Hearts and Hands(心と手)の挿絵
Level 2 Elementary名作文学

Hearts and Hands

心と手

  • 📖 511 words
  • ⏱ 約6分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ西部を走る列車で、美しい女性は昔の知り合いの青年と再会します。でも、彼の手首は、となりの男と手錠でつながれていて……。

O・ヘンリーの短編集 Waifs and Strays(1917年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • elegant上品な
  • handcuffs手錠
  • marshal連邦保安官
  • prison刑務所
  • fake moneyにせ金
  • embassy大使館
  • smoking car喫煙車両
  • prisoner囚人、とらわれた人

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

The train was going east from Denver. In one of the cars sat a beautiful young woman in elegant clothes. Her name was Miss Fairchild. She was looking out of the window at the wide, empty land.

列車はデンバーから東へ向かって走っていた。ある車両に、上品な服を着た、美しい若い女性がすわっていた。名前をミス・フェアチャイルドといった。窓の外にひろがる、何もない広大な大地をながめていた。

At a small station, two men got on the train. One was a handsome young man with a bold, open face. He was neatly dressed. The other was a heavy, unhappy-looking man in rough clothes. The two men were joined together by handcuffs. The handsome man's right hand was locked to the other man's left hand.

小さな駅で、ふたりの男が乗りこんできた。ひとりはハンサムな青年で、度胸のありそうな、あけっぴろげな顔をしていた。身なりもきちんとしていた。もうひとりは、粗末な服を着た、ずんぐりした陰気な顔の男だった。ふたりは手錠でつながれていた。ハンサムな男の右手と、もうひとりの男の左手が、つながれていたのだ。

The only empty seat was across from Miss Fairchild, so the two men sat down there. Miss Fairchild looked at them. Then her face lit up with a lovely smile.

空いている席は、ミス・フェアチャイルドの向かいしかなかった。それで、ふたりはそこに腰をおろした。ミス・フェアチャイルドはふたりに目をやった。と、その顔がぱっと明るくなり、愛らしいほほえみが浮かんだ。

"Why, Mr. Easton!" she said, and she held out her hand. "Did you forget your old friends?"

「まあ、イーストンさん!」と言って、ミス・フェアチャイルドは手をさし出した。「昔のお友だちをお忘れになったの?」

The young man looked surprised and a little uncomfortable. Then he smiled. He tried to take her hand with his right hand, but the handcuffs stopped him. So he took it with his left hand.

青年はおどろいた様子で、少しばつが悪そうだった。それから、にっこりした。右手で握手しようとしたが、手錠にじゃまされた。そこで、左手でその手をとった。

"Of course I remember you, Miss Fairchild," he said. "Please excuse the other hand. It's busy just now."

「もちろん覚えていますよ、ミス・フェアチャイルド」と青年は言った。「もう一方の手は、どうかご勘弁を。ただいま、ちょっとふさがっておりまして」

Then Miss Fairchild saw the shining handcuffs. Her smile disappeared, and her eyes grew wide.

そのとき、ミス・フェアチャイルドは、ぴかぴか光る手錠に気づいた。ほほえみが消え、目が大きく見開かれた。

The heavy man spoke first. He was watching her face carefully. "Excuse me, miss," he said. "I see you know the marshal here. Please ask him to say a good word for me. He's taking me to the prison in Leavenworth. I made fake money, and I'm going to be there for seven years."

先に口を開いたのは、ずんぐりした男のほうだった。男は、ミス・フェアチャイルドの顔をじっとうかがっていた。「失礼ですが、お嬢さん」と男は言った。「こちらの保安官とお知り合いのようですね。どうか、わたしのことをひとつよろしく言ってくれるよう、この人にたのんでもらえませんか。わたしはこれから、レヴンワースの刑務所へ連れていかれるところなんです。にせ金をつくった罪で、七年のお勤めでしてね」

"Oh!" said Miss Fairchild, and the color came back to her cheeks. "So you're a marshal now, Mr. Easton!"

「まあ!」とミス・フェアチャイルドは言った。ほおに血の気がもどってきた。「それじゃあイーストンさん、あなた、今は保安官をしていらっしゃるのね!」

"Yes," said Easton calmly. "I needed a job, you know. Money doesn't come easily. When I left Washington, I came out West. A marshal's job isn't as fine as a job at the embassy, but..."

「ええ」とイーストンは落ち着いて言った。「なにしろ、働き口が必要だったものでね。お金は、そうかんたんには手に入りませんから。ワシントンを離れて、西部へやって来たんです。保安官の仕事は、大使館の仕事ほど華やかではありませんが……」

"I don't care about the embassy anymore," said Miss Fairchild warmly. "And now you're a brave Western hero, catching bad men! How exciting! Mother and I often talk about you. We have missed you in Washington."

「大使館のことなんて、もうどうでもいいの」とミス・フェアチャイルドは熱をこめて言った。「それに今のあなたは、悪者をつかまえる勇ましい西部の英雄なんですもの! なんてすてきなの! 母とわたしは、よくあなたのことを話しているのよ。ワシントンでは、ふたりとも、あなたがいなくてさびしかったわ」

They talked about old friends for a while. Then the heavy man said, "Excuse me, miss. I think the marshal wants a smoke, and so do I. I didn't smoke all day. Can we go to the smoking car, marshal?"

ふたりは、しばらく昔の友人たちの話をした。すると、ずんぐりした男が言った。「失礼、お嬢さん。保安官はたばこを一服したいようですし、わたしもなんです。一日じゅう吸っていないもんでね。保安官、喫煙車へ行ってもいいですか?」

The two men stood up, still joined together. "I'm sorry, but I must go with my friend here," said Easton with a smile. He looked at her for a long moment. "Good-bye, Miss Fairchild. Give my best wishes to your mother."

