After Twenty Years(二十年後)の挿絵
Level 2 Elementary名作文学

After Twenty Years

二十年後

  • 📖 644 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ雨の夜のニューヨーク。暗い店の入り口で、一人の男が二十年前の約束を守るため、親友を待っています。見回りの警官に、男は昔の話を始めますが……。

O・ヘンリーの短編集『四百万』(1906年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • hardware store金物屋
  • cigar葉巻
  • scar傷あと
  • eyebrowまゆ毛
  • make my fortuneひと財産つくる
  • faithful誠実な、約束を守る
  • collarえり
  • arrest逮捕する

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

It was ten o'clock at night in New York. A cold wind was blowing, and it was starting to rain. There were very few people on the street. A police officer was walking slowly along, checking the doors of the shops. Most of the shops were closed and dark.

ニューヨークの、夜十時のことだった。冷たい風が吹き、雨がぱらつきはじめていた。通りには、人影はほとんどなかった。ひとりの警官が、店の戸じまりを確かめながら、ゆっくりと見回りをしていた。店はたいてい閉まっていて、明かりも消えていた。

In the doorway of a dark hardware store, a man was standing with a cigar in his mouth. When the officer came near, the man spoke quickly.

明かりの消えた金物屋の戸口に、葉巻をくわえた男が立っていた。警官が近づくと、男はあわてて口を開いた。

"It's all right, officer," he said. "I'm just waiting for a friend. Twenty years ago we made a promise to meet here tonight. There was a restaurant here then. It was called Big Joe Brady's."

「怪しい者じゃありませんよ、おまわりさん」と男は言った。「友だちを待っているだけです。二十年前、今夜ここで会おうと約束したんですよ。当時、ここにはレストランがありましてね。『ビッグ・ジョー・ブレイディの店』っていいました」

"Yes," said the officer. "It was here until five years ago. Then they pulled it down."

「ああ」と警官は言った。「五年前まではここにあったな。そのあと取りこわされたんだ」

The man lit his cigar with a match. In the light, the officer saw his face. It was pale, with sharp eyes and a small white scar near the right eyebrow. A large diamond was shining on his tie.

男はマッチをすって葉巻に火をつけた。その明かりで、警官には男の顔が見えた。青白い顔に、するどい目。右のまゆのそばに、小さな白い傷あとがあった。ネクタイには、大きなダイヤモンドが光っていた。

"Twenty years ago tonight," the man said, "I had dinner here with Jimmy Wells. He was my best friend. We grew up together here in New York, like brothers. I was eighteen, and Jimmy was twenty. The next morning I was going to the West to make my fortune. Jimmy didn't want to leave New York. So we made a promise. 'In twenty years, we will meet here again at ten o'clock,' we said. 'Wherever we are.'"

「二十年前の今夜」と男は言った。「わたしはここで、ジミー・ウェルズと晩飯を食べました。いちばんの親友です。ふたりともこのニューヨークで、兄弟みたいに一緒に育ったんですよ。わたしは十八で、ジミーは二十歳でした。わたしは次の朝、ひと旗あげに西部へ発つことになっていました。ジミーのほうは、ニューヨークを離れたがらなかった。そこで、ふたりで約束したんです。『二十年たったら、十時に、またここで会おう。どこにいようとも』ってね」

"Did you hear from your friend after that?" asked the officer.

「それからあと、友だちから便りはあったのかい?」と警官はたずねた。

"We wrote letters for a while," said the man. "But the West is a big place, and I moved around a lot. Then the letters stopped. But I know Jimmy. If he is alive, he will come. He was always the most honest and faithful man in the world." He took out a beautiful gold watch with small diamonds on it. "Three minutes to ten," he said.

「しばらくは手紙をやりとりしていました」と男は言った。「でも西部は広いし、わたしはあちこち渡り歩きましたからね。そのうち手紙もとだえてしまった。だが、ジミーのことはよくわかっています。生きていれば、あいつはかならず来ます。あんなに正直で、義理がたい男は、世界じゅうさがしたっていませんよ」男は、小さなダイヤモンドをちりばめた見事な金時計を取り出した。「十時三分前だ」と男は言った。

"Did you do well in the West?" asked the officer.

