Why the Sea Is Salt(海の水はなぜからい)の挿絵

Why the Sea Is Salt

海の水はなぜからい

  • 📖 899 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじクリスマス・イブに食べるものもない貧しい弟は、お金持ちの兄からハムを一本もらい、不思議な場所へ向かいます。そこで手に入れたのは、どんなものでも出してくれる石うすでした。

ノルウェーの昔話(アンドルー・ラング編『あおいろの童話集』1889年)をもとに再話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • hamハム
  • millひきうす(穀物をひく道具)
  • grindひく、(うすが)ものを出す
  • feastごちそう、宴会
  • jealousねたんだ
  • porridgeおかゆ
  • herringsニシン(魚)
  • captain船長

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Long, long ago there were two brothers. One was rich, and the other was poor. On Christmas Eve, the poor brother had nothing to eat in his house, not even a piece of bread. So he went to his rich brother and asked him for a little food for Christmas.

むかしむかし、あるところに兄弟がいました。兄はお金持ちで、弟は貧乏でした。クリスマス・イブになっても、弟の家には食べるものが何もなく、パンひと切れさえありませんでした。そこで弟は、お金持ちの兄のところへ行って、クリスマスのために少し食べものを分けてほしいと頼みました。

The rich brother was not pleased. He had helped his brother many times before. "If you do what I tell you, I'll give you a whole ham," he said. The poor brother thanked him and promised. "Here is the ham," said the rich brother, throwing it to him. "Now go straight to Dead Man's Hall."

兄は、いい顔をしませんでした。これまでにも、何度も弟を助けてやっていたからです。「わたしの言うとおりにするなら、ハムを一本まるごとやろう」と、兄は言いました。弟はお礼を言って、言うとおりにすると約束しました。「さあ、ハムだ」と、兄はハムを投げてよこしました。「では、まっすぐ『死人の館』へ行ってこい」

"I have promised, so I will go," said the poor brother. He walked all day, and at nightfall he came to a place where a bright light was shining. An old man with a long white beard was cutting wood outside.

「約束したのだから、行きますよ」と、弟は言いました。弟は一日じゅう歩き、日が暮れるころ、明るい光が輝いている場所に着きました。外では、長い白いひげのおじいさんが、まきを割っていました。

"Good evening," said the poor brother. "I'm looking for Dead Man's Hall." "You have found it," said the old man. "When you go inside, everyone will want to buy your ham, because they don't get much meat there. But don't sell it for money. Ask for the hand mill that stands behind the door. When you come out, I'll teach you how to stop it."

「こんばんは」と、弟は言いました。「『死人の館』を探しているのですが」「ここがそうじゃよ」と、おじいさんは言いました。「中に入ったら、みんながおまえのハムを買いたがるじゃろう。あそこでは、めったに肉が食べられんのでな。だが、お金と引きかえに売ってはならん。戸のうしろに置いてある、手回しの石うすをくれと言うのじゃ。出てきたら、うすの止め方を教えてやろう」

The man went in, and it happened just as the old man had said. Everybody crowded around him, and each one offered more than the others for the ham. "My wife and I wanted it for our Christmas dinner," said the man. "But if you want it so much, you can have it for the hand mill behind the door." At first they did not want to give it up, but at last they agreed. Outside, the old man showed him how to stop the mill, and he hurried home.

弟が中に入ると、何もかもおじいさんの言ったとおりになりました。みんなが弟のまわりに集まってきて、われ先にと高い値段をつけて、ハムを買おうとしました。「女房とふたりで、クリスマスのごちそうにするつもりだったのですがね」と、弟は言いました。「でも、そんなにほしいのなら、戸のうしろの石うすと取りかえてあげましょう」みんなは、はじめはうすを手放したがりませんでしたが、とうとう承知しました。外に出ると、おじいさんがうすの止め方を教えてくれたので、弟は急いで家に帰りました。

It was after midnight when he arrived. "Where have you been?" said his wife. "I've been waiting for hours, and we don't even have wood for a fire!" "Just wait and see," said the man. He put the mill on the table and said, "Grind candles, a tablecloth, meat and drink, and everything good for Christmas." The mill began to turn, and out came everything he asked for. His wife could hardly believe her eyes.

