The Fisherman and His Wife(漁師とおかみさん)の挿絵

The Fisherman and His Wife

漁師とおかみさん

  • 📖 801 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ漁師がつかまえたのは、口をきくふしぎなヒラメ。逃がしてやったと聞いたおかみさんは、「何かお願いしてきなさい」と言い出します。

グリム童話(1812年)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • hut小屋
  • flounderヒラメ
  • enchanted魔法をかけられた
  • cottage小さな家
  • throne王座
  • satisfied満足した
  • emperor皇帝
  • popeローマ教皇
  • rage激しい怒り

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once a fisherman who lived with his wife in a dirty little hut by the sea. Every day he went fishing. One day, as he sat with his line in the clear water, it suddenly sank deep down, and when he pulled it up, he had caught a big flounder.

むかし、ひとりの漁師が、海辺のきたない小屋で、おかみさんと一緒に暮らしていました。漁師は毎日、魚をとりに出かけていました。ある日、澄みきった水につり糸をたらして座っていると、糸がぐんと深く引きこまれました。引き上げてみると、大きなヒラメがかかっていました。

"Listen, fisherman," said the flounder. "Please let me live. I'm not a real fish. I'm an enchanted prince. I wouldn't taste good. Put me back in the water and let me go."

「聞いてください、漁師さん」と、ヒラメは言いました。「どうか命だけは助けてください。わたしは本物の魚ではありません。魔法をかけられた王子なのです。食べてもおいしくありませんよ。水に戻して、逃がしてください」

"Well," said the man, "I would never eat a fish that can talk." He put the flounder back in the water, and it swam down to the bottom.

「そうかい」と、漁師は言いました。「口をきく魚なんて、食べるつもりはないよ」漁師がヒラメを水に戻してやると、ヒラメは海の底へ泳いでいきました。

The fisherman went home to his wife. "Did you catch anything today?" she asked. "I caught a flounder, but he said he was an enchanted prince, so I let him go." "And you didn't wish for anything?" said his wife. "No. What would I wish for?"

漁師は、おかみさんの待つ家に帰りました。「きょうは何かとれたのかい?」と、おかみさんはたずねました。「ヒラメをつり上げたんだが、魔法をかけられた王子だと言うものだから、逃がしてやったよ」「それで、何も願いごとをしなかったっていうのかい?」と、おかみさんは言いました。「ああ。何を願えばいいっていうんだ?」

"Oh, it's terrible to live in this dirty little hut. You should have asked for a little cottage. Go back and call him. He'll surely do it."

「まったく、こんなきたない小屋に住んでいるなんて、ひどいもんだよ。小さな家を頼めばよかったのに。戻って、そいつを呼んでおいで。きっとかなえてくれるよ」

The man didn't really want to go, but he didn't want to argue with his wife either. So he went down to the sea. The water was no longer clear but green and yellow. He stood there and called:

漁師はあまり行きたくありませんでしたが、おかみさんと言い争うのもいやでした。そこで、海へ降りていきました。海の水はもう澄みきってはおらず、緑と黄色にそまっていました。漁師はそこに立って、呼びかけました。

"Flounder, flounder in the sea, please come up and talk to me! My wife has sent me here once more, to ask for what she's wishing for."

「ヒラメよ、ヒラメ、海のヒラメ、 どうか上がって話を聞いておくれ! 女房のやつがまたわしをよこした、 願いごとをかなえてもらいにな」

The flounder came swimming up. "Well, what does she want?" "My wife doesn't want to live in our hut anymore. She wants a little cottage." "Go home," said the flounder. "She already has it."

ヒラメが泳いで上がってきました。「さて、おかみさんは何がほしいのですか?」「女房のやつは、もう小屋には住みたくないと言うんだ。小さな家がほしいんだそうだ」「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう手に入れていますよ」

When he got home, his wife was sitting in front of a pretty little cottage with a garden, chickens and ducks, and a kitchen full of pots and pans. "Isn't this nice?" she said. "Now we will be happy," said the man.

