Clever Elsie(かしこいエルゼ)の挿絵

Clever Elsie

かしこいエルゼ

  • 📖 634 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ「かしこいエルゼ」と呼ばれている娘に、結婚の話がやって来ました。お相手のハンスは「本当にかしこい娘でなければ、結婚しない」と言いますが……。

グリム童話集(1857年版)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • sharp頭がいい
  • cellar地下室
  • jug水差し
  • barrelたる
  • pickaxつるはし
  • maidお手伝いさん
  • earnかせぐ
  • wheat小麦
  • net網
  • frightenedこわがって

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once a man who had a daughter called Clever Elsie. When she was grown up, her father said, "It is time for her to marry." "Yes," said her mother, "if someone wants her."

むかし、ある男の人に、「かしこいエルゼ」と呼ばれる娘がいました。エルゼが大きくなると、お父さんが言いました。「そろそろ、あの子を嫁にやる時だな」「ええ」と、お母さんは言いました。「もらってくれる人がいればね」

At last a young man named Hans came from far away. "I will marry her," he said, "but only if she is really clever." "Oh, she is very sharp," said her father. "She can see the wind coming up the street," said her mother, "and hear the flies cough."

やがて、遠くからハンスという若者がやって来ました。「お嫁さんにもらいましょう」と、ハンスは言いました。「ただし、本当に賢い娘ならね」「なに、あの子は頭が切れるんだ」と、お父さんは言いました。「通りを風が吹いてくるのが見えるし、ハエのせきまで聞こえるんですよ」と、お母さんも言いました。

They all sat down to dinner. When they finished eating, the mother said, "Elsie, go down to the cellar and bring us some beer."

みんなは食卓につきました。食べ終わると、お母さんが言いました。「エルゼ、地下室へ行って、ビールをくんできておくれ」

Elsie took the jug and went down. She put a chair in front of the barrel, so she did not have to bend her back. While the beer was running into the jug, she looked around at the walls. Then she saw a pickax right above her head. Some workers had left it there by mistake.

エルゼは水差しを持って、下りていきました。たるの前にいすを置いて座ったので、腰をかがめずにすみました。ビールが水差しに流れこんでいるあいだ、エルゼはまわりの壁を見まわしました。すると、頭の真上に、つるはしがひっかかっているのが見えました。職人たちが、うっかり置き忘れていったのです。

Clever Elsie began to cry. "If I marry Hans, and we have a child, and he grows big, we will send him down here for beer. Then the pickax will fall on his head!" She sat there and cried as loudly as she could.

かしこいエルゼは、泣き出しました。「もしハンスと結婚して、子どもが生まれて、その子が大きくなったら、ここへビールをくみにやるでしょう。そうしたら、あのつるはしが、その子の頭の上に落ちてくるわ!」エルゼはそこに座りこんで、ありったけの大声で泣きました。

Upstairs, everyone was waiting for the beer. "Go and see where Elsie is," said the mother to the maid. The maid found Elsie crying in front of the barrel, and Elsie told her why. "What a clever Elsie we have!" said the maid. She sat down and began to cry, too.

上では、みんながビールを待っていました。「エルゼがどうしているか、見てきておくれ」と、お母さんがお手伝いさんに言いました。お手伝いさんが行ってみると、エルゼはたるの前で泣いていました。エルゼがわけを話すと、お手伝いさんは言いました。「なんてかしこいエルゼさんでしょう!」そして、自分も座りこんで泣き出しました。

Then the father sent a boy, and the boy sat down and cried with them. Then the mother went down, and she cried. Then the father went down, and he cried, too. "What a clever Elsie!" they all said.

次に、お父さんが下働きの男の子をやりました。男の子も座りこんで、一緒に泣きました。それから、お母さんが下りていって、泣きました。それから、お父さんも下りていって、やっぱり泣きました。「なんてかしこいエルゼだろう!」と、みんなは言いました。

Hans waited alone upstairs for a long time. At last he went down to the cellar. There sat five people, all crying loudly. "What is wrong?" he asked. Elsie told him about their child and the pickax.

ハンスは長いあいだ、ひとりで上で待っていました。とうとう地下室へ下りていくと、五人もの人が座りこんで、そろって大声で泣いていました。「どうしたんです?」と、ハンスは尋ねました。エルゼは、ハンスとのあいだに生まれる子どものことと、つるはしのことを話しました。

"Well," said Hans, "that is clever enough for my house. You are so clever that I will marry you." He took her hand, took her upstairs, and married her.