「西部では、うまくいったのかい?」と警官はたずねた。

"Of course! I hope Jimmy did half as well. He was a good man, but slow. In the West you have to be sharp to get money."

「もちろんですとも! ジミーがその半分でもうまくやっていればいいんですがね。あいつはいいやつだが、のろまでした。西部で金をつかむには、抜け目がなくちゃいけません」

"I'll be on my way," said the officer. "I hope your friend comes. Good night."

「じゃあ、わたしは行くよ」と警官は言った。「友だちが来るといいな。おやすみ」

The man waited. The rain became heavier, and the wind became colder. Twenty minutes passed. Then a tall man in a long coat hurried across the street. His collar was turned up around his ears.

男は待った。雨は激しくなり、風はいっそう冷たくなった。二十分が過ぎた。すると、長いコートを着た背の高い男が、急ぎ足で通りを渡ってきた。コートのえりを、耳のあたりまで立てていた。

"Is that you, Bob?" he asked.

「ボブ、きみか?」と背の高い男はたずねた。

"Is that you, Jimmy Wells?" cried the man in the doorway.

「ジミー・ウェルズか?」と戸口の男はさけんだ。

The tall man took both his hands. "It's Bob! I knew I would find you here. Twenty years is a long time! Come on, let's go somewhere warm and talk."

背の高い男は、相手の両手をにぎった。「ボブだ! きっとここにいると思っていたよ。二十年は長いなあ! さあ、どこかあったかいところへ行って話そう」

Arm in arm, the two men walked up the street. Bob talked happily about his success in the West. At the corner, there was a drugstore with bright lights. When they came into the light, Bob suddenly stopped and pulled his arm away.

ふたりは腕を組んで通りを歩いていった。ボブは、西部での成功を得意げに話した。角に、明るく明かりのともったドラッグストアがあった。その明かりの中に入ったとたん、ボブはぴたりと足を止め、組んでいた腕をふりほどいた。

"You're not Jimmy Wells!" he said. "Twenty years is a long time, but it can't change the shape of a man's nose."

「おまえはジミー・ウェルズじゃない!」とボブは言った。「二十年は長い。だが、人の鼻の形まで変えちまうはずがない」

"It can change a good man into a bad one," said the tall man. "I arrested you ten minutes ago, Silky Bob. The police in Chicago are looking for you. Before we go to the station, here is a note for you. Officer Wells asked me to give it to you."

「善人を悪人に変えることはあるがね」と背の高い男は言った。「十分前から、おまえは逮捕されてるんだよ、『シルキー・ボブ』。シカゴの警察が、おまえをさがしている。署へ行く前に、手紙をあずかってきた。ウェルズ巡査から、おまえに渡してくれとたのまれたんだ」

Bob opened the small piece of paper. His hand was steady when he began to read. But it was shaking a little at the end. The note was short.

ボブは小さな紙きれを開いた。読みはじめたとき、その手はしっかりしていた。だが、読み終えるころには、かすかにふるえていた。手紙は短かった。

"Bob, I was at the place on time. When you lit your cigar, I saw your face. It was the face of the man the Chicago police want. I couldn't arrest you myself. So I went and found another officer to do it. Jimmy."

「ボブへ。ぼくは時間どおりに約束の場所へ行った。きみが葉巻に火をつけたとき、顔が見えた。シカゴの警察が追っている男の顔だった。ぼくには、自分の手できみを逮捕することはできなかった。だから、ほかの警官をさがして、かわりにたのんだんだ。ジミー」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ニューヨークの、夜十時のことだった。冷たい風が吹き、雨がぱらつきはじめていた。通りには、人影はほとんどなかった。ひとりの警官が、店の戸じまりを確かめながら、ゆっくりと見回りをしていた。店はたいてい閉まっていて、明かりも消えていた。