家に着いたのは、真夜中を過ぎてからでした。「どこへ行っていたの?」と、おかみさんが言いました。「何時間も待っていたのよ。火をたくまきさえないっていうのに!」「まあ、見ていてごらん」と、弟は言いました。弟はうすをテーブルの上に置いて、言いました。「ろうそくに、テーブルクロスに、食べものに飲みもの。クリスマスにいいものを何でも出しておくれ」うすが回りはじめると、頼んだものが何もかも出てきました。おかみさんは、自分の目が信じられませんでした。

They had enough food for all of Christmas, and on the third day they invited their friends to a great feast. When the rich brother saw it, he was very jealous. "On Christmas Eve he was so poor that he begged me for food," he thought. "Now he gives a feast like a king!" "Where did you get all this?" he asked. At first his brother would not tell him. But later that evening, he brought out the mill and showed him what it could do.

クリスマスのあいだじゅう食べられるだけのごちそうができたので、三日目には、友だちを招いて盛大な宴会を開きました。それを見た兄は、ひどくねたましくなりました。「クリスマス・イブには、食べものをめぐんでくれと言ってきたほど貧乏だったのに」と、兄は思いました。「それが今では、王さまのような宴会を開いているじゃないか!」「こんなものを、どこで手に入れたんだ?」と、兄は尋ねました。弟ははじめのうち、教えようとしませんでした。けれども、その晩おそくなってから、うすを持ち出して、それで何ができるのかを兄に見せてしまいました。

The rich brother wanted the mill very much. At last his brother agreed to sell it for three hundred coins, but he did not teach him how to stop it. The rich brother hurried home with it. The next day he sent his wife to work in the fields. "I'll make dinner today," he said.

兄は、そのうすがほしくてたまらなくなりました。とうとう弟は、三百枚の硬貨でうすを売ることにしました。けれども、止め方は教えてやりませんでした。兄は大急ぎでうすを家に持ち帰りました。次の日、兄はおかみさんを畑仕事に出しました。「きょうは、おれが昼ごはんを作るから」と言ったのです。

At dinnertime he put the mill on the kitchen table. "Grind herrings and porridge," he said, "and do it quickly." The mill began to grind herrings and porridge. Soon all the dishes were full, and then the kitchen floor was covered. The man turned the mill this way and that way, but it would not stop. The porridge rose higher and higher until he was almost swimming in it.

昼ごはんの時間になると、兄は台所のテーブルにうすを置きました。「ニシンとおかゆを出せ」と、兄は言いました。「さっさとやるんだぞ」うすはニシンとおかゆを出しはじめました。たちまちお皿はどれもいっぱいになり、やがて台所の床までうまってしまいました。兄はうすをあっちへ回したり、こっちへ回したりしましたが、うすは止まりません。おかゆはどんどん高くなっていき、兄はおかゆの中でおぼれそうになりました。

He opened the door and ran out, and the herrings and porridge came pouring after him over the farm and the fields. His wife was coming home with the farm workers. When they saw the river of porridge, they could not believe their eyes. The man ran past them straight to his brother's house. "Please take the mill back right now!" he cried. "If it grinds for one more hour, the whole country will be full of herrings and porridge!"

兄は戸を開けて外へ逃げ出しましたが、ニシンとおかゆはそのあとを追って、農場や畑の上へどっと流れ出していきました。ちょうどそのとき、おかみさんが畑の人たちと一緒に帰ってくるところでした。おかゆの川を見て、みんな自分の目が信じられませんでした。兄はそのそばを走りぬけ、まっすぐ弟の家へかけていきました。「頼むから、今すぐうすを引き取ってくれ!」と、兄は叫びました。「あと一時間でもうすが回ったら、国じゅうがニシンとおかゆだらけになってしまう!」

But the poor brother would not take it back until the rich brother paid him another three hundred coins. Now he had the mill and plenty of money, too. Soon he built a house much finer than his brother's. He covered it with gold, and because it stood by the sea, it shone far out over the water. Ships often stopped there, because everyone wanted to see the wonderful mill.

