした。「これで一人目のおばかさんだ」と紳士は言いました。

その晩、紳士は宿屋に泊まりました。朝になると、ほかの泊まり客の一人が、ズボンをたんすにひっかけていました。男は部屋の向こうから走ってきて、ズボンに飛びこもうとしました。何度も何度もやってみましたが、うまくいきませんでした。

「毎朝、ズボンをはくのに一時間もかかるんですよ」と、その男は言いました。「あなたはどうやってはいているんです?」紳士は笑って、はき方を見せてやりました。「ありがとう! そんなこと、思いつきもしませんでした!」「これで二人目のおばかさんだ」と紳士は思いました。

次の晩、紳士はある村にやって来ました。池のほとりで、大勢の人が熊手やほうきや干し草用のフォークを手にして、水の中をかきまわしていました。「何をしているんですか?」と尋ねると、村人たちは叫びました。「お月さまが池に落っこちたんだ! 引き上げようとしているんだよ!」

紳士は笑って、空を見上げてごらんなさいと言いました。けれども村人たちは信じませんでした。紳士をばか者呼ばわりして、追い払ってしまいました。「これで三人目のおばかさんだ」と紳士は言いました。「しかも、最初の三人より、ずっとおばかさんだぞ」

そこで紳士は農家へ帰って、娘と結婚しました。そして、おばかさんはおばかさんのまま、みんなで仲よく幸せに暮らしました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the daughter cry in the cellar?

Q2. Why did the old woman want her cow on the roof?

Q3. What did the village people want to get out of the pond?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

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