明かりの消えた金物屋の戸口に、葉巻をくわえた男が立っていた。警官が近づくと、男はあわてて口を開いた。

「怪しい者じゃありませんよ、おまわりさん」と男は言った。「友だちを待っているだけです。二十年前、今夜ここで会おうと約束したんですよ。当時、ここにはレストランがありましてね。『ビッグ・ジョー・ブレイディの店』っていいました」

「ああ」と警官は言った。「五年前まではここにあったな。そのあと取りこわされたんだ」

男はマッチをすって葉巻に火をつけた。その明かりで、警官には男の顔が見えた。青白い顔に、するどい目。右のまゆのそばに、小さな白い傷あとがあった。ネクタイには、大きなダイヤモンドが光っていた。

「二十年前の今夜」と男は言った。「わたしはここで、ジミー・ウェルズと晩飯を食べました。いちばんの親友です。ふたりともこのニューヨークで、兄弟みたいに一緒に育ったんですよ。わたしは十八で、ジミーは二十歳でした。わたしは次の朝、ひと旗あげに西部へ発つことになっていました。ジミーのほうは、ニューヨークを離れたがらなかった。そこで、ふたりで約束したんです。『二十年たったら、十時に、またここで会おう。どこにいようとも』ってね」

「それからあと、友だちから便りはあったのかい?」と警官はたずねた。

「しばらくは手紙をやりとりしていました」と男は言った。「でも西部は広いし、わたしはあちこち渡り歩きましたからね。そのうち手紙もとだえてしまった。だが、ジミーのことはよくわかっています。生きていれば、あいつはかならず来ます。あんなに正直で、義理がたい男は、世界じゅうさがしたっていませんよ」男は、小さなダイヤモンドをちりばめた見事な金時計を取り出した。「十時三分前だ」と男は言った。

「西部では、うまくいったのかい?」と警官はたずねた。

「もちろんですとも! ジミーがその半分でもうまくやっていればいいんですがね。あいつはいいやつだが、のろまでした。西部で金をつかむには、抜け目がなくちゃいけません」

「じゃあ、わたしは行くよ」と警官は言った。「友だちが来るといいな。おやすみ」

男は待った。雨は激しくなり、風はいっそう冷たくなった。二十分が過ぎた。すると、長いコートを着た背の高い男が、急ぎ足で通りを渡ってきた。コートのえりを、耳のあたりまで立てていた。

「ボブ、きみか?」と背の高い男はたずねた。

「ジミー・ウェルズか?」と戸口の男はさけんだ。

背の高い男は、相手の両手をにぎった。「ボブだ! きっとここにいると思っていたよ。二十年は長いなあ! さあ、どこかあったかいところへ行って話そう」

ふたりは腕を組んで通りを歩いていった。ボブは、西部での成功を得意げに話した。角に、明るく明かりのともったドラッグストアがあった。その明かりの中に入ったとたん、ボブはぴたりと足を止め、組んでいた腕をふりほどいた。

「おまえはジミー・ウェルズじゃない!」とボブは言った。「二十年は長い。だが、人の鼻の形まで変えちまうはずがない」

「善人を悪人に変えることはあるがね」と背の高い男は言った。「十分前から、おまえは逮捕されてるんだよ、『シルキー・ボブ』。シカゴの警察が、おまえをさがしている。署へ行く前に、手紙をあずかってきた。ウェルズ巡査から、おまえに渡してくれとたのまれたんだ」

ボブは小さな紙きれを開いた。読みはじめたとき、その手はしっかりしていた。だが、読み終えるころには、かすかにふるえていた。手紙は短かった。

「ボブへ。ぼくは時間どおりに約束の場所へ行った。きみが葉巻に火をつけたとき、顔が見えた。シカゴの警察が追っている男の顔だった。ぼくには、自分の手できみを逮捕することはできなかった。だから、ほかの警官をさがして、かわりにたのんだんだ。ジミー」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why was the man waiting in the doorway?

Q2. What did the officer see when the man lit his cigar?

Q3. Who was the police officer at the beginning of the story?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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