漁師が家に帰ると、おかみさんは、こぎれいな小さな家の前に座っていました。家には庭があり、ニワトリやアヒルがいて、台所にはなべやフライパンがずらりとそろっていました。「すてきだろう?」と、おかみさんは言いました。「これでわしらも幸せになれるな」と、漁師は言いました。

But after a week or two, his wife said, "This cottage is too small. I want to live in a big stone castle. Go and tell the flounder." The man's heart was heavy, but he went.

ところが一、二週間たつと、おかみさんは言いました。「この家はせますぎるよ。わたしは大きな石のお城に住みたいね。ヒラメに言っておいで」漁師の心は重かったのですが、出かけていきました。

The sea was purple and dark blue and gray, but still calm. He called the flounder, and the flounder said, "Go home. She is standing at the door." And there was a great stone castle with servants, golden chairs and tables full of food.

海は紫色や紺色や灰色にそまっていましたが、まだおだやかでした。漁師がヒラメを呼ぶと、ヒラメは言いました。「お帰りなさい。おかみさんは戸口に立っていますよ」そこには大きな石のお城があり、召使いたちや金のいす、ごちそうの並んだテーブルがありました。

The next morning the wife woke up and looked out at the beautiful land. "Husband, get up! We could be the rulers of all this land. Go and tell the flounder I want to be king." "Oh, wife, why do you want to be king?"

次の朝、おかみさんは目をさますと、美しい国を見わたしました。「あんた、起きなよ! わたしたち、この国じゅうを治める者になれるんじゃないかい。ヒラメのところへ行って、わたしは王さまになりたいって言っておいで」「おいおい、おまえ、どうして王さまになんかなりたいんだ?」

"If you don't want to be king, I do! Go!" So the man went. The sea was dark gray, and the water bubbled up from the bottom. "Go home," said the flounder. "She is king already."

「あんたが王さまになりたくなくても、わたしはなりたいんだよ! 行っておいで!」それで漁師は出かけていきました。海はどす黒い灰色になり、底から水がぶくぶくとわき上がっていました。「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう王さまですよ」

And she was. She sat on a high throne of gold and diamonds, with a golden crown on her head, and soldiers with drums and trumpets stood around her. But she was not satisfied for long. "Now I want to be emperor," she said.

そのとおりでした。おかみさんは、金とダイヤモンドでできた高い玉座に座っていました。頭には金の冠をかぶり、まわりには太鼓やラッパを持った兵隊たちが立っていました。けれども、おかみさんが満足していたのは、つかのまでした。「今度は皇帝になりたいね」と、おかみさんは言いました。

Again the man went, and the sea was black and thick, and a cold wind blew. "Go home," said the flounder. "She is emperor already." Now she sat on a throne even higher than before, and princes and dukes bowed before her.

ふたたび漁師は出かけていきました。海は黒くどろりとしていて、冷たい風が吹いていました。「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう皇帝ですよ」おかみさんは今度は前よりもさらに高い玉座に座り、王子や公爵たちが、おかみさんの前でおじぎをしていました。

Next she wanted to be pope, and the flounder made her pope. She sat on a throne higher still, with thousands of candles around her, and kings knelt before her.

次に、おかみさんは教皇になりたがり、ヒラメはおかみさんを教皇にしてやりました。おかみさんはさらに高い玉座に座り、まわりには何千本ものろうそくがともされ、王たちがおかみさんの前にひざまずきました。

That night she couldn't sleep. She kept thinking, "What else can I be?" In the morning she saw the sun rise through the window. "Ha!" she thought.

その夜、おかみさんは眠れませんでした。「ほかに何になれるだろう?」と、ずっと考えていました。朝になると、窓からお日さまが上るのが見えました。「はっ!」と、おかみさんは思いました。

"Why can't I make the sun and the moon rise, too?" She shook her husband awake. "Go to the flounder. I want to be lord of the sun and the moon!"