けれども弟は、兄がもう三百枚の硬貨をはらうまで、うすを引き取ろうとしませんでした。これで弟は、うすも、たくさんのお金も手に入れたのです。まもなく弟は、兄の家よりずっと立派な家を建てました。家を金でおおったので、海辺に立つその家は、はるか沖まで輝いて見えました。だれもがその不思議なうすを見たがったので、船がよくそこに立ちよりました。

One day a ship's captain came and asked, "Can the mill make salt?" "Yes, it can," said the owner. The captain wanted it very much, because then he would not have to sail far across the dangerous sea to buy salt. At last the man sold it to him for many thousands of coins. The captain was afraid that the man would change his mind, so he ran to his ship without asking how to stop the mill.

ある日、ひとりの船長がやって来て、尋ねました。「このうすは、塩も出せますか?」「ええ、出せますとも」と、持ち主は答えました。船長は、そのうすがほしくてたまらなくなりました。うすがあれば、塩を買うために、危ない海を遠くまで行かなくてすむからです。とうとう持ち主は、何千枚もの硬貨でうすを船長に売りました。船長は、持ち主の気が変わるのではないかと心配で、うすの止め方も聞かずに、船へかけもどっていきました。

When he was far out at sea, he put the mill on the deck. "Grind salt," he said, "and do it quickly." The mill began to grind salt. It poured out like water and soon covered the whole deck. The captain tried everything, but the mill would not stop. The salt piled higher and higher, until the heavy ship sank to the bottom of the sea.

ずっと沖へ出ると、船長はうすを甲板に置きました。「塩を出せ」と、船長は言いました。「さっさとやるんだぞ」うすは塩を出しはじめました。塩は水のようにあふれ出し、たちまち甲板いっぱいになりました。船長はありとあらゆることをしてみましたが、うすは止まりませんでした。塩はどんどん高くつもっていき、とうとう重くなった船は、海の底へ沈んでしまいました。

And there the mill still lies today, grinding salt day after day. That is why the sea is salt.

そして、うすは今でも海の底で、来る日も来る日も塩を出し続けているのです。だから、海の水は塩辛いのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかしむかし、あるところに兄弟がいました。兄はお金持ちで、弟は貧乏でした。クリスマス・イブになっても、弟の家には食べるものが何もなく、パンひと切れさえありませんでした。そこで弟は、お金持ちの兄のところへ行って、クリスマスのために少し食べものを分けてほしいと頼みました。

兄は、いい顔をしませんでした。これまでにも、何度も弟を助けてやっていたからです。「わたしの言うとおりにするなら、ハムを一本まるごとやろう」と、兄は言いました。弟はお礼を言って、言うとおりにすると約束しました。「さあ、ハムだ」と、兄はハムを投げてよこしました。「では、まっすぐ『死人の館』へ行ってこい」

「約束したのだから、行きますよ」と、弟は言いました。弟は一日じゅう歩き、日が暮れるころ、明るい光が輝いている場所に着きました。外では、長い白いひげのおじいさんが、まきを割っていました。

「こんばんは」と、弟は言いました。「『死人の館』を探しているのですが」「ここがそうじゃよ」と、おじいさんは言いました。「中に入ったら、みんながおまえのハムを買いたがるじゃろう。あそこでは、めったに肉が食べられんのでな。だが、お金と引きかえに売ってはならん。戸のうしろに置いてある、手回しの石うすをくれと言うのじゃ。出てきたら、うすの止め方を教えてやろう」

弟が中に入ると、何もかもおじいさんの言ったとおりになりました。みんなが弟のまわりに集まってきて、われ先にと高い値段をつけて、ハムを買おうとしました。「女房とふたりで、クリスマスのごちそうにするつもりだったのですがね」と、弟は言いました。「でも、そんなにほしいのなら、戸のうしろの石うすと取りかえてあげましょう」みんなは、はじめはうすを手放したがりませんでしたが、とうとう承知しました。外に出ると、おじいさんがうすの止め方を教えてくれたので、弟は急いで家に帰りました。