「なるほど」と、ハンスは言いました。「うちには、それだけかしこければ十分だ。そんなに賢いなら、結婚しよう」ハンスはエルゼの手をとって上へ連れていき、エルゼと結婚しました。

Some time later, Hans said, "Wife, I am going out to work and earn some money. Please go to the field and cut the wheat, so we can have bread." "Yes, dear Hans," said Elsie.

しばらくして、ハンスが言いました。「おまえ、わたしは働きに出て、お金をかせいでくるよ。おまえは畑へ行って、小麦を刈っておくれ。パンが作れるようにね」「はい、ハンス」と、エルゼは言いました。

Elsie cooked a big bowl of soup and took it to the field. "What shall I do first?" she said. "Cut, or eat? I will eat first." She ate all the soup. "Now what? Cut, or sleep? I will sleep first." And she lay down in the wheat and fell asleep.

エルゼは大きなおわんにいっぱいのスープを作って、畑へ持っていきました。「さて、何から始めようかしら?」と、エルゼは言いました。「刈るのが先? 食べるのが先? そうね、まず食べましょう」エルゼはスープをすっかりたいらげました。「さて、次は? 刈るのが先? 寝るのが先? そうね、まず寝ましょう」そして小麦の中に横になると、ぐっすり眠ってしまいました。

Hans came home, but Elsie did not come. "What a clever Elsie I have," he said. "She works so hard that she does not even come home to eat." But night was coming, so he went to the field. Nothing was cut, and Elsie was sleeping.

ハンスは家に帰ってきましたが、エルゼは帰ってきませんでした。「なんてかしこいエルゼだろう」と、ハンスは言いました。「働き者だから、ごはんを食べに帰ってもこないんだな」けれども、日が暮れかけてきたので、ハンスは畑へ行ってみました。小麦は少しも刈られておらず、エルゼは眠っていました。

Hans ran home and got a bird net with many little bells on it. He put it all around her. Then he went home, shut the door, and sat down to work.

ハンスは家へ走って帰ると、小さな鈴がたくさんついた、鳥をとる網を持ってきました。そして、それをエルゼのまわりにすっぽりかけました。それから家に戻って戸を閉め、座って仕事を始めました。

When it was dark, Elsie woke up. As she stood up, the little bells rang. Ring, ring! They rang at every step she took. Elsie was frightened. "Is this me, or is it not me?" she said. She did not know.

あたりが暗くなったころ、エルゼは目をさましました。立ち上がると、小さな鈴が鳴りました。チリン、チリン! 一歩歩くたびに、鈴が鳴るのです。エルゼは怖くなりました。「これはわたしかしら、それとも、わたしじゃないのかしら?」と、エルゼは言いました。自分でも分かりませんでした。

"I will go home and ask," she thought. "They will know." She knocked on the window. "Hans, is Elsie at home?" "Yes," said Hans. "She is here."

「家に帰って、聞いてみよう」と、エルゼは思いました。「家の人なら、分かるはずだわ」エルゼは窓をたたきました。「ハンス、エルゼはうちにいますか?」「ああ」と、ハンスは答えました。「ここにいるよ」

"Oh, no!" cried Elsie. "Then I am not me!" She went to other doors, but the people heard the bells and did not open. So she ran out of the village, and no one ever saw her again.

「まあ、大変!」と、エルゼは叫びました。「それじゃあ、わたしはわたしじゃないんだわ!」エルゼはほかの家の戸口へも行ってみましたが、鈴の音を聞いた人たちは、戸を開けてくれませんでした。そこでエルゼは村から走って出ていきました。それきり、エルゼの姿を見た人はだれもいません。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかし、ある男の人に、「かしこいエルゼ」と呼ばれる娘がいました。エルゼが大きくなると、お父さんが言いました。「そろそろ、あの子を嫁にやる時だな」「ええ」と、お母さんは言いました。「もらってくれる人がいればね」

やがて、遠くからハンスという若者がやって来ました。「お嫁さんにもらいましょう」と、ハンスは言いました。「ただし、本当に賢い娘ならね」「なに、あの子は頭が切れるんだ」と、お父さんは言いました。「通りを風が吹いてくるのが見えるし、ハエのせきまで聞こえるんですよ」と、お母さんも言いました。