ふたりの男は、つながれたまま立ちあがった。「申しわけありませんが、こちらの友人と一緒に行かなくてはなりません」とイーストンはほほえんで言った。そして、しばらくのあいだ、じっとミス・フェアチャイルドを見つめた。「さようなら、ミス・フェアチャイルド。お母さまによろしくお伝えください」

"I hope we will meet again," she said softly. "Good-bye."

「またお会いできるといいわね」とミス・フェアチャイルドはやさしく言った。「さようなら」

After they left, two passengers in the next seat began to talk. They had heard everything.

ふたりが行ってしまうと、となりの席の乗客ふたりが話しはじめた。一部始終を聞いていたのだ。

"That marshal is a nice young man," said one. "Some of those Western officers are good fellows."

「あの保安官は、感じのいい若者だな」とひとりが言った。「西部の役人にも、なかなかいいやつがいるもんだ」

"He's rather young for a marshal, isn't he?" said the other.

「保安官にしちゃ、ずいぶん若くないか?」ともうひとりが言った。

"Young?" said the first man. "Didn't you notice? Tell me, did you ever see an officer lock a prisoner to his own right hand?"

「若いだって?」と最初の男は言った。「気がつかなかったのかい? じゃあきくが、囚人を自分の右手につないでおく役人なんて、見たことがあるかね?」

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列車はデンバーから東へ向かって走っていた。ある車両に、上品な服を着た、美しい若い女性がすわっていた。名前をミス・フェアチャイルドといった。窓の外にひろがる、何もない広大な大地をながめていた。

小さな駅で、ふたりの男が乗りこんできた。ひとりはハンサムな青年で、度胸のありそうな、あけっぴろげな顔をしていた。身なりもきちんとしていた。もうひとりは、粗末な服を着た、ずんぐりした陰気な顔の男だった。ふたりは手錠でつながれていた。ハンサムな男の右手と、もうひとりの男の左手が、つながれていたのだ。

空いている席は、ミス・フェアチャイルドの向かいしかなかった。それで、ふたりはそこに腰をおろした。ミス・フェアチャイルドはふたりに目をやった。と、その顔がぱっと明るくなり、愛らしいほほえみが浮かんだ。

「まあ、イーストンさん!」と言って、ミス・フェアチャイルドは手をさし出した。「昔のお友だちをお忘れになったの?」

青年はおどろいた様子で、少しばつが悪そうだった。それから、にっこりした。右手で握手しようとしたが、手錠にじゃまされた。そこで、左手でその手をとった。

「もちろん覚えていますよ、ミス・フェアチャイルド」と青年は言った。「もう一方の手は、どうかご勘弁を。ただいま、ちょっとふさがっておりまして」

そのとき、ミス・フェアチャイルドは、ぴかぴか光る手錠に気づいた。ほほえみが消え、目が大きく見開かれた。

先に口を開いたのは、ずんぐりした男のほうだった。男は、ミス・フェアチャイルドの顔をじっとうかがっていた。「失礼ですが、お嬢さん」と男は言った。「こちらの保安官とお知り合いのようですね。どうか、わたしのことをひとつよろしく言ってくれるよう、この人にたのんでもらえませんか。わたしはこれから、レヴンワースの刑務所へ連れていかれるところなんです。にせ金をつくった罪で、七年のお勤めでしてね」

「まあ!」とミス・フェアチャイルドは言った。ほおに血の気がもどってきた。「それじゃあイーストンさん、あなた、今は保安官をしていらっしゃるのね!」

「ええ」とイーストンは落ち着いて言った。「なにしろ、働き口が必要だったものでね。お金は、そうかんたんには手に入りませんから。ワシントンを離れて、西部へやって来たんです。保安官の仕事は、大使館の仕事ほど華やかではありませんが……」

「大使館のことなんて、もうどうでもいいの」とミス・フェアチャイルドは熱をこめて言った。「それに今のあなたは、悪者をつかまえる勇ましい西部の英雄なんですもの! なんてすてきなの! 母とわたしは、よくあなたのことを話しているのよ。ワシントンでは、ふたりとも、あなたがいなくてさびしかったわ」

ふたりは、しばらく昔の友人たちの話をした。すると、ずんぐりした男が言った。「失礼、お嬢さん。保安官はたばこを一服したいようですし、わたしもなんです。一日じゅう吸っていないもんでね。保安官、喫煙車へ行ってもいいですか?」

ふたりの男は、つながれたまま立ちあがった。「申しわけありませんが、こちらの友人と一緒に行かなくてはなりません」とイーストンはほほえんで言った。そして、しばらくのあいだ、じっとミス・フェアチャイルドを見つめた。「さようなら、ミス・フェアチャイルド。お母さまによろしくお伝えください」

「またお会いできるといいわね」とミス・フェアチャイルドはやさしく言った。「さようなら」

ふたりが行ってしまうと、となりの席の乗客ふたりが話しはじめた。一部始終を聞いていたのだ。

「あの保安官は、感じのいい若者だな」とひとりが言った。「西部の役人にも、なかなかいいやつがいるもんだ」

「保安官にしちゃ、ずいぶん若くないか?」ともうひとりが言った。

「若いだって?」と最初の男は言った。「気がつかなかったのかい? じゃあきくが、囚人を自分の右手につないでおく役人なんて、見たことがあるかね?」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Where was the heavy man going, he said?

Q2. Which hand of Mr. Easton was locked in the handcuffs?

Q3. What did the passenger in the next seat understand?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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