Godfather Death(死神の名付け親)の挿絵

Godfather Death

死神の名付け親

  • 📖 847 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ十三人目の子どもの名付け親になったのは、なんと死神でした。死神から不思議な薬草をもらった若者は、国一番の名医になりますが……。

グリム童話(1857年版)をもとに再話

キーワード(7語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • godfather名付け親
  • Death死神
  • herb薬草
  • patient病人
  • princess王女
  • candleろうそく
  • flame炎

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

A poor man had twelve children, and he worked day and night just to give them bread. When the thirteenth child was born, he did not know what to do. "I must find a godfather for him," he thought. "But who will help a man as poor as me?" He walked out onto the road to ask the first person he met.

ある貧しい男には、十二人の子どもがいました。男は昼も夜も働きましたが、子どもたちにパンを食べさせるのがやっとでした。十三人目の子どもが生まれたとき、男は途方に暮れました。「この子の名付け親を見つけなくては」と男は考えました。「でも、こんなに貧しい男を、だれが助けてくれるだろう?」男は道へ出て、最初に出会った人にたのんでみることにしました。

The first person he met was God. "Poor man," said God, "I feel sorry for you. I will be your child's godfather, and I will make him happy."

最初に出会ったのは、神さまでした。「気の毒な男よ」と、神さまは言いました。「おまえがかわいそうだ。わたしがその子の名付け親になって、幸せにしてあげよう」

"Who are you?" asked the man.

「あなたはどなたですか?」と、男はたずねました。

"I am God."

「わたしは神だ」

"Then I do not want you," said the man. "You give to the rich, and you let the poor go hungry." He walked on.

「それなら、けっこうです」と、男は言いました。「あなたは、お金持ちには何でもお与えになるのに、貧しい者はおなかをすかせたままにしておかれる」男は、また歩いていきました。

Next he met the Devil, who said, "Choose me. I will give your child gold and all the pleasures of the world." But the man said, "No. You trick people and lead them into trouble." And he walked on.

次に出会ったのは、悪魔でした。悪魔は言いました。「おれを選べ。おまえの子どもに、金も、この世の楽しみも、何でもくれてやるぞ」けれども男は言いました。「いやだ。おまえは人をだまして、ひどい目にあわせるじゃないか」そして、また歩いていきました。

Then a thin, quiet figure came toward him. It was Death. "Take me as the godfather," said Death.

すると、やせた、物静かな人影が近づいてきました。それは死神でした。「わたしを名付け親にしなさい」と、死神は言いました。

"Who are you?"

「あなたはどなたですか?」

"I am Death, and I make everyone equal."

「わたしは死神だ。わたしは、だれでも同じにあつかう」

"Then you are the right one," said the man. "You take the rich and the poor in the same way. You will be my child's godfather."

「それなら、あなたこそふさわしい方です」と、男は言いました。「あなたは、お金持ちも貧乏人も、同じように連れていかれる。どうか、うちの子の名付け親になってください」

Death answered, "I will make your child rich and famous. Nobody who has me as a friend will ever be poor."

死神は答えました。「おまえの子どもを金持ちにして、世に名の知れた者にしてやろう。わたしを友だちに持つ者は、けっして貧しくならないのだ」

When the boy had grown into a young man, his godfather came and led him into the forest. Death showed him a plant that was growing there. "This is my gift to you," he said. "I will make you a famous doctor. When you are called to a sick person, I will always be there. Only you will be able to see me."

男の子が若者に成長すると、名付け親の死神がやって来て、若者を森へ連れていきました。死神は、そこに生えている草を指さしました。「これが、わたしからのおくりものだ」と、死神は言いました。「おまえを有名な医者にしてやろう。おまえが病人のところへ呼ばれたら、わたしはいつもそこにいる。わたしの姿が見えるのは、おまえだけだ」

Death went on. "If I stand at the sick person's head, you can say, 'I will make this person well.' Give him some of this herb, and he will get better. But if I stand at his feet, he belongs to me. Then you must say, 'Nothing can be done.' Never use the herb against my will, or it will go badly for you."

死神は続けました。「わたしが病人の頭のほうに立っていたら、『この人を治してみせます』と言うがいい。この薬草を少し飲ませれば、病人はよくなる。だが、わたしが足のほうに立っていたら、その病人はわたしのものだ。そのときは『もう手のほどこしようがありません』と言わなくてはならない。わたしの思いにそむいて、この薬草を使ってはならないぞ。さもないと、ひどい目にあうことになる」

Soon the young man was the most famous doctor in the world. "He only has to look at a sick person," people said, "and he knows at once whether that person will live or die." People came to him from far away and gave him so much gold that he quickly became rich.

まもなく若者は、世界一有名な医者になりました。「あの先生は、病人をひと目見るだけで、助かるか助からないかがすぐにわかるんだ」と、人々はうわさしました。遠くからも人々がやって来て、たくさんの金を払ったので、若者はたちまちお金持ちになりました。

One day the king became ill, and the doctor was called to the palace. When he came to the bed, he saw Death standing at the king's feet. "If I could trick Death just this once," thought the doctor. "He will be angry, but he is my godfather. He will forgive me." So he took hold of the king and turned him around in the bed, so that Death was now standing at his head. Then he gave the king the herb, and the king got well.