みんなは食卓につきました。食べ終わると、お母さんが言いました。「エルゼ、地下室へ行って、ビールをくんできておくれ」

エルゼは水差しを持って、下りていきました。たるの前にいすを置いて座ったので、腰をかがめずにすみました。ビールが水差しに流れこんでいるあいだ、エルゼはまわりの壁を見まわしました。すると、頭の真上に、つるはしがひっかかっているのが見えました。職人たちが、うっかり置き忘れていったのです。

かしこいエルゼは、泣き出しました。「もしハンスと結婚して、子どもが生まれて、その子が大きくなったら、ここへビールをくみにやるでしょう。そうしたら、あのつるはしが、その子の頭の上に落ちてくるわ!」エルゼはそこに座りこんで、ありったけの大声で泣きました。

上では、みんながビールを待っていました。「エルゼがどうしているか、見てきておくれ」と、お母さんがお手伝いさんに言いました。お手伝いさんが行ってみると、エルゼはたるの前で泣いていました。エルゼがわけを話すと、お手伝いさんは言いました。「なんてかしこいエルゼさんでしょう!」そして、自分も座りこんで泣き出しました。

次に、お父さんが下働きの男の子をやりました。男の子も座りこんで、一緒に泣きました。それから、お母さんが下りていって、泣きました。それから、お父さんも下りていって、やっぱり泣きました。「なんてかしこいエルゼだろう!」と、みんなは言いました。

ハンスは長いあいだ、ひとりで上で待っていました。とうとう地下室へ下りていくと、五人もの人が座りこんで、そろって大声で泣いていました。「どうしたんです?」と、ハンスは尋ねました。エルゼは、ハンスとのあいだに生まれる子どものことと、つるはしのことを話しました。

「なるほど」と、ハンスは言いました。「うちには、それだけかしこければ十分だ。そんなに賢いなら、結婚しよう」ハンスはエルゼの手をとって上へ連れていき、エルゼと結婚しました。

しばらくして、ハンスが言いました。「おまえ、わたしは働きに出て、お金をかせいでくるよ。おまえは畑へ行って、小麦を刈っておくれ。パンが作れるようにね」「はい、ハンス」と、エルゼは言いました。

エルゼは大きなおわんにいっぱいのスープを作って、畑へ持っていきました。「さて、何から始めようかしら?」と、エルゼは言いました。「刈るのが先? 食べるのが先? そうね、まず食べましょう」エルゼはスープをすっかりたいらげました。「さて、次は? 刈るのが先? 寝るのが先? そうね、まず寝ましょう」そして小麦の中に横になると、ぐっすり眠ってしまいました。

ハンスは家に帰ってきましたが、エルゼは帰ってきませんでした。「なんてかしこいエルゼだろう」と、ハンスは言いました。「働き者だから、ごはんを食べに帰ってもこないんだな」けれども、日が暮れかけてきたので、ハンスは畑へ行ってみました。小麦は少しも刈られておらず、エルゼは眠っていました。

ハンスは家へ走って帰ると、小さな鈴がたくさんついた、鳥をとる網を持ってきました。そして、それをエルゼのまわりにすっぽりかけました。それから家に戻って戸を閉め、座って仕事を始めました。

あたりが暗くなったころ、エルゼは目をさましました。立ち上がると、小さな鈴が鳴りました。チリン、チリン! 一歩歩くたびに、鈴が鳴るのです。エルゼは怖くなりました。「これはわたしかしら、それとも、わたしじゃないのかしら?」と、エルゼは言いました。自分でも分かりませんでした。

「家に帰って、聞いてみよう」と、エルゼは思いました。「家の人なら、分かるはずだわ」エルゼは窓をたたきました。「ハンス、エルゼはうちにいますか?」「ああ」と、ハンスは答えました。「ここにいるよ」

「まあ、大変!」と、エルゼは叫びました。「それじゃあ、わたしはわたしじゃないんだわ!」エルゼはほかの家の戸口へも行ってみましたが、鈴の音を聞いた人たちは、戸を開けてくれませんでした。そこでエルゼは村から走って出ていきました。それきり、エルゼの姿を見た人はだれもいません。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Elsie see in the cellar?

Q2. What did Elsie do first in the field?

Q3. Why did Elsie think she was not Elsie?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

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