家に着いたのは、真夜中を過ぎてからでした。「どこへ行っていたの?」と、おかみさんが言いました。「何時間も待っていたのよ。火をたくまきさえないっていうのに!」「まあ、見ていてごらん」と、弟は言いました。弟はうすをテーブルの上に置いて、言いました。「ろうそくに、テーブルクロスに、食べものに飲みもの。クリスマスにいいものを何でも出しておくれ」うすが回りはじめると、頼んだものが何もかも出てきました。おかみさんは、自分の目が信じられませんでした。

クリスマスのあいだじゅう食べられるだけのごちそうができたので、三日目には、友だちを招いて盛大な宴会を開きました。それを見た兄は、ひどくねたましくなりました。「クリスマス・イブには、食べものをめぐんでくれと言ってきたほど貧乏だったのに」と、兄は思いました。「それが今では、王さまのような宴会を開いているじゃないか!」「こんなものを、どこで手に入れたんだ?」と、兄は尋ねました。弟ははじめのうち、教えようとしませんでした。けれども、その晩おそくなってから、うすを持ち出して、それで何ができるのかを兄に見せてしまいました。

兄は、そのうすがほしくてたまらなくなりました。とうとう弟は、三百枚の硬貨でうすを売ることにしました。けれども、止め方は教えてやりませんでした。兄は大急ぎでうすを家に持ち帰りました。次の日、兄はおかみさんを畑仕事に出しました。「きょうは、おれが昼ごはんを作るから」と言ったのです。

昼ごはんの時間になると、兄は台所のテーブルにうすを置きました。「ニシンとおかゆを出せ」と、兄は言いました。「さっさとやるんだぞ」うすはニシンとおかゆを出しはじめました。たちまちお皿はどれもいっぱいになり、やがて台所の床までうまってしまいました。兄はうすをあっちへ回したり、こっちへ回したりしましたが、うすは止まりません。おかゆはどんどん高くなっていき、兄はおかゆの中でおぼれそうになりました。

兄は戸を開けて外へ逃げ出しましたが、ニシンとおかゆはそのあとを追って、農場や畑の上へどっと流れ出していきました。ちょうどそのとき、おかみさんが畑の人たちと一緒に帰ってくるところでした。おかゆの川を見て、みんな自分の目が信じられませんでした。兄はそのそばを走りぬけ、まっすぐ弟の家へかけていきました。「頼むから、今すぐうすを引き取ってくれ!」と、兄は叫びました。「あと一時間でもうすが回ったら、国じゅうがニシンとおかゆだらけになってしまう!」

けれども弟は、兄がもう三百枚の硬貨をはらうまで、うすを引き取ろうとしませんでした。これで弟は、うすも、たくさんのお金も手に入れたのです。まもなく弟は、兄の家よりずっと立派な家を建てました。家を金でおおったので、海辺に立つその家は、はるか沖まで輝いて見えました。だれもがその不思議なうすを見たがったので、船がよくそこに立ちよりました。

ある日、ひとりの船長がやって来て、尋ねました。「このうすは、塩も出せますか?」「ええ、出せますとも」と、持ち主は答えました。船長は、そのうすがほしくてたまらなくなりました。うすがあれば、塩を買うために、危ない海を遠くまで行かなくてすむからです。とうとう持ち主は、何千枚もの硬貨でうすを船長に売りました。船長は、持ち主の気が変わるのではないかと心配で、うすの止め方も聞かずに、船へかけもどっていきました。

ずっと沖へ出ると、船長はうすを甲板に置きました。「塩を出せ」と、船長は言いました。「さっさとやるんだぞ」うすは塩を出しはじめました。塩は水のようにあふれ出し、たちまち甲板いっぱいになりました。船長はありとあらゆることをしてみましたが、うすは止まりませんでした。塩はどんどん高くつもっていき、とうとう重くなった船は、海の底へ沈んでしまいました。

そして、うすは今でも海の底で、来る日も来る日も塩を出し続けているのです。だから、海の水は塩辛いのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Do not want what you cannot control.

自分で止め方を知らないものを、ほしがってはいけない。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the poor brother get for his ham?

Q2. Why did the rich brother's house fill with fish and porridge?

Q3. What is the mill doing now, according to the story?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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