ある日、王さまが病気になり、医者は宮殿へ呼ばれました。ベッドのそばへ行くと、死神が王さまの足のほうに立っているのが見えました。「一度だけ、死神を出しぬくことができたらなあ」と、医者は考えました。「怒るだろうが、わたしの名付け親だ。許してくれるだろう」そこで医者は王さまの体をつかんで、ベッドの上でくるりと向きを変えました。こうして、死神は王さまの頭のほうに立つことになりました。それから医者が薬草を飲ませると、王さまはよくなりました。

Death came to the doctor with a dark face. "You have tricked me," he said. "This time I will forgive you because you are my godson. But if you do it again, I will take you with me."

死神は、けわしい顔をして医者のところへやって来ました。「よくもわたしをだましたな」と、死神は言いました。「今度だけは、わたしの名付け子だから許してやろう。だが、もう一度やったら、おまえを連れていくぞ」

Soon after that, the king's daughter became very ill. She was his only child, and the king cried day and night. He announced, "Whoever saves my daughter will marry her and will be king after me." When the doctor came to her bed, he saw Death at her feet again. He knew his godfather's warning. But the princess was so beautiful, and he wanted so much to marry her, that he turned her around in the bed and gave her the herb. Her cheeks grew pink, and she opened her eyes.

それからまもなく、王さまの娘が重い病気になりました。王さまのたったひとりの子どもでした。王さまは、昼も夜も泣いていました。そして、「娘を救った者は娘と結婚し、わしのあとの王にする」とおふれを出しました。医者がベッドのそばへ行くと、また死神が王女の足のほうに立っていました。名付け親の言いつけは、わかっていました。けれども、王女はあまりにも美しく、医者はどうしても結婚したいと思いました。そこで医者は王女の向きを変えて、薬草を飲ませました。王女のほおはばら色になり、王女は目を開けました。

Death came toward the doctor with long steps. "Now it is your turn," he said. He took the doctor's arm with an ice-cold hand and led him down into a cave under the ground. In the cave there were thousands and thousands of candles. Some were tall, some were half burned, and some were very short. Every moment some went out and others began to burn.

死神は大またで医者に近づいてきました。「さあ、今度はおまえの番だ」と、死神は言いました。死神は氷のように冷たい手で医者の腕をつかみ、地の底のほら穴へ連れていきました。ほら穴の中には、何千、何万というろうそくがともっていました。長いものもあれば、半分燃えたものもあり、とても短いものもありました。ひっきりなしに、あるろうそくは消え、別のろうそくには新しく火がともっていきました。

"These are the lives of people," said Death. "The tall ones belong to children. The short ones belong to old people."

「これは、人間の命だ」と、死神は言いました。「長いろうそくは子どもたちのもの、短いのは年寄りたちのものだ」

"Show me mine," said the doctor. He thought it would still be tall. But Death pointed to a tiny piece of candle that was about to go out. "Dear godfather," cried the doctor, "please light a new one for me! Then I can marry the princess and be king."

「わたしのろうそくを見せてください」と、医者は言いました。まだ長いはずだと思っていたのです。ところが死神が指さしたのは、今にも消えそうな、ちびたろうそくでした。「名付け親さま」と、医者はさけびました。「どうか、新しいろうそくに火をつけてください! そうすれば王女と結婚して、王になれるのです」

"I cannot," said Death. "One must go out before a new one can be lit."

「それはできない」と、死神は言いました。「新しいろうそくに火をつけるには、一本が消えなければならないのだ」

"Then put my old flame onto a new candle," begged the doctor. Death took a long new candle, as if he wanted to do it. But he wanted to pay the doctor back, and as he moved the little piece, he let it fall. The flame went out, and the doctor fell to the ground. Now he too was in Death's hands.

「それなら、わたしの古い火を新しいろうそくにうつしてください」と、医者はたのみこみました。死神は、そうしてやるかのように、新しい長いろうそくを手に取りました。けれども死神は、仕返しをするつもりでした。ちびたろうそくを動かすとき、わざと落としてしまったのです。火は消え、医者はその場に倒れました。こうして医者もまた、死神の手に渡ったのでした。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ある貧しい男には、十二人の子どもがいました。男は昼も夜も働きましたが、子どもたちにパンを食べさせるのがやっとでした。十三人目の子どもが生まれたとき、男は途方に暮れました。「この子の名付け親を見つけなくては」と男は考えました。「でも、こんなに貧しい男を、だれが助けてくれるだろう?」男は道へ出て、最初に出会った人にたのんでみることにしました。

最初に出会ったのは、神さまでした。「気の毒な男よ」と、神さまは言いました。「おまえがかわいそうだ。わたしがその子の名付け親になって、幸せにしてあげよう」

「あなたはどなたですか?」と、男はたずねました。

「わたしは神だ」

「それなら、けっこうです」と、男は言いました。「あなたは、お金持ちには何でもお与えになるのに、貧しい者はおなかをすかせたままにしておかれる」男は、また歩いていきました。