「わたしだって、お日さまやお月さまを上らせることができたっていいじゃないか」おかみさんは、夫をゆさぶって起こしました。「ヒラメのところへ行っておいで。わたしは、お日さまとお月さまを治める者になりたいんだよ!」

The man was so frightened that he fell out of bed. "Oh, wife," he said, falling on his knees, "the flounder can't do that. Please be happy as you are." But she flew into a terrible rage. "I can't stand it! Go at once!"

漁師はあまりにおそろしくて、ベッドから転げ落ちました。「おお、おまえ」と、漁師はひざまずいて言いました。「ヒラメにも、それはできないよ。どうか今のままで満足しておくれ」けれども、おかみさんはものすごい剣幕で怒りだしました。「がまんできないよ! 今すぐ行っておいで!」

So he went. A great storm was blowing. Houses and trees were falling down, mountains were shaking, and black waves as high as church towers crashed on the shore. He shouted, but he could hardly hear his own words: "Flounder, flounder in the sea, please come up and talk to me!"

そこで漁師は出かけていきました。ひどい嵐が吹き荒れていました。家や木々が倒れ、山々がゆれ、教会の塔ほども高い黒い波が、岸に打ちよせてくだけていました。漁師はさけびましたが、自分の声さえほとんど聞こえませんでした。「ヒラメよ、ヒラメ、海のヒラメ、どうか上がって話を聞いておくれ!」

"Well, what does she want now?" asked the flounder. "She wants to be lord of the sun and the moon."

「さて、今度はおかみさんは何がほしいのですか?」と、ヒラメはたずねました。「お日さまとお月さまを治める者になりたいんだそうだ」

"Go home," said the flounder. "She is sitting in her dirty little hut again." And there they are sitting still, to this very day.

「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、またあのきたない小屋に座っていますよ」そしてふたりは、今日もまだ、そこに座っているのです。

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むかし、ひとりの漁師が、海辺のきたない小屋で、おかみさんと一緒に暮らしていました。漁師は毎日、魚をとりに出かけていました。ある日、澄みきった水につり糸をたらして座っていると、糸がぐんと深く引きこまれました。引き上げてみると、大きなヒラメがかかっていました。

「聞いてください、漁師さん」と、ヒラメは言いました。「どうか命だけは助けてください。わたしは本物の魚ではありません。魔法をかけられた王子なのです。食べてもおいしくありませんよ。水に戻して、逃がしてください」

「そうかい」と、漁師は言いました。「口をきく魚なんて、食べるつもりはないよ」漁師がヒラメを水に戻してやると、ヒラメは海の底へ泳いでいきました。

漁師は、おかみさんの待つ家に帰りました。「きょうは何かとれたのかい?」と、おかみさんはたずねました。「ヒラメをつり上げたんだが、魔法をかけられた王子だと言うものだから、逃がしてやったよ」「それで、何も願いごとをしなかったっていうのかい?」と、おかみさんは言いました。「ああ。何を願えばいいっていうんだ?」

「まったく、こんなきたない小屋に住んでいるなんて、ひどいもんだよ。小さな家を頼めばよかったのに。戻って、そいつを呼んでおいで。きっとかなえてくれるよ」

漁師はあまり行きたくありませんでしたが、おかみさんと言い争うのもいやでした。そこで、海へ降りていきました。海の水はもう澄みきってはおらず、緑と黄色にそまっていました。漁師はそこに立って、呼びかけました。

「ヒラメよ、ヒラメ、海のヒラメ、 どうか上がって話を聞いておくれ! 女房のやつがまたわしをよこした、 願いごとをかなえてもらいにな」

ヒラメが泳いで上がってきました。「さて、おかみさんは何がほしいのですか?」「女房のやつは、もう小屋には住みたくないと言うんだ。小さな家がほしいんだそうだ」「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう手に入れていますよ」