次に出会ったのは、悪魔でした。悪魔は言いました。「おれを選べ。おまえの子どもに、金も、この世の楽しみも、何でもくれてやるぞ」けれども男は言いました。「いやだ。おまえは人をだまして、ひどい目にあわせるじゃないか」そして、また歩いていきました。

すると、やせた、物静かな人影が近づいてきました。それは死神でした。「わたしを名付け親にしなさい」と、死神は言いました。

「あなたはどなたですか?」

「わたしは死神だ。わたしは、だれでも同じにあつかう」

「それなら、あなたこそふさわしい方です」と、男は言いました。「あなたは、お金持ちも貧乏人も、同じように連れていかれる。どうか、うちの子の名付け親になってください」

死神は答えました。「おまえの子どもを金持ちにして、世に名の知れた者にしてやろう。わたしを友だちに持つ者は、けっして貧しくならないのだ」

男の子が若者に成長すると、名付け親の死神がやって来て、若者を森へ連れていきました。死神は、そこに生えている草を指さしました。「これが、わたしからのおくりものだ」と、死神は言いました。「おまえを有名な医者にしてやろう。おまえが病人のところへ呼ばれたら、わたしはいつもそこにいる。わたしの姿が見えるのは、おまえだけだ」

死神は続けました。「わたしが病人の頭のほうに立っていたら、『この人を治してみせます』と言うがいい。この薬草を少し飲ませれば、病人はよくなる。だが、わたしが足のほうに立っていたら、その病人はわたしのものだ。そのときは『もう手のほどこしようがありません』と言わなくてはならない。わたしの思いにそむいて、この薬草を使ってはならないぞ。さもないと、ひどい目にあうことになる」

まもなく若者は、世界一有名な医者になりました。「あの先生は、病人をひと目見るだけで、助かるか助からないかがすぐにわかるんだ」と、人々はうわさしました。遠くからも人々がやって来て、たくさんの金を払ったので、若者はたちまちお金持ちになりました。

ある日、王さまが病気になり、医者は宮殿へ呼ばれました。ベッドのそばへ行くと、死神が王さまの足のほうに立っているのが見えました。「一度だけ、死神を出しぬくことができたらなあ」と、医者は考えました。「怒るだろうが、わたしの名付け親だ。許してくれるだろう」そこで医者は王さまの体をつかんで、ベッドの上でくるりと向きを変えました。こうして、死神は王さまの頭のほうに立つことになりました。それから医者が薬草を飲ませると、王さまはよくなりました。

死神は、けわしい顔をして医者のところへやって来ました。「よくもわたしをだましたな」と、死神は言いました。「今度だけは、わたしの名付け子だから許してやろう。だが、もう一度やったら、おまえを連れていくぞ」

それからまもなく、王さまの娘が重い病気になりました。王さまのたったひとりの子どもでした。王さまは、昼も夜も泣いていました。そして、「娘を救った者は娘と結婚し、わしのあとの王にする」とおふれを出しました。医者がベッドのそばへ行くと、また死神が王女の足のほうに立っていました。名付け親の言いつけは、わかっていました。けれども、王女はあまりにも美しく、医者はどうしても結婚したいと思いました。そこで医者は王女の向きを変えて、薬草を飲ませました。王女のほおはばら色になり、王女は目を開けました。

死神は大またで医者に近づいてきました。「さあ、今度はおまえの番だ」と、死神は言いました。死神は氷のように冷たい手で医者の腕をつかみ、地の底のほら穴へ連れていきました。ほら穴の中には、何千、何万というろうそくがともっていました。長いものもあれば、半分燃えたものもあり、とても短いものもありました。ひっきりなしに、あるろうそくは消え、別のろうそくには新しく火がともっていきました。

「これは、人間の命だ」と、死神は言いました。「長いろうそくは子どもたちのもの、短いのは年寄りたちのものだ」

「わたしのろうそくを見せてください」と、医者は言いました。まだ長いはずだと思っていたのです。ところが死神が指さしたのは、今にも消えそうな、ちびたろうそくでした。「名付け親さま」と、医者はさけびました。「どうか、新しいろうそくに火をつけてください! そうすれば王女と結婚して、王になれるのです」

「それはできない」と、死神は言いました。「新しいろうそくに火をつけるには、一本が消えなければならないのだ」

「それなら、わたしの古い火を新しいろうそくにうつしてください」と、医者はたのみこみました。死神は、そうしてやるかのように、新しい長いろうそくを手に取りました。けれども死神は、仕返しをするつもりでした。ちびたろうそくを動かすとき、わざと落としてしまったのです。火は消え、医者はその場に倒れました。こうして医者もまた、死神の手に渡ったのでした。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did a sick person's future depend on?

Q2. Why did the poor man choose Death as the godfather?

Q3. What did Death do when the doctor asked for a new candle?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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