漁師が家に帰ると、おかみさんは、こぎれいな小さな家の前に座っていました。家には庭があり、ニワトリやアヒルがいて、台所にはなべやフライパンがずらりとそろっていました。「すてきだろう?」と、おかみさんは言いました。「これでわしらも幸せになれるな」と、漁師は言いました。

ところが一、二週間たつと、おかみさんは言いました。「この家はせますぎるよ。わたしは大きな石のお城に住みたいね。ヒラメに言っておいで」漁師の心は重かったのですが、出かけていきました。

海は紫色や紺色や灰色にそまっていましたが、まだおだやかでした。漁師がヒラメを呼ぶと、ヒラメは言いました。「お帰りなさい。おかみさんは戸口に立っていますよ」そこには大きな石のお城があり、召使いたちや金のいす、ごちそうの並んだテーブルがありました。

次の朝、おかみさんは目をさますと、美しい国を見わたしました。「あんた、起きなよ! わたしたち、この国じゅうを治める者になれるんじゃないかい。ヒラメのところへ行って、わたしは王さまになりたいって言っておいで」「おいおい、おまえ、どうして王さまになんかなりたいんだ?」

「あんたが王さまになりたくなくても、わたしはなりたいんだよ! 行っておいで!」それで漁師は出かけていきました。海はどす黒い灰色になり、底から水がぶくぶくとわき上がっていました。「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう王さまですよ」

そのとおりでした。おかみさんは、金とダイヤモンドでできた高い玉座に座っていました。頭には金の冠をかぶり、まわりには太鼓やラッパを持った兵隊たちが立っていました。けれども、おかみさんが満足していたのは、つかのまでした。「今度は皇帝になりたいね」と、おかみさんは言いました。

ふたたび漁師は出かけていきました。海は黒くどろりとしていて、冷たい風が吹いていました。「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、もう皇帝ですよ」おかみさんは今度は前よりもさらに高い玉座に座り、王子や公爵たちが、おかみさんの前でおじぎをしていました。

次に、おかみさんは教皇になりたがり、ヒラメはおかみさんを教皇にしてやりました。おかみさんはさらに高い玉座に座り、まわりには何千本ものろうそくがともされ、王たちがおかみさんの前にひざまずきました。

その夜、おかみさんは眠れませんでした。「ほかに何になれるだろう?」と、ずっと考えていました。朝になると、窓からお日さまが上るのが見えました。「はっ!」と、おかみさんは思いました。

「わたしだって、お日さまやお月さまを上らせることができたっていいじゃないか」おかみさんは、夫をゆさぶって起こしました。「ヒラメのところへ行っておいで。わたしは、お日さまとお月さまを治める者になりたいんだよ!」

漁師はあまりにおそろしくて、ベッドから転げ落ちました。「おお、おまえ」と、漁師はひざまずいて言いました。「ヒラメにも、それはできないよ。どうか今のままで満足しておくれ」けれども、おかみさんはものすごい剣幕で怒りだしました。「がまんできないよ! 今すぐ行っておいで!」

そこで漁師は出かけていきました。ひどい嵐が吹き荒れていました。家や木々が倒れ、山々がゆれ、教会の塔ほども高い黒い波が、岸に打ちよせてくだけていました。漁師はさけびましたが、自分の声さえほとんど聞こえませんでした。「ヒラメよ、ヒラメ、海のヒラメ、どうか上がって話を聞いておくれ!」

「さて、今度はおかみさんは何がほしいのですか?」と、ヒラメはたずねました。「お日さまとお月さまを治める者になりたいんだそうだ」

「お帰りなさい」と、ヒラメは言いました。「おかみさんは、またあのきたない小屋に座っていますよ」そしてふたりは、今日もまだ、そこに座っているのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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If you always want more, you may end up with nothing.

欲ばりすぎると、すべてを失ってしまう。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the fisherman let the flounder go?

Q2. How did the sea change each time the man went back?

Q3. Where were the fisherman and his wife at the end?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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